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四月
ドキッ☆ 男だらけの健康診断。ラッキースケベは絶対回避! その6
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午後。再びあのセットへ座った俺(断じて座りたくないのだが)は、見れる範囲で他の係の奴らを眺めてみることにした。俺のところに来た奴には、適当な生返事を与えながら。
まずは下獄。どうやらあいつは保健室のセットらしい。寝込むフリをしていたり、はたまたベッドに座ったりと、それなりのシチュエーションを演じているようだ。巨体で。
「具合は大丈夫か?」
流石はモブ。セリフも捻りがないが読みも棒だな。メインとモブのテキストの差よ。
「は、はい。あ、でもまた熱が……」
「た、体温計取ってくるよ!」
「先輩、そうじゃないんです。この熱を下げる薬は、その、先輩じゃないと、駄目で……」
下獄が目だけを布団から出すようにして、何かモゴモゴ言っている。ここからはその内容は聞き取れなかったが、鼻血を出しながら倒れたモブを見て、俺は全てを察した。
運ばれていくモブを気の毒に眺めながら、俺は「夕日が綺麗だね」と言ってきたモブに「眼科行ってこい」と目を合わせずに突き放した。
「御竿さん、楽しんでます?」
「は!?」
いきなり聞こえた観手の声に、俺は反射で隣の席を見る。微笑んで俺を見ているのは、確かに観手だ。いやいや、なんでお前がここにいんだよ!
「お前は見学だろ、こっちに来んな!」
「まぁまぁ、細かいことはお気にせず。それよりもほら、あっちを見てみてくださいよ~」
そう言い観手が指差したのは猫汰だ。あれは……、校門か? 待て待て、相手は太刀根なんだけど。まさかこれ、全員のとこ回ってんの? めんどくさっ。
「なぁ、巧巳。今日こそ俺と一緒に」
「何度言えばわかるんだい? それから、親しくもないのに、名前を呼ぶのはやめてくれないかな」
「親しくないって……。俺ら幼馴染じゃねぇか!」
そうだよな。俺は胸の内ポケットに仕舞ってあるメモ帳を見る。うん、間違いない。二人は幼馴染のはずだ。親しくないはずがないと思うんだが?
「やっぱり、あの時のこと怒ってんのかよ」
「それは、声を大にしてまで今言うべきことなのかい?」
「だって普段話してくんねぇだろ?」
まだ一週間だが、確かに二人が一緒にいるところも、話すところも見たことがない。何かあんのかなぁ。解決したら何かクリアのヒントが見える、かも?
「なぁ、あれってさ」
「う、うん、なんだい?」
てっきり観手がいるものかと思いきや、そこには鼻息荒いモブがいたものだから、俺は「あ、なんでもねぇ」と再び猫汰たちを見る。
しかしそこで時間を過ぎたのか、太刀根は悔しそうにしながら、次の下獄のほうへと行ってしまった。まぁ、後で観手にでも聞いてみっか。
さて最後は会長だ。会長の列に並ぶモブは、皆一同に緊張している。そんな男子とは反対に、椅子に座る女子たちの熱気は凄まじい。正直、怖い。
「あ、あの、会長。俺が」
「ふっ、まだまだだな。人生やり直してくるといい」
判定厳しくない!? てかセリフのセの字すら言えてねぇ! だがモブは嬉しそうに顔を赤らめて「はい!」といい返事をした。それでいいのか……?
「全く。どの生徒もなっていない。これは、文化祭のシード権、そして内申点もオレがもらうことになってしまうぞ」
こんなくだらない健康診断に内申点関係あったの!? やっべ、俺めっちゃ適当にやってたわ!
真面目にやろうかと思い直したものの、もう半分以上の終わった健康診断の前では、意味があったのかなかったのか。それを知るのは観手のみぞ知るってか? 女神だけに。
まずは下獄。どうやらあいつは保健室のセットらしい。寝込むフリをしていたり、はたまたベッドに座ったりと、それなりのシチュエーションを演じているようだ。巨体で。
「具合は大丈夫か?」
流石はモブ。セリフも捻りがないが読みも棒だな。メインとモブのテキストの差よ。
「は、はい。あ、でもまた熱が……」
「た、体温計取ってくるよ!」
「先輩、そうじゃないんです。この熱を下げる薬は、その、先輩じゃないと、駄目で……」
下獄が目だけを布団から出すようにして、何かモゴモゴ言っている。ここからはその内容は聞き取れなかったが、鼻血を出しながら倒れたモブを見て、俺は全てを察した。
運ばれていくモブを気の毒に眺めながら、俺は「夕日が綺麗だね」と言ってきたモブに「眼科行ってこい」と目を合わせずに突き放した。
「御竿さん、楽しんでます?」
「は!?」
いきなり聞こえた観手の声に、俺は反射で隣の席を見る。微笑んで俺を見ているのは、確かに観手だ。いやいや、なんでお前がここにいんだよ!
「お前は見学だろ、こっちに来んな!」
「まぁまぁ、細かいことはお気にせず。それよりもほら、あっちを見てみてくださいよ~」
そう言い観手が指差したのは猫汰だ。あれは……、校門か? 待て待て、相手は太刀根なんだけど。まさかこれ、全員のとこ回ってんの? めんどくさっ。
「なぁ、巧巳。今日こそ俺と一緒に」
「何度言えばわかるんだい? それから、親しくもないのに、名前を呼ぶのはやめてくれないかな」
「親しくないって……。俺ら幼馴染じゃねぇか!」
そうだよな。俺は胸の内ポケットに仕舞ってあるメモ帳を見る。うん、間違いない。二人は幼馴染のはずだ。親しくないはずがないと思うんだが?
「やっぱり、あの時のこと怒ってんのかよ」
「それは、声を大にしてまで今言うべきことなのかい?」
「だって普段話してくんねぇだろ?」
まだ一週間だが、確かに二人が一緒にいるところも、話すところも見たことがない。何かあんのかなぁ。解決したら何かクリアのヒントが見える、かも?
「なぁ、あれってさ」
「う、うん、なんだい?」
てっきり観手がいるものかと思いきや、そこには鼻息荒いモブがいたものだから、俺は「あ、なんでもねぇ」と再び猫汰たちを見る。
しかしそこで時間を過ぎたのか、太刀根は悔しそうにしながら、次の下獄のほうへと行ってしまった。まぁ、後で観手にでも聞いてみっか。
さて最後は会長だ。会長の列に並ぶモブは、皆一同に緊張している。そんな男子とは反対に、椅子に座る女子たちの熱気は凄まじい。正直、怖い。
「あ、あの、会長。俺が」
「ふっ、まだまだだな。人生やり直してくるといい」
判定厳しくない!? てかセリフのセの字すら言えてねぇ! だがモブは嬉しそうに顔を赤らめて「はい!」といい返事をした。それでいいのか……?
「全く。どの生徒もなっていない。これは、文化祭のシード権、そして内申点もオレがもらうことになってしまうぞ」
こんなくだらない健康診断に内申点関係あったの!? やっべ、俺めっちゃ適当にやってたわ!
真面目にやろうかと思い直したものの、もう半分以上の終わった健康診断の前では、意味があったのかなかったのか。それを知るのは観手のみぞ知るってか? 女神だけに。
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