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白地図と最後の事件
ある意味、衝撃の展開っ!
しおりを挟むすべてが空振りだったので、一度寺に戻ろうとしたニートはかき氷屋と合流する。
「すみません。
こっちも駄目でした」
とかき氷屋は苦笑いしていた。
彼の後ろに白いモノが見える。
茉守はこれを撮らせまいとして、彼本人に写真を撮らせたのではないかと思っていた。
だが、後ろに居るモノは一体、なんなのか。
意識をそちらに向けると、ハッキリ見えそうな気がする。
だが、見えてしまうのが恐ろしい気がして、ニートはまた目を逸らした。
そのとき、枯山水のある方から声がした。
「それで気がついたんです。
これは毒かもしれない、そうじゃないかもしれない。
僕は今までの事件と同一犯に見せるため、『ツギ ハ オマエダ』を住民の人たちに渡す書類に紛れて印刷し。
ツギの人に宛てたメッセージではなく、彼女こそが殺されたのだとわかるように、矢印まで書きましたっ」
かき氷屋と二人、衝撃を受ける。
なんか知らない間に、犯人が自白してるっ。
しかも、あの愛想のいい役所の人っ。
「そしたら、彼女の方が僕の方を殺す気でっ。
刃物まで持ってきててっ。
いや、なんでなんですかっ。
彼女の方ですよ。
いつも他の男とチャラチャラしてたのはっ。
だから、別れることにしたのにっ。
慌ててなだめて、僕は君とやり直す気だったと言って。
たとえ、あとで解剖されて調べられたとしても。
暑いので、飲んでてもおかしくない清涼飲料水に混ぜてその毒かもしれないものを飲ませました。
彼女はほんとうに死んでしまいました。
僕は恐ろしくなって……。
『ツギ ハ オマエダ』を飛ばないように置くつもりだったのに、慌ててそこに置いて逃げてしました。
短い橋の真ん中辺りで彼女は死んでいました。
鳥居の辺まで神域だという老人たちの言葉を思い出し。
彼女の死体はどの辺りになるだろう。
ハッキリわかるくらい、鳥居の位置より向こうにした方が信心深い島の奴がやったと思われるだろうか。
知識でしか、神域だなんだって知らないよそ者の僕は容疑から外れるだろう。
海岸付近に隠れて、そんなことを考えていたところに、倖田先生の車が来ました」
……ちょうどいいと思いました、と男は言う。
「彼女は言っていました。
今までは、船でしか島に渡れなかったので、顔を覚えられそうで殺しに来られなかったと。
でも、橋ができたから、いつでも来られる……。
転勤をいいことに、神の島に逃げ込んで出てこない僕のところに来られると。
僕は橋の計画を推進していた倖田先生を恨みました。
だから、先生が通りかかったとき、第一発見者になって疑われればいいと思いました。
倖田先生は女性にモテそうだし。
政治家だから、スキャンダルを嫌って殺したように見えるかなと」
……何故、どうやって、犯人は告白をはじめたんだろう?
しかも、事件の肝心なところが聞けてない、と思いながら、ニートはその場に突っ立っていた。
犯人と向かい合って話しているのは、元殺し屋のNo.8。
こんなうっかり犯罪を犯した奴なんかにやられるはずもないからだ。
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