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3章 サードライブ

131話 代表挨拶の件

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「なにしてるの、そんな端っこで」
「っ、」
急に話しかけられてスマホを落としそうに
なった。
「る、類!急に話しかけないでよ。」
「え、いくらなんでもそれはひどくない?」
ほぼ八つ当たりを笑顔で躱す類。

(お祝い、どうしようかな。)
とりあえず
「お祝いは誕生日兼入学式祝いで大丈夫」
とだけ送った。

スーパーで買い物をして帰宅。
買ったものを冷蔵庫などに片付けて、
一休み。

「そういえば、梅原の新入生代表挨拶って
成績優良者に決まってるんだよね。
蓮が言ってた。」
「そうだね、俺も前にそう聞いた」
「成績落ちたの?」
「ほんと、歯に衣を着せないね、舞は」
若干、類の顔は引き攣っていた。

「中3の時、先生から新入生代表挨拶を
頼めないかって言われたけど断った」
「やっぱり、類が成績落とすって
考えられないし。私と一緒で
面倒だったから?」
「面倒だったっていうのも理由だけど、
・・・っていうか舞にも来たんだ、
代表挨拶の件。」
「まぁね。私にくるなんて
思わなかったけど、」
「俺がやらなくても誰かはやるからね、
それに本音は廊下とかに張り出される
定期テストの結果表に自分の上に誰かいたらとても悔しいと思う。
自分が1番だって悦に入っている顔が
歪むのを見たかったから、かな。」
(なんか類らしくて逆に安心した)

1週間後、蓮は生徒会長、
暁先輩に呼ばれ生徒会室へ。
(なにも校内放送で呼ばなくても)
好奇の目で見られてヒソヒソされた。
冷静な顔しているけど内心は
ビクビクしている。
生徒会室は神聖な場所とされていて、生徒会メンバー以外は呼び出し
以外で入ることは教師でさえ禁止されている。
3階にあるから外から中の様子を伺うことは不可能、
まさに未知の聖域。

ノックして
「先輩、高坂です」
というとすぐに
「入ってきたまえ」
と返ってきたからノブを回して中に入る。

中は絢爛豪華な室内、ではなく
長テーブルに5脚の椅子、山積みのファイルにホワイトボードという
とても殺風景な場所だった。
(神聖な場所だと言われていたから、想像と
違ってどう反応すればいいのかわからない)

「暁せんぱ、生徒会長、なんの呼び出し
ですか?校内放送まで使って」
(西校舎の2階の教室から
渡り廊下を渡って東校舎の3階の端にある
生徒会室まで5分でっていくらなんでも
無茶振りすぎる。
しかも2階にある渡り廊下は今、使えないから余計に時間かかったし)

全力で走らないと到底5分なんて無理な距離
生徒会長からの呼び出しだからか先生とすれ違ってもなにも言われなかった。
「早速、本題に入っていいかい?」
「はい」
急に会長のオーラが変わって緊張が走る。
「私は今、恋をしている」
「・・・はい?」
「彼女のことを考えると、胸が苦しくて
会いたくなる。笑った顔を見てみたい、
そう思うようになった。」
その顔は自信に満ち溢れた顔ではなく
とても穏やかだった。
「えっと、なんでそれを俺に・・・?」
控えめに聞くが、予想はできている
「君が私と彼女と接点がある唯一の生徒
だからね」
(まさか、)
「先輩の好きな人って・・・」
「1年1組、日比谷 舞だよ」

俺が立ち尽くしている同時刻、
舞の教室で一波乱が起きていた。
「俺と付き合え、舞」
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