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しおりを挟むこれは俺がニコル先生に性的に興奮した事があると白状してしまったような物かも知れない……。
先生は嬉しそうにして微笑んでいたが、俺は最初からずっとドキドキしっぱなしだし、自分の頭の中の情報処理が上手く働かず、頭が故障してボフンボフンと煙をだしているようだった。
「エネ、私が急にこんな告白をしてしまって困惑しているだろう。だけど申し訳ないが私もこの一週間程の休みが終わったら仕事に戻らなくてはならない。
薬の開発も大詰めでね。私がお休みを貰っている機会位しかエネと話せる時間が取れないと思ったんだ。そこでお願いがあるんだが、私が休み中だけでも良いから朝食を食べにきて良いかい?」
「それは勿論です!!俺も先生と朝食を食べるのが好きですし……でも俺、先生にすぐ返事を返す事ができなくて……」
「そうだね。今までエネは私の事を恋愛対象にもなってなかったんだから当然だよ。でも私の事を真剣に考えてくれてるみたいで有難う。そうだな……1ヶ月先に返事を貰うのはどうかな?」
1ヶ月先か……先生も忙しいから1ヶ月先なら少しは落ち着いているのだろう。俺も先生の事を尊敬だけじゃなくて、恋愛の対象として考える時間としては十分な期間かもしれない
「はい。1ヶ月後にお返事したいと思います。先生の事を改めてよく考えて見ますね」
「うん。待ってるから。さあ、私が少しでもエネに色良い返事が貰える様にこの1ヶ月頑張るかなぁ!!ふふっ」
「せ、先生は頑張らなくても普段から頑張ってます!!」
「ふふっ」
そう言って今日の先生は帰っていった。本棚にある俺のノートを見て明日は俺の参考になる本を数冊プレゼントしてくれるそうだ。俺が恐縮していると、「朝食作りのお給金だと思ってね!」と押し切られたので朝食の対価として有り難く貰う事にした。
それにしても先生が、先生が俺の事を好きって!!モニカに揶揄われた告白を無効にしたら、本当に初めて告白をされた!!
それがあのニコル先生からだなんて!!本当に本当の事なのか!!
先生だったら俺じゃなくてももっと美人や頭の良い人や貴族なんか沢山選び放題なのに……俺なんか勿体なさすぎる!!
本当に俺で良いのか、それより先ずは俺の気持ちは?
今は先生から告白されて、ドキドキしっぱなしだけと……早く俺冷静になれ!!告白されたら舞い上がってしまい、ニコル先生の事が気になって仕方がない。
それでもニコル先生から「エネはしっかりしてる」って言われた事がとても嬉しかった。
だからとにかく今日もちゃんと学園で授業もしっかり受けよう。
……はあ……でも今日はきっと授業は上の空になりそうだ。
それからニコル先生は自分のお休みの間、俺の朝食を食べに来てくれた。
俺は告白されてから改めて先生をまともに見る事が出来なくなってしまい、毎朝会う時に顔をそらしてしまうので先生から「意識してくれているんだねー」と嬉しそうにされている。
それでも朝食の用意ができた頃には落ち着き、会話を弾ませながら一緒にご飯を食べるのが楽しかった。
そして先生のお休みが最後の日
「じゃあ。エネ、この1週間の間朝食の準備が大変だったろうに……ありがとう。私にとって夢の様な時間だったよ」
「いえ……朝食はいつも作ってましたし、俺も先生と一緒に食事ができてとても楽しかったです。だから今が少し寂しいと思っています」
「エネ!!」
帰る間際で先生に抱き締められてしまった。そういえば前にもこんな事があったっけ……その時もドキドキしたけど、今も物凄くドキドキする……あっ先生って甘い香りがするんだ。
それから先生が俺と目を合わせてきた。うわっ綺麗過ぎて無理ですっ!!また頭がボフンボフンしてしまう!!
「色良い返事を待っているよ。エネ」
そう言って最後にきゅうっっとまた強く抱き締められてから首筋にキスをされて去って行った。
「………!!……ふあっ……」
なんて事だ……俺は1人自分の部屋に残されて腰を抜かしてしまった。
ニコル先生は天使なのか悪魔なのか……
俺にとってニコル先生の姿や立ち振る舞い、そして言動の全てがとにかく刺激が強すぎて……恋愛ってこれが普通なのか!!
先生と付き合ったりでもしたら正直俺の心臓と理性がもたないかもと本気で思った。
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