慟哭の時

レクフル

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第四章

聖女の不在

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「左から二番目の従者はカモフラージュで出て行って貰ってます。彼は問題ありません。残っている従者はこの会話を聞いた方が、体よく動いてくれるでしょう。出ていった後の従者2人は、ヴェストベリ公爵と繋がっています。そのヴェストベリ公爵は、レンナルトと繋がっていて、父上の暗殺を練っています。ただ、これは私を皇帝に指名してから計画した事で、レンナルトを皇帝にするなら、なにも問題なく事はすみます。」

「レンナルトがそんな事を……」

「レンナルトより、ヴェストベリ公爵に気をつけて下さい。言わば、レンナルトは操られているだけに過ぎません。ヴェストベリ公爵は、他にも何やら画策している様です。」

「何を画策しているのか分からんか?」

「詳しくは分かりませんでしたが、他国と密会している様です。」

「何っ?!ぅっ!ゴホッ!ゴホッっ!」

「父上!大丈夫ですか?!」

医師たちも慌てて動こうとする。

それを父上は手で制する。

「大丈夫だ。…それでリディよ。他国とは何処の国か分かるか?」

「アクシタス国です。」

「確か医師の一人がアクシタス出身だったな……そうか……」

「あそこはまだ属国になっていません。国の勢力は然程大きくありませんが、海が近く貿易が盛んで、国自体が豊かです。その国を後ろ盾にしたいと考えている様ですね。」

「アクシタスが属国となるのは問題ないことだが、ヴェストベリは何を考えている?!」

「ヴェストベリ公爵の奥方は、アクシタス国出身です。それ意外はまだ……」

「そうか、そこまで分かっただけでも大したものだ。ここからは私に任せよ。他にはどうだ?」


それから、会った事で分かった事を、父上に話していく。

幼い頃からこんな感じで、帝城で俺が倒れる度に見舞いに来た父上に、受けた印象等を告げていた。

俺を可愛がってくれているとその時は思っていたが、本当は情報が欲しいんだろう。


「父上に聞きたい事があります。」

「継承の事か?」

「はい。」

「お前以外にはおらぬ。」

「私は帝位につくつもりはありません。」

「では他に誰がいると言うのか。」

「レオポルド第5皇子。彼なら父上の後継者として問題ありません。」

「しかし、病弱だ。」

「聖女を側につけられれば問題ないのでは?」

「今、聖女が不在でな。」

「前にいた聖女はいかがなさいましたか?」

「自害しようとしてな。今治療しておる。」

「…そうでしたか……」

「何が不満だ。」

「この城の中には、醜悪な感情が渦巻いております。
私はそれに耐えられる自信がありません。」

「それを見抜けるからこそぞ。」

「理解してはおりますが……」

「聖女が不在の今、この体もどうなるか分からぬ。なるべく早くに帝位について貰いたい。」

「私は今の様に、補佐につく方が適任かと。」

「聖女がおれば考えてやろう。」

「………。」

「もう良いか?」

「あと1つございます。」

「なんだ?」

「銀髪の部族についてです。」





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