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第1章
第21話
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ゆったり過ごした夏が終わり、もうすっかり秋になった。
西の陸地を探索していたら嬉しいことがあった。
「…………これって」
米だ。
米を発見した。
とは言っても一般的な白米ではなく、赤い穂を実らせている赤米だ。
他の野菜もそうだが、野生に生えている物は手入れがされていないからか食べてもいまいち美味くない。
そもそも、存在は知っていたが赤米だけを食べたことがない。
健康ブームに乗っかり、白米に交ぜて食べたのが数回程度だ。
その時は白米が勝っているので気にならない味だったが、赤米だけで食べてみたら粘り気も少なく、パサついた感じがした。
普通に炊いて食べるのには向いていないのかもしれない。
パサついて美味くないのならと思ってお粥にしたら、結構美味かった。
お粥が美味いならと、昆布出汁で煮て雑炊を作ったらこれも美味しかった。
あまり量がないのが残念だが、来年は自分で田んぼでも作ろうと思う。
日々の地道な魔法の練習によってできることが増えてきた。
それによって、腕鶏を倒せるようになった。
もちろんあのパンチが怖いので、遠目からの不意打ちでだ。
魔力で作った氷の矢を、避けきれないほどの数作り、雨のように上空から落としまくった。
「…………死んだか?」
氷の矢が何本も刺さり、腕鶏を串刺しにした。
ピクリとも動かないが、起き上がって来たらと思うと近付くことがためらわれる。
もしもの時のために、銃をいつでも発砲できるように構えたままそろりそろりと近付くと、魔法の指輪に収納できた。
ケイは、死んでる相手にビクビクしていたことに、我ながらビビりすぎだろと思う出来事だった。
それはいいとして、腕鶏の肉が手に入った。
食べてみたらかなり美味かった。
ただ、発達している腕の部分はちょっと固く、普通に焼いて食べるのには向いていない。
しかし、牛筋のようにじっくり煮込めば気にならなくなり、美味かった。
腕鶏を手に入れる前から考えていたことがある。
「鶏といったら鶏油!」
菜種油はあるのだが、量が少なくこのまま料理に使っていたら冬を前になくなりそうだ。
ゴマ油とか手に入れたいが、ゴマのような物が見つからない。
他にないかと考えていたところ、何も植物油ばかりが油じゃないことを思い出した。
魔物とはいえ猪と鶏がいるのだから、ラードと鶏油(チーユ)が手に入ると思った。
猪型の魔物はまだ倒せそうもないので、はっきり言って近寄りたくない。
そうなると残るは腕鶏。
魔法が上達してきている自身があったので、チャレンジした結果手に入れられた。
それに、鶏油の作り方は小さい頃から行っていた近所のラーメン屋のおっちゃんに聞いたことがあったため、腕鶏を捕まえられたことで鶏油を手に入れたも同然だ。
「よしっ! 作ろう!」
鶏油をとるには、鶏皮を先に炒め、油が出てきたらネギとショウガをいれてまた炒め、皮がカリッとして油が出てこなくなったら完成。
皮だけ炒めても油が出るが臭いので、ネギとショウガは臭み消しだ。
ネギっぽいのはあるのだが、ショウガはまだ見つかっていない。
多少の臭みが残るかもしれないが、ネギだけ入れて作った。
腕鶏1羽でまあまあ取れた。
油を取ってできたカリカリの鶏皮は捨てようかと思ったのだが、キュウが大層気にいっていた。
なので、おやつであげるようにしている。
探索を続けていて、最近になって気がついたのだが、どうやら西の陸地も島になっているようだ。
ここまで調べて人間の影すら見ることがないのだから、無人島のようだ。
エルフのケイにとって、これは気分が楽になった。
西の島にはある程度縄張りがあるようで、猪のエリア、腕鶏のエリアがある。
両方とも家族で過ごしているらしく、集団で襲われたら怖いのでなるべく近寄らないようにしている。
捕まえた腕鶏は、遠くまで餌を探しに来ていたやつのようだ。
その集団が集まっている所を除いて、かなりの時間をかけて探索してきたが、西の島の探索も今日で終わりそうだ。
「……ゴブリン?」
島の最西端には海岸があった。
そこの近くに、小さな人型の生物がいた。
しかし、肌の色がどう見ても人間とは異なっている。
頭に角も生えている所を見ると、ファンタジーでよく見るゴブリンのようだ。
遠くから探知で見ていると、子供の大きさのゴブリンもいる所を見ると、家族を形成しているようだ。
どうやって食べ物を集めているのかは気になる所だが、どうするべきか悩む。
もしも、ケイが住んでいる東の小島を発見でもされたら攻め込まれる可能性がある。
今やケイの拠点の側の畑には、色々な野菜ができている。
それを奪われてしまったら、ケイがまた住む場所を作り出すのは難しい。
海で隔たれているとは言っても、それを考えると安心できない。
島に流れ着いてほぼ1年、ゴブリンの姿を見ることがなかったとは言えいつそうなるか分からない。
「……殺るしかないか」
この世界のゴブリンの知能がどれほどかは分からないので、危険な芽は摘んでおくべきだろう。
ケイはゴブリンの集落を潰すことを密かに決意した。
西の陸地を探索していたら嬉しいことがあった。
「…………これって」
米だ。
米を発見した。
とは言っても一般的な白米ではなく、赤い穂を実らせている赤米だ。
他の野菜もそうだが、野生に生えている物は手入れがされていないからか食べてもいまいち美味くない。
そもそも、存在は知っていたが赤米だけを食べたことがない。
健康ブームに乗っかり、白米に交ぜて食べたのが数回程度だ。
その時は白米が勝っているので気にならない味だったが、赤米だけで食べてみたら粘り気も少なく、パサついた感じがした。
普通に炊いて食べるのには向いていないのかもしれない。
パサついて美味くないのならと思ってお粥にしたら、結構美味かった。
お粥が美味いならと、昆布出汁で煮て雑炊を作ったらこれも美味しかった。
あまり量がないのが残念だが、来年は自分で田んぼでも作ろうと思う。
日々の地道な魔法の練習によってできることが増えてきた。
それによって、腕鶏を倒せるようになった。
もちろんあのパンチが怖いので、遠目からの不意打ちでだ。
魔力で作った氷の矢を、避けきれないほどの数作り、雨のように上空から落としまくった。
「…………死んだか?」
氷の矢が何本も刺さり、腕鶏を串刺しにした。
ピクリとも動かないが、起き上がって来たらと思うと近付くことがためらわれる。
もしもの時のために、銃をいつでも発砲できるように構えたままそろりそろりと近付くと、魔法の指輪に収納できた。
ケイは、死んでる相手にビクビクしていたことに、我ながらビビりすぎだろと思う出来事だった。
それはいいとして、腕鶏の肉が手に入った。
食べてみたらかなり美味かった。
ただ、発達している腕の部分はちょっと固く、普通に焼いて食べるのには向いていない。
しかし、牛筋のようにじっくり煮込めば気にならなくなり、美味かった。
腕鶏を手に入れる前から考えていたことがある。
「鶏といったら鶏油!」
菜種油はあるのだが、量が少なくこのまま料理に使っていたら冬を前になくなりそうだ。
ゴマ油とか手に入れたいが、ゴマのような物が見つからない。
他にないかと考えていたところ、何も植物油ばかりが油じゃないことを思い出した。
魔物とはいえ猪と鶏がいるのだから、ラードと鶏油(チーユ)が手に入ると思った。
猪型の魔物はまだ倒せそうもないので、はっきり言って近寄りたくない。
そうなると残るは腕鶏。
魔法が上達してきている自身があったので、チャレンジした結果手に入れられた。
それに、鶏油の作り方は小さい頃から行っていた近所のラーメン屋のおっちゃんに聞いたことがあったため、腕鶏を捕まえられたことで鶏油を手に入れたも同然だ。
「よしっ! 作ろう!」
鶏油をとるには、鶏皮を先に炒め、油が出てきたらネギとショウガをいれてまた炒め、皮がカリッとして油が出てこなくなったら完成。
皮だけ炒めても油が出るが臭いので、ネギとショウガは臭み消しだ。
ネギっぽいのはあるのだが、ショウガはまだ見つかっていない。
多少の臭みが残るかもしれないが、ネギだけ入れて作った。
腕鶏1羽でまあまあ取れた。
油を取ってできたカリカリの鶏皮は捨てようかと思ったのだが、キュウが大層気にいっていた。
なので、おやつであげるようにしている。
探索を続けていて、最近になって気がついたのだが、どうやら西の陸地も島になっているようだ。
ここまで調べて人間の影すら見ることがないのだから、無人島のようだ。
エルフのケイにとって、これは気分が楽になった。
西の島にはある程度縄張りがあるようで、猪のエリア、腕鶏のエリアがある。
両方とも家族で過ごしているらしく、集団で襲われたら怖いのでなるべく近寄らないようにしている。
捕まえた腕鶏は、遠くまで餌を探しに来ていたやつのようだ。
その集団が集まっている所を除いて、かなりの時間をかけて探索してきたが、西の島の探索も今日で終わりそうだ。
「……ゴブリン?」
島の最西端には海岸があった。
そこの近くに、小さな人型の生物がいた。
しかし、肌の色がどう見ても人間とは異なっている。
頭に角も生えている所を見ると、ファンタジーでよく見るゴブリンのようだ。
遠くから探知で見ていると、子供の大きさのゴブリンもいる所を見ると、家族を形成しているようだ。
どうやって食べ物を集めているのかは気になる所だが、どうするべきか悩む。
もしも、ケイが住んでいる東の小島を発見でもされたら攻め込まれる可能性がある。
今やケイの拠点の側の畑には、色々な野菜ができている。
それを奪われてしまったら、ケイがまた住む場所を作り出すのは難しい。
海で隔たれているとは言っても、それを考えると安心できない。
島に流れ着いてほぼ1年、ゴブリンの姿を見ることがなかったとは言えいつそうなるか分からない。
「……殺るしかないか」
この世界のゴブリンの知能がどれほどかは分からないので、危険な芽は摘んでおくべきだろう。
ケイはゴブリンの集落を潰すことを密かに決意した。
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