106 / 363
第四章
聖女の不在
しおりを挟む「左から二番目の従者はカモフラージュで出て行って貰ってます。彼は問題ありません。残っている従者はこの会話を聞いた方が、体よく動いてくれるでしょう。出ていった後の従者2人は、ヴェストベリ公爵と繋がっています。そのヴェストベリ公爵は、レンナルトと繋がっていて、父上の暗殺を練っています。ただ、これは私を皇帝に指名してから計画した事で、レンナルトを皇帝にするなら、なにも問題なく事はすみます。」
「レンナルトがそんな事を……」
「レンナルトより、ヴェストベリ公爵に気をつけて下さい。言わば、レンナルトは操られているだけに過ぎません。ヴェストベリ公爵は、他にも何やら画策している様です。」
「何を画策しているのか分からんか?」
「詳しくは分かりませんでしたが、他国と密会している様です。」
「何っ?!ぅっ!ゴホッ!ゴホッっ!」
「父上!大丈夫ですか?!」
医師たちも慌てて動こうとする。
それを父上は手で制する。
「大丈夫だ。…それでリディよ。他国とは何処の国か分かるか?」
「アクシタス国です。」
「確か医師の一人がアクシタス出身だったな……そうか……」
「あそこはまだ属国になっていません。国の勢力は然程大きくありませんが、海が近く貿易が盛んで、国自体が豊かです。その国を後ろ盾にしたいと考えている様ですね。」
「アクシタスが属国となるのは問題ないことだが、ヴェストベリは何を考えている?!」
「ヴェストベリ公爵の奥方は、アクシタス国出身です。それ意外はまだ……」
「そうか、そこまで分かっただけでも大したものだ。ここからは私に任せよ。他にはどうだ?」
それから、会った事で分かった事を、父上に話していく。
幼い頃からこんな感じで、帝城で俺が倒れる度に見舞いに来た父上に、受けた印象等を告げていた。
俺を可愛がってくれているとその時は思っていたが、本当は情報が欲しいんだろう。
「父上に聞きたい事があります。」
「継承の事か?」
「はい。」
「お前以外にはおらぬ。」
「私は帝位につくつもりはありません。」
「では他に誰がいると言うのか。」
「レオポルド第5皇子。彼なら父上の後継者として問題ありません。」
「しかし、病弱だ。」
「聖女を側につけられれば問題ないのでは?」
「今、聖女が不在でな。」
「前にいた聖女はいかがなさいましたか?」
「自害しようとしてな。今治療しておる。」
「…そうでしたか……」
「何が不満だ。」
「この城の中には、醜悪な感情が渦巻いております。
私はそれに耐えられる自信がありません。」
「それを見抜けるからこそぞ。」
「理解してはおりますが……」
「聖女が不在の今、この体もどうなるか分からぬ。なるべく早くに帝位について貰いたい。」
「私は今の様に、補佐につく方が適任かと。」
「聖女がおれば考えてやろう。」
「………。」
「もう良いか?」
「あと1つございます。」
「なんだ?」
「銀髪の部族についてです。」
0
お気に入りに追加
47
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
好きでした、さようなら
豆狸
恋愛
「……すまない」
初夜の床で、彼は言いました。
「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」
悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。
なろう様でも公開中です。
【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。
まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
そろそろ前世は忘れませんか。旦那様?
氷雨そら
恋愛
結婚式で私のベールをめくった瞬間、旦那様は固まった。たぶん、旦那様は記憶を取り戻してしまったのだ。前世の私の名前を呼んでしまったのがその証拠。
そしておそらく旦那様は理解した。
私が前世にこっぴどく裏切った旦那様の幼馴染だってこと。
――――でも、それだって理由はある。
前世、旦那様は15歳のあの日、魔力の才能を開花した。そして私が開花したのは、相手の魔力を奪う魔眼だった。
しかも、その魔眼を今世まで持ち越しで受け継いでしまっている。
「どれだけ俺を弄んだら気が済むの」とか「悪い女」という癖に、旦那様は私を離してくれない。
そして二人で眠った次の朝から、なぜかかつての幼馴染のように、冷酷だった旦那様は豹変した。私を溺愛する人間へと。
お願い旦那様。もう前世のことは忘れてください!
かつての幼馴染は、今度こそ絶対幸せになる。そんな幼馴染推しによる幼馴染推しのための物語。
小説家になろうにも掲載しています。
うたた寝している間に運命が変わりました。
gacchi
恋愛
優柔不断な第三王子フレディ様の婚約者として、幼いころから色々と苦労してきたけど、最近はもう呆れてしまって放置気味。そんな中、お義姉様がフレディ様の子を身ごもった?私との婚約は解消?私は学園を卒業したら修道院へ入れられることに。…だったはずなのに、カフェテリアでうたた寝していたら、私の運命は変わってしまったようです。
雪解けの白い結婚 〜触れることもないし触れないでほしい……からの純愛!?〜
川奈あさ
恋愛
セレンは前世で夫と友人から酷い裏切りを受けたレスられ・不倫サレ妻だった。
前世の深い傷は、転生先の心にも残ったまま。
恋人も友人も一人もいないけれど、大好きな魔法具の開発をしながらそれなりに楽しい仕事人生を送っていたセレンは、祖父のために結婚相手を探すことになる。
だけど凍り付いた表情は、舞踏会で恐れられるだけで……。
そんな時に出会った壁の花仲間かつ高嶺の花でもあるレインに契約結婚を持ちかけられる。
「私は貴女に触れることもないし、私にも触れないでほしい」
レインの条件はひとつ、触らないこと、触ることを求めないこと。
実はレインは女性に触れられると、身体にひどいアレルギー症状が出てしまうのだった。
女性アレルギーのスノープリンス侯爵 × 誰かを愛することが怖いブリザード令嬢。
過去に深い傷を抱えて、人を愛することが怖い。
二人がゆっくり夫婦になっていくお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる