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第10章
第255話
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「何だ? これは……」
八坂の配慮もあって、西厚率いる他の隊と共にケイは南門へと向かった。
そして、たどり着いた時には、多くの日向兵が蛇に纏わりつかれていた所だった。
その様子に、ケイと共に来た兵たちは疑問の声をあげる。
「あいつが操っているのか……?」
まだこの場に着いたばかりのため、現状を理解できない西厚の兵たち。
ケイも分かっている訳ではないが、誰がこの状況を作り上げているのかはすぐに分かった。
城の内部から、ゾロゾロと溢れるように蛇が出現しているのにもかかわらず、1人の人間の周りには綺麗な円を描くように蛇が近付かないでいる。
その者が、蛇を使って近寄る兵に差し向けているのだと予想できた。
「っ!? 奴が綱泉佐志峰です!!」
「奴が!?」
この城の周囲に集まった兵たちは、本をただせば綱泉と上重を捕縛するのが目的である。
たったそれだけのために大量の軍が城を包囲をしたのだが、降伏をするどころか魔物を使った徹底抗戦をしかけてきた。
異常な種と数の魔物によって侵入を困難にさせられたが、その捕縛対象の1人が姿を現したということになる。
だが、それも解せない。
話だとバカ大名と密かに言われている綱泉佐志峰が、何故1人で現れ、何故大量の魔物を操っているのか疑問に思えてくる。
「蛇が……」
佐志峰に操られている蛇の魔物たちは、近付く兵に纏わりつくと、噛みつき・締め付け、捕まえた兵をすぐに戦闘不能へと追い込んで行っている。
しかも、
「く、食っているのか?」
蛇によって戦闘不能に追い込まれた兵は、そのまま纏わりついたままの蛇たちに襲い掛かられている。
そして、小さな悲鳴のような物が聞こえると、蛇たちの隙間から血が噴き出し、食い散らかされていった。
まだ意識があるのにもかかわらず食われていく悲惨な姿に、他の日向の兵たちは顔を青くする。
佐志峰に斬りかかりたいが、近付く前に蛇に止められて自分も同じようになるのではと、頭に映像が浮かんでいるのだろう。
攻めかからなければならないのは分かっていても、二の足を踏んでしまっている。
「どうした? かかって来ないのか?」
段々と近付こうとする兵がいなくなり、佐志峰はヘラヘラとした笑みを浮かべて挑発するような発言をしてくる。
思いを逆撫でするようなその態度に、誰もが怒りを覚える。
しかし、一気に攻めかかるならまだしも、バラバラに行こうものならあっという間に蛇たちの餌食になりかねない。
それを考えると、どうしても攻めかかることができいない。
「おのれー!!」
「あっ!」「おいっ!」
佐志峰の先程の態度やの、仲間が生きたまま食われていくことが耐えられないのか、中には無謀にも斬りかかって行く者もいる。
今も仲間たちが止めるのも聞かずに佐志峰へと1人の兵士が向かって行った。
「「「「「シャーー!!」」」」」
「くっ!? くそっ!!」
飛び出した兵は、寄って来る蛇を斬りながら佐志峰へと迫る。
しかし、佐志峰に近付けば近付くほどに寄手来る蛇の数は増えてくる。
一旦引き、勢いを付けてもう一度斬りかかろうとするが、その時には周囲を蛇に囲まれており、もうその場で刀を振り回して対応する以外出来なくなっていた。
「ぐっ、ぐあっ!? ぐあーー……!!」
その場から動けなくなると、もう蛇たちが纏わりついてくるのを止められず、ジワジワと蛇たちが集まって来て兵を動けなくしていった。
そして、その兵はそのまま悲鳴と共に蛇に喰われて行った。
「勇敢と無謀は違ものだよ。君!」
顏の部分だけ埋もれず、悲鳴を上げながら喰われて行っている兵に対し、佐志峰は目を向けて忠告するように言葉をかける。
「調子に乗ってるな……」
「おのれ!! 佐志峰ー!!」
その様子を見ていたケイは、余裕の態度で囲んでいる兵を眺めている佐志峰の態度に、イラつきを覚える。
側にいる西厚は、八坂とは違い激情家のきらいがあるようだ。
先程の兵のように、感情に任せてツッコんで行くかもしれない様子に、ケイもちょっと不安に思えてくる。
「「んっ?」」
佐志峰の前で何もできずにいる日向の兵たち。
しかし、このまま睨み合っていても事態は進まない。
どうするべきかと誰もが考えていたところ、数人の人間が軍の一歩前へ出てきた。
「んっ? ほぅ……異人か?」
その出てきた者たちを見て、佐志峰は意外そうな表情に変わる。
元々、日向は日本の江戸時代のように閉鎖している訳ではない。
港町があまりないため、入ってくる大陸の人間は少なく、大陸とは違う異文化を味わうくらいの感覚で入ってくる者が多い。
商人も、日向内で出来上がっているネットワークに入って行くには、かなりの時間と労力がかかると踏んでいる。
そのため、港間で取引をすることでウィンウィンの関係を保つようにしているようだ。
つまり、日向内で大陸の人間に会うことは少ないが、全く皆無という訳でもない。
日向の要人とかかわりのある大陸の冒険者もいない訳ではない。
「恐らく、彼らは大陸の冒険者です」
「冒険者……」
彼らの姿を見たケイは、すぐにそうだと分かった。
姿や装備している武器を見れば、大陸の人間ならだれでも判断できる。
しかし、日向の人間だと顔立ちの違いに目が行き、異人ということ以外見ただけでは分からないのかもしれない。
西厚も同じらしく、ケイの説明に小さく呟いた。
「行くぞ!!」
「「「「おうっ!!」」」」
佐志峰だけでなく、他の日向の人間も見つめる中、その冒険者たちは一気に走り出したのだった。
八坂の配慮もあって、西厚率いる他の隊と共にケイは南門へと向かった。
そして、たどり着いた時には、多くの日向兵が蛇に纏わりつかれていた所だった。
その様子に、ケイと共に来た兵たちは疑問の声をあげる。
「あいつが操っているのか……?」
まだこの場に着いたばかりのため、現状を理解できない西厚の兵たち。
ケイも分かっている訳ではないが、誰がこの状況を作り上げているのかはすぐに分かった。
城の内部から、ゾロゾロと溢れるように蛇が出現しているのにもかかわらず、1人の人間の周りには綺麗な円を描くように蛇が近付かないでいる。
その者が、蛇を使って近寄る兵に差し向けているのだと予想できた。
「っ!? 奴が綱泉佐志峰です!!」
「奴が!?」
この城の周囲に集まった兵たちは、本をただせば綱泉と上重を捕縛するのが目的である。
たったそれだけのために大量の軍が城を包囲をしたのだが、降伏をするどころか魔物を使った徹底抗戦をしかけてきた。
異常な種と数の魔物によって侵入を困難にさせられたが、その捕縛対象の1人が姿を現したということになる。
だが、それも解せない。
話だとバカ大名と密かに言われている綱泉佐志峰が、何故1人で現れ、何故大量の魔物を操っているのか疑問に思えてくる。
「蛇が……」
佐志峰に操られている蛇の魔物たちは、近付く兵に纏わりつくと、噛みつき・締め付け、捕まえた兵をすぐに戦闘不能へと追い込んで行っている。
しかも、
「く、食っているのか?」
蛇によって戦闘不能に追い込まれた兵は、そのまま纏わりついたままの蛇たちに襲い掛かられている。
そして、小さな悲鳴のような物が聞こえると、蛇たちの隙間から血が噴き出し、食い散らかされていった。
まだ意識があるのにもかかわらず食われていく悲惨な姿に、他の日向の兵たちは顔を青くする。
佐志峰に斬りかかりたいが、近付く前に蛇に止められて自分も同じようになるのではと、頭に映像が浮かんでいるのだろう。
攻めかからなければならないのは分かっていても、二の足を踏んでしまっている。
「どうした? かかって来ないのか?」
段々と近付こうとする兵がいなくなり、佐志峰はヘラヘラとした笑みを浮かべて挑発するような発言をしてくる。
思いを逆撫でするようなその態度に、誰もが怒りを覚える。
しかし、一気に攻めかかるならまだしも、バラバラに行こうものならあっという間に蛇たちの餌食になりかねない。
それを考えると、どうしても攻めかかることができいない。
「おのれー!!」
「あっ!」「おいっ!」
佐志峰の先程の態度やの、仲間が生きたまま食われていくことが耐えられないのか、中には無謀にも斬りかかって行く者もいる。
今も仲間たちが止めるのも聞かずに佐志峰へと1人の兵士が向かって行った。
「「「「「シャーー!!」」」」」
「くっ!? くそっ!!」
飛び出した兵は、寄って来る蛇を斬りながら佐志峰へと迫る。
しかし、佐志峰に近付けば近付くほどに寄手来る蛇の数は増えてくる。
一旦引き、勢いを付けてもう一度斬りかかろうとするが、その時には周囲を蛇に囲まれており、もうその場で刀を振り回して対応する以外出来なくなっていた。
「ぐっ、ぐあっ!? ぐあーー……!!」
その場から動けなくなると、もう蛇たちが纏わりついてくるのを止められず、ジワジワと蛇たちが集まって来て兵を動けなくしていった。
そして、その兵はそのまま悲鳴と共に蛇に喰われて行った。
「勇敢と無謀は違ものだよ。君!」
顏の部分だけ埋もれず、悲鳴を上げながら喰われて行っている兵に対し、佐志峰は目を向けて忠告するように言葉をかける。
「調子に乗ってるな……」
「おのれ!! 佐志峰ー!!」
その様子を見ていたケイは、余裕の態度で囲んでいる兵を眺めている佐志峰の態度に、イラつきを覚える。
側にいる西厚は、八坂とは違い激情家のきらいがあるようだ。
先程の兵のように、感情に任せてツッコんで行くかもしれない様子に、ケイもちょっと不安に思えてくる。
「「んっ?」」
佐志峰の前で何もできずにいる日向の兵たち。
しかし、このまま睨み合っていても事態は進まない。
どうするべきかと誰もが考えていたところ、数人の人間が軍の一歩前へ出てきた。
「んっ? ほぅ……異人か?」
その出てきた者たちを見て、佐志峰は意外そうな表情に変わる。
元々、日向は日本の江戸時代のように閉鎖している訳ではない。
港町があまりないため、入ってくる大陸の人間は少なく、大陸とは違う異文化を味わうくらいの感覚で入ってくる者が多い。
商人も、日向内で出来上がっているネットワークに入って行くには、かなりの時間と労力がかかると踏んでいる。
そのため、港間で取引をすることでウィンウィンの関係を保つようにしているようだ。
つまり、日向内で大陸の人間に会うことは少ないが、全く皆無という訳でもない。
日向の要人とかかわりのある大陸の冒険者もいない訳ではない。
「恐らく、彼らは大陸の冒険者です」
「冒険者……」
彼らの姿を見たケイは、すぐにそうだと分かった。
姿や装備している武器を見れば、大陸の人間ならだれでも判断できる。
しかし、日向の人間だと顔立ちの違いに目が行き、異人ということ以外見ただけでは分からないのかもしれない。
西厚も同じらしく、ケイの説明に小さく呟いた。
「行くぞ!!」
「「「「おうっ!!」」」」
佐志峰だけでなく、他の日向の人間も見つめる中、その冒険者たちは一気に走り出したのだった。
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