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3〜レオンside〜
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気づいたらまた別の檻の中で、寝かせられていた。
ハハ…俺は…ずっと…役立たずで…大飯食らいで…臭い…。
なんだ…鉄格子より…価値がないじゃないか…。
身体がジンジン痛くて、動かずにボーっとしていたら、何故だか涙が出てきた…。
駄目だ…俺の涙が溢れたら床に落ちてしまい、檻が汚れてまた怒られる…。
身体が痛いので、手だけ動かして檻の床に涙が落ちないように受け止めて目を瞑ったらまた意識が途絶えた。
ーーーーーーーーーー
「おい っ!!起きろ!」
職員の声で目を覚ます。
また今日も同じ毎日が始まるんだ。
檻から出されて、「拭け」と言われて身体を拭いていく。身体の傷が痛くて上手く拭けてはいないが、職員から特に何も言われる事はなかった。
拭き終わると、職員が俺の変色した皮膚と切傷まみれの身体を確認して「異常無し」と言う。
そうか…他の奴隷の奴らは…少しの傷でも手当てされていたが…俺はどんなに傷があろうが、ご主人様達にとったら「異常無し」だったんだな…。
俺は何も期待されていないし、俺がご主人様に期待してはいけなかったんだ。
やっと理解した。
このままいつも通り大広間に行こうとしたら、「そっちじゃねえ…」と職員にリードを引っ張られ、「お前は飯抜きだ」とまた檻に戻された。
身体が痛いのでまた寝た…お腹も減って…余計な体力を使うと、もっとお腹がすくのが嫌だ。
暫く経つと、餌を食べ終わった奴らが檻に戻って来た。
自分の檻に戻りながら「今日の飯はたらふく食えた」「もう毎日鞭打ちの刑で良くね?」と…俺の事を言って奴隷同士で笑い合っていた。
お腹が空きすぎて、夜は余り眠れなくなってしまった。
こういう時に限って、ご主人様達が俺の事を相談しているのがとてもよく聴こえてしまうんだ…「殺処分」「売れ残りをどうするか」「タダでも引き取ってくれない」「食べ物はもう与えない」
ああ…もうすぐ俺死ぬのか…死んだらもうお腹が空かなくて済むのかもな…生きててもお腹いっぱい食べられる事も無かったし、だったら生きている今より、死んだら楽しいかもな。
次の日、身体の力が出なくなってしまった俺をご主人様が檻から出した。
そして最後に「売れ残りセール」をやって俺を処分すると職員に伝えていた。
特に反抗心なんてない。そもそも反抗心なんて最初から持って無かった。
死んでもいいさ。
そんな時、紺色の高そうなローブを着た若い人間が、こっちを見てギョッとしていたが、ご主人様と少しの間話して天幕から出て行った。
ご主人様は金づると判断したのか、若い人間を追いかけて行って、天幕の外で言い争いをしている…
暫く経つと、ご主人様が追いかけて行った若い人間と一緒に天幕に戻ってきて、忙しく動いている。
そしてご主人様が俺にこれまで見た事もない満面の笑みを浮かべて「お前の主人になるアデル様だ」「アデル様と仲良くしろよ」と言って、アデル様と言われるさっき見た若い男に俺を押し付けた。
アデル様は俺を悲しそうに見つめてから、直ぐさま目に力を入れて「まずは……」「…レオン」「軽い!」と俺に対して話してくるが、身体も痛むし、お腹も減って余り話が理解出来なかった。でも俺はレオンと呼ばれる事になったのは分かった。
今まで「お前」や「おい」の様な、皆と共通した名前だったから…俺だけの名前は特別扱いになった気がして嬉しかった。
水が沢山流れている場所を「川」という。
アデル様はそこで俺の身体を綺麗に洗ってくれた。
傷のある場所は優しく触ってくれたので、痛くなかった。
そして、前のご主人様達が性奴隷にも滅多に使わせてなかった高級なポーションを背中に沢山ふりかけてから、全身に傷薬を優しく塗り込んでくれた。
はははっ…嬉しい…!!
自分が性奴隷になったような気分になって、こんなに嬉しくなったのは初めての事だった。
アデル様が呪文を唱えると…焚き火ができて、俺に身体を温めるように言った。今何をしたんだ!アデル様は凄い人かも知れない。
それから素早く鞄から材料を取り出し、作ったサンドイッチという餌と水を「あまり食べて無かったろう」と渡してくれた!
餌だ!!!
こんな餌は食べた事がないが…我慢する暇もなく食べると、こんなに「美味しい!」と思った事は無かった。
あっと言う間に食べ終わったら、アデル様は「肉団子入りのスープだよ」と言ってまた違う餌を渡してくれた。
凄い!こんなに食べられるなんて…、そしてこんなに温かくて美味しい餌も初めて食べた。
スープが美味しくてすぐ無くなってしまうと、「まだまだあるからね」とおかわりを入れてくれる。
アデル様は俺を特別扱いして、性奴隷か、戦闘奴隷にして下さるのだろうか?
なんにしても…こんなに食べられる事は初めてだったので、夢中で食べた。
それに、俺が食べている所を見ながら物凄く嬉しそうな表情で見られるのは初めてだった…。
今まで大喰らいで嫌な顔しかされた事がなかったから…。
夢中で食べていると、アデル様が自分が魔術師と言う職業である事や、仕事で失敗した体験や、自分の身近に起きた出来事などを色々教えてくれた。
俺は…自分が沢山食べるから怒られていた事を話した。
するとアデル様は、「バイソン獣人だから大きくなる筈…しっかり食べて大きくなれよ!」と嬉しそうに笑って言った。
「!!!!」
しかもご主人様なのに、「様や敬語は要らない」と言って俺は奴隷で小さいのに対等であるかの様に接してくる。
アデル様は俺が嫌いじゃないのだろうか…
いや…アデル様が俺を嫌いであっても…
俺のご主人様になったアデル様は俺の望んでいた事をすっかり叶えてしまった神だ!!
ハハ…俺は…ずっと…役立たずで…大飯食らいで…臭い…。
なんだ…鉄格子より…価値がないじゃないか…。
身体がジンジン痛くて、動かずにボーっとしていたら、何故だか涙が出てきた…。
駄目だ…俺の涙が溢れたら床に落ちてしまい、檻が汚れてまた怒られる…。
身体が痛いので、手だけ動かして檻の床に涙が落ちないように受け止めて目を瞑ったらまた意識が途絶えた。
ーーーーーーーーーー
「おい っ!!起きろ!」
職員の声で目を覚ます。
また今日も同じ毎日が始まるんだ。
檻から出されて、「拭け」と言われて身体を拭いていく。身体の傷が痛くて上手く拭けてはいないが、職員から特に何も言われる事はなかった。
拭き終わると、職員が俺の変色した皮膚と切傷まみれの身体を確認して「異常無し」と言う。
そうか…他の奴隷の奴らは…少しの傷でも手当てされていたが…俺はどんなに傷があろうが、ご主人様達にとったら「異常無し」だったんだな…。
俺は何も期待されていないし、俺がご主人様に期待してはいけなかったんだ。
やっと理解した。
このままいつも通り大広間に行こうとしたら、「そっちじゃねえ…」と職員にリードを引っ張られ、「お前は飯抜きだ」とまた檻に戻された。
身体が痛いのでまた寝た…お腹も減って…余計な体力を使うと、もっとお腹がすくのが嫌だ。
暫く経つと、餌を食べ終わった奴らが檻に戻って来た。
自分の檻に戻りながら「今日の飯はたらふく食えた」「もう毎日鞭打ちの刑で良くね?」と…俺の事を言って奴隷同士で笑い合っていた。
お腹が空きすぎて、夜は余り眠れなくなってしまった。
こういう時に限って、ご主人様達が俺の事を相談しているのがとてもよく聴こえてしまうんだ…「殺処分」「売れ残りをどうするか」「タダでも引き取ってくれない」「食べ物はもう与えない」
ああ…もうすぐ俺死ぬのか…死んだらもうお腹が空かなくて済むのかもな…生きててもお腹いっぱい食べられる事も無かったし、だったら生きている今より、死んだら楽しいかもな。
次の日、身体の力が出なくなってしまった俺をご主人様が檻から出した。
そして最後に「売れ残りセール」をやって俺を処分すると職員に伝えていた。
特に反抗心なんてない。そもそも反抗心なんて最初から持って無かった。
死んでもいいさ。
そんな時、紺色の高そうなローブを着た若い人間が、こっちを見てギョッとしていたが、ご主人様と少しの間話して天幕から出て行った。
ご主人様は金づると判断したのか、若い人間を追いかけて行って、天幕の外で言い争いをしている…
暫く経つと、ご主人様が追いかけて行った若い人間と一緒に天幕に戻ってきて、忙しく動いている。
そしてご主人様が俺にこれまで見た事もない満面の笑みを浮かべて「お前の主人になるアデル様だ」「アデル様と仲良くしろよ」と言って、アデル様と言われるさっき見た若い男に俺を押し付けた。
アデル様は俺を悲しそうに見つめてから、直ぐさま目に力を入れて「まずは……」「…レオン」「軽い!」と俺に対して話してくるが、身体も痛むし、お腹も減って余り話が理解出来なかった。でも俺はレオンと呼ばれる事になったのは分かった。
今まで「お前」や「おい」の様な、皆と共通した名前だったから…俺だけの名前は特別扱いになった気がして嬉しかった。
水が沢山流れている場所を「川」という。
アデル様はそこで俺の身体を綺麗に洗ってくれた。
傷のある場所は優しく触ってくれたので、痛くなかった。
そして、前のご主人様達が性奴隷にも滅多に使わせてなかった高級なポーションを背中に沢山ふりかけてから、全身に傷薬を優しく塗り込んでくれた。
はははっ…嬉しい…!!
自分が性奴隷になったような気分になって、こんなに嬉しくなったのは初めての事だった。
アデル様が呪文を唱えると…焚き火ができて、俺に身体を温めるように言った。今何をしたんだ!アデル様は凄い人かも知れない。
それから素早く鞄から材料を取り出し、作ったサンドイッチという餌と水を「あまり食べて無かったろう」と渡してくれた!
餌だ!!!
こんな餌は食べた事がないが…我慢する暇もなく食べると、こんなに「美味しい!」と思った事は無かった。
あっと言う間に食べ終わったら、アデル様は「肉団子入りのスープだよ」と言ってまた違う餌を渡してくれた。
凄い!こんなに食べられるなんて…、そしてこんなに温かくて美味しい餌も初めて食べた。
スープが美味しくてすぐ無くなってしまうと、「まだまだあるからね」とおかわりを入れてくれる。
アデル様は俺を特別扱いして、性奴隷か、戦闘奴隷にして下さるのだろうか?
なんにしても…こんなに食べられる事は初めてだったので、夢中で食べた。
それに、俺が食べている所を見ながら物凄く嬉しそうな表情で見られるのは初めてだった…。
今まで大喰らいで嫌な顔しかされた事がなかったから…。
夢中で食べていると、アデル様が自分が魔術師と言う職業である事や、仕事で失敗した体験や、自分の身近に起きた出来事などを色々教えてくれた。
俺は…自分が沢山食べるから怒られていた事を話した。
するとアデル様は、「バイソン獣人だから大きくなる筈…しっかり食べて大きくなれよ!」と嬉しそうに笑って言った。
「!!!!」
しかもご主人様なのに、「様や敬語は要らない」と言って俺は奴隷で小さいのに対等であるかの様に接してくる。
アデル様は俺が嫌いじゃないのだろうか…
いや…アデル様が俺を嫌いであっても…
俺のご主人様になったアデル様は俺の望んでいた事をすっかり叶えてしまった神だ!!
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