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第一章
出現
しおりを挟むダンジョンへ向かう道のりを、さっきの騎士達のことを思い返しながら進んで行く。
聖女を、私を探しに来たとするなら、来るのが早すぎる。
この街はインタラス国の最北端にあって、王都からは遠い。
もし王都から来るとしたら、急いだとしても5日はかかるだろう。
そう思うと、他国の騎士かも知れない。
聖女は自国でなくても、探し出して捕らえる事は出来る。
要は早い者勝ちなのだ。
争奪戦にならないように秘密裏に動くのだが、その為には情報網がかなりのカギとなる。
どこの国でも、自国にも他国にも、諜報員を派遣しているのだ。
しかし、他国から来たと言っても、聖女探しで来たと言うのには行動が早すぎる。
他の事でこの街あたりにやって来ていて、諜報員から聖女の噂を聞きこの街にやって来たのか、それか元々この街に何らかの用事があって、来てから噂を聞いたのか。
何にせよ、私の回復魔法の事が漏洩した可能性があるならば、早めにこの街を出た方が良さそうだ。
明日は、最も魔素が多くなる日だ。
今も魔素がいつもより多いのを感じる。
一度魔素を集めて細道が出来るか、試してみるか。
そう考えてるうちに、ダンジョンにたどり着く。
地下に下り、魔物を倒していく。
魔素が多くなっているからか、いつもより魔物が多くなっている感じだ。
それに強くなってる?
まぁ、私はあまり変わらず倒せて行けるが、途中見たパーティーの連中が、かなり手こずっていた様だ。
もしかしたら行けるかも知れないな。
そう思いながら、地下3階のあの場所までたどり着いた。
両手を右の壁にあて、魔素をコントロールする。
周りの魔素が集まってくるのが分かる。
まだ足りないか?
もう少しか。
全身に力を込めて、魔素を集める。
魔物の魔力も体から抜けて、私の元までやって来たのが分かった。
こんなことも出来るのか……
自分の事なのに驚いてしまう。
ここまで魔素を操った事はなかったから分からなかった。
しかし、思ったよりも体力を奪う行為だったようだ。
かなりの疲労感が全身を襲う。
大量の魔素が集まった様に感じた時、手をあてている所から小さな穴が出来ていき、それが少しずつ大きくなっていく。
それは段々と人一人分通れるくらいの道へと変わっていった。
これがクオーツが言っていた細道か。
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