上 下
42 / 124
〜王子side〜3

42エドワード王子の不貞2

しおりを挟む
 そうしてハイキング当日にやって来たアンドルはやはり存在自体がキラキラ輝いていて、朝から笑顔が眩しくとても可愛いらしかった。
   
    今日は待ちに待った私とのデートだからそんなにおめかししたり、荷物を沢山準備してきたのか?よく頑張ったな!偉いぞアンドル!!


 私は昨日から楽しみ過ぎて少し眠いが、ハイテンションが続いている。その気持ちがついつい溢れでてしまい思わずスキップしていた事をアンドルに見られているとは思わなかった。


 そうして私とアンドルとダイルの3人でハイキングを開始してみると……私が思い描いていた楽しいハイキングとは全く違ってしまった。


 とにかく私の理想はアンドルと手を繋いでキャハハウフフをしながらルンルン気分で歩くのがハイキングだったのに、私の横には何故かダイルがくっついて腕組みをされている。


 そして肝心のアンドルは私とダイルの後ろに付いて歩いている状態だ。


   そんな事おかしいだろうがっ!!


 ダイルにも腕組みをやめて欲しいと注意したが、「足がもつれて……」とか言って何度も助けなければならないから中々離れる事が出来ない。くそっ


 そしてとうとうアンドルが私とダイルに対して嫉妬してしまった。それにちょっと喜んでしまったのには許してほしい。

 その時ピンと閃いた。ダイルの様に足もつれ作戦をすればアンドルと腕組みができるんじゃないかと。そして私もダイルを真似てアンドルの腕組みに成功したのだ。


 しかし調子に乗っていたのかも知れない。アンドルがとうとう今までで1番怒ってしまったのである。


 それからのアンドルはほとんど話さなくなり、ひたすら黙って後ろを付いて歩いて来た。もっと楽しいハイキングにするつもりだったのに、こんな事になるとは……


 そして昼休憩の時は私は手を洗いに席を外した。手を洗うだけだから何事もないだろうとタカをくぐっていたのは油断だった。戻って来た時には2人がいない!!


 まだそんなに遠くに行ってはいないだろう……そう思って耳をよく澄ませばその先で「ゴホ……」という誰かの声が聞こえた。誰だ!!


 素早くそちらに向かうと、ダイルが短剣を振りかざしてアンドルに迫っているではないかっ!!これは一体どういう状況なのか!!とにかく今分かるのはアンドルに危機が迫っている事だ!!


 アンドルが危ない!!


 アンドルは崖の方に逃げようとしていた。そっちは崖だぞ!!もっと危険なんだぞ!!


 私がアンドルを助けようと咄嗟に手を掴もうとしたその時、あろう事か私はこの先の展開を考えてニヤニヤしてしてしまった。

 アンドルを危機一髪助けた私にアンドルが王子大好き光線を浴びせてくる。

(王子!!やっぱり貴方は素敵な人だ!!)

(アンドル、無我夢中だったよ。助かって良かった)

(ああ……王子、愛してます)

(私だっていつでもアンドルを愛しているよ)

 そして2人は未来永劫仲睦ましく暮らしましたとさ。

 そんな幸せな展開を一瞬だけ考えてしまったのが油断だった。予期せずに足がつまづいて何とアンドルと一緒に崖から落ちる事になってしまうとは。



「うわあーーーーー!!」
「ゴホゴホーーーー!!」





 ーーーーーーーーーー





 何だ?……身体が動かない……




 私は死んだのか……




 寒い……服が濡れているようだ。




 少しずつ感覚が戻ってきている様な気がした時、アンドルと崖から落ちてしまった事を思い出した。しかし身体が全く動かない。


 まだボーッとしていた時に自分の濡れた服を脱がして、タオルで私の濡れた身体を拭いてくれている者が現れた。


 私は助かったのか……


 薄目を開けて見ると、裸のアンドルがせっせと裸の私の世話を焼いてくれている所だった。



 えっ……??
 まさかここは至上の楽園??


 大昔の神話で聞いた事がある。あれは確か裸のアダムとイブが楽園で楽しくイチャコラしていたのに、悪い蛇がそそのかしてリンゴを食べちゃったものだから生活が大変になってしまった話だった……。


 私とアンドルはその楽園にてアダムとイブに生まれ変わった……??


  しかし、身体は痛むし寒いしで流石に楽園ではないかも知れない。


 それともこの状況は……


 まさかっ私の意識が朦朧としてしまった時にアンドルと情交を……!!


 バカなっ!!


 私とアンドルの初めては一生に一度のメモリアルなのに、意識が朦朧としたまま本能に任せてなんてそんな悲しい事があるかっ!!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

愛などもう求めない

白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。 「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」 「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」 目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。 本当に自分を愛してくれる人と生きたい。 ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。  ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。 最後まで読んでいただけると嬉しいです。

BLR15【完結】ある日指輪を拾ったら、国を救った英雄の強面騎士団長と一緒に暮らすことになりました

厘/りん
BL
 ナルン王国の下町に暮らす ルカ。 この国は一部の人だけに使える魔法が神様から贈られる。ルカはその一人で武器や防具、アクセサリーに『加護』を付けて売って生活をしていた。 ある日、配達の為に下町を歩いていたら指輪が落ちていた。見覚えのある指輪だったので届けに行くと…。 国を救った英雄(強面の可愛い物好き)と出生に秘密ありの痩せた青年のお話。 ☆英雄騎士 現在28歳    ルカ 現在18歳 ☆第11回BL小説大賞 21位   皆様のおかげで、奨励賞をいただきました。ありがとう御座いました。    

僕を拾ってくれたのはイケメン社長さんでした

なの
BL
社長になって1年、父の葬儀でその少年に出会った。 「あんたのせいよ。あんたさえいなかったら、あの人は死なずに済んだのに…」 高校にも通わせてもらえず、実母の恋人にいいように身体を弄ばれていたことを知った。 そんな理不尽なことがあっていいのか、人は誰でも幸せになる権利があるのに… その少年は昔、誰よりも可愛がってた犬に似ていた。 ついその犬を思い出してしまい、その少年を幸せにしたいと思うようになった。 かわいそうな人生を送ってきた少年とイケメン社長が出会い、恋に落ちるまで… ハッピーエンドです。 R18の場面には※をつけます。

気付いたら囲われていたという話

空兎
BL
文武両道、才色兼備な俺の兄は意地悪だ。小さい頃から色んな物を取られたし最近だと好きな女の子まで取られるようになった。おかげで俺はぼっちですよ、ちくしょう。だけども俺は諦めないからな!俺のこと好きになってくれる可愛い女の子見つけて絶対に幸せになってやる! ※無自覚囲い込み系兄×恋に恋する弟の話です。

自分のことを疎んでいる年下の婚約者にやっとの思いで別れを告げたが、なんだか様子がおかしい。

槿 資紀
BL
年下×年上 横書きでのご鑑賞をおすすめします。 イニテウム王国ルーベルンゲン辺境伯、ユリウスは、幼馴染で5歳年下の婚約者である、イニテウム王国の王位継承権第一位のテオドール王子に長年想いを寄せていたが、テオドールからは冷遇されていた。 自身の故郷の危機に立ち向かうため、やむを得ず2年の別離を経たのち、すっかりテオドールとの未来を諦めるに至ったユリウスは、遂に自身の想いを断ち切り、最愛の婚約者に別れを告げる。 しかし、待っていたのは、全く想像だにしない展開で――――――。 展開に無理やり要素が含まれます。苦手な方はご注意ください。 内容のうち8割はやや過激なR-18の話です。

どうも俺の新生活が始まるらしい

氷魚彰人
BL
恋人と別れ、酔い潰れた俺。 翌朝目を覚ますと知らない部屋に居て……。 え? 誰この美中年!? 金持ち美中年×社会人青年 某サイトのコンテスト用に書いた話です 文字数縛りがあったので、エロはないです ごめんなさい

愛され末っ子

西条ネア
BL
本サイトでの感想欄は感想のみでお願いします。全ての感想に返答します。 リクエストはTwitter(@NeaSaijou)にて受付中です。また、小説のストーリーに関するアンケートもTwitterにて行います。 (お知らせは本編で行います。) ******** 上園琉架(うえぞの るか)四男 理斗の双子の弟 虚弱 前髪は後々左に流し始めます。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い赤みたいなのアースアイ 後々髪の毛を肩口くらいまで伸ばしてゆるく結びます。アレルギー多め。その他の設定は各話で出てきます! 上園理斗(うえぞの りと)三男 琉架の双子の兄 琉架が心配 琉架第一&大好き 前髪は後々右に流します。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い緑みたいなアースアイ 髪型はずっと短いままです。 琉架の元気もお母さんのお腹の中で取っちゃった、、、 上園静矢 (うえぞの せいや)長男 普通にサラッとイケメン。なんでもできちゃうマン。でも弟(特に琉架)絡むと残念。弟達溺愛。深い青色の瞳。髪の毛の色はご想像にお任せします。 上園竜葵(うえぞの りゅうき)次男 ツンデレみたいな、考えと行動が一致しないマン。でも弟達大好きで奮闘して玉砕する。弟達傷つけられたら、、、 深い青色の瞳。兄貴(静矢)と一個差 ケンカ強い でも勉強できる。料理は壊滅的 上園理玖斗(うえぞの りくと)父 息子達大好き 藍羅(あいら・妻)も愛してる 家族傷つけるやつ許さんマジ 琉架の身体が弱すぎて心配 深い緑の瞳。普通にイケメン 上園藍羅(うえぞの あいら) 母 子供達、夫大好き 母は強し、の具現化版 美人さん 息子達(特に琉架)傷つけるやつ許さんマジ。 てか普通に上園家の皆さんは顔面偏差値馬鹿高いです。 (特に琉架)の部分は家族の中で順列ができているわけではなく、特に琉架になる場面が多いという意味です。 琉架の従者 遼(はる)琉架の10歳上 理斗の従者 蘭(らん)理斗の10歳上 その他の従者は後々出します。 虚弱体質な末っ子・琉架が家族からの寵愛、溺愛を受ける物語です。 前半、BL要素少なめです。 この作品は作者の前作と違い毎日更新(予定)です。 できないな、と悟ったらこの文は消します。 ※琉架はある一定の時期から体の成長(精神も若干)がなくなる設定です。詳しくはその時に補足します。 皆様にとって最高の作品になりますように。 ※作者の近況状況欄は要チェックです! 西条ネア

俺は北国の王子の失脚を狙う悪の側近に転生したらしいが、寒いのは苦手なのでトンズラします

椿谷あずる
BL
ここはとある北の国。綺麗な金髪碧眼のイケメン王子様の側近に転生した俺は、どうやら彼を失脚させようと陰謀を張り巡らせていたらしい……。いやいや一切興味がないし!寒いところ嫌いだし!よし、やめよう! こうして俺は逃亡することに決めた。

処理中です...