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第2章
第31話
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“ボッ!!”
「おぉっ!」
キュウの口から火柱が立つ。
1年ほど前くらいに、地道に続けた練習によって使えるようになったが、所詮はライターの火くらいだった。
それが、少しの期間で火力が上がった。
「予想通りだ」
「……そうね」
ケイが実験的に始めたことが成功したようだ。
釣り上げ、陸地じゃほとんど無防備な魚を、毒を塗った釘で何匹か仕留めさせた。
毒で殺してしまった魚はさすがに食べられないので、焼却処分している。
なんとなくだが、ただ生き物の命を弄んでいるようにも思えてしまう。
数匹を2、3日続けていたら顕著に結果が出た。
それもやはり、元が元だからだろうか。
美花も期待していなかった分、驚きが隠せない。
「成長が感じられる限り、このまま続けていこうか?」
“コクッ!”
自分でも成長を感じられるからか、キュウも嬉しそうに頷いた。
「マルもやらせないとな」
この方法ならマルにやらせても平気なはずだ。
そう思ったケイは、もう一本釘を用意した。
「せめてスライムくらい倒せるようになってほしいな」
西も合わせてこの島ではスライムの出現率が高い。
元々、どの大陸の、どの地域でもスライムは多く出現することで有名だ。
ケセランパセランが食べられるのも、もしかしたらスライムによる所が多いのではないだろうか。
それは良いとして、取り敢えずスライムが倒せるようになれば、更に上も目指せる。
「私も魔物倒しに行った方が良いのかな?」
美花もせめて追っ手を蹴散らせるくらい強くなりたい。
そのためにケイから魔闘術のコツを教わったりしているのだが、魔力のコントロールは難しく、なかなか上達しない。
キュウの成長を見ていると、魔闘術を使えなくても強くなれるのではないかと思えてきた。
自分より強いケイが止めるのだから、ダンジョンに行くのは危険なのだろう。
猪や腕鶏のテリトリー以外に、聞いた話だと虫の魔物が出る森があるとケイは言っていた。
そこなら注意さえしていれば死ぬことはないだろう。
そう思って聞いてみたのだが、
「魔力の量とかは少しは成長するかもしれないけど、魔力のコントロールは練習でしか成長しないよ」
何があったかは分からないが、美花が強くなりたいと思っていることは理解しているつもりだ。
確かに、美花が言うように魔物を倒せば強くはなるだろう。
寿命が長いエルフの自分よりも、人族の美花の方が成長度は期待できる。
魔力の量とかも今より増えるはず。
しかし、それと魔力をコントロールをすることはイコールになっていない。
逆に、もしかしたら魔力が増えればさらに緻密さを求められるかもしれない。
「それに美花は探知とかできるの?」
魔闘術を教えるにあたって、美花の魔力コントロールがどれくらいだかを見せてもらった。
なんでも、日向の人間は魔法をあまり使わないらしく、ある程度技術をつけてから魔力のコントロールを始めるらしい。
美花も魔力コントロールの練習を少し前から始めたくらいだと言っていた。
そして見せてもらったら、かなり遅い。
手に魔力を集めてと言えば2、3秒ほどかかって集められた。
何度かやってもらうが、毎回集める魔力の量もバラバラ。
5歳の時のアンヘルの方がコントロールが上手いくらいだ。
まぁ、そのアンヘルのおかげで碌に練習しなくても使えた自分が言えた義理ではないが。
そんな魔力コントロールでは当然探知術も使えないだろうし、魔物を探知することができないと、いくらケイが子供の時倒せたからといって、1人で行かせるのは心許ない。
「えっ? そういうのって感覚で分かる物じゃないの?」
「…………ワ~ォ」
なんだその超能力はと、ケイは頭の中で突っ込んだ。
もしかして、美花は感覚主義な脳筋タイプなのではないだろうか。
ケイの経験からしたら、教えるのが面倒なタイプだ。
細かい説明ではなかなか上達せず、結局自分で見つけた感覚で上達するタイプだ。
前世でも、小学校の時スポーツができた方の啓だが、授業でバスケをした時、教わったことを練習して身につけていくケイに反して、人の話を聞いていないのに独自で上手くなっていく友達がいた。
啓が秀才型なら、友人は天才型。
難しいことも、天才型なら簡単にできてしまったりすることに、どことなく不公平感を感じてしまう。
それでも、努力をすればその天才に追いつけるのだから、ケイも相当なものだと思う。
「探知術が使えるようになれば、ダンジョン以外で危ない目に遭うことはないと思うよ」
「へ~……」
どうやら美花は聞く耳を持っているようだ。
ケイがやり方とメリットを教えると、良いことを聞いたと目を輝かせていた。
「刀での戦闘を得意としているのかもしれないけど、遠距離の攻撃もできた方が良いと思わない?」
「たしかに……、じゃあ、魔法も教えてくれる?」
「……うん」
ケイが一緒にいるのなら遠距離の攻撃は問題ないが、ダンジョン内の罠などで美花が1人になった時に攻撃手段は多い方が良い。
そう思って問いかけると、美花も納得した。
なんか上目遣いで頼まれ、ケイは不覚にもドキッとしてしまった。
「おぉっ!」
キュウの口から火柱が立つ。
1年ほど前くらいに、地道に続けた練習によって使えるようになったが、所詮はライターの火くらいだった。
それが、少しの期間で火力が上がった。
「予想通りだ」
「……そうね」
ケイが実験的に始めたことが成功したようだ。
釣り上げ、陸地じゃほとんど無防備な魚を、毒を塗った釘で何匹か仕留めさせた。
毒で殺してしまった魚はさすがに食べられないので、焼却処分している。
なんとなくだが、ただ生き物の命を弄んでいるようにも思えてしまう。
数匹を2、3日続けていたら顕著に結果が出た。
それもやはり、元が元だからだろうか。
美花も期待していなかった分、驚きが隠せない。
「成長が感じられる限り、このまま続けていこうか?」
“コクッ!”
自分でも成長を感じられるからか、キュウも嬉しそうに頷いた。
「マルもやらせないとな」
この方法ならマルにやらせても平気なはずだ。
そう思ったケイは、もう一本釘を用意した。
「せめてスライムくらい倒せるようになってほしいな」
西も合わせてこの島ではスライムの出現率が高い。
元々、どの大陸の、どの地域でもスライムは多く出現することで有名だ。
ケセランパセランが食べられるのも、もしかしたらスライムによる所が多いのではないだろうか。
それは良いとして、取り敢えずスライムが倒せるようになれば、更に上も目指せる。
「私も魔物倒しに行った方が良いのかな?」
美花もせめて追っ手を蹴散らせるくらい強くなりたい。
そのためにケイから魔闘術のコツを教わったりしているのだが、魔力のコントロールは難しく、なかなか上達しない。
キュウの成長を見ていると、魔闘術を使えなくても強くなれるのではないかと思えてきた。
自分より強いケイが止めるのだから、ダンジョンに行くのは危険なのだろう。
猪や腕鶏のテリトリー以外に、聞いた話だと虫の魔物が出る森があるとケイは言っていた。
そこなら注意さえしていれば死ぬことはないだろう。
そう思って聞いてみたのだが、
「魔力の量とかは少しは成長するかもしれないけど、魔力のコントロールは練習でしか成長しないよ」
何があったかは分からないが、美花が強くなりたいと思っていることは理解しているつもりだ。
確かに、美花が言うように魔物を倒せば強くはなるだろう。
寿命が長いエルフの自分よりも、人族の美花の方が成長度は期待できる。
魔力の量とかも今より増えるはず。
しかし、それと魔力をコントロールをすることはイコールになっていない。
逆に、もしかしたら魔力が増えればさらに緻密さを求められるかもしれない。
「それに美花は探知とかできるの?」
魔闘術を教えるにあたって、美花の魔力コントロールがどれくらいだかを見せてもらった。
なんでも、日向の人間は魔法をあまり使わないらしく、ある程度技術をつけてから魔力のコントロールを始めるらしい。
美花も魔力コントロールの練習を少し前から始めたくらいだと言っていた。
そして見せてもらったら、かなり遅い。
手に魔力を集めてと言えば2、3秒ほどかかって集められた。
何度かやってもらうが、毎回集める魔力の量もバラバラ。
5歳の時のアンヘルの方がコントロールが上手いくらいだ。
まぁ、そのアンヘルのおかげで碌に練習しなくても使えた自分が言えた義理ではないが。
そんな魔力コントロールでは当然探知術も使えないだろうし、魔物を探知することができないと、いくらケイが子供の時倒せたからといって、1人で行かせるのは心許ない。
「えっ? そういうのって感覚で分かる物じゃないの?」
「…………ワ~ォ」
なんだその超能力はと、ケイは頭の中で突っ込んだ。
もしかして、美花は感覚主義な脳筋タイプなのではないだろうか。
ケイの経験からしたら、教えるのが面倒なタイプだ。
細かい説明ではなかなか上達せず、結局自分で見つけた感覚で上達するタイプだ。
前世でも、小学校の時スポーツができた方の啓だが、授業でバスケをした時、教わったことを練習して身につけていくケイに反して、人の話を聞いていないのに独自で上手くなっていく友達がいた。
啓が秀才型なら、友人は天才型。
難しいことも、天才型なら簡単にできてしまったりすることに、どことなく不公平感を感じてしまう。
それでも、努力をすればその天才に追いつけるのだから、ケイも相当なものだと思う。
「探知術が使えるようになれば、ダンジョン以外で危ない目に遭うことはないと思うよ」
「へ~……」
どうやら美花は聞く耳を持っているようだ。
ケイがやり方とメリットを教えると、良いことを聞いたと目を輝かせていた。
「刀での戦闘を得意としているのかもしれないけど、遠距離の攻撃もできた方が良いと思わない?」
「たしかに……、じゃあ、魔法も教えてくれる?」
「……うん」
ケイが一緒にいるのなら遠距離の攻撃は問題ないが、ダンジョン内の罠などで美花が1人になった時に攻撃手段は多い方が良い。
そう思って問いかけると、美花も納得した。
なんか上目遣いで頼まれ、ケイは不覚にもドキッとしてしまった。
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