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第6章
第101話
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「へー、ここがカルタンボスか……」
「やっぱ人が多いな……」
ケイの転移魔法によって連れてこられたレイナルドとカルロスは、辺りを見渡しながら感想を述べていた。
最近は、駐留兵を含めて人が増えた自分たちの島だが、規模が当然ながら全く違う。
初めて見るような人の数に、2人は圧倒されっぱなしのようだ。
そんな2人を、王都の住人は遠巻きから眺めている。
「あんまりキョロキョロしてると田舎者だとバレるぞ」
「「ぐっ!?」」
ケイの忠告を聞いて、周りの目が自分たちに向いていることにようやく2人は気付いた。
少人数の島育ちなので2人が田舎者なのは確かだが、やはりそう思われるのは嫌なようで、2人はすぐに見渡すのをやめた。
「……でもみんなこっち見てない?」
「あぁ……」
見渡すのをやめたことで、周囲の視線が向かなくなると思っていた2人だったが、王都の市民たちは変わらずこちらを見ている。
そのことに、2人は理由が分からず首を傾げていた。
「お前ら普通の人族っぽいからだよ」
「えっ?」
「……あぁ、なるほど」
その疑問の答えをケイは2人に伝えた。
カルロスはピンと来ていないようだが、レイナルドの方はなんとなく理解したようだ。
2人はエルフと人族のハーフだ。
どちらの種族もほとんど見た目に変わりはないが、エルフの方は耳が長く尖っている。
エルフであるケイの息子なので2人にもその特徴は出ているが、ケイ程はっきりとはしていないため、普通の人族と大差がないように周囲には見えているのだ。
獣人にとって人族は、こちらの地へ攻め込んでくる侵略者のイメージが強く、警戒の対象なのだろう。
「とりあえず、王城に報告に行こう」
「「うん」」
2人を連れてきたのには理由がある。
転移魔法の練習をしている2人に、転移する場所を覚えてもらうためだ。
それとカンタルボスの王であるリカルドと、王妃のアデリアはバカンスがてら島に来たので顔を見せているし、次男のファウストは連絡係として1ヶ月に1回は顔を合わせている。
しかし、長男で王太子のエリアスと、長女ルシアには顔を見せたことがない。
特にエリアスは王太子。
リカルドの次に王になると決まっている存在なので、こちらもレイナルドとカルロスのことを紹介しておこうと思ったからだ。
未だに続く周囲の視線にさらされながら、3人は王城へと向かっていったのだった。
実は、先程ケイが言ったことは間違いである。
王都の市民は、レイナルドたちを人族と思って警戒していたのではない。
というより、レイナルドとカルロスだけではなく、ケイを含めた3人を見ていたのだ。
エルフと、エルフの血を引く3人はかなりの美形。
40代になったとはいっても、ケイは20代から見た目は全然変わっていない。
そのことが頭から抜けていたから、そんな発想になったのだろう。
だから間違えたのだ。
3人を見ていたのは全部が女性で、警戒して見ていたのではなく、ただ3人の容姿に見とれていたということに。
「やっぱあの王に対してあの王太子だな……」
「さすがファウストの兄貴だな……」
島に帰って来たレイナルドとカルロスは、顔合わせをした感想をあらためて呟いた。
何度も手合わせした仲だからか、カルロスはファウストのことを呼び捨てにするようになっていた。
お互いが決めたことなので、親であるケイとリカルドも別に気にせず放って置いている。
時と場所をわきまえ、公の場では使い分けるようには言っているので大丈夫だろう。
王城でエリアスを見た時の2人は、表情が固まっていた。
一目で相当な実力者だと判断したのだろう。
「ちゃんと転移する場所を覚えたか?」
「まだできないのに連れてかれても……」
「まぁ、場所は覚えたけど……」
ケイがいつも転移するのはカンタルボスの王都近くの草原。
レイナルドとカルロスに、もしもの時は村人と共に転移してもらうためだ。
島の報告と共に、もしもの時は転移すると伝え、リカルドに了承を得ていた。
人族の船を沈めて1週間が経つが、2人はまだ転移の魔法が使えるようにはなっていない。
やはり、ケイと違って魔法のイメージが不十分だからかもしれない。
これまで、どんな魔法もすんなり覚えてきた2人も、なかなかうまくいかずに少し焦っている。
「いいからちゃんと記憶しておけ」
「「は~い」」
返事はするが、あまり本気が感じられない。
初めて魔法で躓いたからか、2人もイラついているのかもしれない。
気持ちが分からないではないので、ケイは説教するのはやめておいてあげることにした。
「ん? 美花は?」
家に戻ったのだが、妻の美花がいなかった。
最近は孫たちの相手をすることが多いのだが、家の近くで遊ぶ子供たちの側にはいない。
疑問に思ったケイは、近くで木刀を振っていた孫のラウルに尋ねた。
「おばあちゃんは、出かけるって言っていなくなっちゃった」
「……そうか」
息子2人が結婚して肩の荷が下りたからか、最近は昔のように戦闘をしたがらなくなった。
なので、急に姿を消すことなんてなくなったのだが、こんなことは久しぶりだ。
美花は十分強いので心配はそれ程していないが、ケイは探すことにした。
「やっぱ人が多いな……」
ケイの転移魔法によって連れてこられたレイナルドとカルロスは、辺りを見渡しながら感想を述べていた。
最近は、駐留兵を含めて人が増えた自分たちの島だが、規模が当然ながら全く違う。
初めて見るような人の数に、2人は圧倒されっぱなしのようだ。
そんな2人を、王都の住人は遠巻きから眺めている。
「あんまりキョロキョロしてると田舎者だとバレるぞ」
「「ぐっ!?」」
ケイの忠告を聞いて、周りの目が自分たちに向いていることにようやく2人は気付いた。
少人数の島育ちなので2人が田舎者なのは確かだが、やはりそう思われるのは嫌なようで、2人はすぐに見渡すのをやめた。
「……でもみんなこっち見てない?」
「あぁ……」
見渡すのをやめたことで、周囲の視線が向かなくなると思っていた2人だったが、王都の市民たちは変わらずこちらを見ている。
そのことに、2人は理由が分からず首を傾げていた。
「お前ら普通の人族っぽいからだよ」
「えっ?」
「……あぁ、なるほど」
その疑問の答えをケイは2人に伝えた。
カルロスはピンと来ていないようだが、レイナルドの方はなんとなく理解したようだ。
2人はエルフと人族のハーフだ。
どちらの種族もほとんど見た目に変わりはないが、エルフの方は耳が長く尖っている。
エルフであるケイの息子なので2人にもその特徴は出ているが、ケイ程はっきりとはしていないため、普通の人族と大差がないように周囲には見えているのだ。
獣人にとって人族は、こちらの地へ攻め込んでくる侵略者のイメージが強く、警戒の対象なのだろう。
「とりあえず、王城に報告に行こう」
「「うん」」
2人を連れてきたのには理由がある。
転移魔法の練習をしている2人に、転移する場所を覚えてもらうためだ。
それとカンタルボスの王であるリカルドと、王妃のアデリアはバカンスがてら島に来たので顔を見せているし、次男のファウストは連絡係として1ヶ月に1回は顔を合わせている。
しかし、長男で王太子のエリアスと、長女ルシアには顔を見せたことがない。
特にエリアスは王太子。
リカルドの次に王になると決まっている存在なので、こちらもレイナルドとカルロスのことを紹介しておこうと思ったからだ。
未だに続く周囲の視線にさらされながら、3人は王城へと向かっていったのだった。
実は、先程ケイが言ったことは間違いである。
王都の市民は、レイナルドたちを人族と思って警戒していたのではない。
というより、レイナルドとカルロスだけではなく、ケイを含めた3人を見ていたのだ。
エルフと、エルフの血を引く3人はかなりの美形。
40代になったとはいっても、ケイは20代から見た目は全然変わっていない。
そのことが頭から抜けていたから、そんな発想になったのだろう。
だから間違えたのだ。
3人を見ていたのは全部が女性で、警戒して見ていたのではなく、ただ3人の容姿に見とれていたということに。
「やっぱあの王に対してあの王太子だな……」
「さすがファウストの兄貴だな……」
島に帰って来たレイナルドとカルロスは、顔合わせをした感想をあらためて呟いた。
何度も手合わせした仲だからか、カルロスはファウストのことを呼び捨てにするようになっていた。
お互いが決めたことなので、親であるケイとリカルドも別に気にせず放って置いている。
時と場所をわきまえ、公の場では使い分けるようには言っているので大丈夫だろう。
王城でエリアスを見た時の2人は、表情が固まっていた。
一目で相当な実力者だと判断したのだろう。
「ちゃんと転移する場所を覚えたか?」
「まだできないのに連れてかれても……」
「まぁ、場所は覚えたけど……」
ケイがいつも転移するのはカンタルボスの王都近くの草原。
レイナルドとカルロスに、もしもの時は村人と共に転移してもらうためだ。
島の報告と共に、もしもの時は転移すると伝え、リカルドに了承を得ていた。
人族の船を沈めて1週間が経つが、2人はまだ転移の魔法が使えるようにはなっていない。
やはり、ケイと違って魔法のイメージが不十分だからかもしれない。
これまで、どんな魔法もすんなり覚えてきた2人も、なかなかうまくいかずに少し焦っている。
「いいからちゃんと記憶しておけ」
「「は~い」」
返事はするが、あまり本気が感じられない。
初めて魔法で躓いたからか、2人もイラついているのかもしれない。
気持ちが分からないではないので、ケイは説教するのはやめておいてあげることにした。
「ん? 美花は?」
家に戻ったのだが、妻の美花がいなかった。
最近は孫たちの相手をすることが多いのだが、家の近くで遊ぶ子供たちの側にはいない。
疑問に思ったケイは、近くで木刀を振っていた孫のラウルに尋ねた。
「おばあちゃんは、出かけるって言っていなくなっちゃった」
「……そうか」
息子2人が結婚して肩の荷が下りたからか、最近は昔のように戦闘をしたがらなくなった。
なので、急に姿を消すことなんてなくなったのだが、こんなことは久しぶりだ。
美花は十分強いので心配はそれ程していないが、ケイは探すことにした。
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