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二章 新婚編

四十七 求めていた物ってあるよね

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 魔女っ子との交渉が決裂したので俺とロニエは再び大浴場に戻って湯に浸かっていた。

 ロニエが俺の胸に体重をかけるように寄り掛かっているので、ロニエの胸の先を後ろからくりくりする。

 「結局またヒカル様のお身体は元に戻らないのですね.......」
 「まあ、気長にやろうよ。今はロニエが居れば良いよ」

 ロニエの滑らかな肌を後ろから触る。

 「んっ.......ヒカル様!? 快感増幅を使ったら駄目ですよ」
 「だってロニエがエッチしてるのにつまらなそうなんだもんっ」
 「ロニエはヒカル様の身体をっん!」

 まだ何か言おうとするのでもう一回発動する。
 乳首をいじ繰り回して地味に快感値を上げてきたのでいくらロニエでも平常心は保てないはずだ。

 「ロニエは.......ヒカル様の身体を治したいんです!!」

 が、ロニエはそんな俺の攻撃に耐えきってそういった。だから、俺も弄るのを辞めた。

 「あっ、辞めなくても良いですよ」

 と言われたので、くりくりを再開する。

 「.......ロニエの気持ちは嬉しいよ。でもあの魔女はロニエの命の恩人なんだ、無理矢理従わせるのも、これ以上拘束することも出来無いよ」
 「.......そうですね」

 ロニエが見るからに落ち込む。後ろからロニエを抱く。それはただの抱擁だ。でも、今はただロニエを抱きたかった。

 「って! 何してんのよ!!」

 お風呂場にいきなり現れたのは魔女っ子だった。
 そういきなり現れたのだ。何も無い空間からいきなり、声とともに姿が現れた。更に魔女っ子はお湯の上に立っていた。俺とロニエを見下ろしている。

 「魔女っ子か、その年で覗きは早いと思うよ」
 「私は魔女よ! 真理の探求者、動物の交尾ぐらいなんて事無いわよ」
 「キュートな女の子さんは、もう殿方とまぐわった之ですからね」
 「なんなのよ! 少しは驚きなさいよ! 隠れて驚かしてやろうとしたのに馬鹿見たいじゃない」

 いや、驚いたよ。だって突然現れたんだもん。でも俺の中で魔女ってだけでそれくらい出来るだろうと納得してしまうのだ。

 「とりあえず、そんな特殊な所に立ってないでお湯に入ったら?」
 「良いの! やった! お風呂に入るのは初めてなのよ♪」

 なんかノリノリで服をスルスル脱ぎはじめた。冗談だったんだが。

 「あの.......恥ずかしく無いんですか?」
 
 珍しく、ロニエが突っ込みに回ってるし。それに対して魔女っ子は全裸になった後服を纏めてポイッと捨てジャブンとお湯に浸かった。

 「今更だわ、私はもう.......うう」
 「ああ、思い出すなよ。大丈夫何とかなるよ」
 「うう。あんた、最初は酷い奴かと思ったけど優しいのね.......」
 
 涙目の女の子を見るとつい慰めたくなるだけなんだが。

 「そうですよ、ヒカル様は世界一優しい方なんですよ」

 ロニエがご満悦だ。自分が褒められたかのように胸を張って嬉しそうにしている。その張った胸の乳首をくりくりするのを忘れない。

 「ううっう。そんなに優しくされたらぁ! うわぁーん」
 
 なんか、抱き着かれた、しかも、しくしくと泣いている。俺は前にロニエを抱いていたので魔女っ子は左から抱き着いてきた。

 「おいっ! いきなり泣くなよ。それと抱き着かないで」
 「グスンっ.......いいじゃない! 少しくらい泣かせなさいよ男でしょ!」
 「ロニエ、どうしよう?」
 「慰めてあげてください。何があってもロニエはヒカル様の1番ですので気にしませんよ」
 
 ロニエがそういうので、俺は魔女っ子が泣き止むのをただ待った。ロニエの髪を撫でながら。しばらくして泣き止んだ魔女っ子が言った。

 「ねぇ。貴方達はなんで私のことを人間として扱うの?」
 「ん?」

 魔女っ子のその質問に戸惑った俺に対して、ロニエは簡潔に即答した。

 「ヒカル様がそうするからです」
 「あんたは?」

 そして、俺にももう一度問う。その青い瞳に吸い込まれそうになる。

 「意味が分からないんだけど。魔女って人間じゃないの?」

 ただ思った事を呟いた。迫害されているのは予想が出来るし、辛いめにも沢山あっただろう。でも人間として扱うの理由を聞かれても困る。

 「俺には、普通の傷付きやすい人間の小さな女の子にしか見えないよ」
 「!? .......っなんでっ.......なんでなの」

 俺の返答を聞いたら、大きな瞳を更に広げてから小さな声で呟きはじめた。

 「なんで今更なの.......あんたみたいな人ともっと早く会いたかった.......何処に行っても化け物扱いされてた.......何をしても駄目だった.......なんで今更なの」

 その独り言からでも、魔女っ子の歩んできた道のりの険しさが伝わって来た。

 「.......真理の探求。でも、求めてたのは違ったのですね。もっと身近なものだったんですね。それの気持ちはロニエにも分かりますよ。ロニエもヒカル様にそれを貰いましたから」

 魔女っ子の俺に抱き着く腕に少しだけ力が入った。

 「ヒカル様は誰にでもそれを配りますからね。だから人が集まるんですよ」
 「何を配ってるの俺」
 「暖かくて幸せで優しくて心地いい、そんな言葉に出来無い物ですかね」
 
 何と無く、俺がいつもロニエを抱きしめるときの気持ちに似ているのかな? そこにいるだけで、そこにあるだけで安心出来る、様々な暖かい気持ちが溢れて来来るのだ。
 違うかな? わかんないけど、ロニエが言葉に出来無いんだ俺も出来無いだろう。

 「責任とって」
 「はあ?」

 魔女っ子がとんでもない一言を言った。

 「私に優しくした責任とりなさい!」

 意味が分からない。優しくしたら責任とらないといけないのか。知らなかった。

 「一応聞くけど、責任ってどうすれば良いの?」
 「私を抱いて。あの気持ちの悪い記憶が消し飛ぶくらい私を抱いて」
 「ロニエ。この子何言ってるのか分からないんだけど」

 ロニエがため息をついた。

 「そうですね。簡単に言うと、『ヒカル様を好きになったからエッチしたい』って言ってるのでしょうね」

 淡々と言った。
 ロニエの言葉は分かりやすかった。逃げ道など無いほどに分かりやすかった。
 そしてふと思ってしまった。

 「そういえば俺、この世界来てからモテモテなんだけど、多分日本人の殆どがモテモテになれると思うんだけど」
 「私は、ヒカル様の世界を知りませんが、人に優しくする事を損得無しに出来るのはそんなにいないと思いますよ」
 「日本は大体、そういう人の集まりだよ。ロニエはもしかしたら、日本に行ったら俺以外の優しくてかっこいい人にとられちゃうかも!」
 「本当にヒカル様みたいな人が沢山居るのなら、素晴らしい国ですね。でも大丈夫ですよ。ロニエはヒカル様以外の人がどんなに優しくてかっこ良くても、ヒカル様だけを愛しますから」

 俺は特別なことなんて一度もしていない。ロニエにだって何もしていない。倒れている女の子がいたら誰だって助けるだろうし、奴隷の女の子がいて解放できるのなら解放するだろうし、傷付いている女の子がいたら慰めるだろう。だからここにいるのは、俺じゃなくても良いのかもしれない。ロニエと抱き合うのは俺じゃなくても良いのかもしれない。ヒムートに好かれるのも、魔女っ子も、何もかも俺じゃなくても良いのだ。

 「駄目ですよ! ヒカル様。一人で考え込んだらいけませんよ。ロニエはここにいますよ」
 「ロニエ。俺、分からないんだよ。俺にロニエを抱く資格が有るのか、誰かに好かれる資格が有るのか、だって俺のやった事は特別なことじゃないから、誰にだって出来る事だから、俺じゃないといけないことじゃ無かったから」

 不安が形になった。前から思っていた。考えないようにしていた。俺じゃなくても良い理由を俺は考えないようにしていた。でもいつか考えた、もしかしたらの世界。ロニエを救ったのは俺じゃ無かった世界。そうしたらロニエはそいつを好きになっていた世界。考えないようにしていた。でも遂にそこにたどり着いてしまった。何度も逃げたのにまさかの不意打ちだ。
 .......結局向き合わないといけないのか。
 だから心してロニエに聞いた。

 「ロニエはあの時助けたのが、俺じゃなかったらその人の事を今みたいに好きになったよね」
 「またですか?」

 その問いに対してロニエは凄く不快そうな顔をした。

 「考えたくありませんが、そうですね。ヒカル様と全く同じ言動と表情をしていたのならロニエはその人好きになったでしょう」

 やっぱりそうだった。俺じゃなくても良いのかもしれない。ではなくて、俺じゃなくても良かった。なら。

 「俺で有る必要は無いね」

 俺はロニエの身体から手を離した。ロニエを抱いていてはいけない気がしたからだ。

 「あんた馬鹿じゃないの」

 しかし、ずっと黙っていた魔女っ子がそういった。っていうか忘れてた。

 「同感です。ヒカル様はお馬鹿さんなんです。貴女もヒカル様を好きなら付き合ってあげてください」
 
 何故か、ロニエも同意した。それに対して魔女っ子は

 「私が言ってるのは二人共よ」

 と言った。

 「おい。俺を馬鹿にするのは良いが、ロニエを馬鹿にするのは許さないぞ」
 「いえ。ヒカル様。ロニエも馬鹿ですよ」

 愛するロニエを馬鹿にされたことでついた火が、ロニエによって消化された。

 「ヒカル様とロニエは似ていますから、ロニエにはヒカル様は言っていることも感じていることも分かってしまいます。だからいつもヒカル様を否定しきれません。ロニエも同じです。嫌なんです。ヒカル様以外の人を好きになる可能性があるのが嫌なんです。でもそれを否定することはロニエには出来ません。そんなことはありえないとロニエには言えないんです」
 「なんだよ。ロニエも嫌だったのかよ。ロニエはそんなこと気にしないと思ったよ」

 ロニエも不安だった。それが分かっただけで良いか。俺じゃ無いと駄目な理由、それをいつか見つければそれで。

 いつもだったらそこで終わっていた。だってロニエも俺もそこから先を知らないんだから、もやもやとした気持ちを言葉に出来無いし、どうにかすることが出来無いからだ。でも違った。ここにはいつもとは違ってもう一人いたのだ。何故か存在を忘れるけど。

 「本当馬鹿ね。そんなの簡単じゃない。私がずっと探していたものをそして既に諦めた物をあんたが私にくれたからそれだけで良いじゃない」

 ・・・・・・・

 「うん。ごめん。全然響かない。惜しかったね。ここで良いこと言ってたらちょっとだけ、君にときめいたかも知れないけど、それは無かったね」
 「そうですね。ロニエも第二婦人として認めても良かったのですが、今のでは駄目ですね」

 うん。ちょっとだけ期待したけど、駄目だった。

 「ってあんた達もう結婚してるの!?」
 「二番目じゃ嫌なのですか?」
 「そうね。私は気にしないわ。二番だろうと三番だろうとね。良いから早く私を抱きなさい!」

 その言葉にロニエがへら~と笑った。

 「魔女さん。ヒカル様の身体を治せるのならロニエは魔女さんを二番目として認めますよ」 
 「ロニエ!? 何言ってるの!」
 「良いじゃないですか! ヒカル様の身体が治るんですっ。傷心の女の子を抱くくらい良いじゃないですか!」
 「ロニエ。自棄になってない? 大体治せるかなんか分からないよね」
 「治せるわよ」
 「は?」

 スイスイ泳いで魔女っ子は俺の右側に移動した。

 「言質は取ったからね! ちょっとだけ痛いわよ」

 魔女っ子は俺の右腕に両手をかざして言った。

 「なお~れ!」
 
 すると、俺の右腕に激痛が走った。

 「ぐっ! ぐがぁああああああああ! 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!」
 「ヒカル様!! 貴女何を!!」

 おかしい! 痛みを感じない筈の身体なのに!

 お湯をバシャバシャしながらのたうちまわる俺をロニエが抱き着いてけして離さない。

 「何をって、治してあげたんでしょ。疲れるんだからね」
 「痛い痛い」
 「大丈夫よ。すぐに収まるわ。男なんだから我慢しなさい」

 我慢できる痛みじゃねーよ!! と叫びたいが、生憎痛すぎて叫ぶことも出来なくなった。
 俺の叫び声に反応して護衛達が中に入って魔女っ子を捕まえようとしているがそれどころでは無かった。

 「ちょっと! 触らないで気持ち悪いわ! 辞めて! 見ないで! 私が何をしたって言うのよ!!」
 
 しかし、魔女っ子の叫び声が意識を戻した。痛みよりも叫び声が響いた。

 「辞めろ.......離せ! その子は.......悪くない」
 「ですが.......」

 痛みで朦朧とする。言葉が出ない。
 前に俺も言った言葉『私が何をしたって言うのよ』その言葉の本質は絶望。誰にも信じてもらえない絶望。そんなのは認められない。俺にはロニエがいた。だから乗り越えられた。でも、誰からも嫌われているのなら!
 くそ! 言葉が出ない!

 「辞めなさい! ヒカル様が言っているのです! 入浴中です今すぐここから出て行きなさい!」
 「この魔女をほうっておく訳にはいきません」
 「ヒカル様の言うことを聞きなさい!!」

 ロニエの言葉すらも無視する護衛達。俺が護衛達を好きになれ無い理由の一つだ。

 「へい! ビックボス」

 しかし、ロニエの言葉に返事をした人がいた。そいつは、護衛三人を鮮やかに気絶させて浴室を出て行った。誰だと思う? 分かるよね。

 5分後、まだじんじんと痛むが、激痛からようやく解放された。
 
 「ヒカル様。大丈夫ですか?」
 「ロニエは大丈夫?」
 「ロニエは大丈夫です。ヒカル様は大丈夫ですか?」
 「うん」

 息を調えながらロニエの身体を見ると、俺が引っ掻いたのか、血が出ていた。

 「ロニエ! ごめんね。痛かったでしょ」
 「ヒカル様が付けてくれた傷はロニエにとっての勲章ですよ」
 「それでも、ごめん」

 俺はロニエの傷をで触る。

 「ほら! 治ったじゃない! これで良いのよね」

 魔女っ子が無い胸を張ってそういったので。

 「.......魔女っ子こっちに来い! ロニエはちょっとどいてて」
 「はい。ヒカル様」
 「わーい。優しくてよ」

 ロニエが一歩分離れて魔女っ子が逆に俺に抱き着く。
 俺は魔女っ子を両手で抱き上げる。

 「うわ、なんだか新鮮ね。こんな気持ちで出来るなんて」

 そして無言でできる限り遠くにぶん投げた。魔女っ子は悲鳴をあげながら落水した。
 それを見ながらもう既に俺に抱き着いているロニエを抱きしめる。

 「ヒカル様。ようやく治りましたね」
 「でも、ロニエを傷付けた.......最悪だよ」

 両手で抱きしめる心地良さは今までの比じゃ無かった。ロニエの身体を全て触れる。
 なんかムラムラしてきた。

 「ヒカル様。ロニエを」
 「うん」

 ロニエの身体をなめ回して、触り尽くす。そして

 「ちょっと! 何するのよ!! って何してるのよ!」

 挿入した。そのままロニエの腰を持ち上げて動かす。
 ずっとやりたかった。手が治ったらロニエを持ち上げてエッチすると決めていた。魔女っ子が何かを言っていたが無視してロニエを貪り続ける。

 「ヒカル様。良いですよ」
 
 ロニエが俺の限界を分かったのかそんなことを言った。

 「うん。出すよ」
 「はい。好きな所に出してください」

 盛大に中だしして一息つく。つく必要は無いが一息つく。今度はロニエを無償に抱きしめたくなったからだ。
 お湯に浸かりながらロニエを抱きしめる。

 「何よその幸せそうなのは、そんな物があるなんて知らなかった.......グスン」
 「何で泣きはじめるんだよ。そんなに酷いことされたのかよ」

 魔女っ子がまた辛い思い出を思い出しているのだろう。

 「治したら私にもしてくれるって言ったのにっ!」
 「言ってないし、抱いてあげたよね」
 「ぶん投げたじゃない!」
 「だってロニエが怪我したし。八つ当たりしたくなって.......ごめん」
 「理不尽過ぎるわよ!」

 世界とは理不尽の塊まりである。なんてて思いながらロニエを撫でていると。

 「ヒカル様。可哀相ですよ。ちゃんと抱いてあげてください」

 ロニエが落ち着いた声でそういった。

 「ロニエはそれで良いの?」
 「彼女は、ロニエのお願いを聞いてくれましたし、ロニエの命を救ってもくれました。ヒカル様の腕も治りました。魔女さんの気持ちをロニエは無下には出来ません」
 「嫌だよ。ロニエ俺、前に言ったじゃん。ロニエ以外を抱かないって。それなのに」
 
 過去に誓った思い。ロニエを愛すると誓った時、同時にハーレムなんて物は要らないと誓った。ロニエだけ居れば良いと誓った。

 「ヒカル様がロニエを1番にしてくれるのなら、ロニエはヒカル様に他の素敵な方とも関係をもって欲しいのですよ。ヒカル様の夢だったのでしょ」
 「いや、確かにそんな事を言ったけどさ、今は違うんだよ」
 
 そう。今はロニエしか見えない。昔とは違う。この世界に来たばかりとは違う。ロニエとあってそして過ごした事によって変わったのだ。

 「ロニエもヒカル様が本当に嫌ならこんな事は言いませんよ」
 「嫌がってないって言うの?」
 「いえ。ロニエ以外を抱かないって気持ちは本当です。でも、ヒカル様は魔女さんを可愛いと思っいる筈です。そして信頼出来ると思っていますよね」
 「うん」

 確かに、可愛いとも思っているし、ロニエを助けてくれたのだ信頼出来るとも思っている。その通りだ。

 「なら、抱いて良いのですよ。魔女さんが望んでヒカル様が嫌では無いのなら抱いて良いのですよ」
 「そんな、傲慢な事は出来無いよ。ロニエが1番好きなのに、他の子をなんて適当な事は出来無いよ」
 
 それじゃあただの遊びだ。俺を好きになってくれたからこそ、俺は誠意で答えたい。

 「フフフ。ヒカル様。ここはヒカル様の世界では無いのですよ。ここはアンダーブルク。一夫多妻も幼妻も正式に認められた世界です。その世界でヒカル様はロニエと一緒に生きてくれるんですよね」
 「うん。もう日本に帰りたくない。ロニエと一緒にこの世界で暮らしたい」
 「なら、この世界に慣れてください。前にも言おうとしましたが、この世界で暮らすのですから、ロニエだけを愛する必要は無いのです。いえ。ロニエを1番愛しながら、他の方を愛せるのがこの世界ですよ。ヒカル様の世界も素晴らしいですが、この世界も素晴らしくないですか?」

 日本生まれだから違和感があるだけなのかな。ロニエだけを愛したい。それ以外を愛するなんて、誠意に欠けるなんて思うのは、でもそれが俺なんだ。ロニエだけを愛したい。それが俺の気持ちなんだ。

 「.......ヒカル様はロニエしか愛せない小さな方なんですか?」
 「え?」

 ロニエがへら~って笑っているがそれより悲しそうな顔をしているのが気になった。

 「ロニエの旦那様は、ロニエしか愛せない小さな男なんですか! ロニエに恥をかかせる男なんですか!」
 「ロニエ恥をかいてるの?」
 「ロニエは、ヒカル様を治せるのなら、魔女さんを認めると言いました。それなのにヒカル様はロニエを無視するのですか!」
 「なんだと!? そんなことは無いよ。俺はロニエを無視する訳無い」

 またロニエがへら~と笑う。

 「ロニエに恥をかかせますか?」
 「かかせない」
 「ロニエの旦那様はロニエしか愛せない小さな男なんですか?」
 「そんなことは無い」
 
 ロニエがにた~と笑う。
 うん。分かった。乗せられてる。なんか乗せられてる。

 「ならロニエを1番に愛しながら、ヒカル様の事を好きな他の子を愛せますね」
 「ロニエ。ずるいよ」
 「ロニエに恥をかかせるのですか!」
 
 戻った。やり直す気だ。これあれだ。逃げ道の無いスパイラルだ。

 「.......ロニエは、そんなに俺にロニエ以外を抱いてほしいの?」
 「ヒカル様が可愛いと思った方は抱いて欲しいです」
 「ロニエは嫌じゃないの?」
 「前のロニエなら嫌でした。ヒカル様をとられてしまう気がしたので、でも今は違います。ヒカル様はロニエを1番愛してくれますから、ロニエは嫌ではないのです」

 これだ。1番なら良いとか訳が分からない。

 「俺は、例えロニエが俺を1番愛してくれていても、ロニエが他の男と抱き合ってるのなんか嫌だよ」
 「それは、ロニエも嫌です。ヒカル様にしか身体を許したくありません」
 「でも、ロニエの理論なら、好きなら抱くんでしょ」
 「ヒカル様。男と女では違います。.......少なくてもロニエは違います。ロニエはヒカル様が他の素敵な方と抱き合うのは良いと思います。その方もヒカル様以外の人と抱き合いたくなど無いのですから。でも、ヒカル様が選んであげなくては、その方は好きでもない方と身体を重ねることになります。ロニエも、ヒカル様と会わなければ、きっと何処かの王族や貴族とそうなっていたでしょう。.......自害しますが。コホン。ヒカル様はできる限りそういう不幸な方を救ってあげてください。ヒカル様を本当に愛してくれる方を無下にしないでください。ヒカル様がそういう素敵な方を可愛いと思ったのなら、その方の為にも、ロニエの為にも抱いてあげてください」

 思想の違い、性別の違い。好きな人以外に抱かれる気持ち。ロニエがヒースランド王に抱かれる気持ち.......気持ち悪い。ロニエを1番に愛しながら他の子も愛するなんて俺に出来るのか?

 「ロニエの為にもってのはどういう意味?」
 「ロニエは、ちやほやされたいです」
 「うん?」

 いきなりなんか話が逸れた気がしないでもない。というか逸れた。

 「ロニエはもっとちやほやされたいです。ヒカル様の愛を1番受けているのは、ロニエだと言うことをヒカル様の事が好きな方にもっと自慢したいんです」

 ロニエの声は大浴場に響き渡った。



 ーーーー以外コメントーーーー

 ごめんなさい。纏められなかったです。9000文字まで書いて無理だったので、結論は次回に回します。

 どうなるかはまだ決まってないので楽しみにしてください。

 ロニエはハーレムを作りたかった見たいですね。不満のある人は思い出してください。ロニエと光の思考回路は殆ど同じだと言うことをです。

 まあ、それでも不満のある人は.......貴方本当にロニエを愛しているんですか! と逆ギレしときます。

 さて結論はどうなるのか、突如現れた魔女っ子は何者なのか? 光は遂にロニエ以外に手を出す節操無しなのか? はい。この辺ですね。因みに魔女っ子の設定はちゃんと考えています。物語の行方はイマイチ適当な私ですが、名前のある登場人物の設定は考えています。本当ですよ。序盤に出て来た。ジョニーやイゲル、さらにはリーナまで、雫も。何故か使い道が全くなくなっいますが全部ロニエのせいなんです。今だした名前に心当たりが無い方は次に更新するまでに読み直して見付けておいてください。再登場するかも知れませんよ。予定は無いですが。設定を無駄にするのもあれなので。
 はい。ではこの辺で。このロリ姫シリーズで1番長い話になりました。普段はこんなに書きません。どうか最後までお付き合いください。
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