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しおりを挟む今日はメガネを持って来て無かったから、次はメガネを掛けてリーアスに気を使わせないようにしないと。
あれ?そういえば今さらだけどこの話をするなら別に学校内の人が少ない場所でも座って出来たような気がするが……
「なあリーアス?今日は別にわざわざ店に来なくても良かったんじゃないか?」
王都の中心街から離れたので今はリーアスと手を繋いでいるだけになっている。リーアスは俺の方には顔を向けずに前を向いてスタスタと歩いていた。
「それは……エネにカネレを食べさせたかったから……だからその……」
リーアスが珍しく顔を真っ赤にさせている……へえー俺に為に!!いつも意地悪な事ばっかり言うのに優しい所もあるんだな。
「そっかーリーアスも優しい所もあるんだな!!俺カネレが大好きになったんだ!!ありがとな!!」
「エネ、また……一緒に今日行った店にも来てくれるか?」
「ああいいよ!また行こう!」
「…………」
リーアスがまた片手を口の覆って何か我慢しているようだった。顔が真っ赤だ!!体調が悪いのか?
「リーアス?どうした?」
「……何でもないっじゃあ……またな!!」
「うん……気をつけて帰ってね!」
結局リーアスは手を繋いだまま俺の家まで送って帰って行った。
今日はリーアスに怒っていたけど、話してみるとリーアスにも困った事や悩みがあって大変だったんだ。
それでリーアスが俺を頼ってさ、俺もリーアスに頼って貰えて嬉しい自分がいる……ふふっ。
さて、婚約かー。婚約って将来結婚するって意味だもんな。
それってリーアスが俺の事を好きって事なのか ?
男同士でも問題ないって……今までリーアスはそんな事言った事なかったのに、王都に来てからゴッスのような例を目の当たりにして考え方が変化したのだろうか。
俺は……?
そうだな……まだはっきりと誰かを好きだと自覚した事はないけど、その人の事を好きになってしまったなら男だからとか女だからとかないな。
男でもニコル先生の様にドキドキしてしまう美人もいるし。
俺も結構王都寄りの考え方なのかも知れないぞ。
そう言えばミネラ母さんが昔から「心の中では恋愛は自由よ」って俺に言ってたから俺も何にも囚われていない考え方になってしまったかも知れない……。
リーアスは俺の事を好きなのだろうか?
いやでもそんな口ぶりじゃ無かった。
どちらかというと、今のモテ過ぎる状況が大変で何とかこの状況を変えたくて俺に相談して来たんだもんな。
都合がいい相手って俺くらいしかいなかったんだろう……
でも形だけでも婚約者になったとして、リーアスや俺の周りに婚約した事を触れ回った後にリーアスに本当に好きな人が出来たり、俺に好きな人が出来た時……婚約を解消するんだろう?
リーアスが本当に好きな人が出来たとして、その時俺には誰もいなかった場合……リーアスの都合に振り回されて終わる可能性もある訳だ!!
それで俺は婚約者に振られた可哀想だけど、何か問題がありそうな奴と噂され……
ああーーー
本当にリーアスは俺を都合良く使おうとしているな……
冷静に考えるとまたリーアスに対して腹が立ってきた。
リーアスも本当に好きになった人に対して俺と婚約しているにも関わらず他の人に手を出そうとする事になるから不誠実と思われる可能性も高いぞ!!
おいおい……やっぱりこの婚約は辞めた方がお互いの為じゃないのか……。
モニカは貴族で家同士で結婚するとか言っていたから、世の中は好き同士じゃなくても結婚する事も多いんだろうが……
後日ミネラ母さんとレオナルドおじさんから手紙の返事が届いた。
母さんは「エネは自分の気持ちに正直に生きなさい。その先にリーアス君が居るならとても嬉しいし歓迎するわ」
と短い文章だった。俺の気持ちに正直にか……。
レオナルドおじさんの手紙には「エネ君、うちの子がすまなかった。ガロンにも伝えたので相当リーアスに怒ったと思う……もしこれからも困った事があればガロンに伝えた方が対処が速いのでそれも頼んでおいた。
エネ君は遠慮なくガロンに伝えてくれ。
リーアスの親として申し訳なかった。それでもリーアスと仲良くしてくれるなら嬉しいが無理しなくていいからね」
「レオナルドおじさん……うっうっ…」
レオナルドおじさんにこんな事言わせてしまってリーアスは悪い奴だぞ……おじさんの事は嫌いじゃないんです。こんな事を言わせてしまってごめんなさい。
こんな謝罪の手紙を書いたレオナルドおじさんの気持ちを考えていたら自然と涙が溢れてきてしまった。リーアスの親不孝者っ!!
俺は出来るなら自分の好きな相手と結ばれたいと思っている。
いつか好きになった人と恋人となって結婚出来たらいいと思っていたが夢を見過ぎなんだろうか……
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