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66話 競売

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(・・・どうしよう)
私は今、廃墟のようなところにいます
ー回想ー
チヨと別れてから街の端まで行こうと歩いていると路地裏に連れ込まれ殴られた。
壁に頭を打ち姿勢が崩れ薄れる意識の中
「おい、見える場所に跡をつけるな
価値が下がる」 
価値?
「暴れられたら面倒かなって・・・」
「とにかく時間ねえから急ぐぞ」
時間?移動するのか?
ここで意識が途絶えた。
ー回想終了ー
椅子に手足が縛られてるから動けない。
解けないから動いていると誰かきた。
「気が付いたか。お嬢ちゃん」
そこには
「あなたは」
八百屋のおじさんがいた。
「手荒なことしてごめんね。いきなりだけど君には競売に出てもらうよ」
「競売?」
「短略的にいうと、君を売るんだ」
「・・・え、売る?」
「そう、近くに大きな商店ができちゃってね。野菜の他に魚や甘味も売ってるから
うちの経営が傾いちゃってね。」
おじさんは軽快に笑いながら言っていたが
「君に糧になってもらう」
真顔でそう言った。
「糧ですか。」
「怖くなった?」
「いえ、別に。さっき言いましたよね。
価値が下がるから傷をつけるな、って
逆に買われるまでは絶対に死ぬことがない。
売れなければあなたの望む大金が手に入りませんから」
眉間に皺が寄っている。
「随分減らず口だね。初めて会った時とは
大違いだ」
実際はすごく焦っている。
だから逆に冷静になれているのかもしれない
誰かに売られる経験あるほうが
おかしいと思う。
「あの、一ついいですか?」
「何?ここから出して欲しいの?」
ニコニコと聞いてきた。
「出してと言って出してくれる状況じゃないでしょう?命乞いをするつもりはありませんが命乞いに聞こえるかもしれません」
「聞くだけきくよ。」
「あなた、養わなければいけない
家族がいるのでは?」
「正解。でもよくわかったね。」
「自分1人じゃ万引きして捕まっても、誰にも迷惑はかかりません。ですがそれをしないのは迷惑をかけたくない人がいるから。それにこんなことしてまで大金を手に入れたいのは、学費とかの理由もあるのでは?」
「鋭いね。そうだよ。
倅が上の学校に通っていてね。街の学校は学費の心配はないが、うちはそうもいかない」
「経営が傾いているのをきっと息子さんは知っているとおもんです。傾いている時に大金を渡してどうやって手に入れたか説明できますか?」
「うまく丸め込むよ。」
「きっとどこかで入手方法を知ると思うんです。そうじゃなくても、説明できない理由で手に入れたお金を息子さんは喜んで使ってくれるんでしょうか」
「ちょっとうるさいよ。お嬢ちゃん」
冷たい声で言ったが懐かしむように
「街に来た時は絶好の機会だと思ったよ。それにひとりだからね。また帰られちゃあ次の
機会は望めないかもしれない」
「だからいつ帰るか聞いたんですね」
迂闊だった。あの街だからって
完全に気を許してた。人間不信になりそう。
それからおじさんはどこかに行ってしまったせめて水とか置いていって欲しい
あたりが薄暗くなるとおじさんは戻ってきた「移動しようか。」
「縄解いてくれるんですか」
「縄は解くよ。その前に」
首に縄が締められた。
これじゃあまり変わらない。
「さぁ、行こうか。」
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