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第11章
第277話
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「ケイ殿に捕まえていただいた者たちと、遺体から色々と情報が手に入りました」
「あぁ、ありがとう」
密かに魔人大陸に潜入して来たどこかの国の斥候を捕まえたケイ。
生け捕りにした2人と息の根を止めた6人の遺体の扱いは、説明をしてバレリオに任せた。
国内への侵入ならともかく、さすがに大陸に入ってくる者までは察知できない。
それをケイに捕縛してもらえ、バレリオたちには感謝された。
どうやって聞き出したかは聞いていないが、捕まえた2人と6人の遺体から得た情報を、バレリオはわざわざ羊皮紙に書いてケイに渡してくれた。
「エヌーノ王国? 聞いたことない国だな」
ケイは、日向に向かうために人族大陸の横断をした事がある。
とは言っても、南の方が中心だったため、北の方にある国のことはよく分からない。
恐らく、エヌーノという国は北側に存在する国なのだろう。
聞き覚えがないのは仕方がない。
「エルスール王国の南に最近できた小さい国のようです。人族の中でもそれほど知られていないとか」
「結構北だな」
エルスール王国と聞いて、ケイはなんとなくエヌーノ王国の場所を理解する。
何故なら、エルスール王国が北にある国だということは有名だからだ。
北にあり、領土の半分は冬になると超極寒になるという話だ。
アンヘル島では雪はあまり降らないので、雪の積もった白銀の世界というのは見ることはない。
見てみたい気もするが、前世の時から寒いのが苦手なケイは、あまり行きたくない国の1つだ。
「山に囲まれた小さな町が勝手に国を名乗ったといったところらしいです」
「なるほど」
大体の位置が分かったケイに、バレリオは人族大陸の地図を出してエヌーノ王国の位置を指さして教えてくれた。
たしかに、指さしたところは全方位を山に囲まれており、国と呼ぶには小さい。
「領土拡大を図りたくても、他の国に攻め込めるほどの巨大ではないうえに、攻め込むにしても山越えで労力を奪われるため、とてもではないが無理なようです」
「そりゃそうだろ」
そもそも、エヌーノ王国は国を名乗るほどの大きさの国ではない。
エルフ王国を名乗るアンヘル島の半分くらいの大きさしかない。
それがエルスールはもちろんのこと、周囲の国へ攻め込むなんて無謀も良いところだ。
周囲の国も、わざわざ手に入れに動くほどの地と思っていないのか、完全に孤立している。
「それで、魔人領を得て、巨大な領地を手に入れようって考えか?」
「そのようです」
周辺の国から領土を奪いたくても不可能。
なら、どこなら可能かと考えた時、魔物は強くても人が住んでいる場所は少ない魔人大陸に目を付けたのかもしれない。
山に囲まれているが、エヌーノ王国には1か所だけ海岸があるさしく、そこから西に向かえば魔人大陸にはすんなり上陸できるらしい。
何かと都合が合い、他の選択を考えなくなったのか、エヌーノ王は魔人大陸侵攻を決めたらしい。
「今回の斥候の人数が少ないのも人員不足からか?」
潜入にしては人数が少ないため、ケイが相手した8人は少数精鋭で送ってきたのかと思ったが、話から考えると人材不足という方がしっくりくる。
何しろ、実力自体もたいしたことなかったからだ。
魔力操作のレベルは、本格的に訓練し始めて3ヵ月程度のバレリオより少し上なくらい。
戦いでは魔力操作が重要だが、それだけで決まるというものでもない。
他にも剣術などの練度などの総合的なことも関わってくるので、恐らく1対1ならバレリオが勝てる可能性が高い。
その程度の実力の者ばかりなら、ドワーフ王国の援護のあるエナグアなら有利に戦えるはずだ。
「俺が進入して来てもいいんだが……」
アンヘル島よりも小さい領土の国なら、ケイが密かに進入して暗躍すればもっと有利にすることができるかもしれない。
それをすれば、そもそも魔人大陸への侵攻ということすらなくなるかもしれない。
「……だからか?」
ドワーフ王国の王太子であるセベリノは、ケイに魔人たちの強化だけを頼んで来た。
ケイに言えば、そもそも侵攻すら防げるというのにそれを頼んで来なかった。
もしかしたら侵攻して来るのを待っているかのようにも思えてくる。
勝てるかもしれないとは言っても、戦争になるのを良しとするとは考えにくいが、なんとなくそう思えてくる。
「わざわざドワーフの力を借りなくても強くなれって言いたいのか?」
攻めて来るとしても、残り3ヵ月程。
それだけの期間があれば、もしかしたらエナグアだけで勝てるようになるかもしれない。
セベリノはそれを期待しているのだろうか。
いつまでもドワーフ製の武器に頼っている様では成長が見込めない。
そうなると、毎回ドワーフに助力を求めてくることになる。
いくらなんでも毎回となったら、ドワーフたちも迷惑だ。
しかし、自分たちの武器を評価してもらっている魔人たちに、武器を渡した自分たちが直接言うのは躊躇われる。
だから、あまり魔人とは関係のないエルフのケイに頼んでしまおうという考えに至ったのではないだろうか。
「……後で、魔道具沢山要求しよう」
思いついたらそうとしか思えなくなってきてしまった。
別にそれならそれで構わないが、黙っていなくてもいい気がする。
なので、ケイはちょっと腹いせに、報酬の魔道具を多めにもらうことにしたのだった。
「あぁ、ありがとう」
密かに魔人大陸に潜入して来たどこかの国の斥候を捕まえたケイ。
生け捕りにした2人と息の根を止めた6人の遺体の扱いは、説明をしてバレリオに任せた。
国内への侵入ならともかく、さすがに大陸に入ってくる者までは察知できない。
それをケイに捕縛してもらえ、バレリオたちには感謝された。
どうやって聞き出したかは聞いていないが、捕まえた2人と6人の遺体から得た情報を、バレリオはわざわざ羊皮紙に書いてケイに渡してくれた。
「エヌーノ王国? 聞いたことない国だな」
ケイは、日向に向かうために人族大陸の横断をした事がある。
とは言っても、南の方が中心だったため、北の方にある国のことはよく分からない。
恐らく、エヌーノという国は北側に存在する国なのだろう。
聞き覚えがないのは仕方がない。
「エルスール王国の南に最近できた小さい国のようです。人族の中でもそれほど知られていないとか」
「結構北だな」
エルスール王国と聞いて、ケイはなんとなくエヌーノ王国の場所を理解する。
何故なら、エルスール王国が北にある国だということは有名だからだ。
北にあり、領土の半分は冬になると超極寒になるという話だ。
アンヘル島では雪はあまり降らないので、雪の積もった白銀の世界というのは見ることはない。
見てみたい気もするが、前世の時から寒いのが苦手なケイは、あまり行きたくない国の1つだ。
「山に囲まれた小さな町が勝手に国を名乗ったといったところらしいです」
「なるほど」
大体の位置が分かったケイに、バレリオは人族大陸の地図を出してエヌーノ王国の位置を指さして教えてくれた。
たしかに、指さしたところは全方位を山に囲まれており、国と呼ぶには小さい。
「領土拡大を図りたくても、他の国に攻め込めるほどの巨大ではないうえに、攻め込むにしても山越えで労力を奪われるため、とてもではないが無理なようです」
「そりゃそうだろ」
そもそも、エヌーノ王国は国を名乗るほどの大きさの国ではない。
エルフ王国を名乗るアンヘル島の半分くらいの大きさしかない。
それがエルスールはもちろんのこと、周囲の国へ攻め込むなんて無謀も良いところだ。
周囲の国も、わざわざ手に入れに動くほどの地と思っていないのか、完全に孤立している。
「それで、魔人領を得て、巨大な領地を手に入れようって考えか?」
「そのようです」
周辺の国から領土を奪いたくても不可能。
なら、どこなら可能かと考えた時、魔物は強くても人が住んでいる場所は少ない魔人大陸に目を付けたのかもしれない。
山に囲まれているが、エヌーノ王国には1か所だけ海岸があるさしく、そこから西に向かえば魔人大陸にはすんなり上陸できるらしい。
何かと都合が合い、他の選択を考えなくなったのか、エヌーノ王は魔人大陸侵攻を決めたらしい。
「今回の斥候の人数が少ないのも人員不足からか?」
潜入にしては人数が少ないため、ケイが相手した8人は少数精鋭で送ってきたのかと思ったが、話から考えると人材不足という方がしっくりくる。
何しろ、実力自体もたいしたことなかったからだ。
魔力操作のレベルは、本格的に訓練し始めて3ヵ月程度のバレリオより少し上なくらい。
戦いでは魔力操作が重要だが、それだけで決まるというものでもない。
他にも剣術などの練度などの総合的なことも関わってくるので、恐らく1対1ならバレリオが勝てる可能性が高い。
その程度の実力の者ばかりなら、ドワーフ王国の援護のあるエナグアなら有利に戦えるはずだ。
「俺が進入して来てもいいんだが……」
アンヘル島よりも小さい領土の国なら、ケイが密かに進入して暗躍すればもっと有利にすることができるかもしれない。
それをすれば、そもそも魔人大陸への侵攻ということすらなくなるかもしれない。
「……だからか?」
ドワーフ王国の王太子であるセベリノは、ケイに魔人たちの強化だけを頼んで来た。
ケイに言えば、そもそも侵攻すら防げるというのにそれを頼んで来なかった。
もしかしたら侵攻して来るのを待っているかのようにも思えてくる。
勝てるかもしれないとは言っても、戦争になるのを良しとするとは考えにくいが、なんとなくそう思えてくる。
「わざわざドワーフの力を借りなくても強くなれって言いたいのか?」
攻めて来るとしても、残り3ヵ月程。
それだけの期間があれば、もしかしたらエナグアだけで勝てるようになるかもしれない。
セベリノはそれを期待しているのだろうか。
いつまでもドワーフ製の武器に頼っている様では成長が見込めない。
そうなると、毎回ドワーフに助力を求めてくることになる。
いくらなんでも毎回となったら、ドワーフたちも迷惑だ。
しかし、自分たちの武器を評価してもらっている魔人たちに、武器を渡した自分たちが直接言うのは躊躇われる。
だから、あまり魔人とは関係のないエルフのケイに頼んでしまおうという考えに至ったのではないだろうか。
「……後で、魔道具沢山要求しよう」
思いついたらそうとしか思えなくなってきてしまった。
別にそれならそれで構わないが、黙っていなくてもいい気がする。
なので、ケイはちょっと腹いせに、報酬の魔道具を多めにもらうことにしたのだった。
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