237 / 375
第10章
第237話
しおりを挟む
「よしっ!」
上手いことファーブニルの意識がケイに向いたことに、坂岡源次郎は笑みを浮かべた。
これで味方に被害が及ぶことはなくなるだろう。
「俺たちは八坂を追うぞ!」
「かしこまりました!」
崖下で戦っていた剣術部隊の者たちは、ファーブニルとケイたちによってかなりの死人と怪我人が出ている。
逃げる八坂たちを追いかけて殺すにしても、人数が足らないかもしれない。
町に逃げられたら、大名である綱泉家や上重がただでは済まなくなるかもしれない。
部下で実行役の源次郎は当然切腹させられる事だろう。
最終手段として、美稲の町ごとの全滅させるという策もあるにはあるが、一人残らず完璧に始末をしなければならないとなると難しい。
それに、部下には美稲に親族なり知り合いも住んでいる者もいるだろう。
そういった者たちへ疑心を与えることにもなりかねない。
「何としても八坂を殺すぞ!!」
「はいっ!」
丁度いい崖の上に陣取った源次郎たちだったが、場所的に馬が登れなかったのがイタい。
この崖の上から追いかけるとなると、総員全速力で走るしかない。
魔力に暇を付けず、源次郎と30人程の部下たちは崖を駆け下り始めた。
「っ!? あいつ、追いかけ始めやがったな!?」
ファーブニルが迫って来ているのにも関わらず、ケイは源次郎が崖の上からいなくなっていることに気付く。
八坂たちが逃げたのを見ていたのだから、追いかけるのは当然だろう。
しかし、状況的にかなりまずい。
ケイはファーブニルを相手にしなければならないし、源次郎の実力を考えると、八坂につけたキュウだけでは結構つらい。
八坂たちもどれだけ魔力が残っているかも分からない。
もしかしたら逃げ切れない可能性が出てきた。
「魔力を使い切るつもりで行くしかないか?」
「ガアァーー!!」
逃げた八坂に追いつき、源次郎の相手にしなければならないことを考えると、魔力の残量を考えた戦いをしなければならないのだが、そうなるとファーブニルの相手に時間をかけなければならなくなる。
今は時間がもったいないので、迫り来るファーブニルと本気で戦うことに決めた。
「ヌンッ!!」
“ボッ!!”
「ガァッ!?」
本気を出すことにしたケイは、魔闘術に使う魔力を一気に増量した。
その魔力の量に、ファーブニルが一瞬たじろぐ素振りを見せた。
人間が出す魔力の量ではないと感じたからかもしれない。
「止まってて良いのか?」
膨大な魔力に足を止めたファーブニルに対し、ケイは体内から魔力を絞り出しながら問いかける。
ファーブニルに言葉が通じているかは分からないが、そんなことは関係ない。
単純に気分の問題だ。
「食らえ!!」
“ゴッ!!”
2丁拳銃をファーブニルに向け、体に纏った魔力を銃に凝縮して発射するイメージ。
膨大な魔力が1ヵ所に集まり、空気がピりつくような錯覚に陥りながら、ケイは魔弾を発射する。
「っ!? ガッ!!」
“ボッ!!”
ケイが自分に向けて放った攻撃を見て、ファーブニルは慌てて攻撃をしようとする。
口を広げて魔力を集め、それを巨大な水弾として放ってきた。
どうやら、ケイの魔弾を相殺しようという考えらしい。
“ドンッ!!”
「ぐっ!? 魔力を溜める時間もたいしてないのに、すげえ威力だな!?」
ケイの魔弾とファーブニルの水弾がぶつかり合うと、その場で互いに押し合いへと変わる。
その圧力に、ケイは一瞬顔をしかめる。
「でも、舐めんな、よっ!!」
「ガッ!?」
“バシュッ!!”
たしかにファーブニルの攻撃は、咄嗟に出した割にはかなりの魔力が込められている。
しかし、それだけでケイの攻撃は抑えきれない。
少しの停滞の後、水弾を霧散させ、ケイの魔弾がそのまま一気にファーブニルへ向かって飛んでっいた。
「っ!?」
“ザシュッ!!”
「ギャッ!!」
水弾が押し負けたため、慌てて回避しようとしたファーブニルだが、時すでに遅く、ケイの魔弾が体を貫通していった。
強烈な痛みに悲鳴を上げたファーブニルだが、目はまだ死んでいない。
どうやら下半身が動かなくなったようだが、まだ無傷の上半身が残っている。
「ハァ、ハァ……、当たった場所が良くなかったか?」
魔力を一気に消失したケイは、肩で息をしながらファーブニルを見つめる。
水弾を放った顔を目掛けて発射したのだが、ファーブニルの体の方に当たってしまった。
無駄に見えた先程の水弾も、僅かにケイの魔弾をすらすことになったのかもしれない。
それでもかなりの致命傷を与えることには成功したのだが、ケイからするとかなりまずい。
疲労感で座り込むのを耐えている状態で、さっきのような攻撃はしばらくできそうにない。
「ガァー!!」
“ボワッ!!”
「っ!?」
瀕死の状態とはいっても、むしろ魔物はこういう時の方が思わぬ攻撃をしてきたりして面倒だったりする。
そのことを経験上知っているためケイが警戒心を高めていると、ファーブニルは口から変な色の息を吐きだしてきた。
「……毒かっ!?」
エルフの一族に伝わる図鑑には、ファーブニルは水と毒を使うということを思いだしたケイは、その変な色の息を見て咄嗟にそう思った。
島で育うちに、ケイの体には色々な毒の耐性があるが、それは毒による肉体への影響が遅いというだけで、完全に効かないというものではない。
「このっ!!」
毒は毒でも、どのような種類の毒か分からない。
場合によっては、神経毒などで動けなくされるかもしれない。
そんなことになったら、あっという間にあの世行きだ。
そうならないためにも、ケイは風の魔法を発動し、毒の息を吹き飛ばした。
「ガッ!!」
“ボッ!!”
「なっ!?」
ケイの意識を、毒の対処に向けるための攻撃だったらしく、その間に溜めた魔力でファーブニルは先程の水弾をまたもケイへ放ってきた。
「くっ!?」
それによって、今度はケイが攻撃に対応しなくてはならない立ち場になった。
最初に思いついたのは魔法障壁。
しかし、それでは魔力が足りなくなるかもしれない。
魔力障壁よりも魔力を少なく、それでいて頑丈な壁。
“ガガガッ!!”
そうして思いついたのは、土の壁。
しかし、ただの壁ではファーブニルの放った水弾を止められるとは思えない。
ならばと、ケイは攻めの守りを選択した。
「土槍!!」
水弾に突っ込むように、魔力で作った図太い土の槍を生み出す。
しかも、ただ突っ込ませるのではなく、ドリルのような回転付きだ。
少ない魔力で、どうにか威力を高めようとした悪あがきだ。
“ドカッ!!”
「っ!!」
どうにか水弾を抑え込もうとしたが、土槍の魔法では止め切れなかった。
土槍を破壊して、ケイに向かって水弾が襲い掛かった。
「ガハッ!!」
懸命に回避しようと、その場から飛び退こうとしたが、水弾がケイに直撃した。
直撃を受けたケイは、数十メートルもの距離を吹き飛ばされ、地面に数回バウンドした後、うつ伏せの状態で止まった。
「グルル……!!」
攻撃が当たったことで、ケイが死んだと判断したファーブニルは、口の端を上げて笑みのような物を浮かべた。
皮一枚で繋がっているような状態の下半身。
そんな状態にされたことへの怒りが、少しだが晴れたようだ。
「ガアァー!!」
後は、自分に怪我を負わせた小さきものを食べようと、ファーブニルは下半身を引きずりながらケイへと近付いて行った。
「グラッ!?」
しかし、近付いて行っている途中で、ファーブニルは違和感を感じた。
水弾が直撃して殺したと思ったケイの体が、僅かに動いたからだ。
「ぐぅっ……」
「っ!?」
ファーブニルは、驚いた。
死んだと思ったケイが、ゆっくりと体を起こしたからだ。
「……い、痛え……」
口から血を流し、折れているのか左手をブラブラさせながら、立ち上がったケイは小さく呟く。
「まだ、終わってねえぞ、蛇野郎!!」
土槍を出したのは間違いではなかった。
ファーブニルの水弾の威力をだいぶ弱めてくれたようだ。
でなければ、今の一撃でケイは即死していた可能性が高い。
なんとか立ったはいいが、これでケイも大怪我の状態。
その状態で、ケイは精一杯の強がりを言って、ファーブニルを睨みつけたのだった。
上手いことファーブニルの意識がケイに向いたことに、坂岡源次郎は笑みを浮かべた。
これで味方に被害が及ぶことはなくなるだろう。
「俺たちは八坂を追うぞ!」
「かしこまりました!」
崖下で戦っていた剣術部隊の者たちは、ファーブニルとケイたちによってかなりの死人と怪我人が出ている。
逃げる八坂たちを追いかけて殺すにしても、人数が足らないかもしれない。
町に逃げられたら、大名である綱泉家や上重がただでは済まなくなるかもしれない。
部下で実行役の源次郎は当然切腹させられる事だろう。
最終手段として、美稲の町ごとの全滅させるという策もあるにはあるが、一人残らず完璧に始末をしなければならないとなると難しい。
それに、部下には美稲に親族なり知り合いも住んでいる者もいるだろう。
そういった者たちへ疑心を与えることにもなりかねない。
「何としても八坂を殺すぞ!!」
「はいっ!」
丁度いい崖の上に陣取った源次郎たちだったが、場所的に馬が登れなかったのがイタい。
この崖の上から追いかけるとなると、総員全速力で走るしかない。
魔力に暇を付けず、源次郎と30人程の部下たちは崖を駆け下り始めた。
「っ!? あいつ、追いかけ始めやがったな!?」
ファーブニルが迫って来ているのにも関わらず、ケイは源次郎が崖の上からいなくなっていることに気付く。
八坂たちが逃げたのを見ていたのだから、追いかけるのは当然だろう。
しかし、状況的にかなりまずい。
ケイはファーブニルを相手にしなければならないし、源次郎の実力を考えると、八坂につけたキュウだけでは結構つらい。
八坂たちもどれだけ魔力が残っているかも分からない。
もしかしたら逃げ切れない可能性が出てきた。
「魔力を使い切るつもりで行くしかないか?」
「ガアァーー!!」
逃げた八坂に追いつき、源次郎の相手にしなければならないことを考えると、魔力の残量を考えた戦いをしなければならないのだが、そうなるとファーブニルの相手に時間をかけなければならなくなる。
今は時間がもったいないので、迫り来るファーブニルと本気で戦うことに決めた。
「ヌンッ!!」
“ボッ!!”
「ガァッ!?」
本気を出すことにしたケイは、魔闘術に使う魔力を一気に増量した。
その魔力の量に、ファーブニルが一瞬たじろぐ素振りを見せた。
人間が出す魔力の量ではないと感じたからかもしれない。
「止まってて良いのか?」
膨大な魔力に足を止めたファーブニルに対し、ケイは体内から魔力を絞り出しながら問いかける。
ファーブニルに言葉が通じているかは分からないが、そんなことは関係ない。
単純に気分の問題だ。
「食らえ!!」
“ゴッ!!”
2丁拳銃をファーブニルに向け、体に纏った魔力を銃に凝縮して発射するイメージ。
膨大な魔力が1ヵ所に集まり、空気がピりつくような錯覚に陥りながら、ケイは魔弾を発射する。
「っ!? ガッ!!」
“ボッ!!”
ケイが自分に向けて放った攻撃を見て、ファーブニルは慌てて攻撃をしようとする。
口を広げて魔力を集め、それを巨大な水弾として放ってきた。
どうやら、ケイの魔弾を相殺しようという考えらしい。
“ドンッ!!”
「ぐっ!? 魔力を溜める時間もたいしてないのに、すげえ威力だな!?」
ケイの魔弾とファーブニルの水弾がぶつかり合うと、その場で互いに押し合いへと変わる。
その圧力に、ケイは一瞬顔をしかめる。
「でも、舐めんな、よっ!!」
「ガッ!?」
“バシュッ!!”
たしかにファーブニルの攻撃は、咄嗟に出した割にはかなりの魔力が込められている。
しかし、それだけでケイの攻撃は抑えきれない。
少しの停滞の後、水弾を霧散させ、ケイの魔弾がそのまま一気にファーブニルへ向かって飛んでっいた。
「っ!?」
“ザシュッ!!”
「ギャッ!!」
水弾が押し負けたため、慌てて回避しようとしたファーブニルだが、時すでに遅く、ケイの魔弾が体を貫通していった。
強烈な痛みに悲鳴を上げたファーブニルだが、目はまだ死んでいない。
どうやら下半身が動かなくなったようだが、まだ無傷の上半身が残っている。
「ハァ、ハァ……、当たった場所が良くなかったか?」
魔力を一気に消失したケイは、肩で息をしながらファーブニルを見つめる。
水弾を放った顔を目掛けて発射したのだが、ファーブニルの体の方に当たってしまった。
無駄に見えた先程の水弾も、僅かにケイの魔弾をすらすことになったのかもしれない。
それでもかなりの致命傷を与えることには成功したのだが、ケイからするとかなりまずい。
疲労感で座り込むのを耐えている状態で、さっきのような攻撃はしばらくできそうにない。
「ガァー!!」
“ボワッ!!”
「っ!?」
瀕死の状態とはいっても、むしろ魔物はこういう時の方が思わぬ攻撃をしてきたりして面倒だったりする。
そのことを経験上知っているためケイが警戒心を高めていると、ファーブニルは口から変な色の息を吐きだしてきた。
「……毒かっ!?」
エルフの一族に伝わる図鑑には、ファーブニルは水と毒を使うということを思いだしたケイは、その変な色の息を見て咄嗟にそう思った。
島で育うちに、ケイの体には色々な毒の耐性があるが、それは毒による肉体への影響が遅いというだけで、完全に効かないというものではない。
「このっ!!」
毒は毒でも、どのような種類の毒か分からない。
場合によっては、神経毒などで動けなくされるかもしれない。
そんなことになったら、あっという間にあの世行きだ。
そうならないためにも、ケイは風の魔法を発動し、毒の息を吹き飛ばした。
「ガッ!!」
“ボッ!!”
「なっ!?」
ケイの意識を、毒の対処に向けるための攻撃だったらしく、その間に溜めた魔力でファーブニルは先程の水弾をまたもケイへ放ってきた。
「くっ!?」
それによって、今度はケイが攻撃に対応しなくてはならない立ち場になった。
最初に思いついたのは魔法障壁。
しかし、それでは魔力が足りなくなるかもしれない。
魔力障壁よりも魔力を少なく、それでいて頑丈な壁。
“ガガガッ!!”
そうして思いついたのは、土の壁。
しかし、ただの壁ではファーブニルの放った水弾を止められるとは思えない。
ならばと、ケイは攻めの守りを選択した。
「土槍!!」
水弾に突っ込むように、魔力で作った図太い土の槍を生み出す。
しかも、ただ突っ込ませるのではなく、ドリルのような回転付きだ。
少ない魔力で、どうにか威力を高めようとした悪あがきだ。
“ドカッ!!”
