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第13章
第344話
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「ハッ!!」
「グッ!!」
「このっ!!」
ドワーフ王国に出現した魔王アマドル。
救援を受け、魔人王国からラファエル。
隣国であるヴァーリャ王国の国王であるハイメが、援軍としてこの地へと現れて戦っていた。
ラファエルだけでは実力差があり、とても抑え込めるような相手ではなかったが、ハイメが来たことにより足止め程度はできるようになった。
戦闘方法はアマドルの攻撃をハイメが抑え、ラファエルが隙をついて魔法で攻撃するという形だ。
「ハハッ! なかなか面白いな」
「チッ!」「動きが速い……」
ハノイが防いだところをラファエルが魔法で攻撃をするのだが、アマドルにはその攻撃が通用しない。
アマドルはラファエルの攻撃を躱したり、装着している手甲で防いだりして全くダメージが与えられないでいた。
しかも、アマドルの態度を見る限りまだ余裕があるような様子だ。
「このままではジリ貧だ……」
「全くだ……」
ラファエルの呟きに、ハノイも同意する。
余裕のあるアマドルとは違い、自分たちはギリギリの状態だ。
アマドルの一撃はとんでもなく重い。
それを抑えるのに必死のハノイと、かなりの魔力を込めた魔法も通用しない。
このままでは敗戦濃厚だ。
「……ムッ?」
「「っ!?」」
ラファエルの魔法を躱したアマドルは、何かに反応するように視線を移す。
そのすぐ後、ラファエルたちも何かが迫っていることに気付いた。
「あっ! いた!」
「……オスカル? お前何でここに……?」
この場に現れたのは、カルロスの息子であるオスカルだった。
あまりにも意外な人物の登場に、ラファエルはさっきまでの緊張感が途切れそうになった。
しかし、そんな状況ではないため、オスカルへこの場に来た理由を問いかけた。
「お前の国に行ったらこの国にいるって聞いたからだが……、ヤバい状況みたいだな?」
「分かったなら、手を貸してくれ」
「あぁ、分かった」
転移の魔法を覚えたのでエナグア王国へと向かったが、目的のラファエルがいなかった。
魔王を名乗る者の出現により、ドワーフ王国へ援軍へ行っているということだった。
その存在は、祖父のケイにより危険だと聞いていた。
そんな相手にラファエルが勝てるか分からない。
そのため援軍に来たのだが、どうやら良くない空気を醸し出している。
空気を察したオスカルに、ラファエルは参戦することを頼む。
そのつもりで来たオスカルは、すぐに腰に差した刀と銃を抜いてアマドルへと構えを取った。
「おかしなのが来たな……」
見た目獣人だが、エルフのクオーターであるオスカル。
魔力の高い獣人を意外に思ったのか、アマドルはオスカルを興味深げに見つめた。
「援軍か……?」
「ハイメ様。エルフ王国のオスカルです」
急にきた獣人。
しかし、あまり見たことのない種族の者だ。
ラファエルの様子だと仲間のようだ。
そのため、ハイメはラファエルへと問いかける。
問われたラファエルは、簡潔にオスカルのことを紹介した。
「ケイ殿のとこの?」
「孫に当たります。ハイメ様のことは祖父より窺っております。微力ながら協力させていただきます」
「あぁ、頼む」
ラファエルのハイメという言葉で、オスカルはこの牛人がヴァーリャ王国国王のハイメだと理解する。
祖父のケイから聞かされていたからだ。
そのことを告げると、ハイメは笑みを浮かべて協力を了承してくれた。
「行くぞ!!」
「「はい!」」
3対1なんてはっきり言って卑怯と思えるが、相手が相手だ。
そんな事を気にせず、3人はアマドルへと向かって攻めかかった。
「待たせたな、セベリノ殿。カンタルボス元国王リカルドだ」
「エルフ王国レイナルドの子。ファビオです」
「同じくラウルです」
ラファエルとハイメに加え、オスカルがアマドルと戦い出したところで、カンタルボスからリカルドたちがドワーフ王国へと到着した。
許可なく転移で入国してしまったが、今はそんな事を言っている状況でないことは分かっている。
そのため、リカルドたちは手短にこの国の王であるセベリノへ挨拶を交わした。
「おぉ! よく来てくれた!」
「早速魔王の下へと向かいます!」
「申し訳ない! 協力感謝いたす!」
挨拶もそこそこに、リカルドたちは魔王と思わしき者のいる所へと向かった。
そのリカルドたちに、魔王に引き寄せられたらしき魔物たちと戦うセベリノは感謝の言葉をかけて見送った。
「フンッ!」
「グッ!!」
魔力の込められたアマドルの拳が迫り、オスカルは刀で防ぐ。
しかし、威力を抑えきることなどできず、オスカルはそのまま吹き飛ばされた。
「なんて威力してんだ……」
防御に専念していたハイメだが、ジワジワと威力の高まるアマドルの攻撃を抑えきれずに後退させられる。
ハイメを無理やり後退させたアマドルは、その隙に攻撃担当になっているオスカルとラファエルへと襲い掛かった。
強靭な肉体をしているハイメですら抑えきれないのだから、オスカルが抑えきれないのも当然といったところだろう。
引き飛ばされて着地したオスカルは、痺れる手を振って感覚を取り戻した。
「オラッ!」
「グゥッ!!」
オスカルに続いて、ラファエルにもアマドルの攻撃が飛んでくる。
ラファエルもその攻撃を刀で防ぐが、同じく吹き飛ばされるように飛んで行った。
「オスカル! お前手数が足りないぞ!」
「……すまん。転移で結構魔力を使っちまって……」
「お前……」
3対1になって有利になるかと思ったが、戦闘開始から全力で戦っている自分と同じ位の魔法攻撃しかしないオスカルに、ラファエルは文句を取ばす。
その指摘に対し、オスカルは申し訳なさそうに返答した。
その答えがどうしようもないものだったため、ラファエルは腹を立てるより呆れるしかなかった。
「ったく! 怪我をさせても回復してしまうってのに……」
3対1になって、オスカルとラファエルの攻撃は多少アマドルに怪我を負わせることができるようになった。
しかし、その怪我もすぐに回復してしまう。
これでは怪我を負わせても何の意味も成さない。
そのため、ラファエルは勝機が見いだせなかった。
「久々に動いたから体が重かったが、段々とほぐれてきた。お間らを相手にするのも飽きてきたし、そろそろ仕留めていくか……」
体をほぐすように動かしながら、アマドルは小さく呟く。
そして、標的を決めたのか、これまで以上の力を込めて地面を蹴った。
「まずはお前からだ!」
「っっっ!!」
標的になったのはラファエル。
あっという間にラファエルとの距離を詰めたアマドルは、魔力の込めた拳で殴りかかった。
“ドンッ!!”
「グウゥ……、なんて威力してやがんだ!」
「っ!?」
アマドルの拳がラファエルへ当たる前に、その攻撃を受け止める者が現れた。
拳を受け止めたその者は、その威力に文句を言いながら受け止めた手とは反対の手でアマドルに殴りかかった。
その攻撃を躱し、アマドルは後退した。
「……何者だ?」
「カンタルボス王国のリカルドだ!」
またも現れた援軍に、アマドルは面倒臭そうに問いかける。
その問いに答え、ラファエルのことを救ったのはリカルドだった。
「グッ!!」
「このっ!!」
ドワーフ王国に出現した魔王アマドル。
救援を受け、魔人王国からラファエル。
隣国であるヴァーリャ王国の国王であるハイメが、援軍としてこの地へと現れて戦っていた。
ラファエルだけでは実力差があり、とても抑え込めるような相手ではなかったが、ハイメが来たことにより足止め程度はできるようになった。
戦闘方法はアマドルの攻撃をハイメが抑え、ラファエルが隙をついて魔法で攻撃するという形だ。
「ハハッ! なかなか面白いな」
「チッ!」「動きが速い……」
ハノイが防いだところをラファエルが魔法で攻撃をするのだが、アマドルにはその攻撃が通用しない。
アマドルはラファエルの攻撃を躱したり、装着している手甲で防いだりして全くダメージが与えられないでいた。
しかも、アマドルの態度を見る限りまだ余裕があるような様子だ。
「このままではジリ貧だ……」
「全くだ……」
ラファエルの呟きに、ハノイも同意する。
余裕のあるアマドルとは違い、自分たちはギリギリの状態だ。
アマドルの一撃はとんでもなく重い。
それを抑えるのに必死のハノイと、かなりの魔力を込めた魔法も通用しない。
このままでは敗戦濃厚だ。
「……ムッ?」
「「っ!?」」
ラファエルの魔法を躱したアマドルは、何かに反応するように視線を移す。
そのすぐ後、ラファエルたちも何かが迫っていることに気付いた。
「あっ! いた!」
「……オスカル? お前何でここに……?」
この場に現れたのは、カルロスの息子であるオスカルだった。
あまりにも意外な人物の登場に、ラファエルはさっきまでの緊張感が途切れそうになった。
しかし、そんな状況ではないため、オスカルへこの場に来た理由を問いかけた。
「お前の国に行ったらこの国にいるって聞いたからだが……、ヤバい状況みたいだな?」
「分かったなら、手を貸してくれ」
「あぁ、分かった」
転移の魔法を覚えたのでエナグア王国へと向かったが、目的のラファエルがいなかった。
魔王を名乗る者の出現により、ドワーフ王国へ援軍へ行っているということだった。
その存在は、祖父のケイにより危険だと聞いていた。
そんな相手にラファエルが勝てるか分からない。
そのため援軍に来たのだが、どうやら良くない空気を醸し出している。
空気を察したオスカルに、ラファエルは参戦することを頼む。
そのつもりで来たオスカルは、すぐに腰に差した刀と銃を抜いてアマドルへと構えを取った。
「おかしなのが来たな……」
見た目獣人だが、エルフのクオーターであるオスカル。
魔力の高い獣人を意外に思ったのか、アマドルはオスカルを興味深げに見つめた。
「援軍か……?」
「ハイメ様。エルフ王国のオスカルです」
急にきた獣人。
しかし、あまり見たことのない種族の者だ。
ラファエルの様子だと仲間のようだ。
そのため、ハイメはラファエルへと問いかける。
問われたラファエルは、簡潔にオスカルのことを紹介した。
「ケイ殿のとこの?」
「孫に当たります。ハイメ様のことは祖父より窺っております。微力ながら協力させていただきます」
「あぁ、頼む」
ラファエルのハイメという言葉で、オスカルはこの牛人がヴァーリャ王国国王のハイメだと理解する。
祖父のケイから聞かされていたからだ。
そのことを告げると、ハイメは笑みを浮かべて協力を了承してくれた。
「行くぞ!!」
「「はい!」」
3対1なんてはっきり言って卑怯と思えるが、相手が相手だ。
そんな事を気にせず、3人はアマドルへと向かって攻めかかった。
「待たせたな、セベリノ殿。カンタルボス元国王リカルドだ」
「エルフ王国レイナルドの子。ファビオです」
「同じくラウルです」
ラファエルとハイメに加え、オスカルがアマドルと戦い出したところで、カンタルボスからリカルドたちがドワーフ王国へと到着した。
許可なく転移で入国してしまったが、今はそんな事を言っている状況でないことは分かっている。
そのため、リカルドたちは手短にこの国の王であるセベリノへ挨拶を交わした。
「おぉ! よく来てくれた!」
「早速魔王の下へと向かいます!」
「申し訳ない! 協力感謝いたす!」
挨拶もそこそこに、リカルドたちは魔王と思わしき者のいる所へと向かった。
そのリカルドたちに、魔王に引き寄せられたらしき魔物たちと戦うセベリノは感謝の言葉をかけて見送った。
「フンッ!」
「グッ!!」
魔力の込められたアマドルの拳が迫り、オスカルは刀で防ぐ。
しかし、威力を抑えきることなどできず、オスカルはそのまま吹き飛ばされた。
「なんて威力してんだ……」
防御に専念していたハイメだが、ジワジワと威力の高まるアマドルの攻撃を抑えきれずに後退させられる。
ハイメを無理やり後退させたアマドルは、その隙に攻撃担当になっているオスカルとラファエルへと襲い掛かった。
強靭な肉体をしているハイメですら抑えきれないのだから、オスカルが抑えきれないのも当然といったところだろう。
引き飛ばされて着地したオスカルは、痺れる手を振って感覚を取り戻した。
「オラッ!」
「グゥッ!!」
オスカルに続いて、ラファエルにもアマドルの攻撃が飛んでくる。
ラファエルもその攻撃を刀で防ぐが、同じく吹き飛ばされるように飛んで行った。
「オスカル! お前手数が足りないぞ!」
「……すまん。転移で結構魔力を使っちまって……」
「お前……」
3対1になって有利になるかと思ったが、戦闘開始から全力で戦っている自分と同じ位の魔法攻撃しかしないオスカルに、ラファエルは文句を取ばす。
その指摘に対し、オスカルは申し訳なさそうに返答した。
その答えがどうしようもないものだったため、ラファエルは腹を立てるより呆れるしかなかった。
「ったく! 怪我をさせても回復してしまうってのに……」
3対1になって、オスカルとラファエルの攻撃は多少アマドルに怪我を負わせることができるようになった。
しかし、その怪我もすぐに回復してしまう。
これでは怪我を負わせても何の意味も成さない。
そのため、ラファエルは勝機が見いだせなかった。
「久々に動いたから体が重かったが、段々とほぐれてきた。お間らを相手にするのも飽きてきたし、そろそろ仕留めていくか……」
体をほぐすように動かしながら、アマドルは小さく呟く。
そして、標的を決めたのか、これまで以上の力を込めて地面を蹴った。
「まずはお前からだ!」
「っっっ!!」
標的になったのはラファエル。
あっという間にラファエルとの距離を詰めたアマドルは、魔力の込めた拳で殴りかかった。
“ドンッ!!”
「グウゥ……、なんて威力してやがんだ!」
「っ!?」
アマドルの拳がラファエルへ当たる前に、その攻撃を受け止める者が現れた。
拳を受け止めたその者は、その威力に文句を言いながら受け止めた手とは反対の手でアマドルに殴りかかった。
その攻撃を躱し、アマドルは後退した。
「……何者だ?」
「カンタルボス王国のリカルドだ!」
またも現れた援軍に、アマドルは面倒臭そうに問いかける。
その問いに答え、ラファエルのことを救ったのはリカルドだった。
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