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3章 サードライブ
149話 靴擦れ
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その後すぐにヘアメイクさんが髪を
整えてくれて、その時に僕は
プリンセスドレス、舞はAラインドレスと
教えてもらった。
僕はローポニー、舞は三つ編みの
ハーフアップ。
僕たちと言ったら薔薇だから、僕は薔薇の
コサージュの髪飾り、舞は花冠、
蓮と類は造花のバラを胸元のポケットに
挿していた。
「2人とも似合うじゃん」
舞の弾んだ声に
「舞も似合うよ」
「雪希も様になってるじゃん」
と蓮ははにかんで、類は澄ました顔で
褒めてくれた。
(そういえば類の照れた顔とか見たことない)
舞が歩くのに慣れてきた頃、
ドアの向こうからスタッフさんの
「すみません、セットの準備が終わりましたから移動お願いします」
という声が聞こえた。
「もう補助はいらない?」
「だ、大丈夫だよ」
蓮の冷やかしに舞は顔を赤くして怒った。
そして撮影。
(見開き1ページってことは4人一緒か)
ブーケを持ったり椅子に座ったり、
さまざまなパターンで撮る。
撮影中、動くことはあまりなかったが
(ヒール痛いな、靴連れしたかな)
と気になって表情がぎこちなくなりそう
だが集中して耐えた。
撮影終了して、控え室に戻って裾を持ち上げ
踵を見ると赤く腫れていてヒールを脱いで
みると小指が爛れていた。
(どうりで痛いわけだ)
幸か不幸か類は、スタッフさんに呼ばれて
蓮は少し外を見てくると、2人とも行って
しまった。
スタッフさんからもう着替えて大丈夫と
言われていたから、
花冠を化粧台に置いてとりあえず
隣の部屋でドレスを脱いで制服に着替えた。
(ローファーきついな)
思ったよりも重かったドレスからの
開放に少し肩を上下させる。
「やっぱり、ドレスって緊張するよね」
学ランの雪希も窮屈だったのか苦笑した。
「撮影でもやっぱりね。雪希は靴擦れとか
してない?」
「ちょっと皮がめくれたくらいかな、
そんなに痛くないよ」
「そっか」
「痛いの?」
「結構、」
そう言うと無言で手を引いて椅子に
座らせ、テーブルの上にある類の鞄を
勝手に漁る。
「雪希?」
「靴下、脱いで」
「え、」
「やらないなら脱がすけど」
それは嫌なので足を曲げて靴下を脱いだ。
鞄から漁った脱脂綿をピンセットでつまみ
消毒液を少しつけて足に軽く撫でる、
「いっ・・・」
思ったより沁みて指に力が入る。
「あ、ごめん」
消毒し終わったふたつの脱脂綿を
ティッシュに包んで捨ててから、
絆創膏を貼る。
「ありがとう、雪希」
「どういたしまして、
僕も前、類にやってもらってさ
大袈裟って思ったんだけど、
大袈裟じゃないんだなって。
やる側にならないとわかんないよね」
雪希の笑った顔は何故か安心した。
その後蓮と類も戻ってきて着替えて、
挨拶をしてスタジオを出る。
「あれ?舞、それ持ってたっけ?」
類は鞄で揺れるストラップを指さす。
「これ?友達にもらったんだ」
整えてくれて、その時に僕は
プリンセスドレス、舞はAラインドレスと
教えてもらった。
僕はローポニー、舞は三つ編みの
ハーフアップ。
僕たちと言ったら薔薇だから、僕は薔薇の
コサージュの髪飾り、舞は花冠、
蓮と類は造花のバラを胸元のポケットに
挿していた。
「2人とも似合うじゃん」
舞の弾んだ声に
「舞も似合うよ」
「雪希も様になってるじゃん」
と蓮ははにかんで、類は澄ました顔で
褒めてくれた。
(そういえば類の照れた顔とか見たことない)
舞が歩くのに慣れてきた頃、
ドアの向こうからスタッフさんの
「すみません、セットの準備が終わりましたから移動お願いします」
という声が聞こえた。
「もう補助はいらない?」
「だ、大丈夫だよ」
蓮の冷やかしに舞は顔を赤くして怒った。
そして撮影。
(見開き1ページってことは4人一緒か)
ブーケを持ったり椅子に座ったり、
さまざまなパターンで撮る。
撮影中、動くことはあまりなかったが
(ヒール痛いな、靴連れしたかな)
と気になって表情がぎこちなくなりそう
だが集中して耐えた。
撮影終了して、控え室に戻って裾を持ち上げ
踵を見ると赤く腫れていてヒールを脱いで
みると小指が爛れていた。
(どうりで痛いわけだ)
幸か不幸か類は、スタッフさんに呼ばれて
蓮は少し外を見てくると、2人とも行って
しまった。
スタッフさんからもう着替えて大丈夫と
言われていたから、
花冠を化粧台に置いてとりあえず
隣の部屋でドレスを脱いで制服に着替えた。
(ローファーきついな)
思ったよりも重かったドレスからの
開放に少し肩を上下させる。
「やっぱり、ドレスって緊張するよね」
学ランの雪希も窮屈だったのか苦笑した。
「撮影でもやっぱりね。雪希は靴擦れとか
してない?」
「ちょっと皮がめくれたくらいかな、
そんなに痛くないよ」
「そっか」
「痛いの?」
「結構、」
そう言うと無言で手を引いて椅子に
座らせ、テーブルの上にある類の鞄を
勝手に漁る。
「雪希?」
「靴下、脱いで」
「え、」
「やらないなら脱がすけど」
それは嫌なので足を曲げて靴下を脱いだ。
鞄から漁った脱脂綿をピンセットでつまみ
消毒液を少しつけて足に軽く撫でる、
「いっ・・・」
思ったより沁みて指に力が入る。
「あ、ごめん」
消毒し終わったふたつの脱脂綿を
ティッシュに包んで捨ててから、
絆創膏を貼る。
「ありがとう、雪希」
「どういたしまして、
僕も前、類にやってもらってさ
大袈裟って思ったんだけど、
大袈裟じゃないんだなって。
やる側にならないとわかんないよね」
雪希の笑った顔は何故か安心した。
その後蓮と類も戻ってきて着替えて、
挨拶をしてスタジオを出る。
「あれ?舞、それ持ってたっけ?」
類は鞄で揺れるストラップを指さす。
「これ?友達にもらったんだ」
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