20 / 31
19.同居生活の始まり
しおりを挟む
その夜、アッシュと共に自宅に向かった。
薄暗い建物全体に漂う清潔とはいい難い匂い、どれだけ静かに歩いてもぎしぎしと軋む床、それから物音が漏れてくるくらいの薄い壁に、廊下に響き渡る下品な笑い声や嬌声。
自室のドアノブに手をかける瞬間、ちょっとだけ躊躇ってしまった。
(伯爵様、びっくりしないかな……?)
覚悟を決めて扉を開けた。
簡易の鍵しかかからない扉や、ほとんど物のないがらんとした空間に彼が何を思ったかは分からない。フィオナの持ち物はトランク一つにすべて仕舞うことができて、アッシュの手を煩わせることもなかった。
自分で持つつもりだったけれど、そのトランクはアッシュにさらわれてしまう。
「今夜はまだ退去はできないよな?」
控えめにそう尋ねられ、少し考えた後、フィオナは顔をあげる。
「大家さんのところへ行ってきます。伯爵様は馬車で待っていてくださいませんか」
アッシュはついていきたそうな素振りをみせたが、しぶしぶといった感じで頷いてくれた。
「……わかった」
彼に指摘されるまで、そこまで考えが至っていなかったけれど、どちらにせよ一度強盗が入ったこの家で暮らしたいとは思わない。彼女はアパートの一階に住んでいる大家の部屋に立ち寄り、退去を申し出た。でっぷり太った大家は今日までの家賃を払えば許してやるよ、と横柄な口調でいい、「突然のことだから」といいながら多めの請求をしてきたが、フィオナは黙ってそれに従う。
お金を払ってしまうと、昨日から重しのように淀んでいた心の中がすうっと晴れた。
(あの家に戻らなくていいからだわ)
「無事、済んだ?」
乗り込むとすぐに馬車が軽快に走り出し、それと同時にアッシュに尋ねられる。
「はい。伯爵様、ありがとうございます」
お礼を言うと、彼がきょとんとした。
「その……、伯爵様がいてくださらなかったら、こんなにスムーズに退去をすることはできませんでしたから」
「ああ、そういうことか」
彼がふっと表情を和らげる。
そうなのだ。
アッシュのお陰で先立つものがあり、退去することができた。そうでなければあのままあの家に住み続けるしかなかっただろう。
「それに関しては、俺もよかった、と思っている。少しでも役に立てたのであれば。……、想像はしていたが、やはりあのアパートに君が一人で住み続けるというのは心配だしね」
ぼそっと付け加えられたそれは、彼の本心に違いない。
(驚かれただろうなぁ……、あんなボロいアパートなんて、ご覧になったことはなかっただろうし)
フィオナはふっと窓に視線を送る。
彼女にとっては、ごく一般的な住居だ。彼女が母親と住んでいた貧民街のアパートのようにねずみが出ることも、壁の一部分が崩れていることもない。
アッシュはもちろんあの場では何も言わなかったし、紳士だからこれからも口にすることはないだろうが。
(やっぱり出自が違うってこういうこと、なんだな……)
流れていく景色を眺めながら、フィオナはぼんやりと考える。
貴族と平民。
いくら自分たちがあえて口にしなかったとしても、そこには目に見えない大きな隔たりがある。生まれもった違いが、明らかに。
ずきんと胸が痛んだ。
(わかってる、わかっているわ……)
ぎゅっと目を瞑ると、フィオナはそれ以上考えるのを止めた。そんな彼女の横顔を思案げにアッシュが眺めていることには、最後まで気づくことなかった。
◇◇◇
アッシュが用意してくれたのは、二階の客間だった。
ロイド家には通いの使用人がほとんどだ。住んでいるのはアルバートとロージー、それから下男が何人かで、一階にまとめて使用人部屋がかたまっているという。主人であるアッシュは執務室もある二階に寝室も構えているらしい。
「伯爵様と同じ階に寝泊まりさせていただいてよろしいのでしょうか」
そんなだいそれたことを、と思いながら呟くと、ロージーが明るく笑う。
客間も、隅々まで綺麗に掃除されていて、ふかふかのベッドに机と洋服棚があり、今まで暮らしていた部屋とは段違いだ。
「いいに決まってるじゃないですか。フィオナさんはお客様ですよ?」
「どちらかというと仕事を斡旋してもらってるから雇われてるのに近いと思うんですけど……」
「いえいえ、まさか! それで、きゅうり、もっといります? まぁもう腫れてないような気もしますけどね」
そういえば先程ロージーが持ってきてくれたきゅうりのおかげで、ほっこりしたのだった。
「きゅうりは大丈夫かもです。ありがとうございます!」
「必要だったらいつでも言ってくださいね。お風呂はどうされますか? 必要なら下男にいってお湯を運ばせます」
ロージーに案内されて先ほど見た浴室に猫足バスタブがあったことを思い返し、フィオナは首を横に振る。要は厨房で沸かしたお湯を何往復かして運んでくれるというのだろう。こんな突然、しかも夜半過ぎに、それは申し訳なさ過ぎる。
「いえ、大丈夫です! でも……この綺麗なベッドを汚したくないので、お湯を頂きに行きますね」
いつものように自分でお湯を取りに行こうとすると、ロージーが両手を腰に当てる。
「私の仕事を取らないでください。いいからフィオナさんは座っててください!」
「えっ、でも……」
「いいから! 朝、きゅうりが必要なくらいお疲れだったんですから。こういうときは年長者の意見を素直に聞くもんです」
そう言われてしまうと、フィオナは頷くしかなかった。
「ありがとうございます……ではお言葉に甘えて」
あっという間にロージーが桶にたっぷりのお湯を持ってきてくれて、フィオナは素直に感謝した。ロージーはなんと香油も持ってきてくれたから、ありがたく身体を清めた後にほんのちょっとだけ使わせてもらうことにした。そうするとじんわりと身体が緩んでいく感覚があって、ようやくリラックスすることができた。
ベッドに横たわって、大きく息をつく。
(ああ、こんなに良くしていただいて……、どうやって恩返しさせていただいたらいいかな)
けれどそれ以上考えるには、フィオナはくたくたに疲れ切っていた。
目を瞑ると同時に、彼女は眠ってしまったのだった。
夢も見ずに眠り、明け方目を覚ましたときには、すっかり気持ちが回復していた。
ゆっくりした休息を取らせてもらったお陰だ。
それにアッシュはもちろん、ロージーや他の使用人たちが優しくしてくれたから。
フィオナはぴょこんとベッドの上に起き上がると、手早く着替えを済ませて、足音を忍ばせて階下へと降りていった。
厨房ででも何か手伝いをさせてもらえたら――と思ったのだが、意外にも彼の寝室からでてくるアッシュに出くわした。
「ああ、フィオナ! おはよう、よく眠れたか?」
すっかり身支度を整えたアッシュは朝から顔がいい。
「おかげさまで、よく眠れました、ありがとうございます!」
「それはよかった。それでこんな早朝にどうしたの? お腹すいた?」
「い、いえ、何かお手伝いできることがあればと思って……」
するとアッシュがすっと眉間に皺を寄せる。
「フィオナはお客だから、そんなことは気にしなくていいけどな」
だが彼がそこで表情を和らげる。
「でも気になるんだろうね、フィオナは。じゃあ一つ仕事を頼もうかな」
「はい!」
そこで彼に肘を差し出されて、まじまじと見下ろす。
「……なんですかね……?」
「俺、珈琲をのむから付き合って」
「え?」
「よろしく」
ずい、と更に肘を差し出される。
(ひじ……? エスコート?? 珈琲を飲みに階下に行くだけで、いる???)
クエスチョンマークがいっぱいだ。
「これも大事な仕事だよ?」
圧が凄い。
「あ……、はい」
フィオナは押しきられるようにアッシュの肘をつかむと、首を傾げながら歩き出した。
薄暗い建物全体に漂う清潔とはいい難い匂い、どれだけ静かに歩いてもぎしぎしと軋む床、それから物音が漏れてくるくらいの薄い壁に、廊下に響き渡る下品な笑い声や嬌声。
自室のドアノブに手をかける瞬間、ちょっとだけ躊躇ってしまった。
(伯爵様、びっくりしないかな……?)
覚悟を決めて扉を開けた。
簡易の鍵しかかからない扉や、ほとんど物のないがらんとした空間に彼が何を思ったかは分からない。フィオナの持ち物はトランク一つにすべて仕舞うことができて、アッシュの手を煩わせることもなかった。
自分で持つつもりだったけれど、そのトランクはアッシュにさらわれてしまう。
「今夜はまだ退去はできないよな?」
控えめにそう尋ねられ、少し考えた後、フィオナは顔をあげる。
「大家さんのところへ行ってきます。伯爵様は馬車で待っていてくださいませんか」
アッシュはついていきたそうな素振りをみせたが、しぶしぶといった感じで頷いてくれた。
「……わかった」
彼に指摘されるまで、そこまで考えが至っていなかったけれど、どちらにせよ一度強盗が入ったこの家で暮らしたいとは思わない。彼女はアパートの一階に住んでいる大家の部屋に立ち寄り、退去を申し出た。でっぷり太った大家は今日までの家賃を払えば許してやるよ、と横柄な口調でいい、「突然のことだから」といいながら多めの請求をしてきたが、フィオナは黙ってそれに従う。
お金を払ってしまうと、昨日から重しのように淀んでいた心の中がすうっと晴れた。
(あの家に戻らなくていいからだわ)
「無事、済んだ?」
乗り込むとすぐに馬車が軽快に走り出し、それと同時にアッシュに尋ねられる。
「はい。伯爵様、ありがとうございます」
お礼を言うと、彼がきょとんとした。
「その……、伯爵様がいてくださらなかったら、こんなにスムーズに退去をすることはできませんでしたから」
「ああ、そういうことか」
彼がふっと表情を和らげる。
そうなのだ。
アッシュのお陰で先立つものがあり、退去することができた。そうでなければあのままあの家に住み続けるしかなかっただろう。
「それに関しては、俺もよかった、と思っている。少しでも役に立てたのであれば。……、想像はしていたが、やはりあのアパートに君が一人で住み続けるというのは心配だしね」
ぼそっと付け加えられたそれは、彼の本心に違いない。
(驚かれただろうなぁ……、あんなボロいアパートなんて、ご覧になったことはなかっただろうし)
フィオナはふっと窓に視線を送る。
彼女にとっては、ごく一般的な住居だ。彼女が母親と住んでいた貧民街のアパートのようにねずみが出ることも、壁の一部分が崩れていることもない。
アッシュはもちろんあの場では何も言わなかったし、紳士だからこれからも口にすることはないだろうが。
(やっぱり出自が違うってこういうこと、なんだな……)
流れていく景色を眺めながら、フィオナはぼんやりと考える。
貴族と平民。
いくら自分たちがあえて口にしなかったとしても、そこには目に見えない大きな隔たりがある。生まれもった違いが、明らかに。
ずきんと胸が痛んだ。
(わかってる、わかっているわ……)
ぎゅっと目を瞑ると、フィオナはそれ以上考えるのを止めた。そんな彼女の横顔を思案げにアッシュが眺めていることには、最後まで気づくことなかった。
◇◇◇
アッシュが用意してくれたのは、二階の客間だった。
ロイド家には通いの使用人がほとんどだ。住んでいるのはアルバートとロージー、それから下男が何人かで、一階にまとめて使用人部屋がかたまっているという。主人であるアッシュは執務室もある二階に寝室も構えているらしい。
「伯爵様と同じ階に寝泊まりさせていただいてよろしいのでしょうか」
そんなだいそれたことを、と思いながら呟くと、ロージーが明るく笑う。
客間も、隅々まで綺麗に掃除されていて、ふかふかのベッドに机と洋服棚があり、今まで暮らしていた部屋とは段違いだ。
「いいに決まってるじゃないですか。フィオナさんはお客様ですよ?」
「どちらかというと仕事を斡旋してもらってるから雇われてるのに近いと思うんですけど……」
「いえいえ、まさか! それで、きゅうり、もっといります? まぁもう腫れてないような気もしますけどね」
そういえば先程ロージーが持ってきてくれたきゅうりのおかげで、ほっこりしたのだった。
「きゅうりは大丈夫かもです。ありがとうございます!」
「必要だったらいつでも言ってくださいね。お風呂はどうされますか? 必要なら下男にいってお湯を運ばせます」
ロージーに案内されて先ほど見た浴室に猫足バスタブがあったことを思い返し、フィオナは首を横に振る。要は厨房で沸かしたお湯を何往復かして運んでくれるというのだろう。こんな突然、しかも夜半過ぎに、それは申し訳なさ過ぎる。
「いえ、大丈夫です! でも……この綺麗なベッドを汚したくないので、お湯を頂きに行きますね」
いつものように自分でお湯を取りに行こうとすると、ロージーが両手を腰に当てる。
「私の仕事を取らないでください。いいからフィオナさんは座っててください!」
「えっ、でも……」
「いいから! 朝、きゅうりが必要なくらいお疲れだったんですから。こういうときは年長者の意見を素直に聞くもんです」
そう言われてしまうと、フィオナは頷くしかなかった。
「ありがとうございます……ではお言葉に甘えて」
あっという間にロージーが桶にたっぷりのお湯を持ってきてくれて、フィオナは素直に感謝した。ロージーはなんと香油も持ってきてくれたから、ありがたく身体を清めた後にほんのちょっとだけ使わせてもらうことにした。そうするとじんわりと身体が緩んでいく感覚があって、ようやくリラックスすることができた。
ベッドに横たわって、大きく息をつく。
(ああ、こんなに良くしていただいて……、どうやって恩返しさせていただいたらいいかな)
けれどそれ以上考えるには、フィオナはくたくたに疲れ切っていた。
目を瞑ると同時に、彼女は眠ってしまったのだった。
夢も見ずに眠り、明け方目を覚ましたときには、すっかり気持ちが回復していた。
ゆっくりした休息を取らせてもらったお陰だ。
それにアッシュはもちろん、ロージーや他の使用人たちが優しくしてくれたから。
フィオナはぴょこんとベッドの上に起き上がると、手早く着替えを済ませて、足音を忍ばせて階下へと降りていった。
厨房ででも何か手伝いをさせてもらえたら――と思ったのだが、意外にも彼の寝室からでてくるアッシュに出くわした。
「ああ、フィオナ! おはよう、よく眠れたか?」
すっかり身支度を整えたアッシュは朝から顔がいい。
「おかげさまで、よく眠れました、ありがとうございます!」
「それはよかった。それでこんな早朝にどうしたの? お腹すいた?」
「い、いえ、何かお手伝いできることがあればと思って……」
するとアッシュがすっと眉間に皺を寄せる。
「フィオナはお客だから、そんなことは気にしなくていいけどな」
だが彼がそこで表情を和らげる。
「でも気になるんだろうね、フィオナは。じゃあ一つ仕事を頼もうかな」
「はい!」
そこで彼に肘を差し出されて、まじまじと見下ろす。
「……なんですかね……?」
「俺、珈琲をのむから付き合って」
「え?」
「よろしく」
ずい、と更に肘を差し出される。
(ひじ……? エスコート?? 珈琲を飲みに階下に行くだけで、いる???)
クエスチョンマークがいっぱいだ。
「これも大事な仕事だよ?」
圧が凄い。
「あ……、はい」
フィオナは押しきられるようにアッシュの肘をつかむと、首を傾げながら歩き出した。
119
お気に入りに追加
456
あなたにおすすめの小説

思い出してしまったのです
月樹《つき》
恋愛
同じ姉妹なのに、私だけ愛されない。
妹のルルだけが特別なのはどうして?
婚約者のレオナルド王子も、どうして妹ばかり可愛がるの?
でもある時、鏡を見て思い出してしまったのです。
愛されないのは当然です。
だって私は…。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

十分我慢しました。もう好きに生きていいですよね。
りまり
恋愛
三人兄弟にの末っ子に生まれた私は何かと年子の姉と比べられた。
やれ、姉の方が美人で気立てもいいだとか
勉強ばかりでかわいげがないだとか、本当にうんざりです。
ここは辺境伯領に隣接する男爵家でいつ魔物に襲われるかわからないので男女ともに剣術は必需品で当たり前のように習ったのね姉は野蛮だと習わなかった。
蝶よ花よ育てられた姉と仕来りにのっとりきちんと習った私でもすべて姉が優先だ。
そんな生活もううんざりです
今回好機が訪れた兄に変わり討伐隊に参加した時に辺境伯に気に入られ、辺境伯で働くことを赦された。
これを機に私はあの家族の元を去るつもりです。
「あなたの好きなひとを盗るつもりなんてなかった。どうか許して」と親友に謝られたけど、その男性は私の好きなひとではありません。まあいっか。
石河 翠
恋愛
真面目が取り柄のハリエットには、同い年の従姉妹エミリーがいる。母親同士の仲が悪く、二人は何かにつけ比較されてきた。
ある日招待されたお茶会にて、ハリエットは突然エミリーから謝られる。なんとエミリーは、ハリエットの好きなひとを盗ってしまったのだという。エミリーの母親は、ハリエットを出し抜けてご機嫌の様子。
ところが、紹介された男性はハリエットの好きなひととは全くの別人。しかもエミリーは勘違いしているわけではないらしい。そこでハリエットは伯母の誤解を解かないまま、エミリーの結婚式への出席を希望し……。
母親の束縛から逃れて初恋を叶えるしたたかなヒロインと恋人を溺愛する腹黒ヒーローの恋物語。ハッピーエンドです。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:23852097)をお借りしております。

義妹が大事だと優先するので私も義兄を優先する事にしました
さこの
恋愛
婚約者のラウロ様は義妹を優先する。
私との約束なんかなかったかのように…
それをやんわり注意すると、君は家族を大事にしないのか?冷たい女だな。と言われました。
そうですか…あなたの目にはそのように映るのですね…
分かりました。それでは私も義兄を優先する事にしますね!大事な家族なので!
僕は君を思うと吐き気がする
月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。

私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる