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第二章、戦争
第六十七話:国境付近にてⅥ(現代に蘇りし剣姫と戦乙女・中編)
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「クラ、リス……?」
ミレーヌが呆然としたまま、そう呟く。
見た目は金髪碧眼モードのキソラのままではあるが、雰囲気は先程までの彼女とは明らかに違っていた。
そして、その雰囲気は、彼女を良く知るミレーヌだからこそ気づけた。
「――ッツ!!」
駆け出しながら、すでに持っていた剣と帯剣していたうちの一本を抜くことで二刀流となったキソラ――いや、クラリスが、ミレーヌに向かっていく。
だが、そこから放たれる攻撃に対し、とっさに防御態勢を取ることで防ぐミレーヌだが、その顔は引きつっていた。
(何がどうなってんのよ!?)
先程まで戦っていたのは、見た目が似ているだけの少女だったはず。
(それなのに――)
今目の前にいるのは、自身がよく知る好敵手でもある少女。
「……ふふっ、けど良いわよ。クラリス。これで正々堂々戦える!」
「貴女から正々堂々なんて言葉、聞けると思わなかった」
「――っ、」
今度はミレーヌから攻撃を仕掛けてみるも避けられ、腹部に蹴りを食らってしまう。
そんな彼女が起き、立ち上がる様子を、クラリスは見ていた。
(さて、どうしたものか)
一時的に意識を変えたとはいえ、ずっとキソラがクラリスのままでいられるわけがない。
(とはいえ、急いては事を仕損じるだろうし……)
剣を片方鞘に収めると、剣を持っている手から落とさないようにきちんと握り、右腕を引き、体勢を低くして構える。
そして――そのまま思いっきり、勢い良く突き出す。
「ふふっ、追撃のつもりだろうけど、甘いわね。クラリス」
剣を勢い良く付き出したことにより生じた風は、刃のようにミレーヌへ向かっていくが、特に苦労することなく、彼女は防ぎきる。
「何言ってんの? 私が貴女相手に、威力の弱い追撃をするはずがないでしょ」
相手がどう思おうと勝手だが、あれは追撃ではない。
(攻撃するという意図はあったけどね)
それでも、先程の突きが彼女までの距離で届くということは分かった。
「そうね。まあ、貴女なら読まれると分かってて、やった可能性もあるけど」
「はっはー。それは否定しないけど、私が貴女にあっさり勝てるほどの相手じゃないことは、もう分かってるからね」
そう言いつつ、クラリスは大剣へと変化させた相棒を取り出す。
だがそれは、ただの大剣へ変化したわけではない。
「貴女の相棒のお出ましってわけ。クラリス」
その姿は、“剣姫”クラリス・レージが使用していたものにして、彼女の相棒。
「それなら、こっちも相手しなくっちゃね」
そう言いながらミレーヌが取り出したものに、クラリスは構える。
「相棒対決と行きましょうか。クラリス」
ミレーヌは笑みを浮かべた。
☆★☆
「何で最前線に居るんだ!」
帝国師団長、ユリウス・サバラーグの相手をしていた騎士団長、ウィルフォードは、偶然あった視線の先の光景に、思わず声を上げた。
(つか、絶対来させないとか、言ってなかったか? あいつ)
以前、ノークと話したことを思い出すウィルフォードだが、それとは真逆なことが起きていた。
(いや、それよりも――)
ウィルフォードは、対峙するユリウスに目を向ける。
「……ああ、あれのことか」
どうやらユリウスの方も気づいたらしく、キソラとミレーヌを捉えれば、彼の口角が上がったのを、ウィルフォードは見逃さなかった。
「悪いが、そう簡単に向こうへ行かせるつもりは無いぞ」
「ならば、無理矢理にでも通るまで」
ユリウスの視線が自身に向いたのは良いが、ウィルフォードは内心舌打ちした。
正直、ユリウスを相手にするのに、普段なら苦労しないウィルフォードだが、今は違う。
キソラほどではないにしても、体力・魔力共に消耗しているのだ。実力差があるとはいえ、見習いや一般兵でもいいから、手を借りたいほどだった。
だが――
(それは、駄目だな)
プライドなどの問題もあるが、負けると分かっていて、部下たちや未来の部下候補に自身のサポートなんてさせられない。
それが、彼らが持つある種のプライドを傷つけることになったとしても。
「だから、行かせねぇって」
ユリウスが隙を見て、キソラたちの方へと向かおうとしていることが丸分かりなので、ウィルフォードもそれを阻止するべく剣を振るう。
「上に立つ以上、下の者たちには良き見本となり、導かなければならない」
「いきなり何を言って……」
「そして、年上は敬わないといけないのだろうが」
戸惑うウィルフォードを余所に、ユリウスは告げる。
「俺の道を遮る敵であるのなら、話は別だ」
「く、はっ……」
ユリウスが目の前から消えたかと思えば、はっと気づいた瞬間には懐に入られており、腹部に強力な拳を食らっていた。
「今更だが、俺が使えるのは、剣と魔法だけではないからな」
「っ、本当に今更だな。おい」
ウィルフォードが腹部を撫でながら、何とか立ち上がれば、ユリウスが目を細める。
「だがな。それを出来るのが、自分だけだと思うなよ。クソガキが」
お返しだとばかりにユリウスの懐に飛び込んだウィルフォードが、雷を付与した拳を彼の腹部へとぶつける。
「ぐぅぅ……」
立ち上がろうとして、立ち上がれないユリウスは、そのことに顔を歪ませ、そして理解した。ウィルフォードが拳に雷を付与したのは自身を麻痺させるためなのだと。
だが、属性付与したところで、状態異常を必ず引き起こせるわけではない。
「俺が状態異常になることに賭けたのか」
それを聞いたウィルフォードは、まさかとでも言いたげな表情をする。
「賭けてなんかないさ。ただ、普通に拳をぶつけるより、与えるダメージを増やした方がいいと思っただけだ」
麻痺に関してはその結果であり、偶然だ、とウィルフォードは言う。
「そうか。それなら――」
再びユリウスが目の前から消えたため、まさかまた懐に入られたのかと思ったのだが、いつまで経ってもダメージは来ず、嫌な予感がしたウィルフォードは振り返る。
そこには、予想通りというべきか、ユリウスがおり、麻痺しているとはいえ、キソラたちの方へと向かっていた。
だが、キソラたちが気づいた様子はなく、ウィルフォードは叫ぶ。
「させるかぁぁぁぁっ!!!!」
そして、その声と気配で気づいたのか、キソラが視線を、ミレーヌ、ノークらがそちらに目を向ければ、偶然か否か、キソラとノークの言葉が重なる。
「っ、そいつをこっちへ向かわせるな、イフリート!」
「っ、そいつをそっちへ向かわせるな、イフリート!」
その声が届いたのか、大きな火柱がキソラたちと向かってきていたユリウスとの間に現れる。
『りょーかい』
火柱が火の粉を散らせながら霧散すれば、そこに居たのは、そう返事を返す赤髪の青年。
「勝手に休憩しに行ってたんだから、今からは少し働いてもらうから」
『あの、主? いくら精霊でも休み無しでぶっ続けで戦い続けるのは無理あるんですが』
「それは私に対する嫌みか」
『……いえ』
少しピリピリしているせいか、キソラから軽いながらも本気の殺気を向けられ、イフリートは顔を引きつらせる。
『で。もちろん、手加減しなくて良いんだよな?』
「出来るのか?」
『まさか。逆に『願い』や『思い』の乗った言葉により、魔力ブーストされてるみたいで、正直、手加減できる自信が無い』
確認すれば、問い返してきたノークに、イフリートはそう返す。
ちなみに、キソラの言葉は、ユリウスがほぼ正面に来ていたから、ノークの言葉は、キソラの身を案じたことにより発したのだが、いくら迷宮をキソラが管理しているとはいえ、そもそもノークも守護者たちにしてみれば、主同然なのだ。
そんな状態で、キソラとノークから同時に『思い』や『願い』の籠もった指示をされてみろ。キソラのみのブーストよりもブースト率が跳ね上がるに決まってる。
「とにかく、彼の相手は任せたから。私が彼女の相手をし終わるまでに足止めするか、終わらせておいて」
『分かってるよ』
あと、とイフリートは告げる。
『他の奴らから何度も聞いたとは思うが、死ぬなよ』
「そっくりそのまま返す」
それに対し、ふっと笑みを浮かべれば、
『つーわけで、あの二人の元に行きたけりゃ、俺を倒すことだな』
「そう、みたいだな」
キソラたちを示しながら言うイフリートは、ウィルフォードとの戦いで麻痺したことすら感じさせない笑みを浮かべるユリウスの相手を始め、
「少し邪魔が入ったから、少々中断させてもらいましたが、大丈夫でした?」
「別に気にしなくてもいいわ。貴女が行動に移さなければ、私が対処していたでしょうし」
「……」
その『対処』の内容について聞いた方が良いのか聞かない方が良いのかという、どちらかといえばくだらないことを考えつつ、一度意識の隅にクラリスの意識を置いたキソラは、ミレーヌとの戦闘を再開させる。
そんな面々を見て、何とかなったようだと判断したノークは、小さく笑みを浮かべ、相手の戦力を削ぎに向かうのだった。
ミレーヌが呆然としたまま、そう呟く。
見た目は金髪碧眼モードのキソラのままではあるが、雰囲気は先程までの彼女とは明らかに違っていた。
そして、その雰囲気は、彼女を良く知るミレーヌだからこそ気づけた。
「――ッツ!!」
駆け出しながら、すでに持っていた剣と帯剣していたうちの一本を抜くことで二刀流となったキソラ――いや、クラリスが、ミレーヌに向かっていく。
だが、そこから放たれる攻撃に対し、とっさに防御態勢を取ることで防ぐミレーヌだが、その顔は引きつっていた。
(何がどうなってんのよ!?)
先程まで戦っていたのは、見た目が似ているだけの少女だったはず。
(それなのに――)
今目の前にいるのは、自身がよく知る好敵手でもある少女。
「……ふふっ、けど良いわよ。クラリス。これで正々堂々戦える!」
「貴女から正々堂々なんて言葉、聞けると思わなかった」
「――っ、」
今度はミレーヌから攻撃を仕掛けてみるも避けられ、腹部に蹴りを食らってしまう。
そんな彼女が起き、立ち上がる様子を、クラリスは見ていた。
(さて、どうしたものか)
一時的に意識を変えたとはいえ、ずっとキソラがクラリスのままでいられるわけがない。
(とはいえ、急いては事を仕損じるだろうし……)
剣を片方鞘に収めると、剣を持っている手から落とさないようにきちんと握り、右腕を引き、体勢を低くして構える。
そして――そのまま思いっきり、勢い良く突き出す。
「ふふっ、追撃のつもりだろうけど、甘いわね。クラリス」
剣を勢い良く付き出したことにより生じた風は、刃のようにミレーヌへ向かっていくが、特に苦労することなく、彼女は防ぎきる。
「何言ってんの? 私が貴女相手に、威力の弱い追撃をするはずがないでしょ」
相手がどう思おうと勝手だが、あれは追撃ではない。
(攻撃するという意図はあったけどね)
それでも、先程の突きが彼女までの距離で届くということは分かった。
「そうね。まあ、貴女なら読まれると分かってて、やった可能性もあるけど」
「はっはー。それは否定しないけど、私が貴女にあっさり勝てるほどの相手じゃないことは、もう分かってるからね」
そう言いつつ、クラリスは大剣へと変化させた相棒を取り出す。
だがそれは、ただの大剣へ変化したわけではない。
「貴女の相棒のお出ましってわけ。クラリス」
その姿は、“剣姫”クラリス・レージが使用していたものにして、彼女の相棒。
「それなら、こっちも相手しなくっちゃね」
そう言いながらミレーヌが取り出したものに、クラリスは構える。
「相棒対決と行きましょうか。クラリス」
ミレーヌは笑みを浮かべた。
☆★☆
「何で最前線に居るんだ!」
帝国師団長、ユリウス・サバラーグの相手をしていた騎士団長、ウィルフォードは、偶然あった視線の先の光景に、思わず声を上げた。
(つか、絶対来させないとか、言ってなかったか? あいつ)
以前、ノークと話したことを思い出すウィルフォードだが、それとは真逆なことが起きていた。
(いや、それよりも――)
ウィルフォードは、対峙するユリウスに目を向ける。
「……ああ、あれのことか」
どうやらユリウスの方も気づいたらしく、キソラとミレーヌを捉えれば、彼の口角が上がったのを、ウィルフォードは見逃さなかった。
「悪いが、そう簡単に向こうへ行かせるつもりは無いぞ」
「ならば、無理矢理にでも通るまで」
ユリウスの視線が自身に向いたのは良いが、ウィルフォードは内心舌打ちした。
正直、ユリウスを相手にするのに、普段なら苦労しないウィルフォードだが、今は違う。
キソラほどではないにしても、体力・魔力共に消耗しているのだ。実力差があるとはいえ、見習いや一般兵でもいいから、手を借りたいほどだった。
だが――
(それは、駄目だな)
プライドなどの問題もあるが、負けると分かっていて、部下たちや未来の部下候補に自身のサポートなんてさせられない。
それが、彼らが持つある種のプライドを傷つけることになったとしても。
「だから、行かせねぇって」
ユリウスが隙を見て、キソラたちの方へと向かおうとしていることが丸分かりなので、ウィルフォードもそれを阻止するべく剣を振るう。
「上に立つ以上、下の者たちには良き見本となり、導かなければならない」
「いきなり何を言って……」
「そして、年上は敬わないといけないのだろうが」
戸惑うウィルフォードを余所に、ユリウスは告げる。
「俺の道を遮る敵であるのなら、話は別だ」
「く、はっ……」
ユリウスが目の前から消えたかと思えば、はっと気づいた瞬間には懐に入られており、腹部に強力な拳を食らっていた。
「今更だが、俺が使えるのは、剣と魔法だけではないからな」
「っ、本当に今更だな。おい」
ウィルフォードが腹部を撫でながら、何とか立ち上がれば、ユリウスが目を細める。
「だがな。それを出来るのが、自分だけだと思うなよ。クソガキが」
お返しだとばかりにユリウスの懐に飛び込んだウィルフォードが、雷を付与した拳を彼の腹部へとぶつける。
「ぐぅぅ……」
立ち上がろうとして、立ち上がれないユリウスは、そのことに顔を歪ませ、そして理解した。ウィルフォードが拳に雷を付与したのは自身を麻痺させるためなのだと。
だが、属性付与したところで、状態異常を必ず引き起こせるわけではない。
「俺が状態異常になることに賭けたのか」
それを聞いたウィルフォードは、まさかとでも言いたげな表情をする。
「賭けてなんかないさ。ただ、普通に拳をぶつけるより、与えるダメージを増やした方がいいと思っただけだ」
麻痺に関してはその結果であり、偶然だ、とウィルフォードは言う。
「そうか。それなら――」
再びユリウスが目の前から消えたため、まさかまた懐に入られたのかと思ったのだが、いつまで経ってもダメージは来ず、嫌な予感がしたウィルフォードは振り返る。
そこには、予想通りというべきか、ユリウスがおり、麻痺しているとはいえ、キソラたちの方へと向かっていた。
だが、キソラたちが気づいた様子はなく、ウィルフォードは叫ぶ。
「させるかぁぁぁぁっ!!!!」
そして、その声と気配で気づいたのか、キソラが視線を、ミレーヌ、ノークらがそちらに目を向ければ、偶然か否か、キソラとノークの言葉が重なる。
「っ、そいつをこっちへ向かわせるな、イフリート!」
「っ、そいつをそっちへ向かわせるな、イフリート!」
その声が届いたのか、大きな火柱がキソラたちと向かってきていたユリウスとの間に現れる。
『りょーかい』
火柱が火の粉を散らせながら霧散すれば、そこに居たのは、そう返事を返す赤髪の青年。
「勝手に休憩しに行ってたんだから、今からは少し働いてもらうから」
『あの、主? いくら精霊でも休み無しでぶっ続けで戦い続けるのは無理あるんですが』
「それは私に対する嫌みか」
『……いえ』
少しピリピリしているせいか、キソラから軽いながらも本気の殺気を向けられ、イフリートは顔を引きつらせる。
『で。もちろん、手加減しなくて良いんだよな?』
「出来るのか?」
『まさか。逆に『願い』や『思い』の乗った言葉により、魔力ブーストされてるみたいで、正直、手加減できる自信が無い』
確認すれば、問い返してきたノークに、イフリートはそう返す。
ちなみに、キソラの言葉は、ユリウスがほぼ正面に来ていたから、ノークの言葉は、キソラの身を案じたことにより発したのだが、いくら迷宮をキソラが管理しているとはいえ、そもそもノークも守護者たちにしてみれば、主同然なのだ。
そんな状態で、キソラとノークから同時に『思い』や『願い』の籠もった指示をされてみろ。キソラのみのブーストよりもブースト率が跳ね上がるに決まってる。
「とにかく、彼の相手は任せたから。私が彼女の相手をし終わるまでに足止めするか、終わらせておいて」
『分かってるよ』
あと、とイフリートは告げる。
『他の奴らから何度も聞いたとは思うが、死ぬなよ』
「そっくりそのまま返す」
それに対し、ふっと笑みを浮かべれば、
『つーわけで、あの二人の元に行きたけりゃ、俺を倒すことだな』
「そう、みたいだな」
キソラたちを示しながら言うイフリートは、ウィルフォードとの戦いで麻痺したことすら感じさせない笑みを浮かべるユリウスの相手を始め、
「少し邪魔が入ったから、少々中断させてもらいましたが、大丈夫でした?」
「別に気にしなくてもいいわ。貴女が行動に移さなければ、私が対処していたでしょうし」
「……」
その『対処』の内容について聞いた方が良いのか聞かない方が良いのかという、どちらかといえばくだらないことを考えつつ、一度意識の隅にクラリスの意識を置いたキソラは、ミレーヌとの戦闘を再開させる。
そんな面々を見て、何とかなったようだと判断したノークは、小さく笑みを浮かべ、相手の戦力を削ぎに向かうのだった。
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