「っ!!」
どうにか水弾を抑え込もうとしたが、土槍の魔法では止め切れなかった。
土槍を破壊して、ケイに向かって水弾が襲い掛かった。
「ガハッ!!」
懸命に回避しようと、その場から飛び退こうとしたが、水弾がケイに直撃した。
直撃を受けたケイは、数十メートルもの距離を吹き飛ばされ、地面に数回バウンドした後、うつ伏せの状態で止まった。
「グルル……!!」
攻撃が当たったことで、ケイが死んだと判断したファーブニルは、口の端を上げて笑みのような物を浮かべた。
皮一枚で繋がっているような状態の下半身。
そんな状態にされたことへの怒りが、少しだが晴れたようだ。
「ガアァー!!」
後は、自分に怪我を負わせた小さきものを食べようと、ファーブニルは下半身を引きずりながらケイへと近付いて行った。
「グラッ!?」
しかし、近付いて行っている途中で、ファーブニルは違和感を感じた。
水弾が直撃して殺したと思ったケイの体が、僅かに動いたからだ。
「ぐぅっ……」
「っ!?」
ファーブニルは、驚いた。
死んだと思ったケイが、ゆっくりと体を起こしたからだ。
「……い、痛え……」
口から血を流し、折れているのか左手をブラブラさせながら、立ち上がったケイは小さく呟く。
「まだ、終わってねえぞ、蛇野郎!!」
土槍を出したのは間違いではなかった。
ファーブニルの水弾の威力をだいぶ弱めてくれたようだ。
でなければ、今の一撃でケイは即死していた可能性が高い。
なんとか立ったはいいが、これでケイも大怪我の状態。
その状態で、ケイは精一杯の強がりを言って、ファーブニルを睨みつけたのだった。
0
お気に入りに追加
633
あなたにおすすめの小説
聖女業に飽きて喫茶店開いたんだけど、追放を言い渡されたので辺境に移り住みます!【完結】
青緑
ファンタジー
聖女が喫茶店を開くけど、追放されて辺境に移り住んだ物語と、聖女のいない王都。
———————————————
物語内のノーラとデイジーは同一人物です。
王都の小話は追記予定。
修正を入れることがあるかもしれませんが、作品・物語自体は完結です。
【R18】World after 1 minute 1分後の先読み能力で金貨100万枚稼いだ僕は異世界で奴隷ハーレムを築きます
ロータス
ファンタジー
死んだでもなく、女神に誘われたでもなく、気づいたときには異世界へと転移された僕こと小川 秀作。
鑑定もなければ、ステータスも開かない、魔法も使えなければ、女神のサポートもない。
何もない、現代でも異世界でもダメダメな僕が唯一使えるスキル。
World after 1 minute。
1分後の未来をシミュレーションできるスキルだった。
そして目の前にはギャンブルが出来るコロセウムとなぜか握られている1枚の金貨。
運命というにはあまりにあからさまなそこに僕は足を踏み入れる。
そして僕の名は、コロセウムに轟くことになる。
コロセウム史上最大の勝ち金を手に入れた人間として。
私の愛する人は、私ではない人を愛しています
ハナミズキ
恋愛
代々王宮医師を輩出しているオルディアン伯爵家の双子の妹として生まれたヴィオラ。
物心ついた頃から病弱の双子の兄を溺愛する母に冷遇されていた。王族の専属侍医である父は王宮に常駐し、領地の邸には不在がちなため、誰も夫人によるヴィオラへの仕打ちを諫められる者はいなかった。
母に拒絶され続け、冷たい日々の中でヴィオラを支えたのは幼き頃の初恋の相手であり、婚約者であるフォルスター侯爵家嫡男ルカディオとの約束だった。
『俺が騎士になったらすぐにヴィオを迎えに行くから待っていて。ヴィオの事は俺が一生守るから』
だが、その約束は守られる事はなかった。
15歳の時、愛するルカディオと再会したヴィオラは残酷な現実を知り、心が壊れていく。
そんなヴィオラに、1人の青年が近づき、やがて国を巻き込む運命が廻り出す。
『約束する。お前の心も身体も、俺が守るから。だからもう頑張らなくていい』
それは誰の声だったか。
でもヴィオラの壊れた心にその声は届かない。
もうヴィオラは約束なんてしない。
信じたって最後には裏切られるのだ。
だってこれは既に決まっているシナリオだから。
そう。『悪役令嬢』の私は、破滅する為だけに生まれてきた、ただの当て馬なのだから。
強引に婚約破棄された最強聖女は愚かな王国に復讐をする!
悠月 風華
ファンタジー
〖神の意思〗により選ばれた聖女、ルミエール・オプスキュリテは
婚約者であったデルソーレ王国第一王子、クシオンに
『真実の愛に目覚めたから』と言われ、
強引に婚約破棄&国外追放を命じられる。
大切な母の形見を売り払い、6年間散々虐げておいて、
幸せになれるとは思うなよ……?
*ゆるゆるの設定なので、どこか辻褄が
合わないところがあると思います。
✣ノベルアップ+にて投稿しているオリジナル小説です。
✣表紙は柚唄ソラ様のpixivよりお借りしました。
https://www.pixiv.net/artworks/90902111
私はあなたの母ではありませんよ
れもんぴーる
恋愛
クラリスの夫アルマンには結婚する前からの愛人がいた。アルマンは、その愛人は恩人の娘であり切り捨てることはできないが、今後は決して関係を持つことなく支援のみすると約束した。クラリスに娘が生まれて幸せに暮らしていたが、アルマンには約束を違えたどころか隠し子がいた。おまけに娘のユマまでが愛人に懐いていることが判明し絶望する。そんなある日、クラリスは殺される。
クラリスがいなくなった屋敷には愛人と隠し子がやってくる。母を失い悲しみに打ちのめされていたユマは、使用人たちの冷ややかな視線に気づきもせず父の愛人をお母さまと縋り、アルマンは子供を任せられると愛人を屋敷に滞在させた。
アルマンと愛人はクラリス殺しを疑われ、人がどんどん離れて行っていた。そんな時、クラリスそっくりの夫人が社交界に現れた。
ユマもアルマンもクラリスの両親も彼女にクラリスを重ねるが、彼女は辺境の地にある次期ルロワ侯爵夫人オフェリーであった。アルマンやクラリスの両親は他人だとあきらめたがユマはあきらめがつかず、オフェリーに執着し続ける。
クラリスの関係者はこの先どのような未来を歩むのか。
*恋愛ジャンルですが親子関係もキーワード……というかそちらの要素が強いかも。
*めずらしく全編通してシリアスです。
*今後ほかのサイトにも投稿する予定です。
家族に無能と追放された冒険者、実は街に出たら【万能チート】すぎた、理由は家族がチート集団だったから
ハーーナ殿下
ファンタジー
冒険者を夢見る少年ハリトは、幼い時から『無能』と言われながら厳しい家族に鍛えられてきた。無能な自分は、このままではダメになってしまう。一人前の冒険者なるために、思い切って家出。辺境の都市国家に向かう。
だが少年は自覚していなかった。家族は【天才魔道具士】の父、【聖女】の母、【剣聖】の姉、【大魔導士】の兄、【元勇者】の祖父、【元魔王】の祖母で、自分が彼らの万能の才能を受け継いでいたことを。
これは自分が無能だと勘違いしていた少年が、滅亡寸前の小国を冒険者として助け、今までの努力が実り、市民や冒険者仲間、騎士、大商人や貴族、王女たちに認められ、大活躍していく逆転劇である。
ミュージカル小説 ~踊る公園~
右京之介
現代文学
集英社ライトノベル新人賞1次選考通過作品。
その街に広い空き地があった。
暴力団砂猫組は、地元の皆さんに喜んでもらおうと、そこへ公園を作った。
一方、宗教団体神々教は対抗して、神々公園を作り上げた。
ここに熾烈な公園戦争が勃発した。
ミュージカル小説という美しいタイトルとは名ばかり。
戦いはエスカレートし、お互いが殺し屋を雇い、果てしなき公園戦争へと突入して行く。
清純Domの献身~純潔は狂犬Subに貪られて~
天岸 あおい
BL
※多忙につき休載中。再開は三月以降になりそうです。
Dom/Subユニバースでガラの悪い人狼Sub×清純な童顔の人間Dom。
子供の頃から人に尽くしたがりだった古矢守流。
ある日、公園の藪で行き倒れている青年を保護する。
人狼の青年、アグーガル。
Sub持ちだったアグーガルはDomたちから逃れ、異世界からこっちの世界へ落ちてきた。
アグーガルはすぐに守流からDomの気配を感じるが本人は無自覚。しかし本能に突き動かされて尽くそうとする守流に、アグーガルは契約を持ちかける。
自分を追い詰めたDomへ復讐するかのように、何も知らない守流を淫らに仕込み、Subに乱れるDomを穿って優越感と多幸感を味わうアグーガル。
そんな思いを肌で感じ取りながらも、彼の幸せを心から望み、彼の喜びを自分の悦びに変え、淫らに堕ちていく守流。
本来の支配する側/される側が逆転しつつも、本能と復讐から始まった関係は次第に深い絆を生んでいく――。
※Dom受け。逆転することはなく固定です。
※R18パートは話タイトルの前に『●』が付きます。なお付いていない話でも、キスや愛撫などは隙あらば挟まります。SM色は弱く、羞恥プレイ・快楽責めメイン。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる