上 下
88 / 93

88

しおりを挟む


これは俺がニコル先生に性的に興奮した事があると白状してしまったような物かも知れない……。

先生は嬉しそうにして微笑んでいたが、俺は最初からずっとドキドキしっぱなしだし、自分の頭の中の情報処理が上手く働かず、頭が故障してボフンボフンと煙をだしているようだった。

「エネ、私が急にこんな告白をしてしまって困惑しているだろう。だけど申し訳ないが私もこの一週間程の休みが終わったら仕事に戻らなくてはならない。
薬の開発も大詰めでね。私がお休みを貰っている機会位しかエネと話せる時間が取れないと思ったんだ。そこでお願いがあるんだが、私が休み中だけでも良いから朝食を食べにきて良いかい?」


「それは勿論です!!俺も先生と朝食を食べるのが好きですし……でも俺、先生にすぐ返事を返す事ができなくて……」


「そうだね。今までエネは私の事を恋愛対象にもなってなかったんだから当然だよ。でも私の事を真剣に考えてくれてるみたいで有難う。そうだな……1ヶ月先に返事を貰うのはどうかな?」


1ヶ月先か……先生も忙しいから1ヶ月先なら少しは落ち着いているのだろう。俺も先生の事を尊敬だけじゃなくて、恋愛の対象として考える時間としては十分な期間かもしれない


「はい。1ヶ月後にお返事したいと思います。先生の事を改めてよく考えて見ますね」

「うん。待ってるから。さあ、私が少しでもエネに色良い返事が貰える様にこの1ヶ月頑張るかなぁ!!ふふっ」

「せ、先生は頑張らなくても普段から頑張ってます!!」

「ふふっ」

そう言って今日の先生は帰っていった。本棚にある俺のノートを見て明日は俺の参考になる本を数冊プレゼントしてくれるそうだ。俺が恐縮していると、「朝食作りのお給金だと思ってね!」と押し切られたので朝食の対価として有り難く貰う事にした。

それにしても先生が、先生が俺の事を好きって!!モニカに揶揄われた告白を無効にしたら、本当に初めて告白をされた!!

それがあのニコル先生からだなんて!!本当に本当の事なのか!!

先生だったら俺じゃなくてももっと美人や頭の良い人や貴族なんか沢山選び放題なのに……俺なんか勿体なさすぎる!!


本当に俺で良いのか、それより先ずは俺の気持ちは?

今は先生から告白されて、ドキドキしっぱなしだけと……早く俺冷静になれ!!告白されたら舞い上がってしまい、ニコル先生の事が気になって仕方がない。

それでもニコル先生から「エネはしっかりしてる」って言われた事がとても嬉しかった。

だからとにかく今日もちゃんと学園で授業もしっかり受けよう。

……はあ……でも今日はきっと授業は上の空になりそうだ。


それからニコル先生は自分のお休みの間、俺の朝食を食べに来てくれた。 
俺は告白されてから改めて先生をまともに見る事が出来なくなってしまい、毎朝会う時に顔をそらしてしまうので先生から「意識してくれているんだねー」と嬉しそうにされている。

それでも朝食の用意ができた頃には落ち着き、会話を弾ませながら一緒にご飯を食べるのが楽しかった。

そして先生のお休みが最後の日

「じゃあ。エネ、この1週間の間朝食の準備が大変だったろうに……ありがとう。私にとって夢の様な時間だったよ」

「いえ……朝食はいつも作ってましたし、俺も先生と一緒に食事ができてとても楽しかったです。だから今が少し寂しいと思っています」

「エネ!!」

帰る間際で先生に抱き締められてしまった。そういえば前にもこんな事があったっけ……その時もドキドキしたけど、今も物凄くドキドキする……あっ先生って甘い香りがするんだ。
それから先生が俺と目を合わせてきた。うわっ綺麗過ぎて無理ですっ!!また頭がボフンボフンしてしまう!!

「色良い返事を待っているよ。エネ」

そう言って最後にきゅうっっとまた強く抱き締められてから首筋にキスをされて去って行った。


「………!!……ふあっ……」



なんて事だ……俺は1人自分の部屋に残されて腰を抜かしてしまった。

ニコル先生は天使なのか悪魔なのか……

俺にとってニコル先生の姿や立ち振る舞い、そして言動の全てがとにかく刺激が強すぎて……恋愛ってこれが普通なのか!!

先生と付き合ったりでもしたら正直俺の心臓と理性がもたないかもと本気で思った。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

巻き戻り令息の脱・悪役計画

日村透
BL
※本編完結済。現在は番外後日談を連載中。 日本人男性だった『俺』は、目覚めたら赤い髪の美少年になっていた。 記憶を辿り、どうやらこれは乙女ゲームのキャラクターの子供時代だと気付く。 それも、自分が仕事で製作に関わっていたゲームの、個人的な不憫ランキングナンバー1に輝いていた悪役令息オルフェオ=ロッソだ。  しかしこの悪役、本当に悪だったのか? なんか違わない?  巻き戻って明らかになる真実に『俺』は激怒する。 表に出なかった裏設定の記憶を駆使し、ヒロインと元凶から何もかもを奪うべく、生まれ変わったオルフェオの脱・悪役計画が始まった。

Mな生活

ちくたく
恋愛
S彼女とのプレイでMとして成長する物語です。

冤罪! 全身拘束刑に処せられた女

ジャン・幸田
ミステリー
 刑務所が廃止された時代。懲役刑は変化していた! 刑の執行は強制的にロボットにされる事であった! 犯罪者は人類に奉仕する機械労働者階級にされることになっていた!  そんなある時、山村愛莉はライバルにはめられ、ガイノイドと呼ばれるロボットにされる全身拘束刑に処せられてしまった! いわば奴隷階級に落とされたのだ! 彼女の罪状は「国家機密漏洩罪」! しかも、首謀者にされた。  機械の身体に融合された彼女は、自称「とある政治家の手下」のチャラ男にしかみえない長崎淳司の手引きによって自分を陥れた者たちの魂胆を探るべく、ガイノイド「エリー」として潜入したのだが、果たして真実に辿りつけるのか? 再会した後輩の真由美とともに危険な冒険が始まる!  サイエンスホラーミステリー! 身体を改造された少女は事件を解決し冤罪を晴らして元の生活に戻れるのだろうか? *追加加筆していく予定です。そのため時期によって内容は違っているかもしれません、よろしくお願いしますね! *他の投稿小説サイトでも公開しておりますが、基本的に内容は同じです。 *現実世界を連想するような国名などが出ますがフィクションです。パラレルワールドの出来事という設定です。

婚約も結婚も計画的に。

cyaru
恋愛
長年の婚約者だったルカシュとの関係が学園に入学してからおかしくなった。 忙しい、時間がないと学園に入って5年間はゆっくりと時間を取ることも出来なくなっていた。 原因はスピカという一人の女学生。 少し早めに貰った誕生日のプレゼントの髪留めのお礼を言おうと思ったのだが…。 「あ、もういい。無理だわ」 ベルルカ伯爵家のエステル17歳は空から落ちてきた鳩の糞に気持ちが切り替わった。 ついでに運命も切り替わった‥‥はずなのだが…。 ルカシュは婚約破棄になると知るや「アレは言葉のあやだ」「心を入れ替える」「愛しているのはエステルだけだ」と言い出し、「会ってくれるまで通い続ける」と屋敷にやって来る。 「こんなに足繁く来られるのにこの5年はなんだったの?!」エステルはルカシュの行動に更にキレる。 もうルカシュには気持ちもなく、どちらかと居言えば気持ち悪いとすら思うようになったエステルは父親に新しい婚約者を選んでくれと急かすがなかなか話が進まない。 そんな中「うちの息子、どうでしょう?」と声がかかった。 ルカシュと早く離れたいエステルはその話に飛びついた。 しかし…学園を退学してまで婚約した男性は隣国でも問題視されている自己肯定感が地を這う引き籠り侯爵子息だった。 ★↑例の如く恐ろしく省略してます。 ★8月22日投稿開始、完結は8月25日です。初日2話、2日目以降2時間おき公開(10:10~) ★コメントの返信は遅いです。 ★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。 ※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。 ※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません

ふざけんな!と最後まで読まずに投げ捨てた小説の世界に転生してしまった〜旦那様、あなたは私の夫ではありません

詩海猫
ファンタジー
こちらはリハビリ兼ねた思いつき短編の予定&完結まで書いてから投稿予定でしたがコ⚪︎ナで書ききれませんでした。 苦手なのですが出来るだけ端折って(?)早々に決着というか完結の予定です。 ヒロ回だけだと煮詰まってしまう事もあるので、気軽に突っ込みつつ楽しんでいただけたら嬉しいですm(_ _)m *・゜゚・*:.。..。.:*・*:.。. .。.:*・゜゚・* 顔をあげると、目の前にラピスラズリの髪の色と瞳をした白人男性がいた。 周囲を見まわせばここは教会のようで、大勢の人間がこちらに注目している。 見たくなかったけど自分の手にはブーケがあるし、着ているものはウエディングドレスっぽい。 脳内??が多過ぎて固まって動かない私に美形が語りかける。 「マリーローズ?」 そう呼ばれた途端、一気に脳内に情報が拡散した。 目の前の男は王女の護衛騎士、基本既婚者でまとめられている護衛騎士に、なぜ彼が入っていたかと言うと以前王女が誘拐された時、救出したのが彼だったから。 だが、外国の王族との縁談の話が上がった時に独身のしかも若い騎士がついているのはまずいと言う話になり、王命で婚約者となったのが伯爵家のマリーローズである___思い出した。 日本で私は社畜だった。 暗黒な日々の中、私の唯一の楽しみだったのは、ロマンス小説。 あらかた読み尽くしたところで、友達から勧められたのがこの『ロゼの幸福』。 「ふざけんな___!!!」 と最後まで読むことなく投げ出した、私が前世の人生最後に読んだ小説の中に、私は転生してしまった。

【短編集】人間がロボットになるのも悪くないかも?

ジャン・幸田
大衆娯楽
 人間を改造すればサイボーグになる作品とは違い、人間が機械服を着たり機械の中に閉じ込められることで、人間扱いされなくなる物語の作品集です。

【短編集】エア・ポケット・ゾーン!

ジャン・幸田
ホラー
 いままで小生が投稿した作品のうち、短編を連作にしたものです。  長編で書きたい構想による備忘録的なものです。  ホラーテイストの作品が多いですが、どちらかといえば小生の嗜好が反映されています。  どちらかといえば読者を選ぶかもしれません。

処理中です...