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第七章
干ばつの村攻略作戦④
しおりを挟む「大丈夫だか?ナナシ。
顔色悪いべな。
青白い通り越して、透明になりそうだべ。」
「どういう例えですか。
少し日光に当たって、熱中症になっただけです。
村長、部屋か空き家はありますか?
どうせ今日は宿泊しなければならないと思いますので、そこで休みたいのですが。」
夜の事を考えると、今のうちに鋭気を養っておきたい。
別に魔力が劣る訳ではなく、逆に魔力をセーブ出来なかった場合の方が怖いのだ。
弱くなっているとは言え、暗闇は私に力を与える。
「ああ、大丈夫だすか?
今離れの空き家をセッティングさせましただす。
夜は寒いんだすが、昼間は暑いんで
山から切り落とした氷を、氷のう庫から出して、部屋を涼しくしております。」
「ああ、あの北の奥の氷山か。
こっちは日照りで、あっちは氷山かなんとも地形というのは、人間の都合良くは出来ていない物ですね。」
ベルハラ連合国の中央部にそびえ立つ氷山の山々。
簡単に各国国境を越えられない原因の一つだが、あの氷山のおかげである程度の水脈が地中に存在する。
とりあえず、簡単な荷物と馬を引き連れて宿代わりの空き家へと移動した。
粗末な造りだが、これでも村では、とびきりのもてなしなのだろう。
部屋の中央に大氷が桶に入って置いてあった。
貧しくとも客人に対して、最高のおもてなしをする村人達に感謝した。
「で、どうすんだべ?
水脈って、当てがあるみてえな言い方だったが。」
「ひえっ!あ、ああ何となくです。
確証はないって言いましたよね。
でも周りに草木が、わずかながらにでも生えてるって事は、ちゃんとありますよどこかに。ははは。」
ツッコむなよ。
掘り下げるなよソコは。
首を傾げるアルの話しを逸らすために逆に村人達の様子を聞いてみた。
「村人達の話しはどうでした?
民衆の言葉は聞けたのでしょう?」
「ああ、うん。
それが、謝られただ。」
「謝られた?」
「税金払えないないのに、工事までして貰ってって。
オラ、どう言って返したらいいかわからなかったべ。」
「そうですか。
国王の前で本音を言えるとも思えませんし。
工事に感謝して貰っても、結局その分の税金は上乗せですしね。
そして、裏で美味しい思いをする少数の人間がいるのは民衆は知らない事実です。
だから、国自体の力をつけなくては何も解決しないのですよ。」
「税金取らないで、国が成り立てばいいんだども。
はぁ、難しいべな。」
「税金を取るのが悪い訳ではありませんよ。
あくまでも使い方の問題です。
そして、未来設計がどこまで立てられてるか。
大事なのは国の行き着く姿をちゃんとイメージすることです。」
私は火照った頭を冷やす為に、手拭いを絞りベッドに横たわり、目蓋の上にそれを乗せた。
ひんやりとした冷たさが眼球に染みるようだ。
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