235 / 375
第10章
第235話
しおりを挟む
「……あいつは化け物か?」
「全くですね……」
ケイが剣術部隊の者たちを相手にしている様子を見て、崖の上から見ている坂岡源次郎は冷や汗を流しながら呟く。
それに対して、部下の男も同意する。
ケイ1人を相手にして殺されている剣術部隊の者の数が、もうすぐ200にまで迫りつつある。
流石に、これ以上隊員を殺されるのは看過できない。
「おいっ! あれを持って来い!」
「はいっ!」
源次郎が一言告げると、部下の男は数人がかりで巨大な箱のようなものを運んできた。
その箱は、布に覆われており、中身が何なのか分からない。
「隊を一回下げさせろ」
「了解しました」
その箱の到着に、源次郎は笑みを浮かべる。
そして、ケイと戦っている剣術部隊の者たちをいったん下げるように部下の男に指示を出した。
“ヒュ~…………、パンッ!!”
「「「「「っ!?」」」」」
「んっ? 何だ?」
源次郎のいる崖の方から音が鳴り、剣術部隊の面々は急にケイに襲い掛かるのをやめて、この場から離れ始めた。
それが一時撤退の合図だとは知らないケイは、急に敵がいなくなっていったことに安堵していた。
剣術部隊の者たちの相手は思っていた以上に面倒で、地味にチョコチョコ攻撃を受けて怪我をさせられ、魔力も結構消費させられていた。
一息付けるのはありがたい。
「箱?」
何が狙いなのか分からず、とりあえずケイはこの戦いの対象首である源次郎の方に目を向けた。
すると、源次郎の側には巨大な箱のような物が存在していた。
そして、その箱が数人に押され、崖の上から落下した。
「……何がしたいんだ?」
箱は頑丈なのか、壊れることなくただ落下しただけのように見える。
源次郎が何をしたかってのか分からず、ケイは首を傾げた。
「グゥ………」
「何だ?」
落下した箱から、何か変な音がした。
まるで、動物が唸るような音だ。
「もしかして……」
“バキンッ!!”
嫌な予感がして、ケイがその箱を探知をしようとすると、何かが壊れる音が鳴り響いた。
「ガアァーー!!」
「……マジかよ!?」
そして、箱に覆われていた布が斬り裂かれると、一体の魔物が姿を現した。
その姿を見たケイは、冷たい汗が背中に流れた。
「ファーブニルが何でここに……」
前世であるケイの意識が出現した時、アンヘルの持ち者の中には、魔物の描かれた図鑑のような物が入っていた。
その中には、当然強力な魔物のことも描かれていて、その中にファーブニルも描かれていた。
大蛇に足が生えたような体をしていて、水を操り、毒を吐くという魔物だ。
この魔物によって、いくつかの町や村が消え去ったという話だ。
それが今、少し離れているとは言っても視界に収まる所に出現した。
ファーブニルは、人族大陸の北東の方に存在していると図鑑には描かれていたが、まさか日向にいるなんて知らなかった。
そのため、ケイは思わず疑問を口にしたのだ。
「それにしても、あんなものを所持していたとは……」
「馬鹿でも役には立つんだな……」
驚いているケイを余所に、ファーブニルを持って来た源次郎たちは言葉を交わす。
ケイの気持ちも分からなくない。
この魔物がこの国にいるなんて、源次郎たちも知らなかった。
どうやって手に入れたのかも分からないし、どうやって海を渡って来たのかも分からない。
初めて見た時、源次郎でも後退りする程の恐怖だった。
「あの佐志峰様の趣味らしい……」
「あの殿が?」
佐志峰とは、西の地域を請け負う綱泉家の養子となり、後を引き継いだ現大名の名前だ。
現在、40中盤の年齢になるにもかかわらず、子は娘が1人しかいない。
放蕩三昧で仕事もしないことから、上重の部下たちは面と向かって態度や口には出さないが、お飾りの将軍となっている。
そんな彼には、酒と女以外に困った趣味がある。
それが魔物の収集癖だ。
特殊な魔物を手にいれ、眺めるのが楽しいのだそうだ。
そのためには、大金を惜しみなく使うらしく、上重としても資金繰りに困っている。
「上重様もこのようなものを使ってまで八坂を排除したいのでしょうか?」
「昔からあの方は八坂と比べられて、全てにおいて八坂の方が上だった。勝てないなら引きずり落とせばいいと思って、色々画策したらしいぞ」
「……そうですか」
上重の悪い噂は、市民にはかなり広がっている。
綱泉家の姫が駆け落ちしたのも、実は裏で上重家が関わっていたという話まで出ているほどだ。
そのことに関しては、源次郎の父の代の話のことなので分からないが、恐らく噂は本当だろう。
「くだらない理由だな……」
恐らく、部下の男も源次郎と同じように思っただろう。
たいしたことでもないのに、いつまでも根に持っているなどみっともなくすら思える。
しかし、上重についていた方が今以上の地位へ行けると信じている源次郎は、ある意味上重を利用しているのかもしれない。
「ガアァァ――!!」
「っ!? 速っ!?」
かかっていた布がなくなると、箱の全貌が見えてきた。
箱のように見えていた物は、檻だったらしい。
鉄に覆われていた上下左右、そして後ろの部分には魔法陣が描かれている所を見ると、ファーブニルを閉じ込めておくために弱体化させる類の特殊な仕様になっていたのだろう。
それが崖から落下したことで壊れ、力を取り戻したファーブニルが檻を破壊して出てきたようだ。
中からの衝撃には強くできていても、外からの攻撃に弱いのでは、万全の体制による保持とは言い難い。
そんな状態で、よく城で保持していたものだ。
だが、ケイはそんなこと知る由もない。
ファーブニルは、目が合ったとたん、ケイへ向かって走り出した。
地を這うような態勢で地響きをあげながら、かなりの速度が出ている。
それに驚きながらも、ケイはその場から逃走を開始した。
「ヤバッ!?」
「ガアァァ――!!」
ファーブニルは、ケイにロックオンしたようだ。
逃げるケイを追いかけ始めた。
そのことに気付いたケイは、懸命に走り回る。
「「「「「なっ!?」」」」」
懸命に走っていたら、ケイは逃げていた剣術部隊の者たちに追いついた。
かなりの離れた距離を走って来ていたのに、ケイに追いつかれたことにも驚いたが、それ以上にファーブニルがすぐそこまで迫っているということにも驚いた。
「お前らが食われろ!! バ~カ!!」
剣術部隊の者たちに追いつくと、それと同時にケイは土魔法で足下をぬかるみに変える。
「なっ!?」「何だこりゃ!?」
「じゃあな!」
ぬかるみに足を取られた剣術部隊の者たちは、動きが鈍り、逃げる速度が一気に遅くなる。
ファーブニルのなすりつけに成功したケイは、そのまま岩場の蔭へと姿を隠した。
グチャグチャ、バリバリと、剣術部隊の人間を食べ始めたファーブニルを置いて、そのままケイは巨大蛇の死体の近くの森に転移した。
「やっぱりな……」
剣術部隊の面々は、北と南に分かれて避難をしていた。
先程ファーブニルを連れて行ったのは北側。
そして、ケイがいなくなったことで、キュウが一緒にいる八坂たちが残っている。
それを放って置くほど無意味なことはない。
誰にも気づかれないように転移して戻ってくると、案の定、南に逃げた剣術部隊の者たちが方向転換して八坂たちの方へ戻って来ていた。
「お帰り!」
「「「「「っ!?」」」」」
「なにっ!?」
ケイが森から姿を現すと、剣術部隊の者たちだけでなく、崖の上にいた源次郎も驚いて目を見開いた。
ファーブニルに追われて北へ向かっていたはずのケイが、どうやって戻って来たのか理解できなかったからだ。
源次郎の狙いとしては、ケイがファーブイルと戦って殺られればそれで良し、逃げたならその間に八坂たちを殺せばいいと思っていたのかもしれない。
それはケイが転移を使えなかったら成功していただろうが、転移なんて魔法を知らない源次郎では、こんなことになるとは思いもしなかったのだろう。
結局、ファーブニルの投入は、ケイが数を相手にする手間を減らしたに過ぎなかった。
「全くですね……」
ケイが剣術部隊の者たちを相手にしている様子を見て、崖の上から見ている坂岡源次郎は冷や汗を流しながら呟く。
それに対して、部下の男も同意する。
ケイ1人を相手にして殺されている剣術部隊の者の数が、もうすぐ200にまで迫りつつある。
流石に、これ以上隊員を殺されるのは看過できない。
「おいっ! あれを持って来い!」
「はいっ!」
源次郎が一言告げると、部下の男は数人がかりで巨大な箱のようなものを運んできた。
その箱は、布に覆われており、中身が何なのか分からない。
「隊を一回下げさせろ」
「了解しました」
その箱の到着に、源次郎は笑みを浮かべる。
そして、ケイと戦っている剣術部隊の者たちをいったん下げるように部下の男に指示を出した。
“ヒュ~…………、パンッ!!”
