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第二章 呪いからの解放編

アサヒの意見

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「それで呪いを解く方法は?」

「わからないそうですね。白鴎騎士団団長にも話を聞いたらしいですが、まったくだそうです。そっちは?」

「一応、色々と本の残骸はかき集めてきたけど、読めない。つまらない話だ。ああ、そうだ。そういえば知恵袋があった」

 ぼくの部屋は皇子の部屋に相応しくとても広い。

 王宮の一棟が丸々ぼくに与えられているので情報は結構守れる。

 だが、それでも安心はできない。それが王族と言うものだ。とくにこの国の王族は成り上がれるのだから。

 ぼくの部屋の前にある物置の前にべたべたと札を張る。

「あれ、クル、それっておれの門を適当に調べて作ってた札ですよね?どんな効果でしたっけ?」

「門の出口を作る奴だよ」

「ああ、そうでしたね」

 札をつけた戸を開ける。そこには……。

「え?」

「よう」

 アサヒがいた。


 ★


「あれ、どうしたのですか?何か聞き忘れたことでも?」

 おそらくぼくがまだ村の中にいたのだと思っているのだろう。特に何も驚いた様子はない。

「いや、引越しの挨拶だよ」

「え?ここは誰かの、部屋、ですか?」

 視線がぼくを超えて後ろの景色に向いている。いつもとあまりにも違うので目が白黒している。

 当たり前かもしれない。トール村で彼女が門の中から見ていた景色は殺風景にも程があった。

 あの地下は広大な空間ではあったが、あくまでも地下で、辺境の地でもあるので整備もされず単純な岩肌のようなものだった。

 だが、今のアサヒが見ている景色は室内であり、王城の王族の部屋なのでかなり美しいものに見えているかもしれない。オルトがちゃんと掃除もしているし。

「ああ、ぼくの部屋だ。君の門の出口を繋げたんだよ」

「繋げる、ですか?原則として自分の空間とは一か所だけ、それも持ち主が許可した場所にしか開けないはずですよね?」

「原則はね。まあそれはいい。とりあえず門を繋げたから君はこの部屋に住んでいるような感じになる。今は無理だけど、君の村の子供に会わせてあげることも簡単になるだろう。当然、この後の展開による部分はとても大きいとは思うけどね」

「それは嬉しいです。一応は魔術で村の様子を観察していましたが、やはり子孫と会話をしたいと思っていましたから。あの、子供たちはどうなりましたか?」

「王都について国王に引き渡したよ。単純な予測だけで言えば子供たちは人間という種族的にかなり重要な存在だし、一々保護して来いって言うくらいだから危害を加える気はないだろう。問題はどういうふうに利用するかだけど、あの白い子の実力の一端を見た感じだと、一流の戦争に送り込まれたって生きて帰ってこれるだろうさ。仮にも人類最強の一族だし」

「お兄さまやアンナ、村の大人たちと比べることはできませんが、そうですね。子供たちは多少は強いと思いますが、それでも世界には強い存在などいくらでもいますよ。死んでしまうときはあっさり死んでしまいますから。やはり子供たちだけで戦わせるのは心配です」

「そうだろうね。今の世の中にはアイテムってものがあるからどれだけ強くても弱い奴にあっさり負けるかもしれないから」

「はい。……まったく、私たちの時代ではアイテムが全てではなく、身体能力や魔力が戦いにおいてとても重要でしたからとてもわかりやすかったですけど、ここまで強力過ぎるアイテムが世間に浸透し、戦闘手段として加わると個人の実力が全く分からないですからね」

 現代に対して色々と不満があるようだ。

「せっかくだからこの王都にも君の魔法による目を張り巡らせるといい。大したことはないが、あの村よりは刺激的だろう。千年ぶりに新しい景色が見られるだろうさ」

「ご配慮、ありがとうございます」

「配慮?ああ、まあ」

 千年の誤差を埋めてもらった方が有益な情報が手に入ると思っただけなのだが。

 千年前の感性や常識で、物事を判断されてはとても困るのだから。とりあえず精神的に若返ってもらわないと。

 でも、この方が好感を抱かれやすいだろう。出来るだけ協力的であってもらう方が望ましいからな。

 色々と考えていたら部屋の扉がノックされた。返事も待たずにドアが開けられると堂々と白い子が中に入ってきた。

「クルギス。国王が呼んでいるわ。会議だって」

「なんの?」

「多分、私たちの処遇についてかしら。かなり難航しているみたいよ。初めはクルギスを入れないで話し合いを終わらせようとしていたみたいだけど。できなくて呼ぶみたいだから」

「ふーん、まあそうだろうな。わかったよ今行く。悪いけどぼくは行くから「色々」としているといいよ」

「はい、わかりました」

 一時代を築いた初代の妹が現代で何をするのか、多少興味がある。それをどうやってぼくの利益に変えようかな。

 ぼくの欲しいものは一国の王子が一生をかけて稼ぐ金額よりも遥かに高いものだから。

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