290 / 302
3学期
『勉強会』への秒読み開始1
しおりを挟む
僕は真朝…田宮との時間差でマンションを出て、珍しくゆっくりと出勤した。
今日は一緒に朝食食べたし、旧理科室には行かなくてもいいかな。
あ、朝のキス…すりゃ良かった。
まあ、いいか。
なんか、それよりもあの空気感の方が僕には嬉しかったし。
昨夜から今朝の事を思い出してはニヤつき、思い出してはニヤつき、はたから見たらかなりキモい顔で学校に辿りついた。
「おはようございます!先生!」
「うわぁ!つ、塚本か。おはよう。」
職員玄関に入り廊下をゆっくり歩いてると後ろから声を掛けられた。
「チョコ食べました?」
「あっと、まだ…てか、義理チョコだから先生方とかにも分けるし。」
「お!義理チョコでも女子には倍返しだよ!
バレンタインなんて女子にとっては投資なんだから!」
「投資って…お前なぁ。」
「マジよ!男はプレゼントの高さで価値が決まるのよ。」
「何処の何情報だよ。まったく。
雑誌やらネットからしか情報仕入れないからそんなんなるんだよ。」
「…ん?だってプレゼント以上の価値のある男にあった事無いし。」
「お前の彼氏はプレゼント以下かよ。」
「金持ちなので問題なしです。」
「あ、そ。
ホワイトデーは先生方のお金集めて適当なの一律で返すから、期待するな。」
「うわぁ、イタイ教師達!」
「恋愛感情防止の為だそうだ。
教頭からそういう命令受けてんの。」
「つまんない学校だわー。」
そこは、僕も同感だ。
声には出さないけどね。
いちいち禁止したところで、無くなるほどの恋愛なんて遊びだろうに。
しかも、本気なら更に燃え上がる可能性の方が大だ。
単純に禁止とか言ってる時点で、それは失敗策だろうに。
「昨年の事があるからな、一応対策しとかなきゃ学校もメンツが立たないんだろ。」
ま、後々の事を考えての防御策だな。
塚本は両手を挙げて伸びをしながら懐かしそうに斜め上を見た。
「何か去年は、結構ドタバタな1年だったかな。
武本先生のおかげで楽しくもある失敗して、思い出としては最高の話しのタネになりました。
3年とデキちゃった先生もいて、ニュースとしては面白かったです。」
「ははは~~。良かったな。」
僕は乾いた笑いでごまかした。
「今、考えたら武本先生って、良い先生なのかなって。
良くも悪くも、感情で生徒を怒鳴ったりしないし。
見てて、面白いくらいに動揺するし。
生徒を理解してくれそう。」
何だよ!急に褒て来て…。
ズレた黒縁メガネを直しつつ、返答した。
「まだまだだよ。僕なんて。
これから経験を積んでいかなきゃ。」
「そうですねー。頑張って下さい。では。」
塚本は職員室前で2年の教室へ向かう廊下を曲がって行った。
生徒から『良い先生』なんて言われる日が来るなんて思わなかったな。
何だか、変な気分だ。
嬉しいっちゃ嬉しいけど、自分の事の様に思えない。
こうやって、生徒とラフな会話出来る様になったのだってここ半年位の間だ。
自分では教師としては、まだまだだ。
そして…人間としても。
週末の『勉強会』
それをクリア出来れば、僕は君を救い出すチケットを手に出来るはずだ。
僕は職員室に意気揚々と入って行った。
今日は一緒に朝食食べたし、旧理科室には行かなくてもいいかな。
あ、朝のキス…すりゃ良かった。
まあ、いいか。
なんか、それよりもあの空気感の方が僕には嬉しかったし。
昨夜から今朝の事を思い出してはニヤつき、思い出してはニヤつき、はたから見たらかなりキモい顔で学校に辿りついた。
「おはようございます!先生!」
「うわぁ!つ、塚本か。おはよう。」
職員玄関に入り廊下をゆっくり歩いてると後ろから声を掛けられた。
「チョコ食べました?」
「あっと、まだ…てか、義理チョコだから先生方とかにも分けるし。」
「お!義理チョコでも女子には倍返しだよ!
バレンタインなんて女子にとっては投資なんだから!」
「投資って…お前なぁ。」
「マジよ!男はプレゼントの高さで価値が決まるのよ。」
「何処の何情報だよ。まったく。
雑誌やらネットからしか情報仕入れないからそんなんなるんだよ。」
「…ん?だってプレゼント以上の価値のある男にあった事無いし。」
「お前の彼氏はプレゼント以下かよ。」
「金持ちなので問題なしです。」
「あ、そ。
ホワイトデーは先生方のお金集めて適当なの一律で返すから、期待するな。」
「うわぁ、イタイ教師達!」
「恋愛感情防止の為だそうだ。
教頭からそういう命令受けてんの。」
「つまんない学校だわー。」
そこは、僕も同感だ。
声には出さないけどね。
いちいち禁止したところで、無くなるほどの恋愛なんて遊びだろうに。
しかも、本気なら更に燃え上がる可能性の方が大だ。
単純に禁止とか言ってる時点で、それは失敗策だろうに。
「昨年の事があるからな、一応対策しとかなきゃ学校もメンツが立たないんだろ。」
ま、後々の事を考えての防御策だな。
塚本は両手を挙げて伸びをしながら懐かしそうに斜め上を見た。
「何か去年は、結構ドタバタな1年だったかな。
武本先生のおかげで楽しくもある失敗して、思い出としては最高の話しのタネになりました。
3年とデキちゃった先生もいて、ニュースとしては面白かったです。」
「ははは~~。良かったな。」
僕は乾いた笑いでごまかした。
「今、考えたら武本先生って、良い先生なのかなって。
良くも悪くも、感情で生徒を怒鳴ったりしないし。
見てて、面白いくらいに動揺するし。
生徒を理解してくれそう。」
何だよ!急に褒て来て…。
ズレた黒縁メガネを直しつつ、返答した。
「まだまだだよ。僕なんて。
これから経験を積んでいかなきゃ。」
「そうですねー。頑張って下さい。では。」
塚本は職員室前で2年の教室へ向かう廊下を曲がって行った。
生徒から『良い先生』なんて言われる日が来るなんて思わなかったな。
何だか、変な気分だ。
嬉しいっちゃ嬉しいけど、自分の事の様に思えない。
こうやって、生徒とラフな会話出来る様になったのだってここ半年位の間だ。
自分では教師としては、まだまだだ。
そして…人間としても。
週末の『勉強会』
それをクリア出来れば、僕は君を救い出すチケットを手に出来るはずだ。
僕は職員室に意気揚々と入って行った。
0
お気に入りに追加
89
あなたにおすすめの小説
伝える前に振られてしまった私の恋
メカ喜楽直人
恋愛
母に連れられて行った王妃様とのお茶会の席を、ひとり抜け出したアーリーンは、幼馴染みと友人たちが歓談する場に出くわす。
そこで、ひとりの令息が婚約をしたのだと話し出した。
許婚と親友は両片思いだったので2人の仲を取り持つことにしました
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
<2人の仲を応援するので、どうか私を嫌わないでください>
私には子供のころから決められた許嫁がいた。ある日、久しぶりに再会した親友を紹介した私は次第に2人がお互いを好きになっていく様子に気が付いた。どちらも私にとっては大切な存在。2人から邪魔者と思われ、嫌われたくはないので、私は全力で許嫁と親友の仲を取り持つ事を心に決めた。すると彼の評判が悪くなっていき、それまで冷たかった彼の態度が軟化してきて話は意外な展開に・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
私達、政略結婚ですから。
黎
恋愛
オルヒデーエは、来月ザイデルバスト王子との結婚を控えていた。しかし2年前に王宮に来て以来、王子とはろくに会わず話もしない。一方で1年前現れたレディ・トゥルペは、王子に指輪を贈られ、二人きりで会ってもいる。王子に自分達の関係性を問いただすも「政略結婚だが」と知らん顔、レディ・トゥルペも、オルヒデーエに向かって「政略結婚ですから」としたり顔。半年前からは、レディ・トゥルペに数々の嫌がらせをしたという噂まで流れていた。
それが罪状として読み上げられる中、オルヒデーエは王子との数少ない思い出を振り返り、その処断を待つ。
貴方の事を愛していました
ハルン
恋愛
幼い頃から側に居る少し年上の彼が大好きだった。
家の繋がりの為だとしても、婚約した時は部屋に戻ってから一人で泣いてしまう程に嬉しかった。
彼は、婚約者として私を大切にしてくれた。
毎週のお茶会も
誕生日以外のプレゼントも
成人してからのパーティーのエスコートも
私をとても大切にしてくれている。
ーーけれど。
大切だからといって、愛しているとは限らない。
いつからだろう。
彼の視線の先に、一人の綺麗な女性の姿がある事に気が付いたのは。
誠実な彼は、この家同士の婚約の意味をきちんと理解している。だから、その女性と二人きりになる事も噂になる様な事は絶対にしなかった。
このままいけば、数ヶ月後には私達は結婚する。
ーーけれど、本当にそれでいいの?
だから私は決めたのだ。
「貴方の事を愛してました」
貴方を忘れる事を。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる