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報告会ですね~。
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グドさんがカウンターの丸椅子を移動させてくれていて、それに座って輪になって話し合いです。
因みに、私の左からチェリエ、ルメイン、リュートさん、グドさんで1週です。
リュートさんがグドさんに場所替えを要求したり、ルメインが「あわわわ、リュ、リュート様がち、近いぃぃ!」と悲鳴を上げたりと一悶着ありましたが、グドさんの静かな怒りで収まりました。
リュートさんからまず馬車の報告です。
「タイヤの方は順調ですよ。検証の為に様々なタイヤの大きさや厚み、状況で馬車を走らせていたのですが、その現場をた、ま、た、ま、見た商人や貴族から「それは何か」と問い合わせが続いています。」
……たまたま、ねぇ。
通るの分かっててやってるよね?コレ。
「まぁ、いくら頼まれても王家に納めるのが先ですからね。「フューネの祝日」迄には、幾らか広まっているでしょう。一部の貴族や大商人位には。」
「フューネの祝日」は、この前言っていたお祭りの事です。
はぁ、考えると気が重い……。
「次にベルトコンベアですが、使い所が限られてきますね。今のところ王家所有の鉱山での試用が検討されてます。そこで上手くいけば他の鉱山等で使われる予定ですね。こちらはまだ、時間が必要です。」
次にグドさんが話し出します。
「カートについては、さっき嬢ちゃんに言った通りだな。荷運びが楽になったんだな。大きさも用途に合わせて作れば売れるんだな。まだ、一斉に売りに出せる程じゃあ無いが、知り合いの商売人に使って貰っているんだが、そいつらからもう少し欲しいと言われてるんだな。」
「じゃあ、タイヤもカートも問題無しですか?」
私の質問にニヤリとリュートさんが笑って、
「ええ、問題無く売りに出せます。車輪を皮で包んだお陰で身体に掛かる負担が減ったと思います。だが、もう少し減らしたいところ何ですよね?」
うああ、ニヤニヤと私を見てきます。
アイディア出せやぁ……ですね。
専門家じゃないんですけどね?
思い付くのは「スプリング」しか無いんだけど、「バネ」……。
はぁ、と私は溜め息を吐くとグドさんから紙とペンを借りて、カウンターでカリカリ……と。
う~ん、バネ……上手く描けない(泣)
あっそうだ!
紙の端を同じ太さにビリビリッと破いてぇ、交互に重ねて曲げて…………出来た!
何折りと言うのか知らないけど、ビヨンビヨンと動く。
描いた絵と一緒に見せます。
ふぅ、ドキドキする!!
みんなが不思議そうにビヨンビヨン、「バネモドキ」を見てます。
私が分かる範囲で説明します。
「何もないと衝撃が直接くるので間にコレを、で、コレがこう動くので…………。」
あ~、素人の説明ですよ。
自分で作れれば早いのになぁ。
「ソファーやベッドにも使えるかな?固すぎるとギシギシ音がうるさいかも。後は、衝撃で壊れやすい物に。あ、バネが無理なら、こんな感じでブヨンブヨン動く素材とか、丈夫な袋に入れた水かな?」
もう言える事無いですよ?
リュートさんとグドさんが「う~ん」と唸ってます。
チェリエは暇そう。
ルメインはずっと顔を赤くして全く動きません。
「ふぅ、「バネ」はグドに任せます。素材の方はギルドで探してみましょう。両方駄目だった場合、水を検討すると言う事で。」
「それで良いんだな。タイヤとカートを作らないとだから、時間は掛かるんだな。」
「構いませんよ。何なら1年以上間を開けた方が儲けられそうですからね。」
ニヤリと笑うリュートさん。
お金好きそうですもんね。
私も好きだけど……。
「なら、次は嬢ちゃんの何だな。どう使うのか良く分からなかったんだな。外で使って見せて欲しいんだな。」
おお、グドさんが箱の中からボードを取り出します。
頼んだ通りの物です。
「キックボード」……私のには取っては付いてません。
所謂、「スケボー」です。
ふふふ、風魔法が有れば上り坂もギュンギュンですよ!
あっと、外行く前に「傘」伝えときましょうか。ふひひ!
■■■少し前の魔法師団執務室■■■
また椅子に縛られている団長。
優雅に紅茶を飲むアレフ。
黙々と書類を片付けていくジーク。
魔法師団の定番となった風景。
紅茶を飲み干したアレフが言った。
「はあああ!も~、ほんとどっかに人居ないの!!」
「……いきなり叫ぶな。こっちは仕事中なんだ。」
「だってさぁ、使える奴ら送っちゃってるじゃん!今の俺、護衛より強いよ?そんなんであの国に行ける訳無いじゃん。道中で襲われて終わりだよ!」
「…………少なくとも、全員でお前は死守する。」
「男に言われても嬉しくな~い。」
「……女に言われるのもどうかと思うがな……。」
「あ~あ、身元が保証されて~信用出来て~めっちゃ強い子~。筋肉は嫌だ~マッチョは嫌だ~!魔法使いの可愛い女の子が良い!!」
「無茶言うな。居たら団に入れてるわ!」
それまで黙っていた団長の様子が…………!?
「……ふん!だあああああああありゃゃゃゃゃ!!」
ブチブチブチブチ、パアァァァァァン!!
団長に絡まっていた植物が千切れ弾け飛んだ!!
「「!?」」
「俺が連れて来てやるぜ!待ってろよ!!」
言うや後ろの窓を開け広げると飛び降りてしまった。
「……団長の知り合い?マッチョな女の子は嫌なんだけどね~?」
「ここ4階…………ハッ!!逃げられた!!」
因みに、私の左からチェリエ、ルメイン、リュートさん、グドさんで1週です。
リュートさんがグドさんに場所替えを要求したり、ルメインが「あわわわ、リュ、リュート様がち、近いぃぃ!」と悲鳴を上げたりと一悶着ありましたが、グドさんの静かな怒りで収まりました。
リュートさんからまず馬車の報告です。
「タイヤの方は順調ですよ。検証の為に様々なタイヤの大きさや厚み、状況で馬車を走らせていたのですが、その現場をた、ま、た、ま、見た商人や貴族から「それは何か」と問い合わせが続いています。」
……たまたま、ねぇ。
通るの分かっててやってるよね?コレ。
「まぁ、いくら頼まれても王家に納めるのが先ですからね。「フューネの祝日」迄には、幾らか広まっているでしょう。一部の貴族や大商人位には。」
「フューネの祝日」は、この前言っていたお祭りの事です。
はぁ、考えると気が重い……。
「次にベルトコンベアですが、使い所が限られてきますね。今のところ王家所有の鉱山での試用が検討されてます。そこで上手くいけば他の鉱山等で使われる予定ですね。こちらはまだ、時間が必要です。」
次にグドさんが話し出します。
「カートについては、さっき嬢ちゃんに言った通りだな。荷運びが楽になったんだな。大きさも用途に合わせて作れば売れるんだな。まだ、一斉に売りに出せる程じゃあ無いが、知り合いの商売人に使って貰っているんだが、そいつらからもう少し欲しいと言われてるんだな。」
「じゃあ、タイヤもカートも問題無しですか?」
私の質問にニヤリとリュートさんが笑って、
「ええ、問題無く売りに出せます。車輪を皮で包んだお陰で身体に掛かる負担が減ったと思います。だが、もう少し減らしたいところ何ですよね?」
うああ、ニヤニヤと私を見てきます。
アイディア出せやぁ……ですね。
専門家じゃないんですけどね?
思い付くのは「スプリング」しか無いんだけど、「バネ」……。
はぁ、と私は溜め息を吐くとグドさんから紙とペンを借りて、カウンターでカリカリ……と。
う~ん、バネ……上手く描けない(泣)
あっそうだ!
紙の端を同じ太さにビリビリッと破いてぇ、交互に重ねて曲げて…………出来た!
何折りと言うのか知らないけど、ビヨンビヨンと動く。
描いた絵と一緒に見せます。
ふぅ、ドキドキする!!
みんなが不思議そうにビヨンビヨン、「バネモドキ」を見てます。
私が分かる範囲で説明します。
「何もないと衝撃が直接くるので間にコレを、で、コレがこう動くので…………。」
あ~、素人の説明ですよ。
自分で作れれば早いのになぁ。
「ソファーやベッドにも使えるかな?固すぎるとギシギシ音がうるさいかも。後は、衝撃で壊れやすい物に。あ、バネが無理なら、こんな感じでブヨンブヨン動く素材とか、丈夫な袋に入れた水かな?」
もう言える事無いですよ?
リュートさんとグドさんが「う~ん」と唸ってます。
チェリエは暇そう。
ルメインはずっと顔を赤くして全く動きません。
「ふぅ、「バネ」はグドに任せます。素材の方はギルドで探してみましょう。両方駄目だった場合、水を検討すると言う事で。」
「それで良いんだな。タイヤとカートを作らないとだから、時間は掛かるんだな。」
「構いませんよ。何なら1年以上間を開けた方が儲けられそうですからね。」
ニヤリと笑うリュートさん。
お金好きそうですもんね。
私も好きだけど……。
「なら、次は嬢ちゃんの何だな。どう使うのか良く分からなかったんだな。外で使って見せて欲しいんだな。」
おお、グドさんが箱の中からボードを取り出します。
頼んだ通りの物です。
「キックボード」……私のには取っては付いてません。
所謂、「スケボー」です。
ふふふ、風魔法が有れば上り坂もギュンギュンですよ!
あっと、外行く前に「傘」伝えときましょうか。ふひひ!
■■■少し前の魔法師団執務室■■■
また椅子に縛られている団長。
優雅に紅茶を飲むアレフ。
黙々と書類を片付けていくジーク。
魔法師団の定番となった風景。
紅茶を飲み干したアレフが言った。
「はあああ!も~、ほんとどっかに人居ないの!!」
「……いきなり叫ぶな。こっちは仕事中なんだ。」
「だってさぁ、使える奴ら送っちゃってるじゃん!今の俺、護衛より強いよ?そんなんであの国に行ける訳無いじゃん。道中で襲われて終わりだよ!」
「…………少なくとも、全員でお前は死守する。」
「男に言われても嬉しくな~い。」
「……女に言われるのもどうかと思うがな……。」
「あ~あ、身元が保証されて~信用出来て~めっちゃ強い子~。筋肉は嫌だ~マッチョは嫌だ~!魔法使いの可愛い女の子が良い!!」
「無茶言うな。居たら団に入れてるわ!」
それまで黙っていた団長の様子が…………!?
「……ふん!だあああああああありゃゃゃゃゃ!!」
ブチブチブチブチ、パアァァァァァン!!
団長に絡まっていた植物が千切れ弾け飛んだ!!
「「!?」」
「俺が連れて来てやるぜ!待ってろよ!!」
言うや後ろの窓を開け広げると飛び降りてしまった。
「……団長の知り合い?マッチョな女の子は嫌なんだけどね~?」
「ここ4階…………ハッ!!逃げられた!!」
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