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海に浮かぶ証拠と第三の殺人(?)

プチプチ

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「二十四時間監視ですか」
 そう呟いたあとで茉守は言う。

「防犯カメラがあればよかったですね。
 橋とか山頂とか」

 倖田が溜息をついて言う。

「灯りのあまりない島だからな。
 防犯カメラは俺もあった方がいいと思って、以前、言ってみたんだが。

 年寄りたちが嫌がるんだよ。
 見張られてるみたいで嫌だとか言って」

 じいさんばあさんの井戸端会議なんぞに興味ないって言うのに、と言う倖田に茉守は、

「わかりませんよ。
 みなさんそれぞれ、内緒の顔でもあるのかもしれません」
と言う。

「しょうもない裏の顔しかなさそうだが。
 ……そういえば、山頂の防犯カメラには、マグマも反対してたな」

「やっぱり、マグマが犯人なんじゃないのか」
と佐古が冷ややかに言う。

 佐古さん、と茉守が呼びかけた。
 
「マグマさんが署長さん殺しの犯人である可能性はどのくらいあると思ってらっしゃいますか?」

 佐古は腕組みしてタバコ屋のくすんだガラス窓を見ながら、

「……0%かな」
と本音を言う。

「そうなんですか」

「あいつの手前、怪しんでるフリをしているが。
 実際のとこ、誰も疑ってないだろうな」

 あいつの手前、の使い方がおかしい気がするんですけど、と思いながら茉守は聞いていた。

「まあ、俺もないと思ってるよ」
と倖田も言う。

「あいつだったら、殺したら、雄叫びあげて、その場から逃げない感じがするな」

「雄叫びはねえだろ」
と佐古は言うが、

 マグマさんのイメージ的にはわかるな、と茉守も思っていた。

「まあ、マグマだったら逃げないだろうし。
 あんなプチプチで包むとか細かいことしそうにないよな」

「そういえば、なんでプチプチで包んでたんだろうな。
 ほんとに転がすためだったのかな」
と呟く倖田に茉守は、

「そういえば、身内や親しい人の犯行だと、顔にハンカチかけたり、遺体に毛布をかけたりすると聞きますが。

 それと同じ感じなんですかね?」
と言ってみたが。

 二人同時に、
「プチプチでは包まねえだろうよっ」
とキレてくる。

 ……この島は気の短い人が多いな、と茉守は思った。


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