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第二章 相思相愛編
褐色の男の呟き
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「え!?応じてくれない?何故ですか!?」
「アーリヤとローザは元々、仲が悪いんだ。あの二人はことあるごとによく衝突していたらしい。」
そういえば、ローザ様はあまり性格がよくない方だとルカ達も話していた。
アーリヤ様と仲が悪いのも当然かもしれない。義理の姉妹だからといって仲がいいとは限らないし…。
「そう、ですか…。」
リスティーナはあからさまにがっかりした。期待していた分、その落胆は大きい。
やっと希望が見えたと思ったのに…。
「心配するな。まだ手はある。俺も色々と調べてみるから。」
「はい…。」
そうだ。諦めるのはまだ早い。リスティーナはそう考え直した。
ルーファスはその後、調べものがあると言って、帰って行った。
その時、今夜も来てくれることを約束してくれた。リスティーナは緩みそうになる頬を押さえながら、椅子に座った。
いけない。喜んでいる場合じゃなかった。今はとにかく、他にもルーファス様の呪いを解く手がかりを見つけないと…!
リスティーナはアーリヤから借りた本や呪術に関する本を手に取った。
「ああっ!ああん!殿下あ!」
ギシギシとベッドが軋む音と肉と肉がぶつかり合う音が鳴り響く。
女は涎を垂らし、恍惚とした顔で嬌声を上げていた。
「んあっ!っ、い、いい!そこお!あああーーーー!」
女は悲鳴に近い声を上げ、そのまま気絶した。
ドサッとベッドに沈んだ女を見下ろし、男は汗を拭うようにグイッと自身の赤い髪を掻き上げた。
褐色の肌から滴り落ちる汗からは男の色気が漂っている。
褐色の肌の男はベッドから降りると、卓上にあったグラスを手に取り、酒を注いだ。そして、酒の入ったグラスを一気に飲み干す。
グラスを机に置き、スッと軽く指を振る。すると、どこからともなく、手紙が現れ、男はその手紙に目を通した。
「…へえ。あいつが俺に頼み事とは珍しい。」
男は口角を吊り上げながら、愉し気に呟いた。
「メイネシア国の王女、リスティーナか…。」
外交の関係で男は他国の姫君の顔触れはある程度把握している。
メイネシア国にも行ったことはあるし、王族の挨拶も受けたがその中にリスティーナという王女はいなかった。この王女はメイネシア国の第四王女だという。
王族であるこの姫が夜会に参加していないというのはどう考えても不自然だ。
人前に出せない程、問題があるのか、病弱なのか、あるいは冷遇されているかのどちらかだろう。
元々、今回の婚姻でローゼンハイムは第三王女であるレノアとかいう王女を指名していた筈だ。
レノア王女の代わりにこの王女が嫁いだところをみると、冷遇されていたという可能性が高い。
王族でありながらも冷遇される王女や王子は珍しくない。母親の身分が低かったり、側室もしくは愛人の子というだけで虐げられる例は多く存在するのだから。
そういえば、その第四王女の母親は踊り子らしいな。
その情報だけで母親が平民であるために冷遇されたのだと簡単に予想がつく。
つまり、その王女は姉の身代わりにされたということか。
「ふうん。あの王女の妹か…。」
メイネシア国の夜会に参加した時、一際目立っていたレノアの姿を思い出す。
自分に近付く貴族令嬢を押し退けて、全面的にアピールをしてきた。
その目には、期待と興奮、野心があり、王女の癖に随分と感情的な女だという印象を抱いた。
こんな目をした女に会ったのは初めてじゃない。
男はその立場上、こうした自分に自信のある野心のある女に言い寄られることが多かった。
レノアは余程、自分に自信があるのか男が惚れて当然だという顔をしていた。
レノアという王女は確かにいい女だが、いってしまえば、ただそれだけだった。
別にこれ位の容姿の女は他に幾らでもいる。何なら、男のハーレムにはレノア以上の美女がわんさかいる。
男の妻達と比べたら、レノアの容姿など霞んで見えてしまうだろう。大方、王女という身分から、周りの人間にチヤホヤされ、この世で自分が一番美しいとでも勘違いをしているのだろう。
視野の狭い女だ。顔はそこそこよくてもそれ以上に残念な女だと思った。
こういう女に手を出すと、面倒だという事を男はよく理解していた。
そもそも、レノアのような女は好みじゃない。こういう気の強い女を屈服させ、従順に躾けてやるのも面白そうだが、そこまでの価値があるとは思えなかった。
それに、レノアは王女とは思えない程に慎みがなかった。
さりげなく胸を押し付けたり、胸の谷間を見せつけたりとして、ここは王城ではなく、場末の酒場なのではないかと思った。他の令嬢達も似たようなことをするものだから、こいつらは全員、令嬢の皮を被った娼婦かと思ったものだ。そうまでしても、自分を落としたいのだろうか。必死過ぎて、笑える。
そのレノアの妹というから、あれと似たようなタイプなのかと思ったがこの手紙を読むと、そうでもないらしい。どうも、レノアとは性格が正反対なのだそうだ。手紙にはどれだけその王女が気に入ったかが延々と書かれている。更には、その王女を自国に連れ帰りたいとまで考えている様だ。
余程、その王女を気に入ったみたいだな。珍しい。あの選り好みの激しい妹がここまで気に入るだなんて。まあ、あいつは飽きっぽいからすぐに飽きるかもしれないが…。
「まあ…。一度だけ会ってみるか。」
男はその王女に少しだけ興味を抱いた。ローゼンハイムの祝賀会でその王女とは顔を合わせる事になるだろう。男は口角を吊り上げて、笑った。
一方、ルーファスは王族専用の図書室に足を踏み入れていた。
確か、この本棚に…、記憶を頼りにしてルーファスはある本を探した。
「これか。」
ルーファスは目当ての本を見つけ、その本を開いた。パラリ、とページを捲る。
『ルーファス。あたしの秘密を教えてあげる。』
桃色の瞳を輝かせながら、そう言った少女の姿を思い出す。
『あたしね、巫女の一族の末裔なのよ。』
どこか誇らしげにそう言ったローザの目は強い自信に満ち溢れていた。
『この目の色があたしが巫女の血を引く何よりの証なの。それでね、この目の色を受け継いだ巫女は歴代の中でも一番強い力を持っているといわれているの!あのペネロペ女王もピンク色の目をしていたんだって!』
ローザは巫女の血を引く者しか受け継がれない桃色の瞳を持っていた。
だから、ローザは巫女の一族の娘だと公認された。
巫女を娶れば、一族が繁栄するという言い伝えがある。
だからこそ、ローザは王族の婚約者に選ばれたのだ。
だが、ローザは他国の王太子を選んだ。
父があっさりと二人の仲を認めたのは、相手の王太子が炎の勇者だっただけが理由ではない。
ローザが巫女の血を引く女だったからこそ、認めたのだ。
過去に巫女の怒りを買った者が悲惨な末路を辿ったという歴史がある。
父は巫女の機嫌を損ねる事をしたくなかったのだ。
だから、父はローザの怒りを買うような真似をせず、ローザの要求を呑んだのだ。
出来損ないの息子と巫女の血を引く娘。どちらを選ぶかなど分かり切っている。
父としては、ローザにはこの国に留まって欲しかったのだろうが、ローザが違う男を選んでしまった以上、どうすることもできない。父にはこの役立たずめ、といった目で睨まれた覚えがある。
ルーファスは過去を思い出しながら、ページを捲っていく。
巫女の一族の人間にしか現れない瞳の色。確かに書物にもその事は書かれている。
ペネロペ女王も桃色の瞳だったと記されている。だが、今まで歴代の巫女が全員、桃色の瞳を持っていた訳ではない。それに、ペネロペ女王について書かれた史実にも妙な点がある。これは、一体…?
ローザが巫女の一族の末裔だと聞いた時から、ルーファスは巫女に関する書物や本を読むようになった。
だからこそ、ルーファスはある程度、巫女の歴史とその特徴について知っていた。
巫女については、謎に包まれている部分が多いが巫女には幾つかの特徴がある。
巫女は神に愛された特別な娘。神聖力を使い、人々を導くことができる至高の存在。
神の使いとして、神聖視されている巫女ではあるが、その一方で男を惑わす魔性の女だとも言い伝えられている。
伝承によれば、巫女は成人すると、甘い匂いを放つようになり、男の理性を狂わしてしまうといわれている。
実際、過去には巫女を妻にする為に王子や高位貴族達の人間が熾烈な争いを繰り広げ、国は混乱に陥ったことがあるのだという。
確かにローザも薔薇のように甘ったるい匂いを放つ女だった。
ただ、あの甘い匂いはローザ自身の匂いというよりも、香水の類のような気がした。
巫女の芳しくも甘い匂いは人工的なものではなく、巫女自身の身体から放たれる匂いだといわれている。
巫女の甘い匂いについては、明確な答えは記されていない。
桃の香り、薔薇の香り、バニラのような香り…。書物や文献によって表現が違う。
巫女の特徴は匂いだけじゃない。
先を見通す予言の力を持つ巫女は勘が鋭いせいか賭け事や勝負に強いといわれている。
それから、もう一つ…。巫女に選ばれた女は巫女であることを象徴する一族の秘宝を継承している。
それは、代々、巫女の間で受け継がれてきたものらしい。
巫女であるローザもその秘宝を継承していたし、ルーファスが呪いに罹る前にローザから見せてもらったこともある。
ルーファスはピタッとページを捲る手を止めた。そこには、巫女の一族を象徴する紋章が載っていた。
今はもう廃れた古代ルーミティナ国の紋章でもある。ルーファスはじっとその紋章を注意深く見つめた。
間違いない。この形…。
ルーファスはすぐにパタン、と本を閉じ、その本を抱えて部屋に戻った。
「アーリヤとローザは元々、仲が悪いんだ。あの二人はことあるごとによく衝突していたらしい。」
そういえば、ローザ様はあまり性格がよくない方だとルカ達も話していた。
アーリヤ様と仲が悪いのも当然かもしれない。義理の姉妹だからといって仲がいいとは限らないし…。
「そう、ですか…。」
リスティーナはあからさまにがっかりした。期待していた分、その落胆は大きい。
やっと希望が見えたと思ったのに…。
「心配するな。まだ手はある。俺も色々と調べてみるから。」
「はい…。」
そうだ。諦めるのはまだ早い。リスティーナはそう考え直した。
ルーファスはその後、調べものがあると言って、帰って行った。
その時、今夜も来てくれることを約束してくれた。リスティーナは緩みそうになる頬を押さえながら、椅子に座った。
いけない。喜んでいる場合じゃなかった。今はとにかく、他にもルーファス様の呪いを解く手がかりを見つけないと…!
リスティーナはアーリヤから借りた本や呪術に関する本を手に取った。
「ああっ!ああん!殿下あ!」
ギシギシとベッドが軋む音と肉と肉がぶつかり合う音が鳴り響く。
女は涎を垂らし、恍惚とした顔で嬌声を上げていた。
「んあっ!っ、い、いい!そこお!あああーーーー!」
女は悲鳴に近い声を上げ、そのまま気絶した。
ドサッとベッドに沈んだ女を見下ろし、男は汗を拭うようにグイッと自身の赤い髪を掻き上げた。
褐色の肌から滴り落ちる汗からは男の色気が漂っている。
褐色の肌の男はベッドから降りると、卓上にあったグラスを手に取り、酒を注いだ。そして、酒の入ったグラスを一気に飲み干す。
グラスを机に置き、スッと軽く指を振る。すると、どこからともなく、手紙が現れ、男はその手紙に目を通した。
「…へえ。あいつが俺に頼み事とは珍しい。」
男は口角を吊り上げながら、愉し気に呟いた。
「メイネシア国の王女、リスティーナか…。」
外交の関係で男は他国の姫君の顔触れはある程度把握している。
メイネシア国にも行ったことはあるし、王族の挨拶も受けたがその中にリスティーナという王女はいなかった。この王女はメイネシア国の第四王女だという。
王族であるこの姫が夜会に参加していないというのはどう考えても不自然だ。
人前に出せない程、問題があるのか、病弱なのか、あるいは冷遇されているかのどちらかだろう。
元々、今回の婚姻でローゼンハイムは第三王女であるレノアとかいう王女を指名していた筈だ。
レノア王女の代わりにこの王女が嫁いだところをみると、冷遇されていたという可能性が高い。
王族でありながらも冷遇される王女や王子は珍しくない。母親の身分が低かったり、側室もしくは愛人の子というだけで虐げられる例は多く存在するのだから。
そういえば、その第四王女の母親は踊り子らしいな。
その情報だけで母親が平民であるために冷遇されたのだと簡単に予想がつく。
つまり、その王女は姉の身代わりにされたということか。
「ふうん。あの王女の妹か…。」
メイネシア国の夜会に参加した時、一際目立っていたレノアの姿を思い出す。
自分に近付く貴族令嬢を押し退けて、全面的にアピールをしてきた。
その目には、期待と興奮、野心があり、王女の癖に随分と感情的な女だという印象を抱いた。
こんな目をした女に会ったのは初めてじゃない。
男はその立場上、こうした自分に自信のある野心のある女に言い寄られることが多かった。
レノアは余程、自分に自信があるのか男が惚れて当然だという顔をしていた。
レノアという王女は確かにいい女だが、いってしまえば、ただそれだけだった。
別にこれ位の容姿の女は他に幾らでもいる。何なら、男のハーレムにはレノア以上の美女がわんさかいる。
男の妻達と比べたら、レノアの容姿など霞んで見えてしまうだろう。大方、王女という身分から、周りの人間にチヤホヤされ、この世で自分が一番美しいとでも勘違いをしているのだろう。
視野の狭い女だ。顔はそこそこよくてもそれ以上に残念な女だと思った。
こういう女に手を出すと、面倒だという事を男はよく理解していた。
そもそも、レノアのような女は好みじゃない。こういう気の強い女を屈服させ、従順に躾けてやるのも面白そうだが、そこまでの価値があるとは思えなかった。
それに、レノアは王女とは思えない程に慎みがなかった。
さりげなく胸を押し付けたり、胸の谷間を見せつけたりとして、ここは王城ではなく、場末の酒場なのではないかと思った。他の令嬢達も似たようなことをするものだから、こいつらは全員、令嬢の皮を被った娼婦かと思ったものだ。そうまでしても、自分を落としたいのだろうか。必死過ぎて、笑える。
そのレノアの妹というから、あれと似たようなタイプなのかと思ったがこの手紙を読むと、そうでもないらしい。どうも、レノアとは性格が正反対なのだそうだ。手紙にはどれだけその王女が気に入ったかが延々と書かれている。更には、その王女を自国に連れ帰りたいとまで考えている様だ。
余程、その王女を気に入ったみたいだな。珍しい。あの選り好みの激しい妹がここまで気に入るだなんて。まあ、あいつは飽きっぽいからすぐに飽きるかもしれないが…。
「まあ…。一度だけ会ってみるか。」
男はその王女に少しだけ興味を抱いた。ローゼンハイムの祝賀会でその王女とは顔を合わせる事になるだろう。男は口角を吊り上げて、笑った。
一方、ルーファスは王族専用の図書室に足を踏み入れていた。
確か、この本棚に…、記憶を頼りにしてルーファスはある本を探した。
「これか。」
ルーファスは目当ての本を見つけ、その本を開いた。パラリ、とページを捲る。
『ルーファス。あたしの秘密を教えてあげる。』
桃色の瞳を輝かせながら、そう言った少女の姿を思い出す。
『あたしね、巫女の一族の末裔なのよ。』
どこか誇らしげにそう言ったローザの目は強い自信に満ち溢れていた。
『この目の色があたしが巫女の血を引く何よりの証なの。それでね、この目の色を受け継いだ巫女は歴代の中でも一番強い力を持っているといわれているの!あのペネロペ女王もピンク色の目をしていたんだって!』
ローザは巫女の血を引く者しか受け継がれない桃色の瞳を持っていた。
だから、ローザは巫女の一族の娘だと公認された。
巫女を娶れば、一族が繁栄するという言い伝えがある。
だからこそ、ローザは王族の婚約者に選ばれたのだ。
だが、ローザは他国の王太子を選んだ。
父があっさりと二人の仲を認めたのは、相手の王太子が炎の勇者だっただけが理由ではない。
ローザが巫女の血を引く女だったからこそ、認めたのだ。
過去に巫女の怒りを買った者が悲惨な末路を辿ったという歴史がある。
父は巫女の機嫌を損ねる事をしたくなかったのだ。
だから、父はローザの怒りを買うような真似をせず、ローザの要求を呑んだのだ。
出来損ないの息子と巫女の血を引く娘。どちらを選ぶかなど分かり切っている。
父としては、ローザにはこの国に留まって欲しかったのだろうが、ローザが違う男を選んでしまった以上、どうすることもできない。父にはこの役立たずめ、といった目で睨まれた覚えがある。
ルーファスは過去を思い出しながら、ページを捲っていく。
巫女の一族の人間にしか現れない瞳の色。確かに書物にもその事は書かれている。
ペネロペ女王も桃色の瞳だったと記されている。だが、今まで歴代の巫女が全員、桃色の瞳を持っていた訳ではない。それに、ペネロペ女王について書かれた史実にも妙な点がある。これは、一体…?
ローザが巫女の一族の末裔だと聞いた時から、ルーファスは巫女に関する書物や本を読むようになった。
だからこそ、ルーファスはある程度、巫女の歴史とその特徴について知っていた。
巫女については、謎に包まれている部分が多いが巫女には幾つかの特徴がある。
巫女は神に愛された特別な娘。神聖力を使い、人々を導くことができる至高の存在。
神の使いとして、神聖視されている巫女ではあるが、その一方で男を惑わす魔性の女だとも言い伝えられている。
伝承によれば、巫女は成人すると、甘い匂いを放つようになり、男の理性を狂わしてしまうといわれている。
実際、過去には巫女を妻にする為に王子や高位貴族達の人間が熾烈な争いを繰り広げ、国は混乱に陥ったことがあるのだという。
確かにローザも薔薇のように甘ったるい匂いを放つ女だった。
ただ、あの甘い匂いはローザ自身の匂いというよりも、香水の類のような気がした。
巫女の芳しくも甘い匂いは人工的なものではなく、巫女自身の身体から放たれる匂いだといわれている。
巫女の甘い匂いについては、明確な答えは記されていない。
桃の香り、薔薇の香り、バニラのような香り…。書物や文献によって表現が違う。
巫女の特徴は匂いだけじゃない。
先を見通す予言の力を持つ巫女は勘が鋭いせいか賭け事や勝負に強いといわれている。
それから、もう一つ…。巫女に選ばれた女は巫女であることを象徴する一族の秘宝を継承している。
それは、代々、巫女の間で受け継がれてきたものらしい。
巫女であるローザもその秘宝を継承していたし、ルーファスが呪いに罹る前にローザから見せてもらったこともある。
ルーファスはピタッとページを捲る手を止めた。そこには、巫女の一族を象徴する紋章が載っていた。
今はもう廃れた古代ルーミティナ国の紋章でもある。ルーファスはじっとその紋章を注意深く見つめた。
間違いない。この形…。
ルーファスはすぐにパタン、と本を閉じ、その本を抱えて部屋に戻った。
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【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
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