慟哭の時

レクフル

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第三章

ラリサ

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村長のオレグにこれまでの経緯を聞いた。


オレグが18歳の頃、村に兵がやって来た。

男達は殺され、女達は連れ去られた。

その時の村長が、非常事態が起こった時の事を事前に伝えていた為、出来る者はそれに従った。

それは、村の宝物庫にある宝物を、1つずつ皆で持って逃げると言うことだった。

なんとか7つの石は持ち出せた様だったが、それ以外の物が持ち出せたのかどうかは分からなかった。

命辛々逃げ、何とか助かったが、その時一緒に逃げたのがナディアの娘、ナタリアだった。

ナタリアと2人、森の中でひっそりと10日間隠れていたそうだが、襲われた村がどうなったのか気になり、様子を見に行くことにした。

襲って来た兵がいないか、恐る恐る村まで戻ってみた。

兵達の姿はなく2人でホッとして、村中を見て回った。

家は焼かれ、畑は踏みにじられ、酪農として飼っていた動物達も殺され、この場所で食用とされていたようだった。

その残骸が至るところで見られた。

ナタリアは泣きながら、村の現状を確認することしか出来なかった。

宝物庫を確認するが、残っている物は何も無かった。

あちこちに殺された男達の遺体が転がっていたが、魔物に喰われて見るも無惨な状態の遺体ばかりだった。

オレグが得意な火魔法で遺体を焼き、ナタリアが得意な光魔法で浄化をした。
そして、その場所にお墓を作った。

家に残っている物等を確認していると、村に誰かがやって来た。

急いで2人で身を隠して様子を見ていると、逃げ切れた他の村人が3人、オレグ達と同じ様に様子を見に来ていたのだった。

他にも同じ事を考える者がいる可能性を考え、3日程村にいたが、その後やって来たのは2人だった。

それでも、生き残った者がいたことが嬉しくて、皆で抱き合って泣いた。

それから7人で、他の場所で生活をすることを決め、持ち出せる物は僅かだったが、新たな棲みかを探しに村を後にしたのだった。

それから移動し、森の奥で密かに、身を隠す様に生活を始めた。

オレグはナタリアと結婚し、子供も生まれた。

他の者達も結婚したりで子供ができ、村人は少しずつだが増えていった。

外部との関わりを持たずに、隠れて生活を続けた。

そして、40年程経ったある日、また村が襲われた。

今度は兵ではなく、盗賊の類いで人数も10人程だった。

前に村を襲われた経験があったので、こういった事態に対応出来るよう村人達は訓練していて、前回の様に蹂躙されることは無かった。

村人の勢力が想定よりも大きかったと思った盗賊達は逃げる事を選択したが、その時目についた一人の少女を拐って行った。

それがラリサだった。





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