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⑨
しおりを挟む「日本のテレビって面白いわね~」
「そうか? まあ、ゆっくり見ててよ」
俺は、かばんを置き、本棚の隅に置いている貯金箱に向かった。
「さてと、せっかくだから……」
そして、浮いた分の50円を貯金箱に入れた。
だって、元々、スクラッチなんかあてにしてなかったしな。
ふってわいた50円なんだから、ここは貯金に回すのが賢い選択だろう。
チャリン──
50円が貯金箱に吸い込まれる音が心地好く響いた。
「あら? また貯金したの? えら~い」
「ちょっとした臨時収入があったんだ。なるべく貯めなきゃね」
「そうよ~、お金は裏切らないわよ~。まっ、あたしはお金に逃げられて、おまけに死んじゃったけどね~、いや~ん、うける~」
「は、はは……」
こ、この幽霊……たまに、自虐ネタを言うよな。
ま、まあ、いい。
とりあえず、夕飯にするか。
──数時間後。
牛丼も食べ終わり、部屋でくつろいで夜も11時を回った頃、俺はゴミを出しに行った。
働いていると、24時間いつでもゴミを出せるマンションに住んでいて本当に良かったと思う。
そして、ゴミを出しに行った時、マンションの側にある自販機に目が止まった。
「おっ、今だけ80円か」
これは、お買い得だな。
俺は、ジーパンのポケットに手を入れ、小銭を確認。
すると百円玉があった。
「買おうかな……貯金に回したとはいえ、牛丼屋で50円得したし、別にいいよな」
俺は、鼻歌混じりで百円玉を投入。
「いや、待てよ……」
しかし、ボタンを押そうとする手が、すぐにピタッと止まった。
ダメだ。
ダメだ、ダメだ。
こういうことをしているから、金が貯まらないんだ。
俺はすぐに返却レバーを押した。
「あれ?」
すると、返却口に百円玉があるのはもちろんだが、さらに小銭が入っていた。
「あっ……誰かが取り忘れたのかな……」
それは、10円玉2枚と5円玉1枚の25円だった。
「ハハッ、こりゃついてるな」
俺は、ゴミを捨てにいったついでに、25円を手に入れることになった。
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