78 / 267
2章 セカンドライブ
78話 羨ましい
しおりを挟む
放課後、帰ろうとする中原を呼び出し
罵倒した。でもそれはひっくり返せば羨ましさの本音だ
「気持ち悪いって言ってんの。」
(羨ましい)
「女みたいに髪を伸ばして」
(髪を伸ばせて)
「女みたいな小物を持って」
(可愛いものをもてて)
「恥ずかしくないの」
(羨ましい)
「親は、親は俺を認めてるのか」
それを言った瞬間中原は顔を歪ませた。
(もしかして失言しちゃった)
それでも彼は認めてくれる人がいるから好きを貫けているとはっきり言った。
親に見限られても好きを貫く彼。
親に見限られたくなくて偽る私。
決定的に違うのは
ー芯の強さー
その芯の強さが
「羨ましい」
溢れた本音にハッとして口を塞ぐが
もう遅かった。
「羨ましい、僕が?」
(まぁいいか)
私は話した、家のことを。
そしたら不思議そうな顔をして
(勘づかれたかな)
「ごめんね、俺、女の子なんだ」
「・・・え、うん。えっと、それで?」
「も、もっとリアクションがあっても
いいと思うんだけど、」
そんなこと言われてもなぁ
「人は見た目じゃないでしょ。
まぁそれは僕がいえたことじゃないけど」
彼、いや彼女は戸惑っていたが
「ねぇ失礼なこと言うけど、名前、
聞いてもいい?」
少しためらったが
「み、宮本 竜也(みやもと たつや)」
「よろしくね、えっと、」
(なんて呼ぼう、下手に呼んだらクラスメイトから変に思われるかもだし)
「普通に宮本でいいよ」
悩んでいるとキッパリ言われた。
「あ、うん。宮本くん」
「あのさ、中原。」
急に宮本くんは伏せ目になった。
「ごめん。」
「え、」
「あの時、階段で、背中を押して」
「あ、」
「羨ましく思ったのと同時に妬ましいとも
思っちゃって、一歩間違えたら、大怪我、
最悪なこともあったかもしれないのにって。すごく後悔してる。謝って済む話じゃないのはよく分かってる。でも、
本当にごめんなさい」
そう言って宮本くんは頭を下げた。
「頭を上げてよ、宮本くん」
静かに言うと彼はゆっくりと頭を上げる。
「一つ、聞いてもいいかな、」
なるべく刺激しないように優しく声をかける
と頷いた。
「僕の教科書をボロボロにしたのは
宮本くん?」
そう聞くとものすごい勢いで頭を振る。
「そっか。僕はね、階段から突き落とされかけたことよりも教科書をボロボロにしたことを怒っているんだ。僕の仲間に迷惑をかけちゃったからね。」
一呼吸おいて
「ねぇ僕と友達になってくれない?」
罵倒した。でもそれはひっくり返せば羨ましさの本音だ
「気持ち悪いって言ってんの。」
(羨ましい)
「女みたいに髪を伸ばして」
(髪を伸ばせて)
「女みたいな小物を持って」
(可愛いものをもてて)
「恥ずかしくないの」
(羨ましい)
「親は、親は俺を認めてるのか」
それを言った瞬間中原は顔を歪ませた。
(もしかして失言しちゃった)
それでも彼は認めてくれる人がいるから好きを貫けているとはっきり言った。
親に見限られても好きを貫く彼。
親に見限られたくなくて偽る私。
決定的に違うのは
ー芯の強さー
その芯の強さが
「羨ましい」
溢れた本音にハッとして口を塞ぐが
もう遅かった。
「羨ましい、僕が?」
(まぁいいか)
私は話した、家のことを。
そしたら不思議そうな顔をして
(勘づかれたかな)
「ごめんね、俺、女の子なんだ」
「・・・え、うん。えっと、それで?」
「も、もっとリアクションがあっても
いいと思うんだけど、」
そんなこと言われてもなぁ
「人は見た目じゃないでしょ。
まぁそれは僕がいえたことじゃないけど」
彼、いや彼女は戸惑っていたが
「ねぇ失礼なこと言うけど、名前、
聞いてもいい?」
少しためらったが
「み、宮本 竜也(みやもと たつや)」
「よろしくね、えっと、」
(なんて呼ぼう、下手に呼んだらクラスメイトから変に思われるかもだし)
「普通に宮本でいいよ」
悩んでいるとキッパリ言われた。
「あ、うん。宮本くん」
「あのさ、中原。」
急に宮本くんは伏せ目になった。
「ごめん。」
「え、」
「あの時、階段で、背中を押して」
「あ、」
「羨ましく思ったのと同時に妬ましいとも
思っちゃって、一歩間違えたら、大怪我、
最悪なこともあったかもしれないのにって。すごく後悔してる。謝って済む話じゃないのはよく分かってる。でも、
本当にごめんなさい」
そう言って宮本くんは頭を下げた。
「頭を上げてよ、宮本くん」
静かに言うと彼はゆっくりと頭を上げる。
「一つ、聞いてもいいかな、」
なるべく刺激しないように優しく声をかける
と頷いた。
「僕の教科書をボロボロにしたのは
宮本くん?」
そう聞くとものすごい勢いで頭を振る。
「そっか。僕はね、階段から突き落とされかけたことよりも教科書をボロボロにしたことを怒っているんだ。僕の仲間に迷惑をかけちゃったからね。」
一呼吸おいて
「ねぇ僕と友達になってくれない?」
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件
遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。
一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた!
宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!?
※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。
放課後はネットで待ち合わせ
星名柚花
青春
【カクヨム×魔法のiらんどコンテスト特別賞受賞作】
高校入学を控えた前日、山科萌はいつものメンバーとオンラインゲームで遊んでいた。
何気なく「明日入学式だ」と言ったことから、ゲーム友達「ルビー」も同じ高校に通うことが判明。
翌日、萌はルビーと出会う。
女性アバターを使っていたルビーの正体は、ゲーム好きな美少年だった。
彼から女子避けのために「彼女のふりをしてほしい」と頼まれた萌。
初めはただのフリだったけれど、だんだん彼のことが気になるようになり…?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
Hand in Hand - 二人で進むフィギュアスケート青春小説
宮 都
青春
幼なじみへの気持ちの変化を自覚できずにいた中2の夏。ライバルとの出会いが、少年を未知のスポーツへと向わせた。
美少女と手に手をとって進むその競技の名は、アイスダンス!!
【2022/6/11完結】
その日僕たちの教室は、朝から転校生が来るという噂に落ち着きをなくしていた。帰国子女らしいという情報も入り、誰もがますます転校生への期待を募らせていた。
そんな中でただ一人、果歩(かほ)だけは違っていた。
「制覇、今日は五時からだから。来てね」
隣の席に座る彼女は大きな瞳を輝かせて、にっこりこちらを覗きこんだ。
担任が一人の生徒とともに教室に入ってきた。みんなの目が一斉にそちらに向かった。それでも果歩だけはずっと僕の方を見ていた。
◇
こんな二人の居場所に現れたアメリカ帰りの転校生。少年はアイスダンスをするという彼に強い焦りを感じ、彼と同じ道に飛び込んでいく……
――小説家になろう、カクヨム(別タイトル)にも掲載――
【完結】カワイイ子猫のつくり方
龍野ゆうき
青春
子猫を助けようとして樹から落下。それだけでも災難なのに、あれ?気が付いたら私…猫になってる!?そんな自分(猫)に手を差し伸べてくれたのは天敵のアイツだった。
無愛想毒舌眼鏡男と獣化主人公の間に生まれる恋?ちょっぴりファンタジーなラブコメ。
全力でおせっかいさせていただきます。―私はツンで美形な先輩の食事係―
入海月子
青春
佐伯優は高校1年生。カメラが趣味。ある日、高校の屋上で出会った超美形の先輩、久住遥斗にモデルになってもらうかわりに、彼の昼食を用意する約束をした。
遥斗はなぜか学校に住みついていて、衣食は女生徒からもらったものでまかなっていた。その報酬とは遥斗に抱いてもらえるというもの。
本当なの?遥斗が気になって仕方ない優は――。
優が薄幸の遥斗を笑顔にしようと頑張る話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる