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8〜ジュードside〜
しおりを挟む俺は昔から全てにおいて出来が良かった 。
友達と遊んで騎士の真似をしていても負けた事はないし、家では生活魔術を使って両親を手伝っていた。
自分では簡単に出来る事ばかりなので、出来る事をしているだけなのに他のみんなは出来ないという。
そうしているうちに自然と騎士になった。
国のエリートである騎士の中にいれば俺のような奴らがゴロゴロいるんだろうと思っていたのだ。
しかし同じような者は余りおらず、この場所でも自分が出来る範囲で騎士を助けたり隊を率いていたらいつの間にか賞賛されて副団長になってしまった。
この国のエリートと呼ばれる騎士はとてもモテる。
騎士は貴族でも平民でもこの国の者なら実力さえあれば誰でもなれる職業だ。
そう。実力があればだ!!
騎士になると貴族や平民など身分的には何も関係なくなり、騎士という職業に一括りになる。
それに、いくら貴族出身でも騎士になる奴は爵位の継げない人間、いわば将来婿養子として嫡子がいない貴族に出されるか、平民になる可能性が高かった奴ばかりだから騎士というのは爵位ではないが、それなりに名誉ある職業と言ってもいい。
そんな騎士になると完全に実力社会であり、実力と実績さえあれば貴族の爵位を賜ったり、出世していくのでやりがいがある職業だと思う。
騎士は普通の身分ではなくなるから、平民の女性も上手くいけば結婚相手になれるし、貴族の女性達は将来有望と思われる騎士を見つけてチャンスがあれば狙って来るものらしい。
俺はそんな中で1番の出世頭と思われている自覚はあった。
だから色んな女性からのアプローチが凄い。
仲間のみんなには羨ましいと言う者もいたが、女性からのアプローチの中には人を陥れようとしたり、媚薬を盛って既成事実を強引に作ろうとする者も現れる訳だから殆どが同情である。
しかし逆にモテすぎた弊害というのか……人並みに性欲はあるものの毎度の待ち伏せや高位貴族からの娘の紹介やらの対応にうんざりしていた。
人の出世に寄りかかろうとする奴らが多すぎる。
そこに力を使うなら自分で人生切り拓けばいいのに。
いつからかそんな事を思う様になっていった。
そんな時、国境の魔獣討伐に駆り出され隊を率いていた所を不意打ち気味で魔獣に襲われる出来事があった。
隊を率いている者としては失態だ!!
だが、まだ運よく怪我人もでていなかった為大勢を立て直そうとした矢先、魔獣が群をなして更に襲っていた。
隊が危ない!!
そう思った時、後方から魔術師が強力な防御結界が一瞬で張られ、一時的に時間を稼ぐ事ができ難を逃れる事ができた。
あの一瞬であの防御結界を張れるのか!!
素晴らしい才能と弛まぬ努力がないと出来ない事だ。
隊の無事を確認した後で魔術師にお礼を言いにいくと……
「私は上級魔術師のクランです。間に合って良かった!」
と言って魔術師のフードをとって挨拶をしてくれた。
「!!!!」
そこにはストレートで長い髪をしたプラチナブロンド女の子が立っていた。そして輝く青い瞳と整った顔が微笑んで俺の方をみてホッとしているのが分かる……
そんな彼女が見せてくれた防御結界は素晴らしく、自分で努力を惜しまず練習に励んだ成果でもあるし、それと同時に彼女は誰かに縋ろうとする女と違って、自分で自分の道を一生懸命拓いて来たんだろうと思うと胸が熱くなった。
可愛い!!えっ?君魔術師なの?しかも上級??
凄いじゃん!!胸熱だし!!一目惚れなんだけど付き合って欲しい!!
本音で言いたいこ事が溢れそうになったが何とか押さえつけた。
ついさっきまで自分らを守ってくれた魔術師に対して尊敬と敬意しかなかった筈なのに、今は恋しかない。
俺ってこんなヤバい奴だったか……
その出来事があってからは上級魔術師クランの情報を収集する事が生きがいになった。
俺が知らなかっただけで、世間では可愛くて有名な上級魔術師だった。
しかも普通にモデルや女優のブロマイド写真と同じ様な売り場で沢山売っているようなアイドル扱いだった。
もっと知りたい……もっとクランとお近づきになりたい……クランといつか恋人になりたい……
そんな悩ましい日々を送っていた時に知ったのが魔術師裏試験だった。
何だど!!上級魔術師は下級魔術師に実習という名目で色んな事をしていたのか!!
と……いう事はクランも……色々やられたりして上級魔術師になり、今は下級魔術師に対してあんな事やこんな事をしていると言うのか!!
そんな事は俺が許さない!!
けしからん!!
けしからんぞ!!
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