上 下
41 / 267
1章 ファーストライブ

41話 すごいね

しおりを挟む
「ねぇ、蓮?」
「なんだよ」
電車で不機嫌そうな蓮に話しかける。
「蓮のクラス遊び行ってもいい」
「絶対、ダメだ」
即答された。
(よし、行こう)

昇降口で別れ教室に入ると、もう準備が終わりかけていた、
「舞、急いで。」
「ごめん、すぐに準備するよ」
紗南の声に急いで衣装に着替え、髪を縛る。
そして学園祭開始、私たちのクラスは
「おかえりなさいませ、ご主人様。」
執事喫茶です。

先陣を切ったのは戸田くん。
もちろん男子だけでは不公平なので
女子執事もいる。
セリフと所作もかなり寄せている。
荷物を持たせてもらい、椅子を引き、
メニューの説明、
「メニューは諸事情によりデザート、
ドリンクのみとなっております。
ご了承ください」
本当はオムライスとかやりたかったんだけど
家庭科室争奪戦に負けたので仕方なく、
市販品を買って提供することに。
「あの、おすすめってありますか?」
こういう対応もばっちり予習済み

「おすすめですか?それでしたらアフタヌーンセットがおすすめです。紅茶はAセットでしたらキャンディ、Bセットでしたらディンブラが相性抜群です」
「それじゃあAセットを一つとキャンディを2つ」
「かしこまりました、すぐにお持ちしますので少々お待ちください。」
歩く時も背筋を伸ばし、堂々とすることを
意識する。

「やっぱりすごいな、戸田くん」
(本物の執事みたいだ)
彼の接客を見て感心する。
「舞、手が空いてるなら接客。」
すれ違いに鈴川さんに耳打ちされ急いでドアに向かう。
「ゔ、」
接客する相手を見てかたまる。
「似合ってるよ舞」
「すごいね舞のクラス」
笑顔を浮かべる類と
苦笑する雪希がいた。

「お、おかえりなさいませ、ご主人様」
引き攣りそうになる顔を必死に抑え、
お出迎えする。
席に案内して、椅子を引く。
「ありがとう、執事さん」
類は笑顔でそう言った。
「いえいえ、これも執事の役目ですから」
「どうしたの、その燕尾服」
「こちらの服は、」
そう言いかけたが、面倒だったので声を
顰める。
「これはクラスで服飾が得意な子達が作ってくれたの。一人一人少しずつ違うんだ」

その言葉に僕は教室を見渡す。
確かにそれぞれ装飾が違う。
紫のリボンタイの人もいれば、黄色のネクタ
イの人もいる。舞は赤いスカーフタイだ。
舞のおもてなしで楽しんだあと、
ちょうど休憩時間になった舞と他のクラス
を見てまわることに。

「そういえば人気のメイドカフェがあるの知ってる?」
「執事の次はメイドか」
雪希のウキウキした声の後に類は軽く笑って答えた。
「せっかくだから覗いてみようよ、」
しばらく歩くと人だかりのある場所がある
「メイド喫茶、ここだ」
(あれ、2ー3、まさか)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

神様自学

天ノ谷 霙
青春
ここは霜月神社。そこの神様からとある役職を授かる夕音(ゆうね)。 それは恋心を感じることができる、不思議な力を使う役職だった。 自分の恋心を中心に様々な人の心の変化、思春期特有の感情が溢れていく。 果たして、神様の裏側にある悲しい過去とは。 人の恋心は、どうなるのだろうか。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

風船ガール 〜気球で目指す、宇宙の渚〜

嶌田あき
青春
 高校生の澪は、天文部の唯一の部員。廃部が決まった矢先、亡き姉から暗号めいたメールを受け取る。その謎を解く中で、姉が6年前に飛ばした高高度気球が見つかった。卒業式に風船を飛ばすと、1番高く上がった生徒の願いが叶うというジンクスがあり、姉はその風船で何かを願ったらしい。  完璧な姉への憧れと、自分へのコンプレックスを抱える澪。澪が想いを寄せる羽合先生は、姉の恋人でもあったのだ。仲間との絆に支えられ、トラブルに立ち向かいながら、澪は前へ進む。父から知らされる姉の死因。澪は姉の叶えられなかった「宇宙の渚」に挑むことをついに決意した。  そして卒業式当日、亡き姉への想いを胸に『風船ガール』は、宇宙の渚を目指して気球を打ち上げたーー。

田中天狼のシリアスな日常

朽縄咲良
青春
とある県の平凡な県立高校「東総倉高等学校」に通う、名前以外は平凡な少年が、個性的な人間たちに翻弄され、振り回され続ける学園コメディ! 彼は、ごくごく平凡な男子高校生である。…名前を除けば。 田中天狼と書いてタナカシリウス、それが彼の名前。 この奇妙な名前のせいで、今までの人生に余計な気苦労が耐えなかった彼は、せめて、高校生になったら、平凡で平和な日常を送りたいとするのだが、高校入学後の初動に失敗。 ぼっちとなってしまった彼に話しかけてきたのは、春夏秋冬水と名乗る、一人の少女だった。 そして彼らは、二年生の矢的杏途龍、そして撫子という変人……もとい、独特な先輩達に、珍しい名を持つ者たちが集まる「奇名部」という部活への起ち上げを誘われるのだった……。 ・表紙画像は、紅蓮のたまり醤油様から頂きました! ・小説家になろうにて投稿したものと同じです。

【実話】友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
青春
とあるオッサンの青春実話です

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...