「「「「「っ!?」」」」」
「んっ? 何だ?」
源次郎のいる崖の方から音が鳴り、剣術部隊の面々は急にケイに襲い掛かるのをやめて、この場から離れ始めた。
それが一時撤退の合図だとは知らないケイは、急に敵がいなくなっていったことに安堵していた。
剣術部隊の者たちの相手は思っていた以上に面倒で、地味にチョコチョコ攻撃を受けて怪我をさせられ、魔力も結構消費させられていた。
一息付けるのはありがたい。
「箱?」
何が狙いなのか分からず、とりあえずケイはこの戦いの対象首である源次郎の方に目を向けた。
すると、源次郎の側には巨大な箱のような物が存在していた。
そして、その箱が数人に押され、崖の上から落下した。
「……何がしたいんだ?」
箱は頑丈なのか、壊れることなくただ落下しただけのように見える。
源次郎が何をしたかってのか分からず、ケイは首を傾げた。
「グゥ………」
「何だ?」
落下した箱から、何か変な音がした。
まるで、動物が唸るような音だ。
「もしかして……」
“バキンッ!!”
嫌な予感がして、ケイがその箱を探知をしようとすると、何かが壊れる音が鳴り響いた。
「ガアァーー!!」
「……マジかよ!?」
そして、箱に覆われていた布が斬り裂かれると、一体の魔物が姿を現した。
その姿を見たケイは、冷たい汗が背中に流れた。
「ファーブニルが何でここに……」
前世であるケイの意識が出現した時、アンヘルの持ち者の中には、魔物の描かれた図鑑のような物が入っていた。
その中には、当然強力な魔物のことも描かれていて、その中にファーブニルも描かれていた。
大蛇に足が生えたような体をしていて、水を操り、毒を吐くという魔物だ。
この魔物によって、いくつかの町や村が消え去ったという話だ。
それが今、少し離れているとは言っても視界に収まる所に出現した。
ファーブニルは、人族大陸の北東の方に存在していると図鑑には描かれていたが、まさか日向にいるなんて知らなかった。
そのため、ケイは思わず疑問を口にしたのだ。
「それにしても、あんなものを所持していたとは……」
「馬鹿でも役には立つんだな……」
驚いているケイを余所に、ファーブニルを持って来た源次郎たちは言葉を交わす。
ケイの気持ちも分からなくない。
この魔物がこの国にいるなんて、源次郎たちも知らなかった。
どうやって手に入れたのかも分からないし、どうやって海を渡って来たのかも分からない。
初めて見た時、源次郎でも後退りする程の恐怖だった。
「あの佐志峰様の趣味らしい……」
「あの殿が?」
佐志峰とは、西の地域を請け負う綱泉家の養子となり、後を引き継いだ現大名の名前だ。
現在、40中盤の年齢になるにもかかわらず、子は娘が1人しかいない。
放蕩三昧で仕事もしないことから、上重の部下たちは面と向かって態度や口には出さないが、お飾りの将軍となっている。
そんな彼には、酒と女以外に困った趣味がある。
それが魔物の収集癖だ。
特殊な魔物を手にいれ、眺めるのが楽しいのだそうだ。
そのためには、大金を惜しみなく使うらしく、上重としても資金繰りに困っている。
「上重様もこのようなものを使ってまで八坂を排除したいのでしょうか?」
「昔からあの方は八坂と比べられて、全てにおいて八坂の方が上だった。勝てないなら引きずり落とせばいいと思って、色々画策したらしいぞ」
「……そうですか」
上重の悪い噂は、市民にはかなり広がっている。
綱泉家の姫が駆け落ちしたのも、実は裏で上重家が関わっていたという話まで出ているほどだ。
そのことに関しては、源次郎の父の代の話のことなので分からないが、恐らく噂は本当だろう。
「くだらない理由だな……」
恐らく、部下の男も源次郎と同じように思っただろう。
たいしたことでもないのに、いつまでも根に持っているなどみっともなくすら思える。
しかし、上重についていた方が今以上の地位へ行けると信じている源次郎は、ある意味上重を利用しているのかもしれない。
「ガアァァ――!!」
「っ!? 速っ!?」
かかっていた布がなくなると、箱の全貌が見えてきた。
箱のように見えていた物は、檻だったらしい。
鉄に覆われていた上下左右、そして後ろの部分には魔法陣が描かれている所を見ると、ファーブニルを閉じ込めておくために弱体化させる類の特殊な仕様になっていたのだろう。
それが崖から落下したことで壊れ、力を取り戻したファーブニルが檻を破壊して出てきたようだ。
中からの衝撃には強くできていても、外からの攻撃に弱いのでは、万全の体制による保持とは言い難い。
そんな状態で、よく城で保持していたものだ。
だが、ケイはそんなこと知る由もない。
ファーブニルは、目が合ったとたん、ケイへ向かって走り出した。
地を這うような態勢で地響きをあげながら、かなりの速度が出ている。
それに驚きながらも、ケイはその場から逃走を開始した。
「ヤバッ!?」
「ガアァァ――!!」
ファーブニルは、ケイにロックオンしたようだ。
逃げるケイを追いかけ始めた。
そのことに気付いたケイは、懸命に走り回る。
「「「「「なっ!?」」」」」
懸命に走っていたら、ケイは逃げていた剣術部隊の者たちに追いついた。
かなりの離れた距離を走って来ていたのに、ケイに追いつかれたことにも驚いたが、それ以上にファーブニルがすぐそこまで迫っているということにも驚いた。
「お前らが食われろ!! バ~カ!!」
剣術部隊の者たちに追いつくと、それと同時にケイは土魔法で足下をぬかるみに変える。
「なっ!?」「何だこりゃ!?」
「じゃあな!」
ぬかるみに足を取られた剣術部隊の者たちは、動きが鈍り、逃げる速度が一気に遅くなる。
ファーブニルのなすりつけに成功したケイは、そのまま岩場の蔭へと姿を隠した。
グチャグチャ、バリバリと、剣術部隊の人間を食べ始めたファーブニルを置いて、そのままケイは巨大蛇の死体の近くの森に転移した。
「やっぱりな……」
剣術部隊の面々は、北と南に分かれて避難をしていた。
先程ファーブニルを連れて行ったのは北側。
そして、ケイがいなくなったことで、キュウが一緒にいる八坂たちが残っている。
それを放って置くほど無意味なことはない。
誰にも気づかれないように転移して戻ってくると、案の定、南に逃げた剣術部隊の者たちが方向転換して八坂たちの方へ戻って来ていた。
「お帰り!」
「「「「「っ!?」」」」」
「なにっ!?」
ケイが森から姿を現すと、剣術部隊の者たちだけでなく、崖の上にいた源次郎も驚いて目を見開いた。
ファーブニルに追われて北へ向かっていたはずのケイが、どうやって戻って来たのか理解できなかったからだ。
源次郎の狙いとしては、ケイがファーブイルと戦って殺られればそれで良し、逃げたならその間に八坂たちを殺せばいいと思っていたのかもしれない。
それはケイが転移を使えなかったら成功していただろうが、転移なんて魔法を知らない源次郎では、こんなことになるとは思いもしなかったのだろう。
結局、ファーブニルの投入は、ケイが数を相手にする手間を減らしたに過ぎなかった。
0
お気に入りに追加
633
あなたにおすすめの小説
聖女業に飽きて喫茶店開いたんだけど、追放を言い渡されたので辺境に移り住みます!【完結】
青緑
ファンタジー
聖女が喫茶店を開くけど、追放されて辺境に移り住んだ物語と、聖女のいない王都。
———————————————
物語内のノーラとデイジーは同一人物です。
王都の小話は追記予定。
修正を入れることがあるかもしれませんが、作品・物語自体は完結です。
【R18】World after 1 minute 1分後の先読み能力で金貨100万枚稼いだ僕は異世界で奴隷ハーレムを築きます
ロータス
ファンタジー
死んだでもなく、女神に誘われたでもなく、気づいたときには異世界へと転移された僕こと小川 秀作。
鑑定もなければ、ステータスも開かない、魔法も使えなければ、女神のサポートもない。
何もない、現代でも異世界でもダメダメな僕が唯一使えるスキル。
World after 1 minute。
1分後の未来をシミュレーションできるスキルだった。
そして目の前にはギャンブルが出来るコロセウムとなぜか握られている1枚の金貨。
運命というにはあまりにあからさまなそこに僕は足を踏み入れる。
そして僕の名は、コロセウムに轟くことになる。
コロセウム史上最大の勝ち金を手に入れた人間として。
私の愛する人は、私ではない人を愛しています
ハナミズキ
恋愛
代々王宮医師を輩出しているオルディアン伯爵家の双子の妹として生まれたヴィオラ。
物心ついた頃から病弱の双子の兄を溺愛する母に冷遇されていた。王族の専属侍医である父は王宮に常駐し、領地の邸には不在がちなため、誰も夫人によるヴィオラへの仕打ちを諫められる者はいなかった。
母に拒絶され続け、冷たい日々の中でヴィオラを支えたのは幼き頃の初恋の相手であり、婚約者であるフォルスター侯爵家嫡男ルカディオとの約束だった。
『俺が騎士になったらすぐにヴィオを迎えに行くから待っていて。ヴィオの事は俺が一生守るから』
だが、その約束は守られる事はなかった。
15歳の時、愛するルカディオと再会したヴィオラは残酷な現実を知り、心が壊れていく。
そんなヴィオラに、1人の青年が近づき、やがて国を巻き込む運命が廻り出す。
『約束する。お前の心も身体も、俺が守るから。だからもう頑張らなくていい』
それは誰の声だったか。
でもヴィオラの壊れた心にその声は届かない。
もうヴィオラは約束なんてしない。
信じたって最後には裏切られるのだ。
だってこれは既に決まっているシナリオだから。
そう。『悪役令嬢』の私は、破滅する為だけに生まれてきた、ただの当て馬なのだから。
強引に婚約破棄された最強聖女は愚かな王国に復讐をする!
悠月 風華
ファンタジー
〖神の意思〗により選ばれた聖女、ルミエール・オプスキュリテは
婚約者であったデルソーレ王国第一王子、クシオンに
『真実の愛に目覚めたから』と言われ、
強引に婚約破棄&国外追放を命じられる。
大切な母の形見を売り払い、6年間散々虐げておいて、
幸せになれるとは思うなよ……?
