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なんか、負けた気がする。(ジークフリード)
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爆発音の後にミントと男の悲鳴が聞こえた。
相対していた少女が、男の悲鳴に意識を向けた瞬間に植物を一気に生やし、少女の拘束に成功する。
急いでミントの方を見れば、頭を押さえフラフラと立っていた。
そして、崖の方へと倒れて行くミントが酷くゆっくりと見えた。
ミントの名を叫んだ気もするが、駆けよって来たギルテに飛び乗り、ほぼ直角な崖を駆け降りた。
全てをギルテに任せ、全力でミントに結界を張る。
小川に見えていたものが、そこそこの深さが有る川だと分かる。
いくら結界で守っても、流されては堪らない。
水面に近付いたミントに向かって、川の水を吹き上げる。
水に打ち上げられたミントに向かって、ギルテが崖を蹴って跳ぶと、更にその背を俺が蹴り跳ぶ。
なんとか空中でミントを受け止める事に成功したが、そのまま川へ落ちてしまった。
雨で増水した川は流れも速く、流されない様にするので精一杯だったが、そこへ水面を悠々と歩いて来たギルテに、首の後ろを食わえられ、引き上げられた。
必死だったとは言え、魔力の調整を間違えた。
もう、殆ど残っていない。
「ギルテ……すまないが、山小屋か洞穴を探して来てくれ。」
「ぶふぅぅぅ。」
ギルテは鼻息を鳴らすと、パカパカと森の中へと入って行った。
その間に、俺は指笛を鳴らすとミントを抱いたまま近くの岩に腰掛け、ポーチから紙とペンを出しサラサラと『無事。下から合流地へ向かう。』と書いた。
飛んで来た真っ青な鳥の足に付いている筒に、紙を丸めて入れると、
「アレフに届けてくれ。」
「キュルルルルゥ。」
と、直ぐに崖の上へと飛んで行った。
微かに残った魔力で、ミントの濡れた衣服を乾かす。
俺が濡れているが、湿る程度ならまだマシだろう。
気絶しているミントのフードを外し、頬に触れ、息をしている事に安堵する。
ミントが落ちていく瞬間……心臓が止まるかと思った。
頬に当てた手を頭の方へと回し、ギュッときつく抱き締める。
「…………間に合って良かった!!」
「……ん」
一瞬、起きたのかと思ったが違った。
「……しゅう……そこ…らめ……」
抱き締めていた力を緩めようとして、ピクッと止まる。
「シュウ」って誰だ!?
「そこ」ってどこ!?「らめ」って何が!?
ミントの口から出た知らない男の名前に、つい、起こしてしまいそうになって止める。
起きたら聞けば良い……事だ。
平常心、平常心、平常心……。
息を吸って、吐いて……とやっていたら、ギルテが戻って来て「ブルルゥ」と鳴き、来た道を戻り始めるので慌てて後を追った。
着いた場所には、山小屋が在った。
少しボロいが、魔物の居る森の中ではしっかりしている方だろう。
ドアと壁と屋根が有れば良い。
中に入れば最近誰かが使ったのか、簡単にだが埃が払ってあった。
そっとミントを床に寝かせ、マントを脱いで乾かすと簡易ベッドの上に敷いた。
その上にミントをまた抱き上げ寝かせた。
後は……たぶん、小屋の裏手に薪が有る筈だからソレを取って来て部屋を暖めよう。
食事も作っておかないと……と、考えていた時、
「トントントン。」
小屋のドアがノックされた。
こんな森の中の山小屋に……誰が?冒険者か?アレフの使いなら、ノックと共に名乗る筈。
外に居るギルテが騒いでいないので、危険は無いだろうが……。
「トントントン。」
さっきより少し強めにノックされた。
…………開けるしか無いか。
いつでも腰の剣が抜ける様に手を添え、ゆっくりとドアを開け……パタンと閉めた。
「トントントントントントントトトトトントン!」
……連打された。
仕方無いので、思いっきり深呼吸をして再びドアを開けた。
そこに立っていたのは、ミリアが持っているぬいぐるみそっくりの…………パンチェンウェルダマスレスティングベア…………だった。
パンチェンウェルダマスレスティングベアは後ろ足で立ち、両手で乾いた薪を抱えていた。
俺にペコリと頭を下げると、ノシノシと小屋の中に入って行き暖炉に薪を放り込み、魔法で火を点けた。
それから、簡易かまどへ行き残りの薪を入れ火を点けると、どこからともなく鍋を出し魔法で水を入れ、ダバダバと具材?を投入していった。
いつの間にか、ギルテが開けっ放しになっていたドアから、興味津々と言った感じでパンチェンウェルダマスレスティングベアを見ている。
次にパンチェンウェルダマスレスティングベアは、ノシノシと小屋内を歩き周り、残っていた埃等をキレイにしていった。
かまどへ戻ると振り返り小屋内を見渡すと、両手を腰に当て満足そうに頷いた。
そして、鍋の味付けをし始めたのだった。
相対していた少女が、男の悲鳴に意識を向けた瞬間に植物を一気に生やし、少女の拘束に成功する。
急いでミントの方を見れば、頭を押さえフラフラと立っていた。
そして、崖の方へと倒れて行くミントが酷くゆっくりと見えた。
ミントの名を叫んだ気もするが、駆けよって来たギルテに飛び乗り、ほぼ直角な崖を駆け降りた。
全てをギルテに任せ、全力でミントに結界を張る。
小川に見えていたものが、そこそこの深さが有る川だと分かる。
いくら結界で守っても、流されては堪らない。
水面に近付いたミントに向かって、川の水を吹き上げる。
水に打ち上げられたミントに向かって、ギルテが崖を蹴って跳ぶと、更にその背を俺が蹴り跳ぶ。
なんとか空中でミントを受け止める事に成功したが、そのまま川へ落ちてしまった。
雨で増水した川は流れも速く、流されない様にするので精一杯だったが、そこへ水面を悠々と歩いて来たギルテに、首の後ろを食わえられ、引き上げられた。
必死だったとは言え、魔力の調整を間違えた。
もう、殆ど残っていない。
「ギルテ……すまないが、山小屋か洞穴を探して来てくれ。」
「ぶふぅぅぅ。」
ギルテは鼻息を鳴らすと、パカパカと森の中へと入って行った。
その間に、俺は指笛を鳴らすとミントを抱いたまま近くの岩に腰掛け、ポーチから紙とペンを出しサラサラと『無事。下から合流地へ向かう。』と書いた。
飛んで来た真っ青な鳥の足に付いている筒に、紙を丸めて入れると、
「アレフに届けてくれ。」
「キュルルルルゥ。」
と、直ぐに崖の上へと飛んで行った。
微かに残った魔力で、ミントの濡れた衣服を乾かす。
俺が濡れているが、湿る程度ならまだマシだろう。
気絶しているミントのフードを外し、頬に触れ、息をしている事に安堵する。
ミントが落ちていく瞬間……心臓が止まるかと思った。
頬に当てた手を頭の方へと回し、ギュッときつく抱き締める。
「…………間に合って良かった!!」
「……ん」
一瞬、起きたのかと思ったが違った。
「……しゅう……そこ…らめ……」
抱き締めていた力を緩めようとして、ピクッと止まる。
「シュウ」って誰だ!?
「そこ」ってどこ!?「らめ」って何が!?
ミントの口から出た知らない男の名前に、つい、起こしてしまいそうになって止める。
起きたら聞けば良い……事だ。
平常心、平常心、平常心……。
息を吸って、吐いて……とやっていたら、ギルテが戻って来て「ブルルゥ」と鳴き、来た道を戻り始めるので慌てて後を追った。
着いた場所には、山小屋が在った。
少しボロいが、魔物の居る森の中ではしっかりしている方だろう。
ドアと壁と屋根が有れば良い。
中に入れば最近誰かが使ったのか、簡単にだが埃が払ってあった。
そっとミントを床に寝かせ、マントを脱いで乾かすと簡易ベッドの上に敷いた。
その上にミントをまた抱き上げ寝かせた。
後は……たぶん、小屋の裏手に薪が有る筈だからソレを取って来て部屋を暖めよう。
食事も作っておかないと……と、考えていた時、
「トントントン。」
小屋のドアがノックされた。
こんな森の中の山小屋に……誰が?冒険者か?アレフの使いなら、ノックと共に名乗る筈。
外に居るギルテが騒いでいないので、危険は無いだろうが……。
「トントントン。」
さっきより少し強めにノックされた。
…………開けるしか無いか。
いつでも腰の剣が抜ける様に手を添え、ゆっくりとドアを開け……パタンと閉めた。
「トントントントントントントトトトトントン!」
……連打された。
仕方無いので、思いっきり深呼吸をして再びドアを開けた。
そこに立っていたのは、ミリアが持っているぬいぐるみそっくりの…………パンチェンウェルダマスレスティングベア…………だった。
パンチェンウェルダマスレスティングベアは後ろ足で立ち、両手で乾いた薪を抱えていた。
俺にペコリと頭を下げると、ノシノシと小屋の中に入って行き暖炉に薪を放り込み、魔法で火を点けた。
それから、簡易かまどへ行き残りの薪を入れ火を点けると、どこからともなく鍋を出し魔法で水を入れ、ダバダバと具材?を投入していった。
いつの間にか、ギルテが開けっ放しになっていたドアから、興味津々と言った感じでパンチェンウェルダマスレスティングベアを見ている。
次にパンチェンウェルダマスレスティングベアは、ノシノシと小屋内を歩き周り、残っていた埃等をキレイにしていった。
かまどへ戻ると振り返り小屋内を見渡すと、両手を腰に当て満足そうに頷いた。
そして、鍋の味付けをし始めたのだった。
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