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悩み。四天理人の場合

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 僕、四天理人には悩みがいくつかある。いや、増えてしまった。
 そのうちのひとつを解消するため、僕は早速恋人であるユーリと対面しているわけだけど……。

「そうしてると、まるで小動物みたいだね」
「……」

 ベッドに腰掛けるユーリと、床に正座する僕。いたたまれなくなって、膝に乗せたままの拳に視線を落とす。
 もちろん、僕もユーリも服は着たままだし、なんならお風呂もシャワーも浴びていない。

「どうする? シャワー浴びてからにする?」

 そう言い、ユーリが僕の右耳に触れる。そのまま少し顔を上げれば、ユーリの愉しそうな顔が見えた。つけてもらったピアスは、今ではもうすっかり馴染んで、最近ではつけてることを忘れるくらいになってしまった。

「ユ、ユーリは……」

 ふにふにと耳を触れられるのがこそばゆい。けれどそれ以上に変な感じがして、声を出さないように堪えながら言葉を吐き出していく。

「ユーリは、僕のを舐める時、どっちが好き……?」
「俺? 俺は浴びないほうがいいかなぁ。リヒトの全部を味わいたいし」

 耳を触っていた手が口元に移動して、今度は唇をふにふにと突かれる。それがやけにもどかしくて、僕はユーリの手を両手で掴むと頬ずりをした。大きくて暖かい手に安心して、思わず口から息が漏れた。

「リヒト。するなら早くしないと、このまま襲うよ?」
「えっ、あ、今、する……」

 慌てて手を離して、ユーリのベルトに手をかける。既に勃ち上がっているそれは、ズボンを押し上げて苦しそうに見えた。僕でこうなっているのかと思ったら嬉しくなって、そのまま魅入ってしまう。

「リーヒト」
「あ、ごめん」

 しまった、つい。というか、まだ見てすらいないのに見てしまうとか、僕はどれだけ変態なんだ。変態なのはユーリのほうなのに。
 前を寛げてズボンのチャックを下ろす。下着を少しずらすようにすれば、ソレはすぐに姿を現した。むわっとした独特の香りがして、それだけで身体が疼いてしまう。

「……おっきい」
「襲うよ?」
「あああ、待って、する、するから」

 さっきからぼーっとしすぎだろ、しっかりしろ僕。右手を伸ばして、ユーリのモノをそっと握り込む。立膝をしないと、先端までは届きそうにないな。体勢を変えて、ユーリのを口へと含んでみる。

「んぐ……っ」

 やっぱり喉につっかえた。
 昼休み、ユーリはなんて言ってたっけ。喉まで入れたいとかなんとか言ってたけど、これってそもそも入る大きさじゃなくないか?

「リヒト、一気に咥えなくていいよ。唾液を絡ませて、先を少し舐めてみて」
「んっ」

 一旦口を離して、言われた通りに先端に舌を這わせた。スマフォには次なんて書いてあったっけ。思い出しながら、先端に唇を落とし、それから舌で軽くつつく。

「……リヒト、何考えてんの」
「んあっ」

 またピアスを軽く触れられて、身体が大袈裟に跳ねた。

「ス、スマフォ、に、書いてあったこと」
「へー。そんなんより俺のこと考えてよ。俺を気持ちよくしたいんでしょ?」
「で、も……」

 書いてあったし。とは言えなかった。
 ユーリが手を伸ばして、服の上から胸を触ってきたからだ。

「ひ、うっ」
「服の上からでもわかるくらい立たせて。ね、今すぐにでも気持ちよくしてあげるよ?」
「ひゃ、ひゃだっ」

 カリッと爪先で弾かれ、じわ、と熱が広がったのが嫌でもわかってしまった。

「ま、待って、ちょっと待って」
「んー?」

 ユーリ自身から手を離して、これ以上胸を弄られないようその手を掴んだ。

「おねが、待って、違う、これは違う、からっ」
「俺は何も言ってないよ?」
「え、ぁ」

 ぺたん、と床に座った僕を、ユーリがにやにやと見つめている。その視線だけでお腹あたりがきゅっとなるのがわかって、僕はいたたまれず視線を反らした。

「リヒト、大丈夫? 立てる?」

 優しい声色だけど、今立たせるのがどういう意味なのか、ユーリだってわからないわけじゃない。

「今は、ちょっと……」
「続きできる?」

 この状態で出来るわけがない。
 ぐっしょりと濡れて張りついた服が気持ち悪いし、今すぐにでも脱いで綺麗にしたい。だけど脱衣所に行くにもシャワー浴びるにも立たなきゃいけないし、つまりそれはユーリにこれを見せないといけなくて……。

「目! ちょっと目閉じて!」
「……リヒトさん、それってどういうプレイするつもり?」
「どんな想像したらそんな言葉が出てくるんだよ、馬鹿!」

 目を閉じた隙に脱衣所に逃げたい僕と、おそらくはこのまま僕を抱きたいユーリ。ちなみに僕たちの視線の間には、そびえ立ったままのユーリ自身がいる。傍から見たら間抜けな光景ではなかろうか。

「……はぁ、わかった、わかりました。ほら、閉じたよ」

 僕がテコでも折れないのを悟って、ユーリが渋々ながらも目を閉じた。その隙を逃さず、僕はバタバタと足音が響くのも構わず寝室を出ていった。
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