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第10章
第239話
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「死ね! 八坂!」
「くっ!!」
美稲の町までもう少しといった距離で、坂岡源次郎に追いつかれた八坂。
若さと実力で上を行く源次郎は、あっという間に八坂を追い詰める。
そして、源次郎は止めを刺しに動いた。
“バッ!!”
「っ!?」
八坂までの距離残り僅かといったところで、視界の端から人が迫っていたことに源次郎は目を見開いて驚く。
街道付近の樹々の中にいるため、魔物が寄ってくる可能性は僅かにある。
そのため、警戒を一応していたが、八坂を殺さなければならないという思いからか、その警戒が薄かったのは事実。
しかしながら、ここまで接近を許すとは思いしなかった。
八坂の殺害を確信したことによる油断が僅かながらあったのかもしれない。
現れたのは、ケイの従魔であるクウに乗った織牙善貞だった。
避難場所にいた善貞だったが、ケイによって護衛代わりにつけられたクウが急に忙しなく動き出し、西の方角へ行きたがった。
それを見て、善貞は何かあるのかと感じた。
そして、どうするべきか悩んだ。
クウだけ行かせるというのはすぐに思いついた。
しかし、織牙一族が引き起こしたことにより、八坂家へ多大な迷惑をかけた汚名を晴らすこともせず、このように避難している自分に腹が立つ。
せめて、八坂の盾にでもなれればと思う。
そう思うと、もう自分を止められなかった。
鼻が利くクウと共に、高速で西へと行動を開始したのだ。
『俺が使える魔闘術は数秒だけ!!』
移動速度を上げるためにクウに乗り、西へ向かって少しすると、遠次郎と八坂が戦い始めていた。
そのため、気配を消して近付くと、あっという間に八坂が窮地に追いやられた。
『それを使うなら、今!! この時!!』
八坂の絶対絶命の瞬間。
今この時は源次郎も警戒心が薄れているはず。
この瞬間、樹の陰から飛び出した善貞は、魔力を纏った状態で源次郎へと攻撃を放つ。
振り下ろしたり、薙いだりと攻撃することも考えたが、その僅かな時間も短縮しないと、自分よりも数段上の実力を持つ源次郎には攻撃が当たらないと判断し、善貞は八坂へ片手突きを放とうとしている源次郎の姿が目に入った。
片手突きを放ち、あとは移動速度の惰性で八坂の心臓を突き抜ける。
そう源次郎は思っていた。
しかし、横から出てきた善貞の突きの方が、八坂に刀が届く数瞬前に自分の体に届いてしまう。
「がぁっ!!」
流石と言うべきか、源次郎は足を地面へと突き出し、前進する移動速度を止め、ギリギリで自分の体へ向かって来ていた善貞の刺突を躱すことに成功した。
「ぐあっ!!」
しかし、善貞の突きは、源次郎の体を刺さすことはできなかったが、八坂の心臓を撃ち抜くべく突き出していた腕へと刺さった。
つまり、剣を持っていた右腕、源次郎は怪我によって一気に握力がなくなり、意図せず持っていた刀を落としてしまう。
「ぐぅ……、貴様!!」
傷を負った源次郎は、怪我した腕を抑えて蹲りながら、怒りの表情で善貞のことを睨みつける。
顏は知っている。
ケイの側にいたただの浪人。
それだけの印象しかない男が、まさかこの場に現れるなど、誰も気付くはずがない。
「お主はケイ殿の……!? 感謝する!!」
「大丈夫ですか!?」
善貞の攻撃により、源次郎は刀を失った状況。
しかも、片腕はこの戦いの間は使えないだろう。
この機を逃す訳にはいかない。
八坂は、治まったとは言え蹴られた腹の痛みに耐えながら、源次郎を避けて美稲の町へと向かおうとする。
「っ!? おのれっ!!」
逃げられる訳にはいかない。
左手で腰の脇差を抜いた源次郎は、逃げようとする八坂へ向かって斬りかかる。
「ふんっ!! 片手でしかも脇差では実力も十全に出せまい!?」
「ぐっ!! このっ!!」
脇差で、しかも左手だけの攻撃を防ぐため、八坂は足を止める。
そして、攻撃を受け止めて思うのは、先程までのような圧力を感じないということだった。
その原因は、武器と怪我によるものだろう。
少し情けない話だが、この状態なら八坂にも分があるだろう。
「坂岡様!!」
比佐丸たちを相手にしている者の中に、源次郎の危機を感じた者がいたらしい。
八坂と斬り合っている源次郎に加勢をしようと、こちらへ向かって走ってきた。
「バウッ!!」
「ぐあっ!?」
しかし、こちらへ向かってきた剣士に、クウが飛び掛かった。
その剣士はクウの速度に対応できず、刀を持つ腕を噛みつかれてもんどりうって倒れた。
「いいぞ! クウ!」
魔闘術をまた発動するには時間がかかるため、八坂と源次郎の戦いに入って行けない善貞は、クウが敵を倒したことに笑みを浮かべた。
あの不意打ちの一撃だけが、今この場で善貞ができる唯一のことだったのかもしれない。
今は戦いの邪魔にならないように、おとなしくしていることしかできない。
「ぐっ!!」
「八坂様っ!?」
クウの方に目が行っていると、いつの間にか八坂が劣勢に立たされていた。
鍔迫り合いの状況から肩で体当たりをかまされ、八坂は後方へと飛ばされる。
たたらを踏むように後方へと戻された八坂は、何とか体勢を元に戻す。
「ジジイのくせに、片腕、脇差の俺なら勝てるとでも思ったのか?」
脇差で、しかも怪我を負って左手だけの状況でも僅かに源次郎の方が実力が上のようだ。
細かい斬り傷を多く負っているのは、どうやら八坂の方だ。
しかも、後方に戻されたことにより、落とした自分の刀を源次郎に拾われてしまった。
“バッ!!”
「……? 何の真似だ? 貴様!」
武器の有利もなくなってしまっては、八坂の不利が強まる。
そう判断した善貞は、八坂に背を向けるように立ち、源次郎に向けて刀を構えたのだった。
まぐれ当たりをしただけで、実力のほどもわきまえない善貞に、源次郎の眉間のシワが強まる。
「俺にはこの人を守らなければならない義務がある! お前と刺し違えてでも!!」
「……お主………」
一族の汚名を晴らす。
ただそれだけのために、自分はこの場へと来た。
そのため、善貞は最後の覚悟を決めた。
自分の命を賭してでも八坂を救うという覚悟を。
善貞が覚悟を持って立っているのは分かるが、八坂の方はそこまで善貞にされるいわれはない。
そもそも、八坂も源次郎も、善貞のことを太助という名前の浪人でしかないと思っている。
そのため、ケイはともかく、たいした実力もないのにこの場に来たことが不思議でならない。
「刺し違える? 貴様がか? ハハハ……」
たしかに決意のある目をしている。
思いは剣に宿ると剣術道場で教わったが、それで源次郎との実力は埋められない。
それを善貞が分かっていないと思ったのか、源次郎は冗談だというように笑い出した。
「運よく俺に怪我を負わせたからといって、調子に乗るなよ!! 屑が!!」
笑われていることを気にすることなく構え続ける善貞に、本気で刺し違えるつもりなのだと感じた源次郎は、何だか馬鹿にされているように思え、一気に怒りの沸点が上がる。
その怒りに任せ、源次郎は善貞へと斬りかかった。
“キンッ!!”
「っ!?」
源次郎の攻撃は、一刀の下に善貞を斬り殺すのではなく、善貞の武器をわざと剣で叩くことによって防御がガラ空きの状態にすることだった。
「吹き飛べ!!」
“ボガッ!!”
「はがっ!?」
ガラ空きになった善貞の顔面へ、源次郎の上段蹴りが直撃する。
その攻撃によって善貞は吹き飛び、樹の幹に背中を打ちつけて地面へと崩れ落ちた。
たったその一撃で意識が飛びかけ、善貞はそのまま動けなくなった。
「おいっ!!」
「はっ! 一丁前のことを言ったくせに一撃かよ? 口だけ野郎が!」
善貞の安否を気遣い、八坂は声をかけるが反応がない。
しかし、体が僅かに動いているのを確認した八坂は、ひとまず安堵する。
怪我の仕返しに何発か蹴りを食らわせるつもりでいたが、一発で動かなくなった善貞のことを、源次郎は嘲笑した。
「さて、今度こそ終わりだ……」
甚振る遊びができなかったことで僅かに冷めたが、それよりも八坂の始末が優先だ。
そう思った源次郎は、八坂の前に立ち剣を振り上げたのだった。
「くっ!!」
美稲の町までもう少しといった距離で、坂岡源次郎に追いつかれた八坂。
若さと実力で上を行く源次郎は、あっという間に八坂を追い詰める。
そして、源次郎は止めを刺しに動いた。
“バッ!!”
「っ!?」
八坂までの距離残り僅かといったところで、視界の端から人が迫っていたことに源次郎は目を見開いて驚く。
街道付近の樹々の中にいるため、魔物が寄ってくる可能性は僅かにある。
そのため、警戒を一応していたが、八坂を殺さなければならないという思いからか、その警戒が薄かったのは事実。
しかしながら、ここまで接近を許すとは思いしなかった。
八坂の殺害を確信したことによる油断が僅かながらあったのかもしれない。
現れたのは、ケイの従魔であるクウに乗った織牙善貞だった。
避難場所にいた善貞だったが、ケイによって護衛代わりにつけられたクウが急に忙しなく動き出し、西の方角へ行きたがった。
それを見て、善貞は何かあるのかと感じた。
そして、どうするべきか悩んだ。
クウだけ行かせるというのはすぐに思いついた。
しかし、織牙一族が引き起こしたことにより、八坂家へ多大な迷惑をかけた汚名を晴らすこともせず、このように避難している自分に腹が立つ。
せめて、八坂の盾にでもなれればと思う。
そう思うと、もう自分を止められなかった。
鼻が利くクウと共に、高速で西へと行動を開始したのだ。
『俺が使える魔闘術は数秒だけ!!』
移動速度を上げるためにクウに乗り、西へ向かって少しすると、遠次郎と八坂が戦い始めていた。
そのため、気配を消して近付くと、あっという間に八坂が窮地に追いやられた。
『それを使うなら、今!! この時!!』
八坂の絶対絶命の瞬間。
今この時は源次郎も警戒心が薄れているはず。
この瞬間、樹の陰から飛び出した善貞は、魔力を纏った状態で源次郎へと攻撃を放つ。
振り下ろしたり、薙いだりと攻撃することも考えたが、その僅かな時間も短縮しないと、自分よりも数段上の実力を持つ源次郎には攻撃が当たらないと判断し、善貞は八坂へ片手突きを放とうとしている源次郎の姿が目に入った。
片手突きを放ち、あとは移動速度の惰性で八坂の心臓を突き抜ける。
そう源次郎は思っていた。
しかし、横から出てきた善貞の突きの方が、八坂に刀が届く数瞬前に自分の体に届いてしまう。
「がぁっ!!」
流石と言うべきか、源次郎は足を地面へと突き出し、前進する移動速度を止め、ギリギリで自分の体へ向かって来ていた善貞の刺突を躱すことに成功した。
「ぐあっ!!」
しかし、善貞の突きは、源次郎の体を刺さすことはできなかったが、八坂の心臓を撃ち抜くべく突き出していた腕へと刺さった。
つまり、剣を持っていた右腕、源次郎は怪我によって一気に握力がなくなり、意図せず持っていた刀を落としてしまう。
「ぐぅ……、貴様!!」
傷を負った源次郎は、怪我した腕を抑えて蹲りながら、怒りの表情で善貞のことを睨みつける。
顏は知っている。
ケイの側にいたただの浪人。
それだけの印象しかない男が、まさかこの場に現れるなど、誰も気付くはずがない。
「お主はケイ殿の……!? 感謝する!!」
「大丈夫ですか!?」
善貞の攻撃により、源次郎は刀を失った状況。
しかも、片腕はこの戦いの間は使えないだろう。
この機を逃す訳にはいかない。
八坂は、治まったとは言え蹴られた腹の痛みに耐えながら、源次郎を避けて美稲の町へと向かおうとする。
「っ!? おのれっ!!」
逃げられる訳にはいかない。
左手で腰の脇差を抜いた源次郎は、逃げようとする八坂へ向かって斬りかかる。
「ふんっ!! 片手でしかも脇差では実力も十全に出せまい!?」
「ぐっ!! このっ!!」
脇差で、しかも左手だけの攻撃を防ぐため、八坂は足を止める。
そして、攻撃を受け止めて思うのは、先程までのような圧力を感じないということだった。
その原因は、武器と怪我によるものだろう。
少し情けない話だが、この状態なら八坂にも分があるだろう。
「坂岡様!!」
比佐丸たちを相手にしている者の中に、源次郎の危機を感じた者がいたらしい。
八坂と斬り合っている源次郎に加勢をしようと、こちらへ向かって走ってきた。
「バウッ!!」
「ぐあっ!?」
しかし、こちらへ向かってきた剣士に、クウが飛び掛かった。
その剣士はクウの速度に対応できず、刀を持つ腕を噛みつかれてもんどりうって倒れた。
「いいぞ! クウ!」
魔闘術をまた発動するには時間がかかるため、八坂と源次郎の戦いに入って行けない善貞は、クウが敵を倒したことに笑みを浮かべた。
あの不意打ちの一撃だけが、今この場で善貞ができる唯一のことだったのかもしれない。
今は戦いの邪魔にならないように、おとなしくしていることしかできない。
「ぐっ!!」
「八坂様っ!?」
クウの方に目が行っていると、いつの間にか八坂が劣勢に立たされていた。
鍔迫り合いの状況から肩で体当たりをかまされ、八坂は後方へと飛ばされる。
たたらを踏むように後方へと戻された八坂は、何とか体勢を元に戻す。
「ジジイのくせに、片腕、脇差の俺なら勝てるとでも思ったのか?」
脇差で、しかも怪我を負って左手だけの状況でも僅かに源次郎の方が実力が上のようだ。
細かい斬り傷を多く負っているのは、どうやら八坂の方だ。
しかも、後方に戻されたことにより、落とした自分の刀を源次郎に拾われてしまった。
“バッ!!”
「……? 何の真似だ? 貴様!」
武器の有利もなくなってしまっては、八坂の不利が強まる。
そう判断した善貞は、八坂に背を向けるように立ち、源次郎に向けて刀を構えたのだった。
まぐれ当たりをしただけで、実力のほどもわきまえない善貞に、源次郎の眉間のシワが強まる。
「俺にはこの人を守らなければならない義務がある! お前と刺し違えてでも!!」
「……お主………」
一族の汚名を晴らす。
ただそれだけのために、自分はこの場へと来た。
そのため、善貞は最後の覚悟を決めた。
自分の命を賭してでも八坂を救うという覚悟を。
善貞が覚悟を持って立っているのは分かるが、八坂の方はそこまで善貞にされるいわれはない。
そもそも、八坂も源次郎も、善貞のことを太助という名前の浪人でしかないと思っている。
そのため、ケイはともかく、たいした実力もないのにこの場に来たことが不思議でならない。
「刺し違える? 貴様がか? ハハハ……」
たしかに決意のある目をしている。
思いは剣に宿ると剣術道場で教わったが、それで源次郎との実力は埋められない。
それを善貞が分かっていないと思ったのか、源次郎は冗談だというように笑い出した。
「運よく俺に怪我を負わせたからといって、調子に乗るなよ!! 屑が!!」
笑われていることを気にすることなく構え続ける善貞に、本気で刺し違えるつもりなのだと感じた源次郎は、何だか馬鹿にされているように思え、一気に怒りの沸点が上がる。
その怒りに任せ、源次郎は善貞へと斬りかかった。
“キンッ!!”
「っ!?」
源次郎の攻撃は、一刀の下に善貞を斬り殺すのではなく、善貞の武器をわざと剣で叩くことによって防御がガラ空きの状態にすることだった。
「吹き飛べ!!」
“ボガッ!!”
「はがっ!?」
ガラ空きになった善貞の顔面へ、源次郎の上段蹴りが直撃する。
その攻撃によって善貞は吹き飛び、樹の幹に背中を打ちつけて地面へと崩れ落ちた。
たったその一撃で意識が飛びかけ、善貞はそのまま動けなくなった。
「おいっ!!」
「はっ! 一丁前のことを言ったくせに一撃かよ? 口だけ野郎が!」
善貞の安否を気遣い、八坂は声をかけるが反応がない。
しかし、体が僅かに動いているのを確認した八坂は、ひとまず安堵する。
怪我の仕返しに何発か蹴りを食らわせるつもりでいたが、一発で動かなくなった善貞のことを、源次郎は嘲笑した。
「さて、今度こそ終わりだ……」
甚振る遊びができなかったことで僅かに冷めたが、それよりも八坂の始末が優先だ。
そう思った源次郎は、八坂の前に立ち剣を振り上げたのだった。
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