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時間よ戻れ! 

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まさか私が竜王と戦っている時こんな行動していたとは…シルバって奴は何考えてるのよ

「シルバあんたが戻したこと細かく説明してどこまで戻したの?」

「一応月子様がこの帝都にくる前の賑わいのあった帝都まで戻しました
分かりましたあれは月子様がドラゴン国に戻って仲間を助けに行った後の事です」





【帝都】

アウリタ様がドラゴン国に戻ってどれくらい時間が経つだろうか…
仲間は無事見つけれただろうか…
アウリタ様はまだ戻らない

アウリタ様が僕を助けてくれたから今がある
あの時アウリタ様がいなかったら僕はゴブリンに殺されていた
アウリタ様がどうしても信じられない人を殺したなんて…
ハルト達との戦いだってそうだなんでそもそも争いになったんだ?
今冷静に考えればあの争いに意味なんてあるのか?
この子だってそうだこんな幼いのにアウリタ様を殺そうとするなんてこの子に何が?



“シルバよ!私の念話が聞こえるか?
そこのルナを殺せ!もう用済みだ!”

アウリタ様?この子はもう用済み?どういう事だ?
竜王は倒したのか?

僕はアウリタ様の言葉に返事はしなかった
いくらなんでもこの子を殺すなんて僕には出来ない



あ…ルナちゃんが目を覚ました…

「ふぁ~…よく寝た…ここどこ?お兄ちゃんは誰?」

「ルナちゃん大丈夫?僕はえーと…
シルバって言うんだ!」

「シル…バ?
あ!そうだ悪いお姉ちゃんは?私ちゃんと倒したかな?」

「ううん…残念だけど僕が邪魔してしまった…その悪いお姉ちゃんがここに運んで来たんだよ!」

「なんで?なんで邪魔したの?
ハルトお兄ちゃんは?帰りたい!
お兄ちゃん達のところに帰して!」

「分かった!帰すからただ少しお兄ちゃんとお話ししてくれないか?聞きたいことがたくさんある!」

「やだ!お話ししない!」

「ルナの助けになりたいんだよ」

「助けに……出来ないよ…」

あ…ルナちゃん…泣かないで……

「できるよ!僕がなんとかするから!」

「うううっうっく…うう……
じゃお母さんを返してよ…助けてよ!
ルナを助けるんでしょ!ルナのお母さん返して!」

「お母さん?」

「悪いお姉ちゃんが殺したの…本当のお母さんじゃないけどルナをここまで育ててくれた…」

「そんな…なんでそんな事に…」

「ハルトのお兄ちゃんだって大切な人をお姉ちゃんに殺されたの!だからハルトお兄ちゃんは許さないんだってルナも許さない!」

「そっか…だからハルトもお姉ちゃんを殺そうとしたんだね!」

「そうだよ!シルバお兄ちゃんはなんでお姉ちゃんの味方なの?ルナの味方になってくれないの?助けになってくれるんでしょ?
もうイヤだよ!
なんでシルバお兄ちゃんはハルトお兄ちゃんを殺そうとするの?ハルトお兄ちゃんが悪い事したの?」

「えーと困ったな…
お姉ちゃんは僕の命の恩人なんだ…僕を助けてくれた」

「それだけ?それだけでお兄ちゃんは悪者の仲間になるの?」

「それは違うよ僕は悪者の味方になったつもりはない…」

「嘘つき!」

「ホントだよ!嘘つくもんか!
悪者だろうが味方だろうが関係なく命は大切なんだ!僕は命が惜しい…
僕はアウリタ様が悪者なんてあの時知らなかったんだ…」

「信じない!」

「ハルトがアウリタ様を殺そうとするから僕が守りたいんだ…僕を助けてくれたから……」

「嘘だ!悪いお姉ちゃんが人を助ける訳ない!お兄ちゃんなんて嫌いあっち行け!」

「ルナちゃん落ち着いて!
たとえ悪者だったとしても!どんな形であれ僕は命は大事にしたい!
まぁ魔物は別だけど…ははっお兄ちゃんダメだな矛盾してる…」

「おかしいよ!全部おかしい!信じない!!」

「そうだね…ルナちゃんの言う通り…僕もわけがわからなくなってね…アウリタ様は気まぐれで僕を助けたのかもしれない…現に僕はアウリタ様と一緒でバケモノにされてしまったんだ…」

「え?お兄ちゃんもバケモノに?
じゃもう時間ないよ…」

「え?」

「ハルトお兄ちゃんの時急に胸を抑えて苦しんでた…」

「胸を?」

「うん…でもハルトお兄ちゃんはバケモノには負けず耐えたんだよ」

「そうだったのか…」

「今は優しいハルトお兄ちゃんのままでいられるけどまた発作が起きたらいずれハルトお兄ちゃんも悪いハルトお兄ちゃんになちゃう…」

「はぁ…僕もハルトと一緒なんだ…結局お姉ちゃんは悪い奴なのかも…俺も理性を失いいずれ…」

「シルバお兄ちゃん…ルナ……ルナ…
戻りたいよ~うわーーん!お母さんに会いたい…会いたいよ…また一緒に居たい」

「分かったこのシルバお兄ちゃんが全部無かった事にする!そもそも争いは無かった!」

「できるの?」

「できるさ!悪いお姉ちゃんが帰って来るまでには全部終わらせるから!もう泣かないで!」

「うん…みんな生き返るの?」

「みんな?ルナちゃんの親だけじゃないの?」

「うん!ハルトお兄ちゃんの大切な人メーディアお姉ちゃんもエルフお姉ちゃんの大切なハイエルフお姉ちゃんも全部…ぜーんぶ悪いお姉ちゃんに殺されたんだよ!ギルドの受付の女の人も殺されたんだよ!オキっておじちゃんもバケモノにされたんだって!ルナ寝てる時に全部聞いてた!」

「そうだったのか…全てこの帝都から始まったんだな…分かったやはり世界を戻すんじゃななくこの帝都の時間を戻そう!」

さぁ始めるか!俺の魔力は無限大こんなの簡単だ動作もねぇ
この帝都エリアの時間を戻す!

「帝都よ戻れ!時間よ!戻れ!あの悲劇が起きる前に戻れ!!」

シルバは静かに目を閉じた
ルナから聞いた親が殺された悲劇
国民惨劇と冒険者ギルドのビゼンやギルドマスター
そしてハルトの仲間のメーディア
ハイエルフが殺された者を生きていた頃に戻すのを願った
シルバの脳裏に今この瞬間から帝都で起きた逆再生された映像が浮かび上がる

ルナの育ててくれたエレナの映像

“ルナちゃん逃げて”
“どこ?見えないよ!一緒に逃げよ!」”

「この人が育ての親エレナ様?
そんな…ひどい…」

1300万人の惨劇
もがき苦しむ国民たちが映し出される

“さぁ殺すか国民共を!”

「ひどい…酷すぎる……こんな事………」
やめてくれ…

シルバは泣いていた

さらに時間は巻き戻るメーディアが殺される映像が浮かび上がる

“メーディア!違う左腕が勝手に動いて……”

「そんな…
ハルト自ら大切な人を……操られて…」

さらに時間は巻き戻り

“ビゼン!どうした?血だらけじゃないか怪我したのか?!”

「食べた…もうやめてくれ……
もう見たくない……」

アウリタ様が帝都に潜入する前の出来事まで時間は戻された
さらに平和だった賑わいのある帝都の映像が映し出される
そこで映像は逆再生する事なく前に進んだ
静かにシルバは目を開ける

再びシルバは泣き崩れた

まるで自分が体験した様に脳に焼きつかれる
これからもシルバの脳には決して消えない
忘れられない出来事だった

時間は戻された帝都

これで流れは変わるはずだ…
もう誰も死なせないアウリタ様に人殺しはさせない!

シルバは辺りを見渡した
そこにはルナの姿はいない

成功だ!!ルナちゃんがいない!
きっと今頃エレナ様と一緒!
いや?ちょっと待てハイエルフの映像が無かった…どういう事だ?ルナちゃんの情報が間違えてた?しまった…そうだとしたらハイエルフは帝都で殺されていない事になる
早くアウリタ様が帰ってくるまでに終わらせないと

「おぇ…気分が悪い……この魔法使うと吐き気が…」





その頃
竜王との戦闘を避けドラゴン国から帝国に逃げ帰ってきていたハルト、ネクロ、シユミの3人はルナの事を魔力感知を使いずっと探していた

【帝国】

「シユミ!早くルナを助けないと!殺されるぞ!」

「ハルト?ルナって誰だ?」

「シユミこいつ誰よ??」

「は?シユミもネクロも何言ってる!冗談は…あれ?
俺今誰の名前言ってた?シユミこいつ誰?」

「はぁぁ?私のセリフよ!お前こそ誰よ!」




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