慟哭の時

物心ついた時から、母と二人で旅をしていた。
各地を周り、何処に行くでもなく旅をする。
気づいたらそうだったし、何の疑問も持たなくて、ただ私は母と旅を続けていた。

しかし、母には旅をする理由があった。

そんな日々が続いたある日、母がいなくなった。
私は一人になったのだ。

誰にも触れられず、人と関わる事を避けて生きていた私が急に一人になって、どう生きていけばいいのか……

それから母を探す旅を始める。

誰にも求められず、触れられず、忘れ去られていき、それでも生きていく理由等あるのだろうか……?

私にあるのは異常な力だけ。
普通でいられるのなら、こんな力等無くていいのだ。

だから旅をする。

私を必要としてくれる存在であった母を探すために。

私を愛してくれる人を探すために……

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