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新章
八話 決別の決意
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甘えて来るリスティーの相手を愉んで居ると、昼休みはとうに過ぎ放課後の時間になっていた。
「んっ……ソラ。もっと……良いよ?」
「……」
しかし、今日のリスティーが更に甘えて来る。
そんなに双子の再会が嬉しかったのか?
「ソラ。何処見てるの? リスティーを見て。リスティーは目の前にいるよ?」
「……」
しかし、これはマズイ。
いや、リスティーは極上なのだが、そうではなくマズイ。
俺は夜神くんとの約束で、明日からのゴールデンウィーク前に、姫野さんに夜神くんを紹介しないといけない。
このまま、リスティーとの快楽に溺れれば、初めて出来た友達との約束を破ることになる。
ソレはマズイ。
「ソラ……さっきからそわそわしてる。どうしたの?」
リスティーからの冷たい視線が降り注ぐ。
でも、姫野さんに会いに行くとか、この状況では絶対に言えない。
誤解されるならまだ良いが、嫌われたら立ち直れない。
と言うか、そうなったらなんのために、姫野さんとの関係を絶とうとしているのかが解らなくなる。
これぞ、本末転倒。
ポンッ!
出来るだけ顔に出さないように、黙考していると、リスティーが押し倒し胸を叩いてきた。
「ヒジリの所に行きたいの?」
「……ッ!」
まさかの言葉に、全身が総毛立つ。
そして、その微機をリスティーは見逃さない。
「やっぱり……」
「ち、違うんだ! 俺は……リスティーの――」
背中にどろどろの汗をかきながら必死に頭を回して言い訳を考える。
不意打ちで反射的だったとは言え、さっきの反応で、もはやこれ以上隠せば、逆にリスティーを不安にさせる。
ここは、リスティーが信じてくれる事を信じて、本当の事を言うしかない。
今は、双子が証人になってくれるだろうし、問題は無いはず……
「言い訳も御託も聞きたくない!!」
「……うっ」
リスティーの鋭い視線が纏まりかけていた思考を粉砕。
「事実確認。今、ソラはリスティーとの時間なのにヒジリの事を考えていた。そう?」
「いや、だからソレは」
「言い訳。要らない」
「うっ」
リスティーのゴミを見る瞳。
もう何を言っても遅い……
「行動選択。リスティーとの時間を捨てて、ヒジリの所に行く。行かない。どっち?」
「……」
流石はスエーデン人。
あやふやな回答にできる言葉がある日本人と違って、「はい」か「いいえ」しか、答える道を作ってくれない。
しかも、この状況で、「はい」を選んでリスティーを置いていけば、リスティーは俺から離れていくだろう。
俺だって、逆の立場で、リスティーがこのタイミングで他の男を選んだら、どんな理由がアレ許せない。
許しちゃいけない。
……解ってる。
「行く……」
「っ!」
でも、俺は行く。
「なんで? ソラ……リスティーが嫌い? ヒジリの方が好き? おっぱいが大きいから?」
「おっぱいはちょっとしか関係ない」
「ソラ!!」
「……」
リスティーには嫌われたくない。
絶対に、もう末永く沿い届ける覚悟まで決めている。
でも、
「恩人……なんだ」
「……っ」
「俺は……自分の気持ちより、あの人を幸せにしたい」
「ソラ……行かないで……やだ……」
ポロポロとリスティーの涙が流れ落ちる。
その涙を見て、天啓を見出し、即決した。
「……俺は、君のパートナーとして失格だ」
「ぇ?」
「もう何度、君を泣かせたか解らない」
きっと、これからも俺と居る限り、何度も泣かすことになる。
心配させる事になる。
「リスティー……」
「いやぁ……いやぁ……ソラ。シーッ!」
唇を抑えて来るリスティーに静かに首を振り、
「もう俺を信じなくて良い。俺とリスティーとの関係も終わりにしよう」
「っ!」
言うと、すーっと魂が抜ける様な感覚があった。
喪失感……と言う奴か。
それでも、言った言葉は下げないし、下げられない。
「契約があるから、簡単には行かないけどさ。後で、どうするかは話し合おう。俺は、クズ男だから、リスティーが関わっちゃ駄目」
「やぁ……ぁっ。違う。ソラはそんな人じゃ……何か事情があるんでしょ? 話して? ね?」
ここまで来ても、リスティーが信じてくれている。
やっぱり、リスティーほどいい女の子はいない。
嫌われたくなかった。
裏切りたくなかった。
でも、姫野さんを見捨てることなんて俺には出来ない。
「リスティー。俺は姫野さんと浮気してるんだ」
「……っ」
微かにリスティーの瞳が開いた。
驚き過ぎて、言葉も出ないか……
いや、失望で嫌われたか?
ふっ、今となってはどっちでも良い。
「リスティーには飽きた」
「……ぁ」
「姫野さんが居るからリスティーは要らない。ほら? おっぱいが大きいし」
「……おっぱい? おっぱい……? おっぱい……おっぱい……おっぱい……そう。おっぱい。ソラはおっぱいが好きなんだ?」
何故、そんなに連呼する。
「ま、まあね」
「……らい」
「え?」
「大嫌い! もう! しばらく帰って来ないで!」
ベチン!
頬を強く叩いたリスティーが走り去る。
これで良い。
「ご主人様!」
「お怪我は!」
そんな俺を、双子が寄り添い起こしてくれる。
何故か、無駄に身体をくっつけて来る気がするが……
「ありがとう」
「いえ、お勤めですから」
とマイ。
「では、お情けを」
とメイ。
「「ん?」」
と双子。
しばらく、キョトンとしてから、
「「お情けを」」
「なんのだよ!」
思わず突っ込むと、更に密着してマイ。
「なにぶん殿方の味と女の喜びを知った身です」
スルスルとまさぐりながらメイ。
「ご主人様とクリスティーナ様との行為を見ていたら、ムラムラしてきました」
「「ここはどうかお情けを」」
「ねえ? 君達、さっきの俺とリスティーのやり取りを見ててソレを言ってるの?」
「「はい。お優しいご主人様」」
ニコッと悪気の無い笑みに頭を抱えて、二人を遠ざける。
小学生を抱けないとか言うつもりは無いけど、そんな気分にはなれるわけが無い。
察してほしい。
「ふふふっ。ソラ様は、変わりませんね」
「っ!」
頭を抱えて居ると後ろから、姫野さんの柔らかい声が響いた。
「んっ……ソラ。もっと……良いよ?」
「……」
しかし、今日のリスティーが更に甘えて来る。
そんなに双子の再会が嬉しかったのか?
「ソラ。何処見てるの? リスティーを見て。リスティーは目の前にいるよ?」
「……」
しかし、これはマズイ。
いや、リスティーは極上なのだが、そうではなくマズイ。
俺は夜神くんとの約束で、明日からのゴールデンウィーク前に、姫野さんに夜神くんを紹介しないといけない。
このまま、リスティーとの快楽に溺れれば、初めて出来た友達との約束を破ることになる。
ソレはマズイ。
「ソラ……さっきからそわそわしてる。どうしたの?」
リスティーからの冷たい視線が降り注ぐ。
でも、姫野さんに会いに行くとか、この状況では絶対に言えない。
誤解されるならまだ良いが、嫌われたら立ち直れない。
と言うか、そうなったらなんのために、姫野さんとの関係を絶とうとしているのかが解らなくなる。
これぞ、本末転倒。
ポンッ!
出来るだけ顔に出さないように、黙考していると、リスティーが押し倒し胸を叩いてきた。
「ヒジリの所に行きたいの?」
「……ッ!」
まさかの言葉に、全身が総毛立つ。
そして、その微機をリスティーは見逃さない。
「やっぱり……」
「ち、違うんだ! 俺は……リスティーの――」
背中にどろどろの汗をかきながら必死に頭を回して言い訳を考える。
不意打ちで反射的だったとは言え、さっきの反応で、もはやこれ以上隠せば、逆にリスティーを不安にさせる。
ここは、リスティーが信じてくれる事を信じて、本当の事を言うしかない。
今は、双子が証人になってくれるだろうし、問題は無いはず……
「言い訳も御託も聞きたくない!!」
「……うっ」
リスティーの鋭い視線が纏まりかけていた思考を粉砕。
「事実確認。今、ソラはリスティーとの時間なのにヒジリの事を考えていた。そう?」
「いや、だからソレは」
「言い訳。要らない」
「うっ」
リスティーのゴミを見る瞳。
もう何を言っても遅い……
「行動選択。リスティーとの時間を捨てて、ヒジリの所に行く。行かない。どっち?」
「……」
流石はスエーデン人。
あやふやな回答にできる言葉がある日本人と違って、「はい」か「いいえ」しか、答える道を作ってくれない。
しかも、この状況で、「はい」を選んでリスティーを置いていけば、リスティーは俺から離れていくだろう。
俺だって、逆の立場で、リスティーがこのタイミングで他の男を選んだら、どんな理由がアレ許せない。
許しちゃいけない。
……解ってる。
「行く……」
「っ!」
でも、俺は行く。
「なんで? ソラ……リスティーが嫌い? ヒジリの方が好き? おっぱいが大きいから?」
「おっぱいはちょっとしか関係ない」
「ソラ!!」
「……」
リスティーには嫌われたくない。
絶対に、もう末永く沿い届ける覚悟まで決めている。
でも、
「恩人……なんだ」
「……っ」
「俺は……自分の気持ちより、あの人を幸せにしたい」
「ソラ……行かないで……やだ……」
ポロポロとリスティーの涙が流れ落ちる。
その涙を見て、天啓を見出し、即決した。
「……俺は、君のパートナーとして失格だ」
「ぇ?」
「もう何度、君を泣かせたか解らない」
きっと、これからも俺と居る限り、何度も泣かすことになる。
心配させる事になる。
「リスティー……」
「いやぁ……いやぁ……ソラ。シーッ!」
唇を抑えて来るリスティーに静かに首を振り、
「もう俺を信じなくて良い。俺とリスティーとの関係も終わりにしよう」
「っ!」
言うと、すーっと魂が抜ける様な感覚があった。
喪失感……と言う奴か。
それでも、言った言葉は下げないし、下げられない。
「契約があるから、簡単には行かないけどさ。後で、どうするかは話し合おう。俺は、クズ男だから、リスティーが関わっちゃ駄目」
「やぁ……ぁっ。違う。ソラはそんな人じゃ……何か事情があるんでしょ? 話して? ね?」
ここまで来ても、リスティーが信じてくれている。
やっぱり、リスティーほどいい女の子はいない。
嫌われたくなかった。
裏切りたくなかった。
でも、姫野さんを見捨てることなんて俺には出来ない。
「リスティー。俺は姫野さんと浮気してるんだ」
「……っ」
微かにリスティーの瞳が開いた。
驚き過ぎて、言葉も出ないか……
いや、失望で嫌われたか?
ふっ、今となってはどっちでも良い。
「リスティーには飽きた」
「……ぁ」
「姫野さんが居るからリスティーは要らない。ほら? おっぱいが大きいし」
「……おっぱい? おっぱい……? おっぱい……おっぱい……おっぱい……そう。おっぱい。ソラはおっぱいが好きなんだ?」
何故、そんなに連呼する。
「ま、まあね」
「……らい」
「え?」
「大嫌い! もう! しばらく帰って来ないで!」
ベチン!
頬を強く叩いたリスティーが走り去る。
これで良い。
「ご主人様!」
「お怪我は!」
そんな俺を、双子が寄り添い起こしてくれる。
何故か、無駄に身体をくっつけて来る気がするが……
「ありがとう」
「いえ、お勤めですから」
とマイ。
「では、お情けを」
とメイ。
「「ん?」」
と双子。
しばらく、キョトンとしてから、
「「お情けを」」
「なんのだよ!」
思わず突っ込むと、更に密着してマイ。
「なにぶん殿方の味と女の喜びを知った身です」
スルスルとまさぐりながらメイ。
「ご主人様とクリスティーナ様との行為を見ていたら、ムラムラしてきました」
「「ここはどうかお情けを」」
「ねえ? 君達、さっきの俺とリスティーのやり取りを見ててソレを言ってるの?」
「「はい。お優しいご主人様」」
ニコッと悪気の無い笑みに頭を抱えて、二人を遠ざける。
小学生を抱けないとか言うつもりは無いけど、そんな気分にはなれるわけが無い。
察してほしい。
「ふふふっ。ソラ様は、変わりませんね」
「っ!」
頭を抱えて居ると後ろから、姫野さんの柔らかい声が響いた。
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