193 / 375
第9章
第193話
しおりを挟む
「結構早く会うことになったな……」
ピトゴルペスに着いた翌日、宿屋でゆっくりとしたケイたちは、旅の資金を稼ごうと依頼を探しにグレミオに来たのだったが、建物の中に入る前でケイは足を止めた。
昨日町の中ですれ違った男が、グレミオ内にいることを探知したからだ。
何を考えているか分からないというのは結構不気味なことなので、ケイとしてもその男には関わりたくないと思っている。
【どうするの?】「ニャッ?」
足を止めて呟いたケイに、キュウとクウは不安になって問いかける。
主人であるケイに気を付けるように言われている2匹も関わりたくないが、旅を続けるにも旅の資金が必要になる。
野宿という手もあるが、宿屋で雨風凌いでゆっくり眠れる方が気分的にもいい。
そうなると、ここで依頼をこなして稼ぐのが手っ取り早い。
しかし、ここでグレミオ内に入ると何だか面倒臭くなりそうなので、どうしたものかと悩ましい。
「確か、ここ少し行ったところに村があったはずだ。そっちでも魔石を買ってもらえるだろうから、そっちへ行こう」
資金を稼ぐには、冒険者組合であるグレミオで依頼をこなし、その報酬として手に入れる方法と、倒した魔物の魔石を取り扱っている店に売って得る方法などがある。
目の前に現れた魔物はあっという間に倒してしまうので、ケイの魔法の指輪の中には多くの魔石が入っている。
ただ、ケイたちの強さを本能的に察知するのか、強い魔物は姿を現さないため、良い値段になりそうな魔物の魔石が手に入らない。
そうなると薄利多売をするしかなくなるのだが、小さい魔石はたいした値段にならず、大金を手に入れようとなると、周辺の魔物を狩りつくす勢いで倒さなければならなくなる。
そんなことしたら、弱い魔物がいなくなり、強い魔物の相手オしなければならなくなった他の冒険者にしわ寄せが行き、多くの人間が命を落としかねない。
他の人間がどうなろうとはっきり言って関係ないのだが、自分のせいで死人が増えるのは気分が悪い。
なので、ほどほどにしているのだが、小さい村とかだとそれがより顕著になる。
稼ぐのには適してはいないが、急ぐ旅でもないので面倒なことになるよりかはいいだろう。
そう思い、ケイは近くの村に移動することを提案したのだった。
【わかった!】「ニャ~!」
ケイがそうすると言うなら、2匹は別に反対する理由がない。
なので、すぐにケイの提案に頷いた。
「っ!? クウ!」
「フニャッ!?」
そうと決まれば、早々にこの場から離れようとしたケイだったが、すぐに表情に変化が起きる。
そして、すぐさまクウを捕まえて移動した。
周囲には、猫を捕まえて急に走り出したように見えただろう。
「おかしいな……」
先程までケイたちがいた場所に、グレミオの中から出てきた男が立ち止まる。
ケイが警戒していたアウレリオが、何だか違和感を感じて建物内から出てきたのだが、出た直後にその違和感が消えた。
周囲を見渡すが、昨日と同じくそこにはもう何も感じなくなっている。
そのことにアウレリオは首を傾げる。
「何かいたと思ったんだが……」
昨日の反応は、もしかしたら冒険者としてのブランクから来る間違いだったのかもしれない。
そう思って、アウレリオはとりあえずもう一日、この町中に手配書の者たちがいないかと探すことにしたのだった。
町から町へ移動を繰り返している所を見ると、グレミオで仕事をこなしているのではないかと思って探しに来てみたのだが、やはり直感には何の反応もない。
そのため、他の町へ移動しようかと考えていたところに、またも昨日と同じような感覚に襲われた。
しかし、またも空振り。
「…………もしかして」
またも自分の勘違いかとも考えたのだが、もう一つの可能性が頭に浮かんできた。
「まさか…………動きが把握されている?」
その浮かんできた考えとはこれだった。
昨日もそうだったが、アウレリオが反応してから周囲を探し始めるまでは少しのタイムラグがある。
その僅かな時間で反応が消えているということが間違いでないと仮定するならば、その僅かな時間でアウレリオから遠ざかっているということになる。
こっちの動きに気付いていないと、こんな芸当ができるとは思えない。
「そうなると、厄介だな……」
自分のことを避けている人間がいるという可能性があるというのは分かった。
そして、自分から逃げるような人間なんて、今追っている手配書の人間くらいしか思いつかない。
低い可能性として、冒険者として以前関わった人間ということもあり得るが、そんな才能のある人間に心当たりがない。
人間の成長や変化なんて、完璧に分かるなんてことはあり得ないが、確率からいってもやはりそうだ。
手配書の人間がこの町から東へ向かっているのはベラスコの情報から分かっているが、目的地がどこだか分かっていない。
どこかに行くつもりなのかもしれないし、ただ旅をしているだけかもしれない。
そうなると、追いかけるにしても間違えたらもう情報がなくなってしまう。
アウレリオの妻であるベアトリスを少しでも早く治してあげるためにも、行方を見失う訳にはいかない。
「キョエルタの村で確実に見つける!」
自分のことを避けているということは、2度のニアミスをしてこの町にいつまでもいるとは思えない。
恐らく、今日か明日にはこの町を離れるかもしれない。
東に向かっているということを考えると、ここから東南にキョエルタという村しかない。
西へUターンということもあり得るが、その場合はベラスコが送っている諜報員が発見するかもしれない。
アウレリオが取るべき選択は、キョエルタの村一択だ。
そう判断したアウレリオは、決意と共にすぐさま移動を開始したのだった。
ピトゴルペスに着いた翌日、宿屋でゆっくりとしたケイたちは、旅の資金を稼ごうと依頼を探しにグレミオに来たのだったが、建物の中に入る前でケイは足を止めた。
昨日町の中ですれ違った男が、グレミオ内にいることを探知したからだ。
何を考えているか分からないというのは結構不気味なことなので、ケイとしてもその男には関わりたくないと思っている。
【どうするの?】「ニャッ?」
足を止めて呟いたケイに、キュウとクウは不安になって問いかける。
主人であるケイに気を付けるように言われている2匹も関わりたくないが、旅を続けるにも旅の資金が必要になる。
野宿という手もあるが、宿屋で雨風凌いでゆっくり眠れる方が気分的にもいい。
そうなると、ここで依頼をこなして稼ぐのが手っ取り早い。
しかし、ここでグレミオ内に入ると何だか面倒臭くなりそうなので、どうしたものかと悩ましい。
「確か、ここ少し行ったところに村があったはずだ。そっちでも魔石を買ってもらえるだろうから、そっちへ行こう」
資金を稼ぐには、冒険者組合であるグレミオで依頼をこなし、その報酬として手に入れる方法と、倒した魔物の魔石を取り扱っている店に売って得る方法などがある。
目の前に現れた魔物はあっという間に倒してしまうので、ケイの魔法の指輪の中には多くの魔石が入っている。
ただ、ケイたちの強さを本能的に察知するのか、強い魔物は姿を現さないため、良い値段になりそうな魔物の魔石が手に入らない。
そうなると薄利多売をするしかなくなるのだが、小さい魔石はたいした値段にならず、大金を手に入れようとなると、周辺の魔物を狩りつくす勢いで倒さなければならなくなる。
そんなことしたら、弱い魔物がいなくなり、強い魔物の相手オしなければならなくなった他の冒険者にしわ寄せが行き、多くの人間が命を落としかねない。
他の人間がどうなろうとはっきり言って関係ないのだが、自分のせいで死人が増えるのは気分が悪い。
なので、ほどほどにしているのだが、小さい村とかだとそれがより顕著になる。
稼ぐのには適してはいないが、急ぐ旅でもないので面倒なことになるよりかはいいだろう。
そう思い、ケイは近くの村に移動することを提案したのだった。
【わかった!】「ニャ~!」
ケイがそうすると言うなら、2匹は別に反対する理由がない。
なので、すぐにケイの提案に頷いた。
「っ!? クウ!」
「フニャッ!?」
そうと決まれば、早々にこの場から離れようとしたケイだったが、すぐに表情に変化が起きる。
そして、すぐさまクウを捕まえて移動した。
周囲には、猫を捕まえて急に走り出したように見えただろう。
「おかしいな……」
先程までケイたちがいた場所に、グレミオの中から出てきた男が立ち止まる。
ケイが警戒していたアウレリオが、何だか違和感を感じて建物内から出てきたのだが、出た直後にその違和感が消えた。
周囲を見渡すが、昨日と同じくそこにはもう何も感じなくなっている。
そのことにアウレリオは首を傾げる。
「何かいたと思ったんだが……」
昨日の反応は、もしかしたら冒険者としてのブランクから来る間違いだったのかもしれない。
そう思って、アウレリオはとりあえずもう一日、この町中に手配書の者たちがいないかと探すことにしたのだった。
町から町へ移動を繰り返している所を見ると、グレミオで仕事をこなしているのではないかと思って探しに来てみたのだが、やはり直感には何の反応もない。
そのため、他の町へ移動しようかと考えていたところに、またも昨日と同じような感覚に襲われた。
しかし、またも空振り。
「…………もしかして」
またも自分の勘違いかとも考えたのだが、もう一つの可能性が頭に浮かんできた。
「まさか…………動きが把握されている?」
その浮かんできた考えとはこれだった。
昨日もそうだったが、アウレリオが反応してから周囲を探し始めるまでは少しのタイムラグがある。
その僅かな時間で反応が消えているということが間違いでないと仮定するならば、その僅かな時間でアウレリオから遠ざかっているということになる。
こっちの動きに気付いていないと、こんな芸当ができるとは思えない。
「そうなると、厄介だな……」
自分のことを避けている人間がいるという可能性があるというのは分かった。
そして、自分から逃げるような人間なんて、今追っている手配書の人間くらいしか思いつかない。
低い可能性として、冒険者として以前関わった人間ということもあり得るが、そんな才能のある人間に心当たりがない。
人間の成長や変化なんて、完璧に分かるなんてことはあり得ないが、確率からいってもやはりそうだ。
手配書の人間がこの町から東へ向かっているのはベラスコの情報から分かっているが、目的地がどこだか分かっていない。
どこかに行くつもりなのかもしれないし、ただ旅をしているだけかもしれない。
そうなると、追いかけるにしても間違えたらもう情報がなくなってしまう。
アウレリオの妻であるベアトリスを少しでも早く治してあげるためにも、行方を見失う訳にはいかない。
「キョエルタの村で確実に見つける!」
自分のことを避けているということは、2度のニアミスをしてこの町にいつまでもいるとは思えない。
恐らく、今日か明日にはこの町を離れるかもしれない。
東に向かっているということを考えると、ここから東南にキョエルタという村しかない。
西へUターンということもあり得るが、その場合はベラスコが送っている諜報員が発見するかもしれない。
アウレリオが取るべき選択は、キョエルタの村一択だ。
そう判断したアウレリオは、決意と共にすぐさま移動を開始したのだった。
0
お気に入りに追加
633
あなたにおすすめの小説
薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ
柚木 潤
ファンタジー
実家の薬華異堂薬局に戻った薬剤師の舞は、亡くなった祖父から譲り受けた鍵で開けた扉の中に、不思議な漢方薬の調合が書かれた、古びた本を見つけた。
そして、異世界から助けを求める手紙が届き、舞はその異世界に転移する。
舞は不思議な薬を作り、それは魔人や魔獣にも対抗できる薬であったのだ。
そんな中、魔人の王から舞を見るなり、懐かしい人を思い出させると。
500年前にも、この異世界に転移していた女性がいたと言うのだ。
それは舞と関係のある人物であった。
その後、一部の魔人の襲撃にあうが、舞や魔人の王ブラック達の力で危機を乗り越え、人間と魔人の世界に平和が訪れた。
しかし、500年前に転移していたハナという女性が大事にしていた森がアブナイと手紙が届き、舞は再度転移する。
そして、黒い影に侵食されていた森を舞の薬や魔人達の力で復活させる事が出来たのだ。
ところが、舞が自分の世界に帰ろうとした時、黒い翼を持つ人物に遭遇し、舞に自分の世界に来てほしいと懇願する。
そこには原因不明の病の女性がいて、舞の薬で異物を分離するのだ。
そして、舞を探しに来たブラック達魔人により、昔に転移した一人の魔人を見つけるのだが、その事を隠して黒翼人として生活していたのだ。
その理由や女性の病の原因をつきとめる事が出来たのだが悲しい結果となったのだ。
戻った舞はいつもの日常を取り戻していたが、秘密の扉の中の物が燃えて灰と化したのだ。
舞はまた異世界への転移を考えるが、魔法陣は動かなかったのだ。
何とか舞は転移出来たが、その世界ではドラゴンが復活しようとしていたのだ。
舞は命懸けでドラゴンの良心を目覚めさせる事が出来、世界は火の海になる事は無かったのだ。
そんな時黒翼国の王子が、暗い森にある遺跡を見つけたのだ。
*第1章 洞窟出現編 第2章 森再生編 第3章 翼国編
第4章 火山のドラゴン編 が終了しました。
第5章 闇の遺跡編に続きます。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
よろしくお願いいたします。
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。
無人島ほのぼのサバイバル ~最強の高校生、S級美少女達と無人島に遭難したので本気出す~
絢乃
ファンタジー
【ストレスフリーの無人島生活】
修学旅行中の事故により、無人島での生活を余儀なくされる俺。
仲間はスクールカースト最上位の美少女3人組。
俺たちの漂着した無人島は決してイージーモードではない。
巨大なイノシシやワニなど、獰猛な動物がたくさん棲息している。
普通の人間なら勝つのはまず不可能だろう。
だが、俺は普通の人間とはほんの少しだけ違っていて――。
キノコを焼き、皮をなめし、魚を捌いて、土器を作る。
過酷なはずの大自然を満喫しながら、日本へ戻る方法を模索する。
美少女たちと楽しく生き抜く無人島サバイバル物語。
いつもの電車を降りたら異世界でした 身ぐるみはがされたので【異世界商店】で何とか生きていきます
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
電車をおりたら普通はホームでしょ、だけど僕はいつもの電車を降りたら異世界に来ていました
第一村人は僕に不親切で持っているものを全部奪われちゃった
服も全部奪われて路地で暮らすしかなくなってしまったけど、親切な人もいて何とか生きていけるようです
レベルのある世界で優遇されたスキルがあることに気づいた僕は何とか生きていきます
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
強制無人島生活
デンヒロ
ファンタジー
主人公の名前は高松 真。
修学旅行中に乗っていたクルーズ船が事故に遭い、
救命いかだで脱出するも無人島に漂着してしまう。
更に一緒に流れ着いた者たちに追放された挙げ句に取り残されてしまった。
だが、助けた女の子たちと共に無人島でスローライフな日々を過ごすことに……
果たして彼は無事に日本へ帰ることができるのか?
注意
この作品は作者のモチベーション維持のために少しずつ投稿します。
1話あたり300~1000文字くらいです。
ご了承のほどよろしくお願いします。
ぐ~たら第三王子、牧場でスローライフ始めるってよ
雑木林
ファンタジー
現代日本で草臥れたサラリーマンをやっていた俺は、過労死した後に何の脈絡もなく異世界転生を果たした。
第二の人生で新たに得た俺の身分は、とある王国の第三王子だ。
この世界では神様が人々に天職を授けると言われており、俺の父親である国王は【軍神】で、長男の第一王子が【剣聖】、それから次男の第二王子が【賢者】という天職を授かっている。
そんなエリートな王族の末席に加わった俺は、当然のように周囲から期待されていたが……しかし、俺が授かった天職は、なんと【牧場主】だった。
畜産業は人類の食文化を支える素晴らしいものだが、王族が従事する仕事としては相応しくない。
斯くして、父親に失望された俺は王城から追放され、辺境の片隅でひっそりとスローライフを始めることになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる