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しおりを挟む「さあ、挨拶はこの辺にして!!せっかく私が食事の下拵えをしたんだからダイニングテーブルの方に移動しようよ」
「そうね、そうしましょう。エネさんも。此方のダイニングテーブルに行きましょう」
ニコル先生とお母様に促されてダイニングテーブルに方に移動する。
執事さんが椅子を引いてくれたのでそのまま座った。
俺の席は丁度ダイニングテーブルの真ん中でその隣にニコル先生が座ってくれた。向かい側にシュワルツ様とお母様でいわゆるお誕生席には侯爵様が座った。
「エネ、今日は前菜のオードブルからデザートまでの下準備は私がしたんだよ。エネと一緒に頂きたいから流石に最後の仕上げは料理長に任せてあるけど、沢山食べてね」
「はい。ありがとうございます。ニコル先生はこうして普段から料理はするのですか?」
「ああ……料理は嫌いじゃ無いけど普段は全くしないな。だけどエネを見ていたらあれもこれも食べさせたいと想像してしまって、色々な食べさせたい料理を思い浮かぶから今回は作ったんだ。下拵えだけだけどね」
そうだったのか……この間も先生は俺の身体を心配してくれてパンを沢山買ってくれたんだもんな。
ずっと心配ばかりさせてしまっていて申し訳ない。
「先生……すみません。俺ちょっと痩せてますよね。俺の身体の心配ばかりさせてしまって……」
「エネ君、確かに痩せているように見えるが……どうしてなのかい?しっかり食べないと学業に支障がでるかも知れないよ」
侯爵様まで俺の身体を心配させてしまった。元気なんだけどそんなに心配になる程痩せてるかなぁ。月末までキツキツの生活費で頑張ろうとし過ぎてしまったかも知れない。
「侯爵様まで私の身体を心配してくださって有難う御座います。お恥ずかしい話なのですが、先月まで試験勉強に集中する為にアルバイトをしていませんでした。だから少しだけ食費を切り詰めて生活していたのです。でも元気ですよ!それに今は働き始めましたので生活にも多少余裕が出てくると思います!」
俺が話している間に執事さんと侍従さん達が次々と料理を乗せた皿を運んできて俺の前にも置いてくれた。わっ!!凄い美味しそうだ!!
ニコル先生がニコニコしながら料理の説明をしてくれる。
「エネ、こっちのお皿はマグロウのカルパッチョで、そっちのお皿はスモークモンサーだよ!さあ食べて食べて!!」
マグロウとモンサーは今まで食べた事が無がったが、信じられないくらい美味しい食べ物だった。
聞けば海のお魚らしく、俺は今まで川魚しか食べた事が無かったのでそれが1番美味しいと思っていたが、マグロウの方は油がのっていて口の中に入れると甘くてトロけるように美味しさが広がった。
そしてオレンジ色が綺麗なモンサーはスモークの香りと塩分が丁度よく効いていていくらでも食べられそうだった。
「凄い美味しいです!!こんなに美味しい魚を初めて頂きました!!ニコル先生はこんな美味しい料理まで作るなんて、何でも出来てしまうのですね!!」
そう言うとニコル先生はとても嬉しそうニコニコしっぱなしだ。
「そうでしょ!!そうでしょ!!まだ次々と料理があるから、沢山食べるんだよ~!!」
ニコル先生も嬉しそうにそういうので、俺もついつい食べるのに夢中になってしまう。本当にこの料理が美味し過ぎる。
「エネ君は……防衛学園は学生でも家族宛に給金がでている筈だね。充分な給金とは言えないかも知れないが、エネ君の食費を切り詰める程とはね……失礼だがエネ君のご実家はお金に困窮しているのかな?」
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