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童貞ダンジョン
6ダンジョンに到着
しおりを挟む俺の装備を整えてからの何日かは、ランズとダンジョンに行く為の道具を準備しながらランズとコミュニケーションをとっていく。
ランズと話して見るとやっぱり俺は新米冒険者であるというのが身に染みて分かる。
ランズは強いけれど、1番強いのは精神力だ。彼は人からどう思われようが全く気にしていない。
冒険者として1番優先すべきは自分の命とお宝であり、自分に対する噂話などは気にしてもお金にはならないと言い切っている。
童貞に関しては聖騎士だからかむしろ誇りに思っている位だった。
ランズからそれを聞いて、新米冒険者の俺は確かになる程なぁと思った。
思ったが……
実際ランズの心境に到達するには、自分の大切な何かを色々と失わないといけない気がして……正直まだ自分にはランズの様な高みには到達できないと悟ったのだ。
俺は結局生暖かい人の目が耐えられず、常にフードを被ったままランズとダンジョンに行く準備を整え、そのまま街を逃げるように西のダンジョンに向かった。
何一つ悪い事はしてないのにどうしてこんな事になったのか……全てはランズのせいだと恨みを募らせながら。
ーーーー
「へえーここがその「童貞ダンジョン」か……比較的小規模の普通のダンジョンにしか見えないけどなぁ」
とうとう「童貞ダンジョン」に到着した。
隣にはでっかい有名な上級ダンジョンがあって、そのダンジョンと比べるとこの「童貞ダンジョン」は何て事無い小さなダンジョンだったので思わずそう呟いてしまう。
「そうだね。しかし侮ってはいけない。上級者が何人もこのダンジョンで餌食になったんだ。何かあったらすぐ帰ろう」
と言ってランズはダンジョンの入り口にいつでも帰れる転移魔法陣を仕掛けておいてくれた。
「ありがとうランズ」
ランズに対しては最初こそ恨みしかわかず、おかしな奴だと思っていたが、童貞ダンジョンに辿り着くまでの道のりはとても快適に過ごす事ができた。
俺の様な足手纏いにしかならない新米冒険者はこの世間ではとても厳しい。
そんな俺にランズはこのダンジョンへ向かう道中でも、とても親切丁寧に冒険者としてのイロハを教えてくれた。
魔獣と対峙する時は圧倒的な強さを発揮し、聖騎士のままなのに冒険者としても経験が豊富だったので、とても頼りになる良いお兄さんだった。
そして、魔法もかなり使えるランズは万能な魔法聖騎士だった。
ランズが俺との契約書を作成した時に、魔法が使えると分かっていたけれど、魔法使いの俺より魔法の使い手だ。
それを知った時は何とも言えない気持ちになったけれど、今回の旅の道のりで俺は素直にランズから教えを乞い、魔法の練習に付き合って貰った。
ランズは優しかった。
俺の練習に付き合ってくれて、俺が上達すると一緒になって喜んでくれた。
冒険者は基本自分の利益にならない事はしないので、俺みたいな仲間のいない俺に魔法の練習に付き合ってくれる親切な奴はいなかった。
聖騎士だからなのか、本当に出来た人物だった。
だから余計「童貞狩りのランズ」として有名人なのは頂けない。
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