上 下
4 / 5

4〜レオンside〜※

しおりを挟む
それからは毎日アデルは俺に、日常生活の常識を教えてくれながら読み書きも丁寧に教えてくれた。

俺が色々覚えていく度に「レオン凄いぞっ!」と言って頭を撫でてくれる。それがとても嬉しくて、もっと褒められたいと沢山覚えた。

「ご飯は毎日3食が普通なんだよー」と言って、作り方を教えて貰いながら一緒に食事を作っていくのも、とても楽しい。

出来た食事を沢山食べているとアデルがとても嬉しそうに俺を見ていてくれる…この世にこんなに幸せな事があるのだろうか…

お金の単位や簡単な計算も教えて貰えるようになると、アデルがしている仕事の報酬の大半が食費に回されている事に気がついた。

今更遅いが…ようやく俺が酷く嫌われていた訳が分かったのだ。

昔のご主人様達や他奴隷達の嫌そうな顔を思い出す…アデルの報酬を俺が居るだけで吸い取っている…

嫌われて当然だろう…

それに気づいた日の夜、余り食事に手がつけられないでいると、アデルは逆に俺の体調を心配してくれた。

思い悩んで…お金の事で謝ると、

「レオンに心配させてしまうとはっ!俺もまだまだだなっ!
心配しないで沢山食べろよ!
俺は護衛が欲しかったけど、結局雇ってないからお金はあるんだ!!」

そして「レオンが沢山食べている所が好きなんだよ」と、嬉しそうな顔をしてまた俺の頭を優しく撫でてくれる。
 
「!!!」

この頃から何故か…アデルに頭を撫でられると…俺の背中からゾクゾクッと何かが湧き起こって変な気分になった。

一度だけアデルに「何か魔術をかけたか?」と聞いてみたら「えっ?レオン大丈夫か?」と言って変な魔法にかけられてないか俺が調べられる羽目になったのでそれ以上は言うことは無かったが…


アデルとの共同生活で俺はあっという間に大きくなった。

するとアデルは「最初は小さいのからだよ」と言って、食事作りの時はまだ駄目と言われていたナイフの扱い方を教えてくれる様になった。

小さくても殺傷能力があり、少し扱いに慣れてきても「侮っては危険だ!」と言って基本動作を繰り返し教えてくれる。

教えられたまま、「ぴょんぴょん」と飛び出して来た野うさぎに向かって基本動作を行うと、野うさぎを上手く仕留める事が出来た。

褒めてくれるだろうかとアデルを見ると、アデルが驚愕な表情で固まっている…



これは…!!失敗したっ!!


前のご主人様の驚愕の表情がフラッシュバックして鞭で折檻された事を思い出す。


アデルに嫌われた!!俺は失敗したんだ!!


とっさに目を瞑って俯いていると…

「レッオーーーン!!凄い!!凄いよ!!レオン!!レオンは天才だ!!もうビックリ!!レオンは生まれつき凄い才能の持ち主だ!!」

と言って俺の髪をクシャクシャに撫で回して、俺を強く抱き締めてくれた。

「!!!」

胸がズキンとする…アデルが俺を嫌わないてくれた事に対する安堵と、喜んでくれた嬉しさなのか…

この入り混じった色んな気持ちは何なんだろうか…


俺が初めて仕留めた野うさぎを自分だけて肉と皮を剥いで換金する事が出来た。

俺が初めてアデルの役にったったんだ!!

そのお金をアデルに渡せる事が嬉しくて仕方がない。
すぐアデルに渡そうとすると「そのままこっち来て」
と防具屋に入って行くのでついて行く…。

店の中に入ると、「換金したお金を出して」と言われて店のテーブルに置くと、アデルがその上に十数倍のお金を積み上げたのに驚いた。

そして「軽装だとマジで死ぬから…」と言って奴隷の俺なんかに、かなり値段の高い装備品を一式揃えてくれた。


これは!…檻の中から見たあの戦闘奴隷みたいだ!!


アデルはそもそも俺を奴隷扱いしてないが、俺は奴隷としてずっと一緒にいたい。
契約のお陰で俺とアデルはずっと繋がっているのだから…。

その俺が奴隷の中で、特別待遇になる戦闘奴隷になれたんだ!!

そう思ったら嬉しくて嬉しくて…自然と涙が溢れてきてしまった。


あの時と違う…あの檻の中で溢れないようにしていた涙とは全く違う涙だ!!


アデルは俺を見て、「どっどうした??」とあたふたしていた姿が何故だか面白くて、泣いたまま笑っていたら、一緒に笑って俺の頭を撫でてくれた…



ああ…まただ…背中の方がゾクゾクして…下半身が重くなって…
どうしようもない衝動が自分の中から湧き起こってくるような気がした。


ーーーーー



その夜は食べて、すぐ眠くなったふりをしていると、アデルも俺の隣にそっときて横になったらと思ったら、直ぐにスースーと寝息を立てていた。

起こさないようにして、静かに起き上がる…

寝ている姿を見ていると、心の底から何かが湧き上がってくるような堪らない気持ちになる…

アデルは…「俺は平凡」と言っていたが、街を歩くとチラチラ頬を染めてアデルを見ている女性も男性も見かけるのに本当に気付かないのか?

明るい茶髪で、大きな金色の瞳はほんとに綺麗だ。整った顔が嬉しそうに笑うと今度は可愛くなる。
身体は細くて普段ローブで隠されている白くて細長い脚は艶めかしい。

「王都にいた頃は何度も先輩達から襲われそうになったから結界作りが得意になったんだ」と笑っていたが、そこは笑い事じゃないだろう?と心の中でアデルに腹を立ててしまった事もある。

眠っているアデルの唇に緊張しながら人差し指の腹を充ててみる…胸がドクンドクンと高鳴ってアデルに聴こえないか不安になる…

「んっ…」
とアデルが体制を変えたので、思わず仰け反ってしまった。

アデルはそのまま寝続けていたので、何となく自分の下半身を触りたくなって取りだずと、大きく硬く立ち上がって、ダラダラ透明な液が流れて濡れていた。

アデルの唇を触っていた指で自分自身の先端を触ってみる…ああ…いい…凄く…気持ちがいい…

今度は竿をしっかり握り、無意識に扱いてみたら腰を何かに向かって打ち付けたい気分で堪らなくなる……少しの音も立てないように……腰と手を連動させながら無我夢中にシコシコ扱いた。

アデルの白い脚を見る…ウグッ…出るッ!! …

俺は初めて射精した。

これをアデルの中に入れたい…
アデルを抱き締め尽くしたい…

いつからか…俺はアデルに対してこんなに先の見えない真っ暗な気持ちを持っていたのだろうか…

この気持ちの先には何も無い…真っ暗闇の中だ。

ましてや、この気持ちをアデル知られてしまったら…もうアデルは俺の事をいよいよ見限るだろう…

やっと戦闘奴隷としてお役に立てる時が来たのだから…絶対役に立って…アデルにずっと捨てられないように生きてやる。


俺は押し出ようとする気持ちを、無理矢理抑え続けると心に誓った。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

俺は隠して君は噓をつく

雲巡アキノ
BL
諒に片思いしていた敏は思いを告げないまま、卒業と同時に諒の前から姿を消した。 28歳になって偶然都内で再会した二人。片思いを隠して諒と会っていく敏は、彼の言葉に違和感を覚え始めて―― この作品はpixiv、ムーンライトノベルズ、カクヨム、エブリスタにも掲載をしています。 表紙はうきものさんからいただきました。ありがとうございます。

元王宮魔導士は異世界の魔王様に日々溺愛され過ぎている

彩野遼子
BL
半年前異世界イェグリームスはレヴォクロアス国にて三百年就いていた王宮魔導士の食を退いた一見十代半ばの美少女にしか見えない容姿を持つラニ・ヴェルテアード(三百五十才超え)。 現在は都内近郊にある山と海に挟まれた小さな港町・海玲町の北東に広がる昼間でも薄暗く地元の人でも滅多に近付かない涼音野森の中に建つ洋館で、ペット兼相棒であるラプクースと呼ばれる幻獣のバデルと共に全てのしがらみから解放され異世界隠居生活を堪能していたラニだったが、ある日異世界エオシャニムの「魔国」オルシュヴェルツ国の国王側近キアルによりエオシャニムに召喚されてしまう。 キアルにより辱めを受けているところを国王であるディル・オルシュヴェルツに助けられたラニだったが、初対面の筈なのにラニを知っている素振りを見せるディルに唇を奪われ、成り行きで一夜を共にした挙句、自分を組み敷くディルに「十五年前のあの日からずっと貴方が好きだ」とストレートな思いまで伝えられ、どうしていいか分からなくなるラニ。 そして翌日。 ディルとオルシュヴェルツ国の王宮魔導士であるイェダ・アルクスレーノから現在オルシュヴェルツは隣国ラヴァガルスからディルとラヴァガルス王女との望まない婚姻をかなり強引に迫られ、下手に拒否すれば戦争に発展し兼ねない程切迫している状況であることや、それを回避するためには少なくとも三か月間ディルの恋人であり妃となる「振り」をする者が必要であり、その役目をラニに頼みたいと依頼される。 そんな訳で、三ヶ月間限定の夫婦(?)生活がスタートするが、自分を甘やかし愛を囁く事を常とするディルに振り回されているうちにラニ自身も少しずつディルに惹かれていき―― これはそんな何かと不憫な元王宮魔導士とそんな王宮魔導士を溺愛する魔王のラブコメな日常の話である。 ※1.この小説は拙作「転移先で極度の女嫌いな魔王と諸事情によりラブコメします」を大幅に改稿しR18作品としてリメイクしたものです。 ※2.ムーンライトノベルズ様、pixiv様にも投稿しています。 ※3.ヌルいですが無理矢理表現があります。 ※4.タイトルとあらすじを変更しました(20.09.10)

奴隷白書

くねひと
BL
 某商社に入社した俺のインストラクター、阿久沢様は仕事だけでなく、倒錯した禁断の世界に俺を誘いました。しかし阿久沢様が海外転勤となっている間に俺は結婚してしまったのです。その負い目からなのでしょうか。日本に戻った阿久沢様からSMプレイの誘いがかかると、俺は拒むことができません。今夜も………。

冤罪悪役令息は甘い罠から逃げられない

綺沙きさき(きさきさき)
BL
【腹黒ヤンデレ公爵令息】×【冤罪の悪役令息】のド執着物語 <※注意※> 攻めだけハッピーのヤンデレエンドです。 それについての批判的感想は一切、受け付けておりません。 <あらすじ> イアン・オークスは聖女を強姦した罪で明日、処刑される……――。 しかしイアンにはその罪に全く覚えがなく、完全なる冤罪である。しかし聖女の証言などもあり、イアンの言い分を誰も信じようとしなかった。 刑の執行を牢で待つイアンだったが、親友のリチャードが牢から連れ出してくれ、彼が準備した隠れ家で匿われることに。 「不安かもしれないけど、僕が必ず真犯人を見つけるから、ここでしばらく身を隠していてほしい。――この件、僕に預けてくれないか?」 かくして、イアンの無実を証明するために奔走してくれるリチャードだったが……――。 *9月23日(月)J.GARDEN56にて頒布予定の『異世界転生×執着攻め小説集』に収録している作品です。

全ての悪評を押し付けられた僕は人が怖くなった。それなのに、僕を嫌っているはずの王子が迫ってくる。溺愛ってなんですか?! 僕には無理です!

迷路を跳ぶ狐
BL
 森の中の小さな領地の弱小貴族の僕は、領主の息子として生まれた。だけど両親は可愛い兄弟たちに夢中で、いつも邪魔者扱いされていた。  なんとか認められたくて、魔法や剣技、領地経営なんかも学んだけど、何が起これば全て僕が悪いと言われて、激しい折檻を受けた。  そんな家族は領地で好き放題に搾取して、領民を襲う魔物は放置。そんなことをしているうちに、悪事がバレそうになって、全ての悪評を僕に押し付けて逃げた。  それどころか、家族を逃す交換条件として領主の代わりになった男たちに、僕は毎日奴隷として働かされる日々……  暗い地下に閉じ込められては鞭で打たれ、拷問され、仕事を押し付けられる毎日を送っていたある日、僕の前に、竜が現れる。それはかつて僕が、悪事を働く竜と間違えて、背後から襲いかかった竜の王子だった。  あの時のことを思い出して、跪いて謝る僕の手を、王子は握って立たせる。そして、僕にずっと会いたかったと言い出した。え…………? なんで? 二話目まで胸糞注意。R18は保険です。

とある騎士団に参加した僕は、戦闘には参加せず、騎士団長の性処理係に任命されました。

天災
BL
 とある騎士団に参加した僕、ブルース・マニー。  少しでも、国の役に立ちたいと、国の騎士団に参加することになった。  しかし、あまり戦闘が上手くなくて、試験にも落ちてしまった僕だが、騎士団長が僕の姿を見て、試験は不合格なのに、入団を許可される。  よくわからないまま、最初の任務が始まるが、僕は戦闘に参加せず、まさかの騎士団長の性処理係に任命される!?

勇者は幸せになりました

たなぱ
BL
勇者として異世界へ召喚されたぼくはただ、誰かに愛して欲しかった 父が再婚した、高2の春 新しい母となる女性、年の離れた妹と弟…前の母は不倫の末、父とぼくを置いて出ていった…互いに母に妻に捨てられた男同士心の何処かに寂しさを覚えながら…仕事に精を出す父は家にいない ぼくに金を預ければ親として正解なのだと放置され過ごしてきた そんな女性不信に陥った父が見つけた新しい愛…これからの新しい生活に期待を寄せて居たのに… 待っていたのは、母似であったおれに対する憎悪と暴力… 全てが嫌になり投げ出したくなった日、自分の足元に穴が空き、飲まれた ぼくは異世界へ召喚されたんだ、魔物を殺し魔王様を屠る勇者として 激重魔王×愛に飢えてる勇者

太陽、時々悪魔

BL
ごく普通の会社員である桜井真人(さくらいまさと)。仕事も順調で、付き合って4年ほどになる彼女もいる。そんな桜井には、長年、体だけの関係にある同僚の男、井上がいた。 会えば交わり、終われば離れる。情などないはずなのに。いつの間にか井上との逢瀬は、甘い恋人同士のような時間に変わっていった。たとえそれが一時であっても。嘘であっても。その世界が終わらなければ、壊れなければそれでいい。そう思っていたのに。 ある日突然、井上との関係を終わらせる時が訪れた。 ※短編小説です(数回更新で完結予定です)。バッドエンドではありません。 ※ほとんどR18です。そういった表現が苦手な方はご注意ください。 ※別ジャンルで書いた物をオリジナルBLにリメイクした作品です。

処理中です...