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四月
ドキッ☆ 男だらけの健康診断。ラッキースケベは絶対回避! その1
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学校生活からはや一週間。俺は観手からもらった(無理矢理書かせた)手帳を開き、朝礼までの時間を潰していた。
「ベネフィット・ルシーダ学園、小中高大のエスカレータ式で、偏差値は結構高め、と。俺は高校からの編入組で、太刀根と猫汰は小学生からの幼馴染なのか。その割に猫汰は冷めてるような……」
パラパラとページをめくっていく。たまに蛍光ペンで線が引かれているが、“太刀根くんは攻です!”とか“猫汰くんなのにネコじゃない、だと!?”とか、正直俺とは縁が遠そうな話ばかりだ。
読む気もなくし机に仕舞えば、少し遠くの席の観手が俺をガン見していた。そのまま中指を立ててきたあいつを無視して、俺は机へ突っ伏す。
そうして始業の鐘が鳴った頃。いつもハイテンションな牧地が、更にハイテンションに輪をかけて教室へと入ってきた。
「みんなぁ、おはよぉ♪ 今日はみんながお待ちかねの、健康診断の日よぉ!」
「わー!」
歓声と拍手が巻き起こる中、俺だけが「は? はぁ?」と突っ伏していた顔を上げて教室を見回した。わけのわかっていない俺に、隣の席に座る猫汰が小声で話しかけてくる。
「毎年、この時期の恒例なんだよ。最初に男子が一日かけて回って、女子は別日に回るんだ。男子の健康診断は毎年人気があってね、女子がこぞって見学するためのチケットを奪い合っているんだ」
「うん、それなんていうアイドルのコンサート?」
「ははは。確かに似ているかもしれないね。何せ、彼女たちはお目当ての男子を見るためにチケットを買うようなもんだから」
そう話す俺たちに、牧地が「そこの二人!」と指を指してきた。
「は、はい!?」
いきなり呼ばれて背筋を伸ばせば、牧地の妖艶な笑みが俺たちに向けられた。
「今回の係は二人に任せようかしら? お喋りの罰として、ね」
「は? 係って……」
もちろんだが俺は健康診断の概要は知らない。けれども普通の健康診断でないことくらい、猫汰の絶望にも近い顔を見れば嫌でもわかる。だから俺は「ちょ、ちょっと」と拒否しようとしたのに。
「先生。私も二人が適任だと思いますっ」
「牧地、俺も護と巧巳の二人がいいと思うぜ!」
と観手に続いて、太刀根も挙手をしてまで推薦してきた。ぐるぐる眼鏡は奥が見えないはずだが、この時だけ目がきらりと光った気がした。
猫汰がものすごい形相で太刀根を睨んだが、当の本人は猫汰に対し、爽やかに、そして嬉しそうに笑っている。どうやら悪意はあれでなかったらしい。
「珍しく観手ちゃんもそう言ってるんだし。じゃ、早速だけど猫汰ちゃん、御竿ちゃんに色々教えてあげてね」
「……はい」
小さく聞こえた返事に、俺は腹をくくるしかないと窓から空を眺めた。後で観手のやつ、絶対にぶっ飛ばすと決めて。
「ベネフィット・ルシーダ学園、小中高大のエスカレータ式で、偏差値は結構高め、と。俺は高校からの編入組で、太刀根と猫汰は小学生からの幼馴染なのか。その割に猫汰は冷めてるような……」
パラパラとページをめくっていく。たまに蛍光ペンで線が引かれているが、“太刀根くんは攻です!”とか“猫汰くんなのにネコじゃない、だと!?”とか、正直俺とは縁が遠そうな話ばかりだ。
読む気もなくし机に仕舞えば、少し遠くの席の観手が俺をガン見していた。そのまま中指を立ててきたあいつを無視して、俺は机へ突っ伏す。
そうして始業の鐘が鳴った頃。いつもハイテンションな牧地が、更にハイテンションに輪をかけて教室へと入ってきた。
「みんなぁ、おはよぉ♪ 今日はみんながお待ちかねの、健康診断の日よぉ!」
「わー!」
歓声と拍手が巻き起こる中、俺だけが「は? はぁ?」と突っ伏していた顔を上げて教室を見回した。わけのわかっていない俺に、隣の席に座る猫汰が小声で話しかけてくる。
「毎年、この時期の恒例なんだよ。最初に男子が一日かけて回って、女子は別日に回るんだ。男子の健康診断は毎年人気があってね、女子がこぞって見学するためのチケットを奪い合っているんだ」
「うん、それなんていうアイドルのコンサート?」
「ははは。確かに似ているかもしれないね。何せ、彼女たちはお目当ての男子を見るためにチケットを買うようなもんだから」
そう話す俺たちに、牧地が「そこの二人!」と指を指してきた。
「は、はい!?」
いきなり呼ばれて背筋を伸ばせば、牧地の妖艶な笑みが俺たちに向けられた。
「今回の係は二人に任せようかしら? お喋りの罰として、ね」
「は? 係って……」
もちろんだが俺は健康診断の概要は知らない。けれども普通の健康診断でないことくらい、猫汰の絶望にも近い顔を見れば嫌でもわかる。だから俺は「ちょ、ちょっと」と拒否しようとしたのに。
「先生。私も二人が適任だと思いますっ」
「牧地、俺も護と巧巳の二人がいいと思うぜ!」
と観手に続いて、太刀根も挙手をしてまで推薦してきた。ぐるぐる眼鏡は奥が見えないはずだが、この時だけ目がきらりと光った気がした。
猫汰がものすごい形相で太刀根を睨んだが、当の本人は猫汰に対し、爽やかに、そして嬉しそうに笑っている。どうやら悪意はあれでなかったらしい。
「珍しく観手ちゃんもそう言ってるんだし。じゃ、早速だけど猫汰ちゃん、御竿ちゃんに色々教えてあげてね」
「……はい」
小さく聞こえた返事に、俺は腹をくくるしかないと窓から空を眺めた。後で観手のやつ、絶対にぶっ飛ばすと決めて。
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