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紫焔の鱗と鋭い牙
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俺がその巨大な魔方陣を視認したからなのか、上空に見えるそれは発光を強め始めて地表表面を赤く赤く染めてゆく。
発光が強くなるにつれて、魔法陣中心部の空間は歪み、そこに黒い(次元の)割れ目が忽然と現れた。
そして、その空間から得体の知れない存在感がゆっくりと顕現する。
「し、信じられない……。だ、だけど、こっ、これがそうなのか?」
目を見開き、現れたものを見る俺はそれが何かを知っていた。
そこに現れたのは、とんでもなく圧倒的に巨大な体躯。
禍々しく光る紫焔の宝石のようなウロコに全身覆われて、その長い首の先には爬虫類独特のせり出した顎に鋭い牙が並ぶ。牙の隙間からは熱く蒸気を伴う呼気がゴウと音を立てて漏れ出していた。
背中には空を覆い尽くす程の大きな翼を広げて今、ひとつ羽ばたいただけで俺は強烈な風圧で地面に立っていられなくなり地べたに四つん這いになった。
はっきりとその全体が現れると、空一面に展開されていた魔法陣が薄れて消え失せる。と同時に、巨大な生物は重力に任せてそのまま森の中へその身体を落とした。
ズッッッッド―――――――ン!!!!!
轟音と共に森の木はなぎ倒され、地面はクレーター状に盛り上がり、土煙の中で激しい地震が辺りを揺さぶる。
俺は、その存在感に完全に腰が抜けてその場を動けなくなっていた。
―――ドラゴン。
異世界ものには定番のモンスターであり勇者が倒すべき強敵。
だが、これほどまでに巨大で圧倒的な存在であったとはラノベでしか想像しなかった俺のはるか上を行っていた。
「ゴホッゴホッ……」
土煙にむせてせき込んだ俺は、息を整えつつ片目をつむりながらも目の前を凝視するのだけは止めなかった。
そして、土煙が飛散しその視界が露わになった時、俺は驚愕する。
そこには、俺を見つめる巨大な紫焔のドラゴンの恐ろしい顔がすぐ目の前にあったからだ。
発光が強くなるにつれて、魔法陣中心部の空間は歪み、そこに黒い(次元の)割れ目が忽然と現れた。
そして、その空間から得体の知れない存在感がゆっくりと顕現する。
「し、信じられない……。だ、だけど、こっ、これがそうなのか?」
目を見開き、現れたものを見る俺はそれが何かを知っていた。
そこに現れたのは、とんでもなく圧倒的に巨大な体躯。
禍々しく光る紫焔の宝石のようなウロコに全身覆われて、その長い首の先には爬虫類独特のせり出した顎に鋭い牙が並ぶ。牙の隙間からは熱く蒸気を伴う呼気がゴウと音を立てて漏れ出していた。
背中には空を覆い尽くす程の大きな翼を広げて今、ひとつ羽ばたいただけで俺は強烈な風圧で地面に立っていられなくなり地べたに四つん這いになった。
はっきりとその全体が現れると、空一面に展開されていた魔法陣が薄れて消え失せる。と同時に、巨大な生物は重力に任せてそのまま森の中へその身体を落とした。
ズッッッッド―――――――ン!!!!!
轟音と共に森の木はなぎ倒され、地面はクレーター状に盛り上がり、土煙の中で激しい地震が辺りを揺さぶる。
俺は、その存在感に完全に腰が抜けてその場を動けなくなっていた。
―――ドラゴン。
異世界ものには定番のモンスターであり勇者が倒すべき強敵。
だが、これほどまでに巨大で圧倒的な存在であったとはラノベでしか想像しなかった俺のはるか上を行っていた。
「ゴホッゴホッ……」
土煙にむせてせき込んだ俺は、息を整えつつ片目をつむりながらも目の前を凝視するのだけは止めなかった。
そして、土煙が飛散しその視界が露わになった時、俺は驚愕する。
そこには、俺を見つめる巨大な紫焔のドラゴンの恐ろしい顔がすぐ目の前にあったからだ。
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