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ジンside
1ずっと後悔していた
しおりを挟む長い時間、本当に長い間イーランの出産を宮廷で行った事に後悔していた。
そもそも異変に気づき始めたのは母が亡くなってからいくら憔悴しきっていたとは言え、父の死に方はおかしな点いくつもあった事からだった。
食欲もあった父が何故急に痩せた?
あの肌の斑点は何だ?
密かに宮廷に内部にいる者が関係していると判断した私は父の側近だったハンと共に密かに調査していた所、父の死亡の原因は外国から取り寄せたと思われる毒だった。
それからというもこの世でただ1人の兄妹になってしまったイーラン事が心配でしょうがなくなり、いつも手元に置いて彼女が元気でいる所を確認していないと気が済まなくなってしまった。
周りは「妹に対する執着心が激しい」や「イーラン様を少しは自由にさせてあげて欲しい」と進言する者も現れたが知った事か。
死んでしまったら元も子もないじゃないか。
まだまだ父から学ぶ事が沢山あった筈なのに、それが叶わぬまま若輩の王になった。
父の臣下として執政に1番関わっていたハンを1番の側近に据え、2番目の側近には信頼する幼馴染みのウェイを置いた
2人共俺が信頼する非常に優秀な側近だったか、定期的にハンには父の毒を接種したと思われるルートの調査を行わせていて、ハンの報告によるとウェイ家の者が手引きしているのでは無いかとの報告に驚いた。
「それはいくら何でも無いだろう……?」
ウェイの父は私の父と長年の気さくな友人だったのだ。その息子のウェイと幼馴染みとして育った私の見解はそうだった。
ウェイの性格は懐に入ればとても素直で私の事を信頼し、家臣としても節度も持っていた。
ハンの言う事は果たして本当だろうか?
初めてハンの事を疑い始めた瞬間だったが、その頃の私は誰に対しても疑心暗鬼になっていて、1番安心できる場所はイーランの側だけになっていた。
ハンもウェイも誰も信用してはならない。とにかくイーランを守らなくては。
私がまだ若輩者のまま王になってしまった為に気付けば1番の側近に据えていたハン家の影響力が大きくなっていた。
王としての力を取り戻す為に采配を振るって、自分の影響力を強くしていくのに時間をかける日々が続く。
ハンの調査報告はそのまま泳がせておきながら、ハンの影響力で追放された家臣達を集めて再教育し、「王の使者」として自由に動かせる部隊を作ってハン家やウェイ家の召使いとして何人も忍びこんでおいた。
ハン家に忍び込んで働いている者達から他国との交流を活発にしていると報告が入る。
その内ウェイとイーランの恋愛が発覚した時は、、ウェイ家だったら大丈夫だと確信があった。ハンが大反対していたのだが、その頃には自分が王として力をつけていた事もありそのまま結婚の許可をした。
ウェイ家に忍びこんでいる者達からはイーラン様は穏やかで平安に生活しておられますとのいつも報告があった。
やはり、父を殺したのはウェイじゃない。という事は……。
1つの結論としてハン家が父を毒殺したと自分の中で結論を出した。
ただ証拠は何もなく、既に私自身が調査をハンに依頼していたのだから……調査といいつつ証拠を消す作業をしただろうな。
とにかく、ハンは信用できないがハン家の勢力が拡大しないようにイーランの平安が続くように私が力をもっとつけるしかない。
更に王としての政務のあたる日々。そしてハンにはあまり重要ではない新しい仕事を増やしていき、重要な決定権は私が取り仕切って少しづつ実権を取り戻していった。
その頃になると、ハンから良く「そろそろ王は後継を……王のおそばに置く者は信頼できる部下の一族から決められるのが良いと思います」と言って自分の一族から器量の良い娘を連れて来る事が頻繁になった。
信頼できる一族……ハン家の一族からは絶対ない。
ハン家の勢力を削ぐ事にずっと力を注いできたのだ。
私が跡継ぎを作ってまた誰かを失ったり、毒殺されるのはもうごめんだ!!
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