*ゆるゆるの設定なので、どこか辻褄が
合わないところがあると思います。
✣ノベルアップ+にて投稿しているオリジナル小説です。
✣表紙は柚唄ソラ様のpixivよりお借りしました。
https://www.pixiv.net/artworks/90902111
私はあなたの母ではありませんよ
れもんぴーる
恋愛
クラリスの夫アルマンには結婚する前からの愛人がいた。アルマンは、その愛人は恩人の娘であり切り捨てることはできないが、今後は決して関係を持つことなく支援のみすると約束した。クラリスに娘が生まれて幸せに暮らしていたが、アルマンには約束を違えたどころか隠し子がいた。おまけに娘のユマまでが愛人に懐いていることが判明し絶望する。そんなある日、クラリスは殺される。
クラリスがいなくなった屋敷には愛人と隠し子がやってくる。母を失い悲しみに打ちのめされていたユマは、使用人たちの冷ややかな視線に気づきもせず父の愛人をお母さまと縋り、アルマンは子供を任せられると愛人を屋敷に滞在させた。
アルマンと愛人はクラリス殺しを疑われ、人がどんどん離れて行っていた。そんな時、クラリスそっくりの夫人が社交界に現れた。
ユマもアルマンもクラリスの両親も彼女にクラリスを重ねるが、彼女は辺境の地にある次期ルロワ侯爵夫人オフェリーであった。アルマンやクラリスの両親は他人だとあきらめたがユマはあきらめがつかず、オフェリーに執着し続ける。
クラリスの関係者はこの先どのような未来を歩むのか。
*恋愛ジャンルですが親子関係もキーワード……というかそちらの要素が強いかも。
*めずらしく全編通してシリアスです。
*今後ほかのサイトにも投稿する予定です。
家族に無能と追放された冒険者、実は街に出たら【万能チート】すぎた、理由は家族がチート集団だったから
ハーーナ殿下
ファンタジー
冒険者を夢見る少年ハリトは、幼い時から『無能』と言われながら厳しい家族に鍛えられてきた。無能な自分は、このままではダメになってしまう。一人前の冒険者なるために、思い切って家出。辺境の都市国家に向かう。
だが少年は自覚していなかった。家族は【天才魔道具士】の父、【聖女】の母、【剣聖】の姉、【大魔導士】の兄、【元勇者】の祖父、【元魔王】の祖母で、自分が彼らの万能の才能を受け継いでいたことを。
これは自分が無能だと勘違いしていた少年が、滅亡寸前の小国を冒険者として助け、今までの努力が実り、市民や冒険者仲間、騎士、大商人や貴族、王女たちに認められ、大活躍していく逆転劇である。
ミュージカル小説 ~踊る公園~
右京之介
現代文学
集英社ライトノベル新人賞1次選考通過作品。
その街に広い空き地があった。
暴力団砂猫組は、地元の皆さんに喜んでもらおうと、そこへ公園を作った。
一方、宗教団体神々教は対抗して、神々公園を作り上げた。
ここに熾烈な公園戦争が勃発した。
ミュージカル小説という美しいタイトルとは名ばかり。
戦いはエスカレートし、お互いが殺し屋を雇い、果てしなき公園戦争へと突入して行く。
清純Domの献身~純潔は狂犬Subに貪られて~
天岸 あおい
BL
※多忙につき休載中。再開は三月以降になりそうです。
Dom/Subユニバースでガラの悪い人狼Sub×清純な童顔の人間Dom。
子供の頃から人に尽くしたがりだった古矢守流。
ある日、公園の藪で行き倒れている青年を保護する。
人狼の青年、アグーガル。
Sub持ちだったアグーガルはDomたちから逃れ、異世界からこっちの世界へ落ちてきた。
アグーガルはすぐに守流からDomの気配を感じるが本人は無自覚。しかし本能に突き動かされて尽くそうとする守流に、アグーガルは契約を持ちかける。
自分を追い詰めたDomへ復讐するかのように、何も知らない守流を淫らに仕込み、Subに乱れるDomを穿って優越感と多幸感を味わうアグーガル。
そんな思いを肌で感じ取りながらも、彼の幸せを心から望み、彼の喜びを自分の悦びに変え、淫らに堕ちていく守流。
本来の支配する側/される側が逆転しつつも、本能と復讐から始まった関係は次第に深い絆を生んでいく――。
※Dom受け。逆転することはなく固定です。
※R18パートは話タイトルの前に『●』が付きます。なお付いていない話でも、キスや愛撫などは隙あらば挟まります。SM色は弱く、羞恥プレイ・快楽責めメイン。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる