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#48 揺れる思い
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部活の代表が集まるミーティングに先輩が出席している。
真古都さんと二人きりで話すのは久しぶり。
「真古都さん、先輩のこと好きなの?」
ずっと気になっていたけど、機会がなかったから訊いてみた。
「好きだよ」
真古都さんはあっさり答える。
「えっ?!」
「霧嶋くんだって好きでしょ?
よく一緒に話してるじゃない…」
真古都さんは合宿のしおりを一部づつホチキスで止めながら、何でもない顔で話している。
『まさか二人で真古都さん取り合ってるなんて言えないな…』
「あ…あの…それじゃあさ、
そう云う好きじゃなくて、
真古都さんが男の人を好きになるきっかけってなに……?」
僕にとっても、何としてでも振り向いて欲しいから、これは是非とも訊きたい!
「うーん……」
真古都さんは少し考えてから話始めた。
「そうだな…今まで気付かなかったその男の良いところを見た時…かな…」
「じゃあ、先輩のどこが好き?」
つい、僕は訊いてしまった。
「えーと、瀬戸くん、最初からいい人だったからなぁ…」
少し困り顔で考えている。
「わたしにも普通に接してくれたし…」
真古都さんが悩んでいると、ミーティングの終わった先輩が帰って来た。
「二人で何の話してるんだ?」
先輩は訝しげな顔を僕に向けながら、同じ副部長である真古都さんに資料を渡してる。
「霧嶋くんにね、瀬戸くんのどこが好きって訊かれてたところ」
「へー、俺も気になるな…
真古都は俺のどこが好きなんだ?」
先輩はまた僕の方をチラッと見る。
『僕だって少しは気になりますよ!』
真古都さんはやっぱり困り顔で考えてる。
『真古都は俺のどこを好きなんだ?』
「うん…それなんだけど…
実はありすぎてわからない……」
真古都がどこを好きか気になる…
「だって瀬戸くん、最初からわたしにも普通に話してくれたし…」
いや…それは同じ美術部だから…
「先輩の事も心配してくれたし…」
お前があんなクズにバカすぎだったから…
「よく助けてくれたし…」
見てられないくらい間抜けだったから…
「強いて言うなら、ダメダメなわたしを
見捨てないでいてくれるところかな」
それを訊いた途端、俺は顔が熱くなった!
「ま…まぁな…
俺以外、お前の面倒みれないだろ」
熱を帯びた顔を見られたくなくて、彼女に背中を向けながら頭を撫でてやった。
「そーです、ごもっとも…」
『何今更照れてんだよ…』
真古都さんも照れ臭そうにしている。
僕はちょっと面白くないから、
少しだけ意地悪を言ってみた…
「でもそれって、ちょっと仲の良い友達に寄せる好きですよね」
「!」
「?」
二人とも固まってる。
『こいつ! 余計なことを!』
先輩は僕を睨んでる。
『友達の好きなのか…』
真古都さんは複雑な感じだ。
僕としては、
〔男として好き〕と、
認識さえしてくれなければいい。
「瀬戸さぁ、大丈夫なの?彼女さん」
帰りがけ、柏崎が俺に訊いてくる。
「えっ?」
「だって…瀬戸って彼女さんの前でも
あんまり笑ったりしないし…
それに、結構ぞんざいに扱ってるよね」
『そんなつもりは無いんだが…』
「それに一年の霧嶋って、
メチャクチャ女の子に人気じゃん」
『まぁ、あいつ顔だけは良いからな…』
「アイツは大丈夫だよ」
心配してくれる柏崎にそう言った。
「高括ってると取られるからな…
取られてからじゃ遅いぞ…
女の子って云うのは優しい男が好きなんだから」
『なんだよ!俺が優しくないみたいじゃねーか』
「お前さぁ、彼女さんのこと、
すげぇ好きなの見てて判るから…
ただでさえお前、無愛想で霧嶋とじゃ
分が悪いんだから…少しは気を遣ってやれ」
「判ったよ!」
『くそっ!何だよ俺の方が分が悪いって!』
「あ…瀬戸くん今終わり?
良かった、入れ違いにならなくて」
渡り廊下のところで真古都に会う。
「あ…ああ」
「瀬戸!もっと優しく!お前目付き悪いぞ!」
「わ…判ってる!」
相変わらず容赦ない。
そんな俺たちを真古都は不思議に思ったようだ。
「あ…あの…わたし何かいけなかった…?
ごめんなさい」
「何謝ってるんだ! 変な気を遣うな!
さっさと帰るぞ!」
俺はいつもの口調に戻る。
「はーい」
『良かった、いつもの瀬戸くんだ』
結局、いつもと同じように腕を組んで帰る。
『そう云えばコイツ…
本当はどう思ってるんだ?
ふりだと思ってるから
無理は言わないし俺に合わせてくれてるけど…
やっぱり霧嶋みたいな方が良いのか?』
『良かった…上手く言えない牴牾しい感じ…別に変じゃないんだ…
わたしたちふりなんだから
瀬戸くん困らせなくて……良かった』
瀬戸くんの指がわたしの前髪を分ける時、
わたしの心臓は少しキュっとなる。
指が離れて、そこにキスをされると、
また少し心臓が
苦しくなる。
大丈夫…
ちょっと恥ずかしいだけたから…
真古都さんと二人きりで話すのは久しぶり。
「真古都さん、先輩のこと好きなの?」
ずっと気になっていたけど、機会がなかったから訊いてみた。
「好きだよ」
真古都さんはあっさり答える。
「えっ?!」
「霧嶋くんだって好きでしょ?
よく一緒に話してるじゃない…」
真古都さんは合宿のしおりを一部づつホチキスで止めながら、何でもない顔で話している。
『まさか二人で真古都さん取り合ってるなんて言えないな…』
「あ…あの…それじゃあさ、
そう云う好きじゃなくて、
真古都さんが男の人を好きになるきっかけってなに……?」
僕にとっても、何としてでも振り向いて欲しいから、これは是非とも訊きたい!
「うーん……」
真古都さんは少し考えてから話始めた。
「そうだな…今まで気付かなかったその男の良いところを見た時…かな…」
「じゃあ、先輩のどこが好き?」
つい、僕は訊いてしまった。
「えーと、瀬戸くん、最初からいい人だったからなぁ…」
少し困り顔で考えている。
「わたしにも普通に接してくれたし…」
真古都さんが悩んでいると、ミーティングの終わった先輩が帰って来た。
「二人で何の話してるんだ?」
先輩は訝しげな顔を僕に向けながら、同じ副部長である真古都さんに資料を渡してる。
「霧嶋くんにね、瀬戸くんのどこが好きって訊かれてたところ」
「へー、俺も気になるな…
真古都は俺のどこが好きなんだ?」
先輩はまた僕の方をチラッと見る。
『僕だって少しは気になりますよ!』
真古都さんはやっぱり困り顔で考えてる。
『真古都は俺のどこを好きなんだ?』
「うん…それなんだけど…
実はありすぎてわからない……」
真古都がどこを好きか気になる…
「だって瀬戸くん、最初からわたしにも普通に話してくれたし…」
いや…それは同じ美術部だから…
「先輩の事も心配してくれたし…」
お前があんなクズにバカすぎだったから…
「よく助けてくれたし…」
見てられないくらい間抜けだったから…
「強いて言うなら、ダメダメなわたしを
見捨てないでいてくれるところかな」
それを訊いた途端、俺は顔が熱くなった!
「ま…まぁな…
俺以外、お前の面倒みれないだろ」
熱を帯びた顔を見られたくなくて、彼女に背中を向けながら頭を撫でてやった。
「そーです、ごもっとも…」
『何今更照れてんだよ…』
真古都さんも照れ臭そうにしている。
僕はちょっと面白くないから、
少しだけ意地悪を言ってみた…
「でもそれって、ちょっと仲の良い友達に寄せる好きですよね」
「!」
「?」
二人とも固まってる。
『こいつ! 余計なことを!』
先輩は僕を睨んでる。
『友達の好きなのか…』
真古都さんは複雑な感じだ。
僕としては、
〔男として好き〕と、
認識さえしてくれなければいい。
「瀬戸さぁ、大丈夫なの?彼女さん」
帰りがけ、柏崎が俺に訊いてくる。
「えっ?」
「だって…瀬戸って彼女さんの前でも
あんまり笑ったりしないし…
それに、結構ぞんざいに扱ってるよね」
『そんなつもりは無いんだが…』
「それに一年の霧嶋って、
メチャクチャ女の子に人気じゃん」
『まぁ、あいつ顔だけは良いからな…』
「アイツは大丈夫だよ」
心配してくれる柏崎にそう言った。
「高括ってると取られるからな…
取られてからじゃ遅いぞ…
女の子って云うのは優しい男が好きなんだから」
『なんだよ!俺が優しくないみたいじゃねーか』
「お前さぁ、彼女さんのこと、
すげぇ好きなの見てて判るから…
ただでさえお前、無愛想で霧嶋とじゃ
分が悪いんだから…少しは気を遣ってやれ」
「判ったよ!」
『くそっ!何だよ俺の方が分が悪いって!』
「あ…瀬戸くん今終わり?
良かった、入れ違いにならなくて」
渡り廊下のところで真古都に会う。
「あ…ああ」
「瀬戸!もっと優しく!お前目付き悪いぞ!」
「わ…判ってる!」
相変わらず容赦ない。
そんな俺たちを真古都は不思議に思ったようだ。
「あ…あの…わたし何かいけなかった…?
ごめんなさい」
「何謝ってるんだ! 変な気を遣うな!
さっさと帰るぞ!」
俺はいつもの口調に戻る。
「はーい」
『良かった、いつもの瀬戸くんだ』
結局、いつもと同じように腕を組んで帰る。
『そう云えばコイツ…
本当はどう思ってるんだ?
ふりだと思ってるから
無理は言わないし俺に合わせてくれてるけど…
やっぱり霧嶋みたいな方が良いのか?』
『良かった…上手く言えない牴牾しい感じ…別に変じゃないんだ…
わたしたちふりなんだから
瀬戸くん困らせなくて……良かった』
瀬戸くんの指がわたしの前髪を分ける時、
わたしの心臓は少しキュっとなる。
指が離れて、そこにキスをされると、
また少し心臓が
苦しくなる。
大丈夫…
ちょっと恥ずかしいだけたから…
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