97 / 222
第一章 出会い編
惹かれる心
しおりを挟む
リスティーナはルーファスを見送った後、ベッドに腰掛け、そのままポフン、と音を立てて、横になった。
リスティーナは彼の側室だ。彼の側室として娶られたあの瞬間から、リスティーナは彼の支配下に置かれたも同然の立場だった。
私は彼の所有物であり、どんな扱いを受けても決して逆らうことは許されない。
王女とは名ばかりでずっと母国では冷遇されていた私が助けを求めた所で誰も助けてくれない。
あの父はリスティーナが国に帰って来ることを決して許しはしないだろう。
例え、暴力を振るわれて、乱暴にされて、道具のように扱われても…、リスティーナはただひたすらに耐え続けるしかない。そんな私を…、彼は一人の人間として尊重してくれている。
不遇な境遇にいようとも、彼の地位や立場はリスティーナよりも強い。
彼は紛れもなく、強い側にいる人間だ。虐げられ、踏みにじられるばかりの弱者の私とは全然違う。
今まで私を虐げてきた人間達と同じくらい…、いいえ。それ以上の立場にありながらも…、彼はあの人達のように私を虐げたり甚振ったりしない。
リスティーナはそれがとても嬉しかった。それに、彼はとても誠実で優しい人だ。
リスティーナは彼と過ごした時間を思い出し、胸がトクン、と高鳴った。
彼の性格だけじゃなく、時折見せる悲しい目が忘れられない。あの傷ついたような表情…。
きっと、彼は呪われた王子としてたくさんの人から恐れられ、敵意や悪意を向けられ、たくさん辛い思いをしてきたことだろう。彼の心の傷はリスティーナが思っているよりもずっと深いものだ。
何度も傷つけられ、苦しんだのだろう。それでも、他人への思いやりの心を忘れない彼にリスティーナはどうしようもなく惹かれた。もっと、彼を知りたい。
リスティーナはキュッと枕を握り締め、顔を埋めた。
「私…、」
いつの間に私はこんなに欲張りになってしまったのだろうか。今まで自分の心を殺して、ひたすら耐えて我慢して、生きてきたのに…。リスティーナはそんな自分に戸惑いながらもその思いを止めることができなかった。
「坊ちゃま!いえ、ルーファス殿下!視力が回復したというのは本当でございますか!?」
浴室から上がり、着替えをしたルーファスは白髪交じりの執事服を着た男の言葉に頷いた。
「ああ。ルカから聞いたのか?本当だ。」
「それは…、それはようございました。」
涙ぐんで喜ぶ壮年の男の姿にルーファスは声を掛けた。
「爺。そう言ってくれるのは嬉しいが今だけだ。俺の余命が僅かなのは変わらない。」
「っ、殿下!まだ…、まだ手はあります!その呪いを…、呪いさえ解ければ…、手がかりさえ見つければきっと…!」
生まれた時からずっと自分に仕えてくれた執事である爺は数少ないルーファスが信頼する人間だ。
もう、全てを諦めているルーファスと違い、爺はルーファスの呪いを解く手がかりを見つけようと数人の使用人達と懸命になって調べてくれている。
だが、爺には悪いがルーファスはとっくに諦めていた。
この呪いから逃れられるなら、もう死んでもいい。だから、死ぬ覚悟はいつでもできていた。
ミャア、と鳴く声にルーファスは視線を下げる。
そこには、一匹の黒い猫が円らな瞳でじっとこちらを見上げていた。ルーファスが屈んで手を伸ばせば猫は嬉しそうに腕の中に飛び込んだ。猫を抱えて、喉元を撫でてやる。ゴロゴロと喉を鳴らして目を細めるこの黒猫はルーファスの飼い猫だ。
「ノエル。お前の引き取り先も考えてやらないとな。」
ノエルと呼ばれた猫は小首を傾げて鳴き声を上げた。
「巫女の力があれば殿下の呪いも解けるかもしれませんのに…。それなのに、ローザ様ときたら…!」
ローザ、という名にルーファスはノエルを撫でていた手をピタリ、と止めた。
「爺。それ以上は言うな。」
「っ、申し訳ありません。」
ルーファスはノエルを床に下ろすと、口を開いた。
「爺。頼みがある。」
「ん…。」
リスティーナはふと目が覚めて、目を擦りながら起き上がった。いつの間にか寝てしまったみたい。
このまま寝ていたら夜になったら眠れなくなりそう。いい加減、起きないと…。見れば、もうすぐお昼の時間だ。そんなに寝てしまっていたのかと思っていると、
「お、お目覚めですか?リスティーナ様。」
その声に顔を上げればそこには、オレンジ色の癖毛をした可愛らしい侍女が立っていた。あの朝食の席でグラスの水を溢してしまったミラという名の侍女だ。
「喉は渇いておられませんか?よろしければ、こちらのお水をお飲みください。」
「え、ええ。ありがとう。」
いつもはもう少しよそよそしいというか事務的な態度なのに今の彼女は妙に優しいというか何か言いたげな表情をしている。ミラか受け取った水を飲み、その後も甲斐甲斐しく世話を焼いてくれるミラの様子に戸惑いながらもリスティーナは身を任せた。
「あの…、リスティーナ様…。る、ルーファス殿下のことなのですが…、あの後、二人っきりで過ごされたと聞きましたが…、な、何もされませんでしたか?」
「え?ええ。別に何もされてないわ。殿下とは少し話をしただけだもの。」
「そ、そうでしたか。それなら、いいのですが…。」
ホッと安堵したような顔をするミラにリスティーナはもしかして…、と思った。
「もしかして、心配してくれていたの?ありがとう。ミラ。」
「!い、いえ!」
ミラはびっくりしたように目を見開き、ブンブンと首を横に振った。
「そういえば、あの時、具合が悪そうだったけどもう大丈夫なの?」
「だ、大丈夫です!そもそも、あれはルーファス殿下が怖かっただけですので…、あっ…!」
ミラはしまったとでも言いたげに口を手で覆った。
「殿下が怖い…?」
「ち、違います!い、今のは忘れて下さい!わ、私は決して殿下の悪口なんて…!」
ミラは青ざめた顔をしながら、必死に否定した。きょろきょろと辺りを見回して怯えたように視線を彷徨わせる。
「もしかして、殿下が怖いのは呪われるかもしれないから?」
「ッ…!」
ビクッ!と肩を震わせたミラの反応でリスティーナはそれが肯定であると理解した。
「わ、わたし…、殿下の怒りを買ってしまったんです…!きっと、もうすぐわたしも殺されてしまうんです!」
ルーファスの怒りを買ったり、不快にさせてしまえば呪われてしまうかもしれない。そういった考えをする人間がこの王宮には多く存在しているのだろう。
実際、被害者もいるのだからそう思ってしまうのも仕方がないかもしれない。
でも、その被害者たちは本当は加害者の立場であって、先に彼に手を出したのは彼らなのに…。
でも、リスティーナだって今まで真実を知らずに上辺の噂でしか彼を知ることができなかった。その点はミラも私も同じだ。だからこそ…、その誤解は解いてあげたい。
「大丈夫。殿下は少し失敗したからと言って、怒ったりする方ではないわ。」
「そんな訳ありません!あんなに怒っていたじゃありませんか!しかも、あんなに怖い顔をして…!
あれは絶対に人を殺す目です!」
「殿下は優しい方だから、そんな事で一々、咎めたりしないわ。」
「え。や、優しいってあのルーファス殿下のことですか?」
「ええ。勿論。それに、本当にあなたを罰するつもりならその場で手を下している筈。あの時、ミラ達を追い出したのはきっと、あなた達が怖がっているのを知ってあえて出て行かせたのだと思うの。
だから、心配いらないわ。」
「は、はあ…。」
リスティーナの言葉にミラは目を見開き、戸惑った表情を浮かべている。
「もし、どうしても気になるのなら、私から殿下にお話ししておきましょうか?ただ、私は側室の身だから…。次にいつ会えるのか分からないけれど…。」
「そ、そんな!だ、大丈夫ですから!」
「そう?」
首を振って拒否をするミラにリスティーナは引き下がった。
リスティーナは彼の側室だ。彼の側室として娶られたあの瞬間から、リスティーナは彼の支配下に置かれたも同然の立場だった。
私は彼の所有物であり、どんな扱いを受けても決して逆らうことは許されない。
王女とは名ばかりでずっと母国では冷遇されていた私が助けを求めた所で誰も助けてくれない。
あの父はリスティーナが国に帰って来ることを決して許しはしないだろう。
例え、暴力を振るわれて、乱暴にされて、道具のように扱われても…、リスティーナはただひたすらに耐え続けるしかない。そんな私を…、彼は一人の人間として尊重してくれている。
不遇な境遇にいようとも、彼の地位や立場はリスティーナよりも強い。
彼は紛れもなく、強い側にいる人間だ。虐げられ、踏みにじられるばかりの弱者の私とは全然違う。
今まで私を虐げてきた人間達と同じくらい…、いいえ。それ以上の立場にありながらも…、彼はあの人達のように私を虐げたり甚振ったりしない。
リスティーナはそれがとても嬉しかった。それに、彼はとても誠実で優しい人だ。
リスティーナは彼と過ごした時間を思い出し、胸がトクン、と高鳴った。
彼の性格だけじゃなく、時折見せる悲しい目が忘れられない。あの傷ついたような表情…。
きっと、彼は呪われた王子としてたくさんの人から恐れられ、敵意や悪意を向けられ、たくさん辛い思いをしてきたことだろう。彼の心の傷はリスティーナが思っているよりもずっと深いものだ。
何度も傷つけられ、苦しんだのだろう。それでも、他人への思いやりの心を忘れない彼にリスティーナはどうしようもなく惹かれた。もっと、彼を知りたい。
リスティーナはキュッと枕を握り締め、顔を埋めた。
「私…、」
いつの間に私はこんなに欲張りになってしまったのだろうか。今まで自分の心を殺して、ひたすら耐えて我慢して、生きてきたのに…。リスティーナはそんな自分に戸惑いながらもその思いを止めることができなかった。
「坊ちゃま!いえ、ルーファス殿下!視力が回復したというのは本当でございますか!?」
浴室から上がり、着替えをしたルーファスは白髪交じりの執事服を着た男の言葉に頷いた。
「ああ。ルカから聞いたのか?本当だ。」
「それは…、それはようございました。」
涙ぐんで喜ぶ壮年の男の姿にルーファスは声を掛けた。
「爺。そう言ってくれるのは嬉しいが今だけだ。俺の余命が僅かなのは変わらない。」
「っ、殿下!まだ…、まだ手はあります!その呪いを…、呪いさえ解ければ…、手がかりさえ見つければきっと…!」
生まれた時からずっと自分に仕えてくれた執事である爺は数少ないルーファスが信頼する人間だ。
もう、全てを諦めているルーファスと違い、爺はルーファスの呪いを解く手がかりを見つけようと数人の使用人達と懸命になって調べてくれている。
だが、爺には悪いがルーファスはとっくに諦めていた。
この呪いから逃れられるなら、もう死んでもいい。だから、死ぬ覚悟はいつでもできていた。
ミャア、と鳴く声にルーファスは視線を下げる。
そこには、一匹の黒い猫が円らな瞳でじっとこちらを見上げていた。ルーファスが屈んで手を伸ばせば猫は嬉しそうに腕の中に飛び込んだ。猫を抱えて、喉元を撫でてやる。ゴロゴロと喉を鳴らして目を細めるこの黒猫はルーファスの飼い猫だ。
「ノエル。お前の引き取り先も考えてやらないとな。」
ノエルと呼ばれた猫は小首を傾げて鳴き声を上げた。
「巫女の力があれば殿下の呪いも解けるかもしれませんのに…。それなのに、ローザ様ときたら…!」
ローザ、という名にルーファスはノエルを撫でていた手をピタリ、と止めた。
「爺。それ以上は言うな。」
「っ、申し訳ありません。」
ルーファスはノエルを床に下ろすと、口を開いた。
「爺。頼みがある。」
「ん…。」
リスティーナはふと目が覚めて、目を擦りながら起き上がった。いつの間にか寝てしまったみたい。
このまま寝ていたら夜になったら眠れなくなりそう。いい加減、起きないと…。見れば、もうすぐお昼の時間だ。そんなに寝てしまっていたのかと思っていると、
「お、お目覚めですか?リスティーナ様。」
その声に顔を上げればそこには、オレンジ色の癖毛をした可愛らしい侍女が立っていた。あの朝食の席でグラスの水を溢してしまったミラという名の侍女だ。
「喉は渇いておられませんか?よろしければ、こちらのお水をお飲みください。」
「え、ええ。ありがとう。」
いつもはもう少しよそよそしいというか事務的な態度なのに今の彼女は妙に優しいというか何か言いたげな表情をしている。ミラか受け取った水を飲み、その後も甲斐甲斐しく世話を焼いてくれるミラの様子に戸惑いながらもリスティーナは身を任せた。
「あの…、リスティーナ様…。る、ルーファス殿下のことなのですが…、あの後、二人っきりで過ごされたと聞きましたが…、な、何もされませんでしたか?」
「え?ええ。別に何もされてないわ。殿下とは少し話をしただけだもの。」
「そ、そうでしたか。それなら、いいのですが…。」
ホッと安堵したような顔をするミラにリスティーナはもしかして…、と思った。
「もしかして、心配してくれていたの?ありがとう。ミラ。」
「!い、いえ!」
ミラはびっくりしたように目を見開き、ブンブンと首を横に振った。
「そういえば、あの時、具合が悪そうだったけどもう大丈夫なの?」
「だ、大丈夫です!そもそも、あれはルーファス殿下が怖かっただけですので…、あっ…!」
ミラはしまったとでも言いたげに口を手で覆った。
「殿下が怖い…?」
「ち、違います!い、今のは忘れて下さい!わ、私は決して殿下の悪口なんて…!」
ミラは青ざめた顔をしながら、必死に否定した。きょろきょろと辺りを見回して怯えたように視線を彷徨わせる。
「もしかして、殿下が怖いのは呪われるかもしれないから?」
「ッ…!」
ビクッ!と肩を震わせたミラの反応でリスティーナはそれが肯定であると理解した。
「わ、わたし…、殿下の怒りを買ってしまったんです…!きっと、もうすぐわたしも殺されてしまうんです!」
ルーファスの怒りを買ったり、不快にさせてしまえば呪われてしまうかもしれない。そういった考えをする人間がこの王宮には多く存在しているのだろう。
実際、被害者もいるのだからそう思ってしまうのも仕方がないかもしれない。
でも、その被害者たちは本当は加害者の立場であって、先に彼に手を出したのは彼らなのに…。
でも、リスティーナだって今まで真実を知らずに上辺の噂でしか彼を知ることができなかった。その点はミラも私も同じだ。だからこそ…、その誤解は解いてあげたい。
「大丈夫。殿下は少し失敗したからと言って、怒ったりする方ではないわ。」
「そんな訳ありません!あんなに怒っていたじゃありませんか!しかも、あんなに怖い顔をして…!
あれは絶対に人を殺す目です!」
「殿下は優しい方だから、そんな事で一々、咎めたりしないわ。」
「え。や、優しいってあのルーファス殿下のことですか?」
「ええ。勿論。それに、本当にあなたを罰するつもりならその場で手を下している筈。あの時、ミラ達を追い出したのはきっと、あなた達が怖がっているのを知ってあえて出て行かせたのだと思うの。
だから、心配いらないわ。」
「は、はあ…。」
リスティーナの言葉にミラは目を見開き、戸惑った表情を浮かべている。
「もし、どうしても気になるのなら、私から殿下にお話ししておきましょうか?ただ、私は側室の身だから…。次にいつ会えるのか分からないけれど…。」
「そ、そんな!だ、大丈夫ですから!」
「そう?」
首を振って拒否をするミラにリスティーナは引き下がった。
0
お気に入りに追加
282
あなたにおすすめの小説
もしも○○だったら~らぶえっちシリーズ
中村 心響
恋愛
もしもシリーズと題しまして、オリジナル作品の二次創作。ファンサービスで書いた"もしも、あのキャラとこのキャラがこうだったら~"など、本編では有り得ない夢の妄想短編ストーリーの総集編となっております。
※ 作品
「男装バレてイケメンに~」
「灼熱の砂丘」
「イケメンはずんどうぽっちゃり…」
こちらの作品を先にお読みください。
各、作品のファン様へ。
こちらの作品は、ノリと悪ふざけで作者が書き散らした、らぶえっちだらけの物語りとなっております。
故に、本作品のイメージが崩れた!とか。
あのキャラにこんなことさせないで!とか。
その他諸々の苦情は一切受け付けておりません。(。ᵕᴗᵕ。)
自称ヒロインに「あなたはモブよ!」と言われましたが、私はモブで構いません!!
ゆずこしょう
恋愛
ティアナ・ノヴァ(15)には1人の変わった友人がいる。
ニーナ・ルルー同じ年で小さい頃からわたしの後ろばかり追ってくる、少しめんどくさい赤毛の少女だ。
そしていつも去り際に一言。
「私はヒロインなの!あなたはモブよ!」
ティアナは思う。
別に物語じゃないのだし、モブでいいのではないだろうか…
そんな一言を言われるのにも飽きてきたので私は学院生活の3年間ニーナから隠れ切ることに決めた。
異世界立志伝
小狐丸
ファンタジー
ごく普通の独身アラフォーサラリーマンが、目覚めると知らない場所へ来ていた。しかも身体が縮んで子供に戻っている。
さらにその場は、陸の孤島。そこで出逢った親切なアンデッドに鍛えられ、人の居る場所への脱出を目指す。
姉の結婚式に姉が来ません。どうやら私を身代わりにする方向で話はまとまったみたいです。式の後はどうするんですか?親族の皆様・・・!?
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
家の借金を返済する為に、姉が結婚する事になった。その双子の姉が、結婚式当日消えた。私の親族はとりあえず顔が同じ双子の妹である私に結婚式を行う様に言って来た。断る事が出来ずに、とりあえず式だけという事で式をしたのだが?
あの、式の後はどうしたら良いのでしょうか?私、ソフィア・グレイスはウェディングドレスで立ちつくす。
親戚の皆様、帰る前に何か言って下さい。
愛の無い結婚から、溺愛されるお話しです。
悪意か、善意か、破滅か
野村にれ
恋愛
婚約者が別の令嬢に恋をして、婚約を破棄されたエルム・フォンターナ伯爵令嬢。
婚約者とその想い人が自殺を図ったことで、美談とされて、
悪意に晒されたエルムと、家族も一緒に爵位を返上してアジェル王国を去った。
その後、アジェル王国では、徐々に異変が起こり始める。
虐げられた令嬢は、姉の代わりに王子へ嫁ぐ――たとえお飾りの妃だとしても
千堂みくま
恋愛
「この卑しい娘め、おまえはただの身代わりだろうが!」 ケルホーン伯爵家に生まれたシーナは、ある理由から義理の家族に虐げられていた。シーナは姉のルターナと瓜二つの顔を持ち、背格好もよく似ている。姉は病弱なため、義父はシーナに「ルターナの代わりに、婚約者のレクオン王子と面会しろ」と強要してきた。二人はなんとか支えあって生きてきたが、とうとうある冬の日にルターナは帰らぬ人となってしまう。「このお金を持って、逃げて――」ルターナは最後の力で屋敷から妹を逃がし、シーナは名前を捨てて別人として暮らしはじめたが、レクオン王子が迎えにやってきて……。○第15回恋愛小説大賞に参加しています。もしよろしければ応援お願いいたします。
ポンコツ女子は異世界で甘やかされる(R18ルート)
三ツ矢美咲
ファンタジー
投稿済み同タイトル小説の、ifルート・アナザーエンド・R18エピソード集。
各話タイトルの章を本編で読むと、より楽しめるかも。
第?章は前知識不要。
基本的にエロエロ。
本編がちょいちょい小難しい分、こっちはアホな話も書く予定。
一旦中断!詳細は近況を!
拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら
みおな
恋愛
子爵令嬢のクロエ・ルーベンスは今日も《おひとり様》で夜会に参加する。
公爵家を継ぐ予定の婚約者がいながら、だ。
クロエの婚約者、クライヴ・コンラッド公爵令息は、婚約が決まった時から一度も婚約者としての義務を果たしていない。
クライヴは、ずっと義妹のファンティーヌを優先するからだ。
「ファンティーヌが熱を出したから、出かけられない」
「ファンティーヌが行きたいと言っているから、エスコートは出来ない」
「ファンティーヌが」
「ファンティーヌが」
だからクロエは、学園卒業式のパーティーで顔を合わせたクライヴに、にっこりと微笑んで伝える。
「私のことはお気になさらず」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる