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第一章、始まり
第七話:冒険者ギルドと地下迷宮
しおりを挟む冒険者ギルド。
この世界の住人の大半が冒険者という職業に就いているのだが、そんな彼らに仕事を与えるのが、ここ冒険者ギルドである。
「あら、キソラちゃん。どうしたの?」
「一昨日、連絡しましたよね?」
笑いながら尋ねてくる受付嬢に、キソラも苦笑いして言う。
「冗談よ。でも、あの時は零時を過ぎていたから、正しくは昨日よ」
それで、用件は? と受付嬢はキソラに尋ねる。
分かって言っているな、と思いながらも、ギルドの方針だから仕方がない。
中には偽物が現れて、どれが本物か分からなくなるときがあり、この場合、ギルドでは本物にしか分からないことを本人に言わせるのだ。
そして、キソラの場合は――
「冒険者たちのラックアップ試験の執行と、知り合いの登録に来ました」
そう言って、後ろにいたアークを示すキソラ。
アークはギルドに入ったときから、中をきょろきょろと見回していた。
「うわーん、キソラちゃんが男連れてきたー!」
「何だって!?」
「一体、どこのどいつだ!?」
だが、キソラの言葉を聞いた冒険者の誰かが叫べば、また誰かが反応する。
「うっさい! とっとと依頼行きやがれ!!」
反対にキソラたちの受付をしていた隣の受付嬢が、そんな冒険者たちに檄を飛ばす。
彼女の名前はマーサ。受付担当の一人である。
そんなマーサと冒険者たちのやり取りを、キソラが苦笑いしながら見ていれば、依頼遂行しに行くのか立ち上がる。
「おっかねー。じゃーな、キソラ。後で紹介しろよー?」
「分かってますよ」
そう言い合いながら、数人の冒険者はギルドから出て行き、キソラは彼らが見えなくなるまで手を振っていた。
そんなギルド内の様子を見ていたアークが、キソラに尋ねる。
「なぁ」
「ん?」
「俺、何で睨まれてんの?」
「さぁ?」
アークの問いに、さあね、と返すキソラ。
未だにギルド内に残った冒険者たちからは、何故か睨まれているような、観察されているような視線をアークは向けられていた。
「みんな、キソラちゃんが好きなのよ。だから、どこの誰かも分からない男に、可愛がっていた妹分を取られたみたいで、嫌なんじゃない?」
キソラの相手をしていた受付嬢が横目で冒険者たちの方を見ながら言えば、さっ、と顔を逸らす冒険者たち。
「え、まさか、恋人か何かだと思ったんですか?」
キソラがアークを示しながら言えば、返ってきたのは、違うの? という視線。
「違うの?」
受付嬢が実際に声に出して言えば、キソラは溜め息を吐いた。
「違います。友人です」
その言葉に、ギルド内が安心したような雰囲気になる。
「でも、キソラちゃんもお年頃だから、恋人ぐらいは居てもおかしくはないわよね?」
マーサの一言で凍りつくギルド内。
「や、やっぱり恋人なのか!?」
「でも、友人だって言ったぞ?」
「単なる照れ隠しじゃないのか?」
そして、次の瞬間、再びぎゃーぎゃーと騒ぎ出す冒険者たち。
様々な憶測が飛び交うのを見て、何余計なことを言ってくれたんだ、とマーサに目を向けるキソラと受付嬢。
アークに至っては、キソラの恋人となった者の末路と彼女が危機にあった場合の冒険者たちの対応が怖すぎて、想像するのを止めていた。
(だが、もし……)
自分も側にいない状態で、キソラ一人が危機に陥れば――
(キソラはどう、対処するつもりだ?)
アークがそんなことを考えているとはつゆ知らず、受付嬢から、とりあえず騒いでいる冒険者たちを止めてくれない? と言われたキソラが溜め息混じりに頷いた。
「はいはい。それ以上騒いだら、私はギルドに来ないからね」
その一言で、冒険者たちは騒ぐのを止めた。
賑やかなのはいいが、度が過ぎて騒ぎ、迷惑をかけるのは良くない。
冒険者たちも善悪の判断が付く良い大人たちだから、何が良くてダメかは理解している。
それでも、悪い例というのは、どこにでもいるというもので――
「よぉ、姉ちゃん。換金してくれよ」
「申し訳ありません。換金をするのでしたら、こちらではなく、『換金受付』へ行ってください」
乱暴にドアを開け、偉そうに受付嬢の前まで来た男は、側にいたキソラを邪魔とばかりに、横に押し退ける。
運良く後ろにいたアークがキソラを支え、倒れることはなかったが、それを見ていた他の冒険者たちは、文句を言おうと立ち上がるものの、睨まれてそのまま座り込む。
そんな男に怯むことなく、慣れているかのように受付嬢は『換金受付』へ行けと告げる。
(うぁーお。お姉さん、かっこいー)
内心でそう思うキソラだが、男はそれが気に入らなかったらしい。
このままだとマズいと判断したキソラは、男に気づかれないようにアークを呼び、顔を近づけて、何かを耳打ちする。
それを聞き、大丈夫か? と聞きたそうなアークに、大丈夫、とキソラは返す。
「おにーさん」
「あぁん?」
横から声をかければ、不機嫌そうな顔で男がキソラを見る。
「あんまり騒ぐと、追い出されますよ」
そんな彼女を、心配そうに見る冒険者たちと驚いた顔で見る受付嬢。
「素直におねーさんに従った方がいいですよ? ここのギルド長、怖いですから」
実際、キソラのようなほとんどギルドに入り浸っているような者が、ギルドの長であるギルド長と会えるかどうかといえば、普通は会えないのだが、そこは迷宮管理者であるキソラの特権のようなもので、協力要請などがあるときはギルド長と話すこともある。
ただ、怖いのは事実で、親代わりと言ってもいいギルド長にキソラだけではなく、兄であるノークも頭が上がらない。
「おい、小娘。適当なこと言ってんと――」
「何の騒ぎですか?」
コツ、とその人物は現れた。
「キソラさん。まさかとは思いませんが、貴女が原因ではありませんよね?」
「違います。この人です」
現れた人物に尋ねられ、キソラは目の前の男を示す。
「あ? 何だテメェ?」
「私はギルド長をしている者ですが……うちの職員が何かしましたか?」
男の問いに、現れた人物はギルド長と答えた。
ギルド長だって? と動揺するギルド内にいた冒険者たちを余所に、ギルド長はキソラの方を向いて、ニコリと微笑んだ。
それを見て、顔を引きつらせ、視線を逸らすキソラ。
彼女の態度から数人の冒険者たちは、本物なんだな、と理解した。
しかも、笑顔なのに妙な威圧感がある。
「この姉ちゃんが換金してくれないんだ」
ギルドの最高責任者が出てきたためか、男がこれはチャンスとばかりに、口にする。
「換金でしたら、『換金受付』の方へ行ってもらえますか? ここは『依頼受理』の窓口ですから」
やんわりと男を『換金受付』へ行くように促すギルド長。
「受付なんて、みんな同じだろうが! やってくれよ」
「申し訳ありませんが、貴方一人を特別扱いするわけにはいきません。誰か一人を特別扱いすれば、必ず真似をする輩が現れます。ですから、貴方には『換金受付』に行ってもらうよう、頼んでいるのです」
男を刺激しないように、ギルド長はやんわりと言い続ける。
(そろそろ用意するか)
キソラがするのは、念のため、の用意。
ギルド長を助けるためではない。男を助けるためだ。
「『換金受付』に行ってください」
「このっ……」
男は腕を振り上げ、ギルド長を殴ろうとすれば、冒険者たちの息を飲むような音がする。
だが、肝心のギルド長は笑みを崩すことなく、避ける様子もない。
ただ、笑みを浮かべたままの目は、うっすらと開かれ、その瞳には怒りが混じっていた。
「届きませんし、届かせるつもりはありません」
そんな声が聞こえ、男の拳はギルド長の目の前で止まった。
それをしたであろう人物をギルド長は目を向ける。
「おや、キソラさん。何かしてくれました?」
「貴方がキレたら、ギルドが保たない」
それを聞き、ギルド長は肩を竦めたが、その真意を理解していた。
相手を殺すつもりだったのか、と。
「何をした小娘」
男は視線だけキソラに向ける。
「貴方の動きを封じただけです。殴るだけじゃ、その人にダメージは与えられません。その人にとって、貴方からの拳は掠り傷というより、髪の毛を一本抜いただけのようなものですから」
つまり、痛くも痒くもない。
「そんなの……」
「武器を持ってても無駄です。あっさり無効化してきますから」
それを聞いていた冒険者たちの視線に、ギルド長は溜め息を吐いた。
「言い過ぎですよ。キソラさん」
「事実を言ったまでです。ってか、あの時一回殺しかけましたよね?」
それを聞き、ギルド長は首を傾げる。
「あの時……? いつですか?」
「学院長、まだケガが治ってないんですよ? といっても、ほとんど擦り傷程度まで治ったらしいですが」
「ああ、あの時の件ですか。あれは向こうが悪いんです」
キソラの説明で、どの時のことか思い出したらしいが、全く反省していない。
冒険者たちもキソラが学院長と言ったのを聞いて、何人かは思い当たったらしい。
十二年前、王族もびっくりな事件が起きた。
当時、副ギルド長だった現ギルド長と、同じく当時学院長となったばかりのミルキアフォーク学院の学院長が激突したのだ。
原因は、当時学院に入学しようとしていたある生徒。
互いが退かないために、バトルが勃発し、結果はギルド長の圧勝だったのだが、その実力に恐れを成した学院の教師たちは、その生徒を無理やりねじ込むこととなったのだ。
その二年後、再びやってきたギルド長に、トラウマとなっていたらしい教師たちは、素直に従った。
キソラがそれを知ったのは、兄であるノークから聞いたからである。
とまあ、そんなこんなで、迷宮管理者として(それ以外にも理由はあるのだが)、ギルドと関わるキソラはギルド長の制止役に選ばれたのだ。
王族もびっくりというのは、現国王の二~三人下の王弟がギルド長と学院長とともに元・学友だったということもあり、こんなことが起こるのは予想外の出来事だったためだ。
とりあえず、その話は置いておくとして――
「はぁ、分かりました。あの時のことはもういいです」
キソラは溜め息混じりにそう言うと、それで、とギルド長に目を向ける。
「彼をどうしますか? 『換金受付』に飛ばしても構いませんが」
「んー……じゃあ、お願い。『換金受付』の方には君たちが連絡しなよ。それで無かったことにしてあげるから」
ギルド長は軽く思案し、キソラに頼むと、受付嬢の方を向いて、『換金受付』の方に連絡しておくように告げ、それじゃあね、と戻っていった。
「ったく」
男の動きを封じてた魔法を解除する。
「っつ……」
同じ体勢だったためか、前のめりになり、男は倒れた。
「話は聞こえていたと思いますが、受け身体勢でいてくださいね?」
「は? 何言って――」
キソラにそう言われ、男は全てを言い終わらないうちに、『換金受付』へと転移させられた。
「あんなことして大丈夫? 恨まれない?」
「こっちにも用がありますし、ギルド長が出てきたってだけで、こっちは精神的に疲弊しかけてるんです。あの人の対応まで私はするつもりはありません」
心配そうな受付嬢に、キソラはそう返す。
「それでは、私は行ってくるので、連れの登録とギルドでのマナーを教えておいてください」
「あ、おい……」
受付嬢にアークを任せ、アークが声をかけるも、キソラはマーサの前に行く。
「マーサさん。本日のランクアップの予定者は何名ですか?」
「今日は五人ね」
「分かりました」
マーサの確認しながらの返答に、キソラは頷いた。
「ちょっと待て。この前の件、今日話すって言ってただろうが」
「あー……そんなことも言ったねぇ」
アークの言葉に、キソラはすっかり忘れてたという気持ちと、何で今言うかなという気持ちを込めて、そう返す。
「忘れてただろ」
「……」
完全にとまでは行かないものの、図星なので言い返せない。
(さて、どうしようか)
ギルドでは冒険者たちが、学院では数人の生徒たちが(といってもキソラの友人のみだが)、キソラが迷宮管理者だと知っている。
だが、アークは別だ。異世界からの転移者である彼に話しても大丈夫な内容か否か。
それでも話すと約束したのなら、話さなければならない。
「分かった」
「キソラちゃん!?」
キソラの言葉に、受付嬢とマーサが驚いた顔をする。
それでも、決めたのだ。
「登録とギルドの説明が終わったら、彼を連れてきてください」
「え、でも……」
ギルド職員にも秘密だと言われていた情報を言ってもいいのか。
もちろん、冒険者たち――この街を拠点とする冒険者に限り、教えてある。
そのためか、キソラの言葉に二人だけではなく、その場にいた冒険者たちも戸惑った顔をしていた。
「第三者ではなく、本人が言うと言っているのなら、何も問題はないはずですよね?」
「貴女は自分のことをよく分かっていません!」
キソラの言葉に、受付嬢が立ち上がって叫ぶ。
そんな様子を見たマーサは、彼女を宥め、イスに座らせる。
「確かにそうよね」
マーサはそう言って、頷いた。
「キソラちゃん」
「はい」
「私たちギルド職員には、ギルド長から口止めされてるって、知ってるわよね」
「はい」
マーサの確認するような口調に、キソラは頷く。
「彼は、私が連れていく」
「っ、マーサ!?」
受付嬢が驚いたようにマーサを見る。
「キソラちゃん」
「はい」
「私たちが知っていること以上は、彼には話さないと約束して」
そうしないと、許可できない。
マーサはそう言った。
「分かってます」
――迷宮管理者ですから。
まだ、そう言わない。
「彼のこと、よろしくお願いしますね」
「ええ」
「あと、使用する迷宮なんですが――」
そこでまた、ギルド内が凍り付くのだった。
☆★☆
「はい、登録完了」
キソラが数人の冒険者たちを連れて行った後、アークはマーサの説明により、冒険者登録をしていた。
最初に話していた受付嬢は、今は別の冒険者を相手に仕事中だ。
「これだけでいいのか?」
割と簡単に登録できたため、少し心配になる。
「いいのよ。ギルドは秘密主義だから」
そう笑顔でマーサは言う。
秘密主義とは少し違う気がするのだが、職員である彼女が大丈夫というのなら、大丈夫なのだろう。
「それじゃあ、ギルドの利用方法と質疑応答ね」
それも何分ぐらい続いたのだろう。
依頼の受け方から換金方法、ランクなど……冒険者が一般的に知っているギルドの利用方法をアークは聞いた。
「それじゃあ、貴方のお待ちかね」
マーサが立ち上がりながら、そう言う。
「キソラちゃんの所へ行きましょうか」
☆★☆
迷宮“地下迷宮”。
地の中へ現れた、日の射さない真っ暗な迷宮。
中は複雑に入り組んでおり、出現するモンスターはBランクなら討伐できるものばかり。
今回はAランクへのランクアップ試験であり、試験官であるAランク冒険者たちも同行している。
「鬼だ。鬼過ぎる」
挑戦者であるBランク冒険者だけではなく、Aランク冒険者たちもそう呟く。
キソラの様子から、元からこの迷宮を使うつもりだったらしい。
「諦めるんだな。それだけ難易度が上がるって事だ」
Aランク冒険者たちは一度経験済みなので、攻略方法も知っているが、初挑戦となるBランク冒険者たちには難しいだろう。
『さあ、頑張ってAランクになりましょう!』
迷宮攻略前に、キソラにそう言われたことを思い出す。
「彼女は、この迷宮を攻略したことあるんですか?」
Bランク冒険者が尋ねる。
それを聞いたAランク冒険者たちは首を傾げる。
迷宮管理者であるキソラは、迷宮の特徴やモンスター、守護者の事は理解しているため、冒険者たちにランクアップ試験と称し、攻略させている。
もちろん、試験時は管理者権限で、冒険者たちよりも先に守護者の間にキソラはたどり着いていることもある。
では、キソラは迷宮攻略できないのかといえば、答えはNOである。
キソラが迷宮の特徴を知るために、一度その迷宮を攻略しなくてはならないのだが、それはこの“地下迷宮”も例外ではない。
さっきも言ったが、“地下迷宮”はBランク冒険者が倒せるモンスターが出現する。
つまり、最低でもBランクは無いと攻略できない。
AランクからSランクの試験時でも同じである。
指定ランクが無ければクリアできない。
だが、キソラのランクはSランクではない。
いくらこの一週間、アークと一緒にアリシアたちやフェクトリアたちを相手に戦闘していたとはいえ、もし本当にSランクなら彼らをあっさり倒せたり、戦闘そのものを終わらせることが出来たはずだが、結局は引き分けや強制終了させている。
ギルドカードでも、キソラのランクはDランクである(二年に進級したときに、ランクも上がった)。
なので、キソラに事の真偽を聞いたところで、決まって「私は迷宮管理者ですから」と誤魔化されるのが落ちだ。
「キソラ?」
「ん、来たね」
“地下迷宮”の全体を見渡せるモニター室のような部屋にいたキソラは、背後から掛けられた声に振り返る。
「そろそろ来る頃だと思ってた」
「約束だからな」
「分かってる」
アークの言葉に、キソラは笑みを浮かべる。
マーサは気を利かせてか、扉を繋ぎはしても、アークとともに“地下迷宮”には来ていない。
「じゃあ、話してあげる」
――私が何者なのかを。
キソラの背後にあるモニターの映像が変わる。
モンスターが出現したり、罠が作動したりしていくのだが――それに目も向けずに、キソラは言う。
「私は――『迷宮管理者』なんだ」
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