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奪還 その2
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奪還 その2
無色主義。
それは何色にも染まらない自由な主義。
そして、この国に『無色主義』による革命を起こすために結成された組織『紅軍連合』。
この物語はカオスと化した敗戦国、新日本に革命を起こすために戦う、若者たちの青春群像劇である。
紅軍連合のメンバーたちから、度重なる暴行を加えれて死亡してしまった子島ルルコ。
子島ルルコの更生を願って行われた暴力が、逆に子島ルルコを殺してしまった事実に、困惑する紅軍連合のメンバーたち。
メンバーの一人である能沢エーイチロウは、子島ルルコの死体を山中に遺棄するために、尻澤エリコと共に、潜伏先のアパートを出て山を登る。
山に昇る途中、能沢エーイチロウは尻澤に持論を展開。
しかし、尻澤はエーイチロウの持論をバッサリと切り捨てる。
「アンタたちは、狂っているわ」
尻澤に持論を否定されたエーイチロウは先程の饒舌さとは一転、沈黙を続ける。
気まずい空気の中、登山を続ける尻澤とエーイチロウ。
尻澤がふいに不満を口にする。
「はぁ~、のど乾いた~」
「おまえ、登山に飲み物を持ってきていないのか?水筒とかさ」
「それのなにが悪いの?」
「登山に飲み物を持ってこないのは、自殺するのと同じだ、この場に倉都がいたら、『自己反省』の対象になっていたぞ」
「あっそ、そんで、どこまで登るのよ」
「この辺でいいだろ、ほれ」
エーイチロウから渡されたスコップを手に持って、地面に穴を掘り始める尻澤。
「ふぁ~のどが乾いて死にそう~」
「俺は代わらんぞ、ちょっと前に億平を埋めて来たばかりで疲れてる」
「あんた性格悪いわね、私がのど乾いて死にそうなのわかってて、穴掘りさせるなんて」「堀り終わったら、俺の水筒やるから、がんばりな」
「言ったわね、約束よ!」
汗だくになりながら穴を掘り続ける尻澤。
「よし、そんなもんでいいだろ」
エーイチロウは尻澤が堀った大きな穴に、子島ルルコの死体を放り込む。
「遺族の方がかわいそうね」
「遺骨が山の中だろうと、墓の中だろうと、死んじまったやつにとっちゃ同じだよ、この世界は所詮、生きている人間だけのために存在している。死人なんて無視されているも同然だよ」
「そうかしら?お盆や一周忌の習慣は、あなたのその意見を否定していると思うけど」
「死人に、親族が墓参りをしている様子を確認する方法はない、墓参りなんて残された遺族のする一方的な自己満足だよ、もっとわかりやすく言えば、シューキョー団体としていることは同じさ、誤った価値観を同調圧力で真実として広めるという点ではね」
「あなたはシューキョーの文化を否定するの?」
「ああ、否定するね、シューキョー活動なんてしている奴らは、俺に言わせれば、みんな頭のおかしい奴だよ。よく考えてみろよ、神様が本当に実在してたら、だれもシューキョー団体なんて作らない。そこに神様が実在しないから、誰かが架空の神を作り、誰かが架空の神を名乗り、シューキョー団体を作る。もっとわかりやすく言えば、シューキョーにハマっている奴らは、アニメキャラを自分の嫁と言っている奴らと同じさ。要するにだ、日本のビジネスの仕組みはシューキョー団体と同じなんだ、搾取する側が依存対象を作り、搾取される側が金銭を払ってその依存対象を購入する、すると搾取する側が儲かる。生活のほとんどを金銭に依存している俺たち日本人はみんな、金をという教組を持つシューキョー団体の信者なのさ」
「じゃあ、アンタも結局、そのシューキョ―団体の信者ってことになるわよ」
「ああ、今はね、でも、俺たちはその仕組みを破壊するために革命活動をしているんだ、このまま同調圧力を理由に全てを諦めて生き続けるぐらいなら、無理を承知で自分に正直に生き続けるほうが人生、面白いと思わないか?」
「なるほどね、確かに同調圧力に思考を奪われた人々ほど、自分らしさを追及する人間に対して、批判・否定的な意見をするわよね、まるで自分の仲間を増やそうとしているみたいに」
「そのいい例がケームショだ、ケームショはホーリツという名の価値観を守れない者、つまり善悪を超えた自分らしさを追及する探求者たちを、ホーリツという名のものさしで測って断罪する。殺人はホーリツで禁止されているが、殺人ゲームソフトの販売は禁止されていない、つまり、殺人を生きがいにしている人間はホーリツ違反になり、殺人ゲームソフトのプレイを生きがいにしている人間はホーリツ違反にならない、二人とも殺人が生きがいなのは事実なのにね、実際に人を殺した人間はホーリツ違反になりケームショ送りだ、場合によっては死刑になる。つまりケームショにいる人間は、自分らしく生きている人間なんだよ、たまたま、その自分らしさがホーリツに違反していただけであってね。だからケームショにいる人たちやホーリツ違反者を大多数の同調圧力で人でなしとみんなで侮辱することは、とてもひどいことなんだよ。だから今の日本を真なる意味で誰もが自分らしく生きていける世界に変えるためには革命活動は必要不可欠なんだ」
尻澤がエーイチロウに手を差し伸べる。
「尻澤、わかってくれたんだな」
「約束通り、飲み物をよこしなさい」
次回予告 奪還 その3
※この物語はフィクションです、実在する人物及び団体には一切関係ありません。
『鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤
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この物語はカオスと化した敗戦国、新日本に革命を起こすために戦う、若者たちの青春群像劇である。
紅軍連合のメンバーたちから、度重なる暴行を加えれて死亡してしまった子島ルルコ。
子島ルルコの更生を願って行われた暴力が、逆に子島ルルコを殺してしまった事実に、困惑する紅軍連合のメンバーたち。
メンバーの一人である能沢エーイチロウは、子島ルルコの死体を山中に遺棄するために、尻澤エリコと共に、潜伏先のアパートを出て山を登る。
山に昇る途中、能沢エーイチロウは尻澤に持論を展開。
しかし、尻澤はエーイチロウの持論をバッサリと切り捨てる。
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エーイチロウから渡されたスコップを手に持って、地面に穴を掘り始める尻澤。
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「あんた性格悪いわね、私がのど乾いて死にそうなのわかってて、穴掘りさせるなんて」「堀り終わったら、俺の水筒やるから、がんばりな」
「言ったわね、約束よ!」
汗だくになりながら穴を掘り続ける尻澤。
「よし、そんなもんでいいだろ」
エーイチロウは尻澤が堀った大きな穴に、子島ルルコの死体を放り込む。
「遺族の方がかわいそうね」
「遺骨が山の中だろうと、墓の中だろうと、死んじまったやつにとっちゃ同じだよ、この世界は所詮、生きている人間だけのために存在している。死人なんて無視されているも同然だよ」
「そうかしら?お盆や一周忌の習慣は、あなたのその意見を否定していると思うけど」
「死人に、親族が墓参りをしている様子を確認する方法はない、墓参りなんて残された遺族のする一方的な自己満足だよ、もっとわかりやすく言えば、シューキョー団体としていることは同じさ、誤った価値観を同調圧力で真実として広めるという点ではね」
「あなたはシューキョーの文化を否定するの?」
「ああ、否定するね、シューキョー活動なんてしている奴らは、俺に言わせれば、みんな頭のおかしい奴だよ。よく考えてみろよ、神様が本当に実在してたら、だれもシューキョー団体なんて作らない。そこに神様が実在しないから、誰かが架空の神を作り、誰かが架空の神を名乗り、シューキョー団体を作る。もっとわかりやすく言えば、シューキョーにハマっている奴らは、アニメキャラを自分の嫁と言っている奴らと同じさ。要するにだ、日本のビジネスの仕組みはシューキョー団体と同じなんだ、搾取する側が依存対象を作り、搾取される側が金銭を払ってその依存対象を購入する、すると搾取する側が儲かる。生活のほとんどを金銭に依存している俺たち日本人はみんな、金をという教組を持つシューキョー団体の信者なのさ」
「じゃあ、アンタも結局、そのシューキョ―団体の信者ってことになるわよ」
「ああ、今はね、でも、俺たちはその仕組みを破壊するために革命活動をしているんだ、このまま同調圧力を理由に全てを諦めて生き続けるぐらいなら、無理を承知で自分に正直に生き続けるほうが人生、面白いと思わないか?」
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尻澤がエーイチロウに手を差し伸べる。
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次回予告 奪還 その3
※この物語はフィクションです、実在する人物及び団体には一切関係ありません。
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